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このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
打ち合わせのアジェンダは5行で足りる|相手に考えてきてもらう短いメモとして書く
結論:書くのは5行だけ
打ち合わせのアジェンダの書き方は、次の5行です。

- 今日の目的:終わったときに何が決まっているか
- 聞きたいこと:相手に答えてもらいたい質問
- 決めたいこと:その日のうちに決めたい項目
- 時間:開始と終了の時刻
- 持ってきてほしいもの:相手に用意してもらう物
会社の会議で使うような立派な書式はいりません。社内の会議では、アジェンダは進行役が場を仕切るための道具です。お客様に送るアジェンダは役目が違います。相手が前もって考えてこられること。それができていれば、アジェンダとして十分です。
まとまらないのは、話し方の問題より聞く順番の問題
前回の打ち合わせでは、こちらの説明だけで40分を使いました。相手の予算と希望の時期を聞けないまま時間切れになり、「では、また改めて」と別れました。帰り道に「自分は話が下手だ」と思った。そういう経験のある人は少なくないと思います。

打ち合わせがいつもぐだぐだになるのは、自分の話が下手だからだ。そう結論を出してしまう人は多いのではないでしょうか。腕に自信がある人ほど、うまくいかない原因を自分の中に探しやすいのかもしれません。これは私の見立てで、全員に当てはまる話ではありません。
私は、原因は話し方より別のところにあると見ています。何をどの順で聞くかを決めていない。しかも、その順番を相手と共有していない。この状態だと、相手が話し終えたあとの沈黙が怖くなります。怖いので、自分の説明で間を埋める。説明が始まると相手は聞く側に回り、肝心の予算や時期は出てこないまま時間が過ぎます。
必要なのは話術ではありません。聞く順番が決まっていればいいのです。順番を紙にして先に相手へ渡しておけば、当日はその紙のとおりに進めるだけで済みます。
アジェンダに書く5つの項目と、1行ずつの書き方
目的は「今日の終わりに何が決まっているか」で1行にする
名詞で止めず、終わったときの状態で書きます。
| 書き方 | |
|---|---|
| NG | ホームページのご提案について |
| OK | ホームページ直しの範囲と、公開したい時期をすり合わせる |
NGの書き方だと、相手は「何を話す場なのか」が読み取れません。OKの書き方なら、範囲と時期という2つの答えを考えてきてもらえます。
議題は「聞きたいこと」を先に、「こちらの説明」をあとに並べる
議題は質問の形で書きます。例を挙げます。

- 今いちばん困っていること
- いつまでに形にしたいか
- これまで同じようなことを頼んだことがあるか
自分の進め方の説明は、後半に回します。順番がそのまま、打ち合わせの時間配分になるからです。先頭に説明を置くと、当日もその順で進み、相手の話を聞く時間が削られます。
| 書き方 | |
|---|---|
| NG | 1. 弊社の進め方のご説明 2. ご要望のヒアリング |
| OK | 1. 今いちばん困っていること 2. いつまでに形にしたいか 3. こちらの進め方の説明 |
時間・持ってきてほしいもの・こちらで用意するもの
時間は、開始と終了の時刻を書きます。「1時間ほど」ではなく「14:00〜15:00」です。終わりの時刻が書いてあると、相手も次の予定を組みやすくなります。
| 書き方 | |
|---|---|
| NG | 14時から1時間ほど |
| OK | 14:00〜15:00 |
相手に頼む物は、具体的に書きます。
| 書き方 | |
|---|---|
| NG | 関連資料をご用意ください |
| OK | 今使っているチラシ、参考にしたいサイトのURL、だいたいの予算感(幅があっても大丈夫です) |
こちらで用意する物も1行書いておきます。例は「こちらでは、過去の制作例を1点だけ持参します」です。相手に頼むだけでなく、こちらも準備すると伝わります。
そのまま使えるアジェンダ例(初回・2回目・30分しかないとき)
