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クレームを受けたときの一次返信例文|謝る前に確認すること

クレームを受けたときの一次返信例文|謝る前に確認することのイメージイラスト

このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面

クレームメールを開いて、返信画面を開いて、また閉じる。それを何度も繰り返しているなら、連絡しそびれ型かもしれません。目の前の仕事に押されて連絡が後ろに回り、日が空くほど出しづらくなる型です。返信が書けないのは文章力の問題ではありません。この一通で自分の評価が決まってしまう気がして、開くたびに手が止まっているだけです。

クレームの返信が書けないのは、文章力ではなく順番の問題

謝罪の言葉と、事実確認の言葉を、ひとつの文に混ぜようとしているから、手が止まります。

NG文とOK構成の比較、謝罪と事実確認を分ける手順図

たとえばこんな文です。

この度はご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。納期が遅れた原因は弊社の確認不足でございます。

一見丁寧に見えますが、これは危険な文です。まだ原因を調べていないのに、原因を書いてしまっています。あとで事実が違ったとき、訂正できません。

もうひとつ、よくある混ざり方があります。

ご迷惑をおかけし申し訳ございません。ただ、こちらとしてはご依頼いただいた内容通りに進めておりました。

謝罪の直後に言い訳を続けている文です。相手からすると、謝っているのか反論しているのか分からず、火に油を注ぐ結果になります。謝罪と主張は、別の文、できれば別の返信のタイミングに分けます。

一次返信でやることは3つだけです。

  1. 受け取ったことを伝える
  2. いつまでに答えるかを言う
  3. 事実を確認する

謝罪の範囲は「不快な思いをさせたこと」に限定します。原因への謝罪は、原因が分かってからで十分です。開くたびに手が止まるのは、この3つと原因の謝罪を、一気に済ませようとしているからでもあります。一次返信では3つだけ、と決めてしまえば、書く量そのものが減ります。

この記事で渡すのは1セットだけです。返信を書き始める前に埋める確認シートと、そこから組み立てる一次返信の例文です。

謝る前に確認する5項目(これを埋めてから書き始める)

返信画面を開く前に、次の5項目を埋めます。埋めてから書くと、文章はほとんど迷わず組み上がります。

項目埋める内容
①何が起きたか相手の言葉そのまま。自分の解釈を混ぜない
②いつ起きたか日時・納品日など、はっきりした時点
③相手が困っていること相手の言葉に出ている支障
④相手が求めていること謝罪か、やり直しか、返金か、説明か
⑤自分側の事実記録・履歴・納品物など

たとえば「納品したデザインデータが開けない」というクレームなら、こう埋まります。

  • ①何が起きたか:「送っていただいたファイルが開けません」という連絡
  • ②いつ起きたか:納品から2日後の午前中
  • ③相手が困っていること:印刷会社への入稿期限が明日に迫っている
  • ④相手が求めていること:まずは開けるファイルをすぐ送ってほしい(謝罪より復旧が先)
  • ⑤自分側の事実:送信履歴では指定形式で送付済み。相手側の対応ソフトが古い可能性がある

こうして埋めてみると、必要なのは長い謝罪文ではなく、別形式のファイルをすぐ送る一言だと分かります。埋める前は「まず謝らなければ」としか思えなかったのが、埋めたあとは「まず何をすればいいか」に変わります。

一番飛ばされやすいのは④です。「怒っている」で止めてしまうと、謝罪だけが厚い返信になり、相手が本当に求めていることには何も答えられていない返信になります。

⑤は感情ではなく記録で埋めます。メールの送信日時、納品したファイル、打ち合わせのメモ。記憶で埋めると、あとで自分の記憶違いに苦しむことになります。

5項目のうち、埋まらない欄があってもかまいません。埋まらなかった欄は、そのまま一次返信で相手に聞く質問になります。

目安は、シートに5分、返信を書くのに10分です。合計15分で一次返信を出します。完璧な調査は、そのあとでいい話です。

一次返信の例文(そのまま使える3パターン)

確認シートが埋まったら、状況に合わせて次の3パターンから選びます。選ぶ基準は⑤と①です(⑤の自分側の事実が確定しているか、①の相手の言葉と食い違わないか)。④は返信の中身を決める材料として使います。原因がまだ不明ならA、⑤の記録で自分側のミスが確定していればB、⑤の記録と①の相手の言葉がかみ合わないならCを使います。

