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このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
カウンセリングの成約率を上げたいなら、最後のひと押しより「聞く順番」を見直す
先に答えを書きます。
- 聞く順番は「今の状態 → 理想 → 費用・期間の不安」。施術の説明はそのあとにする
- 金額を伝えて黙られたら、「金額・通う回数・効果のどこが引っかかっていますか」と選択肢をつけて聞く
- 持ち帰りになったら、次に連絡する日と手段をその場で決める
この先で、それぞれの例文と記録表まで渡します。
「考えます」と言われた帰り道に、頭に浮かぶこと
施術の流れを説明して、メニューと金額を伝えた。お客さんは少し黙って、「一度考えます」と言った。笑顔で見送って、扉が閉まったあとに、さっきの沈黙が頭に戻ってくる。
金額を伝えたら黙られた。自分の施術に、この値段を払うほどの価値はないと思われたのかもしれない。片づけをしながら、そう考えてしまう。こういう帰り道を持っている人は、少なくないと私は見ています。
腕には自信がある。お客さんの反応も悪くなかった。それでも最後の一歩で止まる。この記事は、その一歩を「ひと押しの強さ」で越える話ではありません。カウンセリングの前半で何をどの順で聞くかを変える話です。
持ち帰られるのは、決める材料がそろっていないとき
お客さんが「考えます」と言うのは、高いと思ったときだけではないと、私は見ています(これは仮説です)。むしろ「何回通えば、いつ頃どうなって、全部でいくらか」が、お客さんの頭の中でつながっていないときのほうが多いのではないか。
つながっていなければ、お客さんは決めにくくなります。金額だけが目の前に置かれて、それが高いか安いかを判断する物差しがない。そこで「考えます」という言葉が出る。
だから変えるのは、最後の一言ではありません。カウンセリングの前半で、お客さんの状態・理想・不安を聞いておき、金額を伝える時点で「自分の話」として聞いてもらえる形にします。
成約率は自分で出せる。その場と後日を分けて数える
成約率は次の式で自分で出せます。
- 成約率=成約数÷カウンセリング数
この記事では、業界の平均や「このくらいが目安」という数字は扱いません。他のサロンの数字と比べても、メニューもお客さんも違うので、自分の判断材料になりにくいからです。比べる相手は、先月の自分です。
記録するときは、次の3つに分けて付けます。
- その場で決まった
- 後日決まった
- 見送り(理由をひと言)
こう分けると、どこで止まっているかが見えます。その場では決まらなくても後日決まっているなら、問題は「決める材料の渡し方」かもしれません。見送りの理由が「予算」に偏っているなら、費用を聞く順番を見直す。そういう次の一手が出てきます。
カウンセリングは、仕事の取り方全体で見ると「話を聞く」と「お金の話」の部分にあたります。全体像を先に押さえておきたい方は、フリーランスの営業の進め方もあわせて読んでみてください。
その場で決まらないカウンセリングで、よく起きている3つのこと
施術の説明から入って、悩みを聞き終わる前に時間が来る
次のような始まり方は、とても自然です。自分の施術を知ってもらいたいからです。
「この施術は、〜という流れで進めます。続けていただくと〜」
説明をしているうちに時間が進み、お客さんの困りごとを聞くのは終わりぎわに、ざっと確認する程度になる。お客さんから見ると、ずっと「サロンの話」を聞いていて、自分の話をする時間がほとんどなかったことになります。
その状態で金額を聞くと、お客さんは「自分のための提案」として受け取りにくくなります。「一般的なメニューの値段」として聞こえるからです。これでは決めにくい。
金額を伝えたあと、黙って返事を待つ
金額を伝えて、お客さんが黙った。ここで多くの人は、次に何を聞けばいいかが分からず、「あとはお客さんが決めること」と考えて、そのまま待ちます。待っているうちに沈黙が長くなり、耐えきれず「また考えておいてくださいね」と自分から終わらせてしまう。
待つこと自体は悪くありません。足りないのは、待っているあいだに「お客さんは何を考えているのか」を聞く手段です。これは性格の問題ではなく、聞き方を習っていないだけだと私は見ています。手順は、このあとの「金額を伝えて黙られたときに」の章に書きます。
「いつでもご連絡ください」で終わる
急かしていると思われたくなくて、次にいつ話すかを決めずに見送る。やさしさから出る言葉です。
ただ、お客さんの側から見ると、こうなりやすいと私は見ています。サロンを出た日は、何に迷っていたかをよく覚えています。でも仕事や家のことに戻るうちに、迷っていた中身がだんだん薄れていく。そして「連絡するほどのことでもないか」と、迷いごと棚に上がってしまう。
「いつでも」は、いつ連絡してもいいという意味ですが、お客さんにとっては、いつ連絡するかを自分で決めなければいけないという意味にもなります。決める作業が一つ増えるので、後回しになりやすい。
その場で決めてもらうための聞き方|3つの順番と例文