初回(話を聞くのが中心)60分の例
○月○日 14:00〜15:00 打ち合わせの進め方(メモ)
今日の目的:ホームページ直しの範囲と、公開したい時期をすり合わせる
- 今日の目的の確認(3分)
- 今の状況と困っていること(25分)
- いつまでに・どのくらいの規模でやりたいか(10分)
- こちらの進め方の説明(15分)
- 次に決めることの確認(7分)
持ってきてほしいもの:今のチラシ、参考にしたいサイトのURL、だいたいの予算感
合計は3+25+10+15+7で60分です。ポイントは、説明を4番目に置いていることです。聞く時間(25分と10分)が、説明(15分)より長くなっています。説明が長くなりそうな商材でも、聞く時間を説明より長く取る。この順番だけは崩さないでください。
2回目(提案と見積を見てもらう)の例
2回目は、最初に「前回聞いたことの確認」を入れます。そのあと、提案の中身を選択肢つきで見てもらい、最後は金額と次の日程の確認にします。45分の例です。
- 前回うかがったことの確認(5分)
- 提案の中身を見ていただく(A案・B案)(20分)
- 気になる点、変えたい点(10分)
- 金額と、次の日程の確認(10分)
ここで一つ工夫があります。前回聞いた答えを、アジェンダにそのまま書き込んでおくのです。たとえば「前回:公開は来年3月までに、予算は上限を決めずに相談したい」と1行入れます。相手は、ちゃんと聞いてくれていたと受け取りやすくなります。私は、この使い方がアジェンダの一番いいところだと思っています(これは私の実務上の感覚です)。
30分しか取れないときの削り方
削るのは、こちらの説明です。聞く時間は削りません。説明は、資料をあとでメールで送る形に回します。議題は3つまでにします。
- 今の状況と困っていること(15分)
- いつまでに・どのくらいの規模でやりたいか(8分)
- 次に決めることの確認(5分)
冒頭の目的確認の2分を足して、合計30分です。進め方の説明は「あとでメールでお送りします」と一言添えれば足ります。
アジェンダの送り方|タイミングとメールの文面
送るのは前日ではなく2〜3営業日前を目安にする
2〜3営業日前に送ると、相手が手元の資料を探したり、家族や社内に確認したりする時間ができます。前日に届くと、読んで終わりになりやすいと私は感じています。この日数は私が実務で使っている目安で、決まりではありません。準備が間に合わなかったときは、前日でも送ります。送らないよりずっといいです。
添付ファイルにせず、メール本文に箇条書きで書く
メール本文に箇条書きで書きます。スマホで開く人もいますし、添付だと開かれないまま当日になることがあるからです。名前も「アジェンダ」より「進め方のメモ」としたほうが、堅苦しくなりません。
コピペできるメール文例
件名の例:○日の打ち合わせの進め方(メモ)
○○様
お世話になっております。○日の打ち合わせについて、進め方をメモにしました。 当日はこの順で進められればと思います。
・今日の目的:ホームページ直しの範囲と、公開したい時期をすり合わせる ・うかがいたいこと:今いちばん困っていること/いつまでに形にしたいか/これまで頼んだことがあるか ・決めたいこと:次の打ち合わせの日程 ・時間:14:00〜15:00 ・お持ちいただけるとありがたいもの:今のチラシ、参考にしたいサイトのURL、だいたいの予算感
ほかに話したいことがあれば、足してください。 当日、よろしくお願いいたします。
最後の一文が大事です。相手が議題を足せる余地を残すと、こちらが一方的に決めた紙にならず、相手の言葉が引き出しやすくなります。
よくある失敗|アジェンダを書いたのに打ち合わせがまとまらない
NG①:議題の1番目が自己紹介と実績紹介
最初の15分が自分の話で埋まり、相手は聞く側に回ってしまいます。自己紹介は冒頭の1分にします。実績は、聞いた話に合うものを1つだけ、後半に見せます。実績を並べすぎると、相手が自分の仕事と重ねて考える余地が減る。私はそう見ています。
NG②:議題が「ヒアリング」「ご提案」「質疑応答」と名詞だけ
これでは、相手が何を準備すればいいか分かりません。相手が答えを考えられる形に書き換えます。
