対面営業・商談
悪い口コミへの返信例文|言い訳をせず、次に読む人が安心する書き方
このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面
悪い口コミへの返信は、書いた人より「次に読む人」に向けて書く
悪い口コミへの返信で迷う人の多くは、書いた人にどう返すかを考えています。けれど、返信をいちばん丁寧に読むのは、頼むかどうか迷っている「次の人」です。この記事では、返信を反論や謝罪の場ではなく、次に読む人へのあいさつとして組み立て直します。
答えを先に言うと、返信は「お礼 → 指摘の受け止め → 直すこと1つ → 直接話せる窓口」の順で、4〜6文にまとめます。例文だけ先に見たい人は、下の「そのまま使える悪い口コミへの返信例文」へ進んでください。
低い星を見た瞬間に起きていること
夜、店を閉めたあとにスマホを開くと、星1がついている。よくある場面として、こんな流れを思い浮かべてください。
本文を読むと、事実と少し違う。いや、あの日は忙しかっただけで、普段はこうではない。そう思って返信の下書きを書き始め、書いては消し、3回書き直す。気づくと日付が変わっている。
この場面で起きているのは、低い星を「自分の仕事への判決」として受け取ることです。ちゃんと説明しておかないと、腕のない人だと思われたままになる。そう感じている人が多いと私は見ています。だから手が勝手に説明を足していきます。
説明を足すほど言い訳に読まれる理由
説明を足すとき、書き手は次のようなことを書きがちです。
- 材料や手順へのこだわり
- 普段はこうしているという話
- 他のお客様からの評判
- これまで続けてきた年数や経歴
どれも嘘ではありません。ただ、返信が長くなるほど、書いた人の話が文面から消えていきます。待たされたことも、イメージと違ったことも、返信の中で触れられないまま、こちらの話だけが並びます。
分かってもらおうとして実績や情報を足し続け、読む人が自分を重ねる場面がない。教科書ではこれを「実績並べ型」と呼んでいます。腕に自信がある人ほど、ここにハマりやすいと私は見ています。
名指しすると、こうなります。実力を証明しようとして、相手の話をしていない。口下手でも、冷たい人でもありません。口コミ返信のやり方を習ったことがないだけです。
次に読む人が返信で見ていること
頼むかどうか迷っている人は、どちらが正しいかを判定しようとしているわけではない、というのが私の見立てです。データがあるわけではないので、あくまで見立てです。見ているのは、何か言われたときにこの人はどう受け止めるのか、という点だと思います。
低い星がついていること自体より、そこに店がどう返したかのほうが、頼む側には伝わりやすいと考えています。だから返信は反論の場ではなく、次の人へのあいさつになります。
詰め込むほど、読む人は自分を重ねられません。短く、受け止めて、直すことを1つ言う。それだけで、次の人は「何かあっても話を聞いてくれそうだ」と読みやすくなります。
基本の4文の型
返信は、次の順番で書きます。長さは4〜6文までです。
- 来てくれたことへのお礼
- 指摘をそのまま受け止める一文
- 何を直すか(1つだけ・具体的に)
- 直接話せる窓口
「受け止める」は、同意することとは違います。相手が書いた言葉を、いったん言い換えずに受け取る一文です。「お待たせしてしまい」「イメージと違うものになってしまい」のように、相手が感じたことをそのまま書きます。
そのまま使える悪い口コミへの返信例文(場面別)
例文の下に、自分の言葉に変える箇所を太字で示します。コピーして使う場合も、まずそこだけは自分の言葉にしてください。
こちらに非がある場合(待たせた・連絡が遅れた・伝えていなかった)
このたびはご来店ありがとうございました。お約束の時間からお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。予約の間隔を見直し、遅れが出そうなときは事前にご連絡するようにします。お気づきの点があれば、お電話(または問い合わせ窓口)で直接お聞かせください。
ここを自分の言葉に変える:「お約束の時間からお待たせしてしまい」(実際に起きたことに合わせる)/「予約の間隔を見直し、〜ご連絡する」(自分が本当に直せることを1つだけ)/「お電話(または問い合わせ窓口)」(実際の窓口名に)
直すことは、守れるものだけを書きます。守れない約束は、次に読む人にも見抜かれます。
受け取り方の違いの場合(仕上がりがイメージと違った・料金が高いと感じた)
相手の感じ方は否定しません。「こちらの説明が足りなかった」と引き取ります。直すことは1つに絞ります。
仕上がりがイメージと違った場合