順番は「今の状態 → 理想 → 費用・期間の不安」です。施術の説明は、そのあとです。
①今の状態と、気になり始めたきっかけを聞く
例文です。
- 「いちばん気になっているのはどこですか」
- 「いつ頃から気になり始めましたか」
- 「これまでに何か試したことはありますか」
ここでは自分の施術の話はまだしません。お客さんの言葉をメモに書き留めます。「鏡を見るのが嫌になった」「写真に写るのを避けている」のような言い方が出たら、そのまま書く。あとで施術の説明をするとき、その言葉を使うためです。
②どうなっていたいかを、「いつまでに」と一緒に聞く
例文です。
- 「どうなっていたら、来てよかったと思えそうですか」
- 「その状態に、いつ頃までになっていたいですか(結婚式・季節・仕事の予定など)」
期限は、こちらが決めるものではありません。お客さんの予定から出てきます。「夏までに」「来月の集まりまでに」という言葉が出れば、それが通う期間の目安になります。出なければ、「特に決まった日はない」ということも、大事な情報です。
③費用・期間・通う回数の不安を、金額を出す前に聞いておく
例文です。
- 「通うとしたら、月にどのくらいの予算なら無理がないですか」
- 「通える頻度は、どのくらいですか」
金額を言う前に、お客さんの予算と頻度を聞いておく。こうすると、金額を伝えたあとの沈黙が減りやすくなると私は見ています。お客さんは自分で言った予算と照らして考えられるからです。予算を超えそうなら、伝える前に案を組み替えることもできます。
不安を先に言葉にしてもらうと、あとで出てくる「実は…」を前もって聞けます。ここまで聞いたうえで、施術の説明に入ります。説明は、①②で聞いた言葉を使って「〜とおっしゃっていたので」と始めると、お客さんの話として届きます。
金額を伝えて黙られたときに、そのまま使える聞き方
黙られたのは「高い」の意味とは限らない
金額のあとの沈黙は、次のどれでもありえます。
- 金額が高いと感じている
- 家族に聞かないと決められない
- 自分に合うかどうか不安
- どれを選べばいいか分からない
この4つは、手当てがそれぞれ違います。高いなら案を組み替える。家族なら次の連絡日を決める。不安なら材料を足す。選べないなら案を絞る。
どれなのかを聞く前に値下げを口にすると、本当の理由が分からないまま、こちらの価格だけが下がります。
沈黙のあとに出す一言
例文です。
「どのあたりが一番引っかかっていますか。金額ですか、通う回数ですか、それとも効果のほうですか」
選択肢を添えて聞くと、お客さんは答えやすくなります。「引っかかっているところは?」とだけ聞かれると、お客さんは自分の気持ちを一から言葉にしなければなりません。「この中ならどれか」なら、指をさすだけで済みます。
使わないほうがいい言い方も並べておきます。
| NG | 起きやすいこと |
|---|---|
| 「では少しお安くしますね」 | 本当の理由が分からないまま価格だけ下がる |
| 「みなさんこの金額で決めていますよ」 | 自分は違うのかと感じて、さらに黙る |
| 「また考えておいてくださいね」 | 次の話がなくなり、そのまま終わる |
選べる形にして見せる
「やるか、やらないか」の2択だと、お客さんは「やらない」を選びやすくなると私は見ています。そこで、2〜3案を並べて、それぞれの中身を表で見せます。下は、自分のメニューで埋める空欄テンプレートです。
| 案A:1回だけ試す | 案B:決めた回数で通う | 案C:(必要なら) | |
|---|---|---|---|
| 期間 | |||
| 通う回数 | |||
| 総額 | |||
| 途中でやめる場合 |
「途中でやめる場合」の欄は、必ず埋めてください。やめるときのことが書いてあると、お客さんは始める怖さが減ります。ここが空欄のままだと、「始めたらやめられないのでは」という不安が残りやすいと、私は見ています。
金額はお客さんに合わせて書き換えるので、この記事には例を載せません。表は手書きでもかまいません。目の前で一緒に書き込むと、「自分用の提案」という感じが出ます。
急かさずに「今日決めますか」と聞く言い方
決める場面を作ることと、急かすことは違う
「押し売りだと思われないか」と心配で、決める場面そのものを作れない人もいます。ここは分けて考えます。急かすのは「お客さんの選べる時間を削る」言い方。決める場面を作るのは「選べる形を整えて、聞く」言い方です。
| 急かす言い方(使わない) | 決める場面を作る言い方 |
|---|---|
| 「今日だけこの価格です」 | 「今日決めていただいても、持ち帰っていただいても大丈夫です」 |
| 「今決めないと枠が埋まります」 | 「決めるとしたら、あと何が分かれば決められそうですか」 |
| 「早く始めたほうが効果が出ますよ」 | 「いつ頃から始めたいか、ご希望はありますか」 |
左の言い方は使いません。お客さんの判断を、時間で縛るからです。
そのまま使える一言
「今日決めていただいても、一度持ち帰っていただいても、どちらでも大丈夫です。決めるとしたら、あと何が分かれば決められそうですか」