| NG(名詞だけ) | OK(質問の形) |
|---|---|
| ヒアリング | 今の集客で困っていること |
| ご提案 | 3つの案のうち、どれが近いか |
| 質疑応答 | 気になる点、不安な点 |
| スケジュール | 公開したい時期と、その理由 |
NG③:項目を詰め込みすぎて時間内に終わらない
議題は多くても5つまでにします。終わらなかった項目は「次回に回すもの」として、最後に確認すると決めておきます。決めておけば、時間切れになっても失敗にはなりません。
当日の使い方|アジェンダを見せて、聞く順番を守る
最初の30秒で「今日はこの順で進めます」と見せる

対面なら印刷した紙を、オンラインなら画面共有で見せます。言い方の例です。
「事前にお送りしたメモのとおり、今日はまずお困りのことからうかがって、そのあとに進め方をお話しします。15時ちょうどに終われるようにします」
相手も時間の見通しが立つので、話しやすくなります。
話がそれたら「その件は最後に時間を取ります」と言って戻す
それた話を切り捨てる必要はありません。メモして、最後に回します。
「大事なお話なので、いったんメモしておきます。最後に時間を取りますね。先に、いつまでに形にしたいかを教えてください」
沈黙になっても、自分の説明で埋めなくて大丈夫です。アジェンダの次の質問を読めばいいだけです。紙があるので、間が空いても「次はこちらです」と進められます。
最後の5分で、決まったことと次にやることを読み上げる
「今日決まったのは、公開は3月を目標にすること。次は、私が見積を出して、来週の水曜までにお送りすること。ここまでで違うところはありますか」
同じ内容を、その日のうちにメールで送ります。そのメールが、次の打ち合わせのアジェンダのたたき台になります。
送る前の確認チェックリストと、今日やる1つのこと
送る前の確認チェックリスト(7項目)
- □ 目的が「終わったときの状態」で書けている
- □ 議題の1番目が相手の話になっている
- □ 議題が質問の形で書けている
- □ こちらの説明が後半にある
- □ 開始と終了の時刻がある
- □ 持ってきてほしい物が具体的に書いてある
- □ 相手が議題を足せる一文がある
会う前の5分で、相手のサイトやSNSを見て聞きたいことを1つ足す
アジェンダを送る前に、相手のサイトやSNSを5分だけ見ます。そこで気づいたことを、議題の言葉に混ぜます。たとえば「○○の新メニューを始めた背景」と書きます。調べてきたことが伝わりますし、相手も話したいことを話せます。
今日やれること:次の打ち合わせを1件選び、聞きたいことを3つ書き出す
次の打ち合わせを1件選んで、聞きたいことを3つ書き出してください。それをメール本文に貼れば、もうアジェンダになります。立派な書式も、新しいツールもいりません。
打ち合わせの前後をふくめた、営業全体の流れはフリーランスの営業の進め方にまとめています。打ち合わせは、その中の一つの場面です。
よくある質問
打ち合わせのアジェンダはいつ送ればいいですか?
2〜3営業日前を目安にします。相手が資料を探したり確認したりする時間ができます。遅れても前日には送ります。目安は実務上のもので、決まりではありません。
お客様にアジェンダを送ると堅苦しく思われませんか?
メール本文に3〜5行の箇条書きで書き、『進め方のメモ』と呼べば堅くなりません。『足したいことがあれば教えてください』と添えると、一方的な印象も避けられます。
初めて会う相手との打ち合わせでもアジェンダは必要ですか?
初回こそ役に立ちます。相手もこちらのことを知りません。今日は何を聞かれて何が決まるのかが分かっているだけで、話しやすくなります。
アジェンダどおりに進まなかったらどうすればいいですか?
残りの議題は最後の5分で『次回に回すもの』として確認します。その日のうちに、決まったことと一緒にメールで送ります。
アジェンダはWordやPowerPointで作ったほうがいいですか?
個人や小さな会社のお客様との打ち合わせなら、メール本文の箇条書きで足ります。当日は、それを印刷するか画面に映して見せれば十分です。
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