このたびはご利用ありがとうございました。仕上がりがイメージと違うものになってしまい、申し訳ありません。最初のお打ち合わせで見本をお見せして、仕上がりを一緒に確認するようにします。ご希望に沿えていない点があれば、お電話で直接お聞かせください。
ここを自分の言葉に変える:「最初のお打ち合わせで見本をお見せして」(自分の仕事に合う確認方法に)
料金が高いと感じられた場合
このたびはご利用ありがとうございました。料金が思っていたより高く感じられたとのこと、内訳を先にお伝えできていなかったこちらの説明不足です。今後は、お見積りの段階で内訳をご説明するようにします。ご不明な点があれば、お問い合わせ窓口までお知らせください。
ここを自分の言葉に変える:「内訳を先にお伝えできていなかった」(実際に伝えていなかった部分に)
値引きの約束はここに入れません。「高い」と書かれて値下げで返すと、次に読む人には、言えば安くなる店に見えるかもしれません。
事実と違う内容の場合
感情は入れません。確認できたことだけを短く書きます。
このたびはご利用ありがとうございました。記録を確認したところ、当日は〜でした。行き違いがあったようでしたら、直接お話を伺えますと幸いです。お電話(または問い合わせ窓口)までご連絡ください。
ここを自分の言葉に変える:「当日は〜でした」(記録で確認できた事実だけを、評価を入れずに)
「事実と違います」と強く書くと、相手を嘘つき扱いする文面になります。「行き違いがあったようでしたら」と、相手の逃げ道を残しておくほうが、次に読む人には落ち着いた返信に見えると思います。
星だけで本文がない場合
お礼と窓口の2文で終えます。
ご評価をいただき、ありがとうございます。気になる点があれば、お電話(または問い合わせ窓口)でお聞かせいただけますと幸いです。
ここを自分の言葉に変える:窓口の名前だけ。
理由が分からないものに、理由を推測して返しません。推測した理由に反論すると、書かれていないことまで言い訳に読まれます。
言い訳に読まれるNG返信と書き直し例
対比表
| NGの一文 | 次に読む人にはどう見えるか | 書き直し |
|---|---|---|
| 通常はこのようなことはございません | 書いた人を例外扱いしている | ご不便をおかけしました。〜を見直します |
| 他のお客様からはご好評いただいております | 書いた人と他の客を比べている | ご指摘のとおり、〜でご不便をおかけしました |
| ご説明したはずですが | 相手のせいにしている | こちらの説明が足りず、お分かりになりにくかったと思います |
| 当店では〜にこだわっており、〜の工程で〜を行っております(長文) | 腕の証明になっていて、相手の話が出てこない | こだわりの説明は消して、直すことを1つだけ書く |
よくあるNG3つ
「他のお客様からはご好評いただいております」
事実だとしても、書いた人と他のお客様を比べる一文です。書いた人は「自分の感じたことは数に入らないのか」と受け取りやすくなります。次に読む人も、この一文で返信全体を「反論」として読み始めやすくなります。
「ご説明したはずですが」
説明したかどうかが事実でも、この言い方は相手のせいにします。「説明が足りなかった」と自分の側に引き取れるなら、そのほうが次に読む人には誠実に見えます。説明したことが記録で確認できる場合は、事実と違うときの型(確認できたことだけを短く)を使います。
「当店のこだわりとして〜」の長文
実績並べ型がいちばん出やすい形です。書いている本人は誠実に説明しているつもりでも、読む側には、自分の話をしている返信に見えやすくなります。こだわりを伝えたい気持ちは、口コミ返信の外で出します。
謝りすぎもずれる
事実と違う内容まで丸ごと謝ると、次に読む人には「書かれた通りだった」と読まれかねません。謝るのは、自分に非がある部分だけです。
- 待たせた → 待たせたことを謝る
- 書かれた内容が事実と違う → 謝らず、確認できたことを書く
- 不快な思いをさせた → 不快な思いをさせたことは謝れる。ただし事実関係とは分けて書く
「不便をかけたことへのお詫び」と「事実関係の確認」は別の文にします。法的な判断が絡みそうなときは、返信を出す前に専門家に相談してください。
返す前の見直し方
書いた返信から、次の言葉を探します。
- しかし
- ただ
- 通常は
- はず
あれば消して、読み直します。消しても意味が通るなら、その部分は言い訳でした。消すと文が成り立たないなら、書き直す必要があります。
返信する前に決めておく3つのこと
いつ返すかを自分で決める
見つけたその場で書かず、ひと晩おいてから出す。そういう自分の決まりを1つ作ります。日数の「正解」は、この記事では示しません。示せる根拠がないからです。