状況に応じてA/B/Cの返信パターンを選ぶ分岐フローチャート

パターンA:事実がまだ分からないとき

○○様

ご連絡いただきありがとうございます。また、このたびはご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。

ご指摘いただいた件について、現在社内で確認しております。○月○日までに、経緯と対応方針をご連絡いたします。

つきましては、下記についてお教えいただけますでしょうか。 ・(確認したい事実を1〜2点)

ご不便をおかけしておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

パターンB:自分側のミスが確定しているとき

○○様

このたびは弊社の確認不足により、ご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。

原因は○○の確認漏れでした。今後は○○という形で再発を防止いたします。

つきましては、○月○日までに(対応内容)をお届けいたします。

このたびは重ねてお詫び申し上げます。今後とも何卒よろしくお願いいたします。

パターンC:相手の認識違いの可能性が高いとき

○○様

ご連絡いただきありがとうございます。また、ご不安なお気持ちにさせてしまい申し訳ございません。

経緯を確認したところ、○月○日に(事実)をお送りしており、○月○日には(事実)というやり取りがございました。

行き違いがあるようでしたら、あらためて詳細をお伺いできますでしょうか。

ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

パターンCは「否定」から入らないことが要です。「それは違います」ではなく、日付と事実を並べるだけにします。並べれば相手が自分で気づくケースが多く、指摘するより角が立ちません。

3パターンとも骨格は同じです。①受領 ②不快にさせたことへの謝罪 ③現在の状況 ④次の連絡の期限 ⑤必要なら確認したいこと。この順番を崩さなければ、文面は多少変えてもかまいません。

件名は「Re:」のまま返します。件名を変えると、メールソフトによってはスレッドから切り離され、見落とされやすくなります。

限定的な謝罪と全面的な謝罪の使い分け

謝罪には2段階あります。

一次返信は限定謝罪、原因確定後に全面謝罪へ切り替える時系列図

限定的な謝罪は「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません」。事実がまだ確認できていなくても、これは言えます。相手を不快にさせたこと自体は、原因が何であれ事実だからです。

全面的な謝罪は「弊社の確認不足によりご迷惑をおかけしました」。こちらは原因が確定してから言います。

分ける理由は、未確認のまま原因を認めると、あとで事実が違ったときに訂正できなくなるからです。「やっぱり違いました」は、最初のミスより印象が悪くなります。一次返信で全面的な謝罪をしてしまい、翌日「実は弊社側の問題ではありませんでした」と訂正する場面を想像してみてください。信頼はかえって下がりかねません。

ただし、限定的な謝罪だけで終わると出し惜しみに見えます。冷たく見せないコツは、謝罪の直後に「いつまでに答えるか」を置くことです。「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません」で止めず、「○月○日までに経緯をご連絡します」まで続けます。

「確認中でございます」だけで終わる返信はNGです。期限がないと、相手には放置されているように見えます。

原因が確定したら、一次返信のトーンを切り替えます。限定的な謝罪で受けたあと、調査結果が出た二通目で全面的な謝罪に切り替える、という2段階の流れが自然です。一通目で全部を背負う必要はありません。

損害賠償や契約解除など法的な責任範囲の判断が絡む場合は、返信の前に、個別の判断について専門家に相談してください。

こうしたメールの組み立て方はビジネスメールの基本の型にもまとめています。

返信のスピードと期限の決め方

原則は、受け取った当日中に一次返信を出すことです。内容が固まっていなくても、「受け取りました」だけは先に出します。

一日空くと、相手には「無視された」と受け取られやすくなります。元のクレームより、あとから効いてくるのはこちらのほうです。連絡しそびれる人ほど「ちゃんとした返信を出してから」と考えがちですが、その「ちゃんとした返信」を待っている間に、相手には無視されている時間が流れています。

期限の置き方にはコツがあります。調査に2日かかりそうなら「3営業日以内」と言います。守れる幅を取っておくということです。ぎりぎりの日数を伝えて追い込まれるより、少し余裕を持たせたほうが結果的に信頼を保てます。

期限を守れないと分かった時点で、期限が来る前に連絡します。期限当日になって「もう少しかかります」と言うのが一番印象を悪くします。「○日までとお伝えしておりましたが、確認に時間がかかっており、○日まで延長をお願いできますでしょうか」と、早めに一言入れるだけで印象は変わります。