この一言のあと、お客さんが答えたことに、その場で材料を出します。施術の流れ、期間、やめる場合の扱い。足りない材料が一つ出れば、そこを補う。「特にないです」と言われたら、そのときは持ち帰りでよいと考えます。
持ち帰りになったら、次に話す日をその場で決める
例文です。
「では○日に、こちらから一度ご連絡してもいいですか。LINEと電話、どちらがいいですか」
連絡の手段と日付を、その場で決めます。決めたらカルテに書く。連絡する日が来たら、書いてある通りに連絡する。それだけです。「いつでもご連絡ください」で終わらせず、「その日にこちらから」と決めておくと、お客さんは迷いを自分で持ち続けなくて済みます。
サロン・教室・ひとりで受ける仕事の場面別の言い方は、クロージングのトーク例で詳しく解説しています。
その場で決めないほうがいいお客さんもいる
持ち帰ってもらったほうがいい場面
次のような場面では、無理にその場で決めてもらわないほうがいいと考えています。
- 家族と相談したいと言っている
- 予算をまだ決めていない
- 体調や肌の状態を見てからのほうがいい
こうした場面でその場の決定を押すと、通い始めても続かない形になりやすいと私は見ています。続かなければ、お客さんにとってもサロンにとっても残念な結果になります。持ち帰りは失敗ではなく、続けるための準備期間です。
回数券やコース契約を勧めるときの注意
長い期間のコースや前払いの契約には、法律上のルールがかかる場合があります。自分のメニューが当てはまるかどうかは、メニューの内容や期間、支払い方法で変わります。個別の判断は、専門家や消費生活センターなどに相談してください。
そのうえで、期間・回数・総額・途中でやめる場合の扱いは、契約の前に紙で見せておくほうが、お客さんにもサロンにも安心です。先ほどの比較表は、その説明にも使えます。
後日決まったお客さんも、ちゃんと数える
後日決まったお客さんを「その場で決まらなかった失敗」として記録しないでください。①その場 ②後日 ③見送り、と分けて付けておけば、その場で決まらなくても、次の連絡で決まっているかどうかが分かります。
「その場では決まらないが、連絡すると決まる」というパターンが見えたら、カウンセリングが機能している目安になると私は見ています。逆に、後日もほとんど決まらないなら、前半の聞き方を見直す合図になります。
カウンセリングを振り返るチェックリスト
カウンセリング前の準備
- 予約時に、いちばん気になっていることを聞いたか
- 2〜3案の比較表を手元に用意したか
- 自分のメニューの期間・回数・総額・途中でやめる場合を説明できるか
カウンセリング中の確認
- 施術の説明より先に、今の状態ときっかけを聞いたか
- どうなっていたいかを、「いつまでに」と一緒に聞いたか
- 金額の前に、予算と通える頻度を聞いたか
- 黙られたとき、どこが引っかかっているかを聞いたか
- 今日決めても持ち帰ってもいい、と伝えたか
終わったあとの記録
下の表をそのまま写して使えます。
| 日付 | お客さんの悩み | その場/後日/見送り | 見送りの理由(ひと言) | 次に連絡する日 |
|---|---|---|---|---|
月に一度、「成約数÷カウンセリング数」を自分で出します。そのとき、数字そのものより、見送り理由がどこに偏っているかを見てください。「予算」が多ければ費用を聞く順番を、「家族」が多ければ連絡日の決め方を、「不安」が多ければ材料の出し方を見直す。決まらなかった日は、自分の価値への判定ではなく、直す場所を教えてくれる記録です。
よくある質問
カウンセリングの成約率はどうやって計算しますか?
成約数÷カウンセリング数で出せます。その場で決まった・後日決まった・見送りの3つに分けて記録すると、どこで止まっているかが見えます。業界の平均値はこの記事では扱いません。
カウンセリングで金額を伝えたら黙られました。値下げしたほうがいいですか?
先に下げません。沈黙は「高い」以外に、「家族に相談したい」「どれを選べばいいか分からない」の場合もあります。「金額・通う回数・効果のどこが引っかかっていますか」と、選択肢をつけて聞いてください。
その場で契約をすすめると、押し売りだと思われませんか?
「今日だけ」「枠が埋まる」のような言い方は使いません。「今日決めても持ち帰っても大丈夫です。決めるとしたら何が分かれば決められそうですか」と、決める場面だけを作ります。
「考えます」と言われたあと、どう連絡すればいいですか?
その場で、次に連絡する日と手段(LINE・電話など)を決めておきます。「いつでもご連絡ください」で終えず、カルテに日付を書いて、その日にこちらから連絡します。
回数券やコースを勧めるとき、気をつけることはありますか?
長い期間のコースや前払いの契約には、法律上のルールがかかる場合があります。期間・回数・総額・途中でやめる場合の扱いを先に見せ、自分のメニューが当てはまるかなどの個別の判断は、専門家や消費生活センターなどに相談してください。
本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。