理由は、気持ちが落ち着く前に書いた返信は、NG例に寄りやすいと私は見ているからです。最初の下書きに「しかし」「通常は」が入るのは、普通のことです。おいてから読み直すと、自分で消せます。
書いた人が分かるときは、先に個別に連絡するか決める
予約の記録などで相手が分かる場合、公開の返信の前に、直接お詫びや確認を入れる選択肢があります。個別に連絡して、話がついてから公開の返信を出す人もいます。
個別に連絡する文面は、営業メールの書き方と同じ考え方で組み立てられます。短く、相手の言葉を受け止め、直すことを1つ伝える流れです。メールでの言い方は営業メールの例文にまとめています。
ただし、公開の口コミの相手に非公開で連絡するのが適切かどうかは、サービスの使い方や状況で変わります。連絡先の取り扱いにも気をつけてください。
返信しない・削除の依頼を考えるとき
誹謗中傷や、個人情報が書かれているときは、返信で言い返さないでください。言い返すと、その場のやりとりごと次に読む人に見られます。
各サービスのヘルプで、報告の方法を確認します。どこまでが削除の対象になるかは、サービスごとに方針があり、この記事では断定しません。法的な判断が必要そうなときは、専門家に相談してください。
悪い口コミを書いた人を「もう終わった相手」にしない
星1をつけた人は、まだ店を見ている人でもある
何も言わずに来なくなる人もいます。その中で、わざわざ書いてくれた人は、もう一度読みに来るかもしれません。返信は書いた本人にも届く、という前提で、最後の一文を考えます。
これは、戻ってくると決めつけているわけではありません。「かもしれない」程度の想定で、最後の一文の温度を決める、という使い方です。
返信の最後に「もう一度」の入口を置く
売り込みにならない入口を、1文だけ添えます。
次にお越しの際は、お声がけください。今回お待たせした点を確認して、ご案内いたします。
仕上がりのイメージに不安があれば、ご依頼の前に見本をお見せします。お気軽にお申し付けください。
ここを自分の言葉に変える:「確認して、ご案内いたします」「見本をお見せします」(実際に自分ができることに)
値引きや無料の約束で引き止めません。ごねれば得をする店に、次に読む人には見えてしまうかもしれないからです。
戻ってくるかは相手が決める
入口を置いたら、それ以上は追いません。戻らなくても、返信は次に読む人への説明として役目を果たしています。ここで区切ります。
今日やること:返信を書く前と送る前のチェックリスト
書く前のチェック(5項目)
- 予約記録や連絡の履歴など、記録を確認した
- 自分に非がある部分と、ない部分を分けた
- 直すことを1つに決めた
- 個別に連絡するのが先か、決めた
- ひと晩おいた
送る前のチェック(5項目)
- 書いた人の言葉を、一度受け止めている
- 「しかし」「ただ」「通常は」「はず」が残っていない
- こだわりや実績の説明が入っていない
- 6文以内に収まっている
- 直接話せる窓口が書いてある
声に出して読んで確かめる
書き終えたら、声に出して読みます。このとき、次に頼むか迷っている人のつもりで読んでください。見るのは「この人に頼んでも大丈夫そうか」だけです。自分の腕が伝わっているかは、ここでは確かめません。
今日の目標は、いちばん古い返していない口コミを1件だけ、この型で返すところまでです。全部を片づける必要はありません。1件返すと、次の1件を書くときに、何を消せばいいかが分かります。
よくある質問
悪い口コミには返信したほうがいいですか?しないほうがいいですか?
誹謗中傷などを除けば、返信は次に読む人への説明になるので、短く返すのがおすすめです。返さない場合に何が起きるかを示す数字は、この記事では示せません。迷ったら、お礼と窓口の2文だけでもかまいません。
事実と違う口コミにはどう返信すればいいですか?
感情を入れず、記録で確認できたことだけを短く書き、直接話せる窓口を添えます。誹謗中傷にあたる場合は言い返さず、各サービスのヘルプで報告方法を確認し、個別の判断は専門家に相談してください。
返信で謝ると、非を認めたことになりませんか?
謝るのは、自分に非がある部分だけにします。不便をかけたことへのお詫びと、事実関係の確認は分けて書きます。法的な判断が絡む場合は、専門家に相談してください。
星1だけで本文のない口コミにも返信は必要ですか?
必須ではありません。お礼と「気になる点があればお聞かせください」の2文で返すと、次に読む人には話を聞く店に見えやすくなります。
悪い口コミへの返信はいつまでにすればいいですか?
決まった正解は示せません。見つけてすぐ書くと言い訳に寄りやすいので、ひと晩おいてから返すなど、自分の決まりを作るとよいです。
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