夜間や休日に受信したときは、翌営業日の朝一番に出します。深夜に返信すると、相手も急かされている気持ちになりますし、こちらの体力も削られます。

電話に切り替えるべき場面と、メールで通すべき場面

電話に切り替えたほうがいい場面は3つです。相手の感情が強く出ているとき、メールの往復が3回を超えたとき、金額や納期の条件を詰める段階に入ったときです。文字だけのやり取りは、感情が乗った文章ほど意図と違う強さで伝わります。

電話向きの場面とメール向きの場面をアイコンで対比した図

逆にメールで通したほうがいい場面もあります。事実の確認、期限の通知、決まったことの記録です。あとで「言った言わない」になりやすい内容は、メールに残しておきます。

電話で話したあとは、必ずメールで要点を送ります。「先ほどお電話でお話しした内容を整理します」の一文から始めれば十分です。箇条書きで「①確認した事実 ②お詫びした内容 ③今後の対応と期限」の3点を書けば、これが記録になります。

電話で解決した気になって記録を残さないのはNGです。次に同じ話が出たとき、証拠が相手側にしか残っていない状態になります。

継続的な取引があり、相手が現場で実際に困っている場合は、会いに行くという判断もあります。会って謝ると、そのあとの関係が戻りやすくなります。メールと電話だけで済ませられない場面が、実際の営業の現場にはあります。

クレーム対応のあとに残す3行の記録

終わった案件に何も残していないから、次に似たことが起きたとき、また一から書き直すことになります。

残すのは3行だけです。①何が起きたか ②相手が本当に困っていたこと ③次から変えることです。先ほどのファイル形式の例なら、こう書きます。

  • ①何が起きたか:納品データが相手側のソフトで開けなかった
  • ②相手が本当に困っていたこと:入稿期限が翌日で、開けないと間に合わない
  • ③次から変えること:納品時に「開けない場合はすぐご連絡ください」と、代替形式の案内を添える

「次から変えること」は仕組みで書きます。「気をつける」では次につながりません。「納品前に相手へ完成イメージを1回送る」のように、動作として書きます。

保存場所は1か所に決めます。案件フォルダに散らすと、二度と読み返さないまま埋もれていきます。

この記録が2〜3件たまると、自分のクレームの型が見えてきます。私の経験では、多くは納期・金額・認識のズレの、3つのどれかに当てはまります。

クレーム対応が終わったあとの一通が、関係を戻す

対応が済んで1〜2週間ほどたったら、報告ではない連絡を1本入れます。「その後、問題なくお使いいただけていますか」の一文で十分です。

これが効く理由は、相手の中でこちらの印象が「トラブルを起こした人」のまま止まっているからです。上書きする機会を作らないと、次の依頼にはつながりにくくなります。対応そのものは丁寧にやったのに、そのあと何も連絡しないと、相手の記憶には最後のトラブルの場面だけが残ってしまいます。

この連絡で売り込みはしません。近況を伝えるだけで終わります。「先日は対応いただきありがとうございました。その後いかがでしょうか」のような、報告でも営業でもない一文にとどめます。

クレームを出した相手が、そのあと一番長く続く取引先になることは実際にあります。逃げてしまった相手とは、そこで縁が切れます。

一度こじれた相手に連絡するのは、気が重いものです。返信を書く手が止まったときと同じように、この一通にも「変な返事が来たらどうしよう」という気持ちが働きます。ただ、連絡を出さない選択は、その関係を自分から切る選択になります。

よくある質問

クレームメールに何時間以内に返信すべきですか

受け取った当日中。内容が固まっていなくても「受け取りました。○日までにご連絡します」だけ先に出す。夜間・休日受信は翌営業日の朝イチ。

自分に非がないクレームにも謝るべきですか

原因を認める謝罪はしない。「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません」までに限定し、事実を並べて確認する形にする。

クレームの返信はメールと電話どちらがいいですか

事実確認・期限の通知はメール(記録が残る)。感情が強い、往復が3回を超えた、条件を詰める段階は電話。電話のあとは必ずメールで要点を送る。

謝罪文に原因を書いたほうがいいですか

原因が確定してから書く。未確認のまま書くと、後で事実が違ったときに訂正できず信頼をもう一段失う。一次返信では「確認して○日までに報告します」で止める。

クレーム対応が終わったあと、その相手にどう連絡すればいいですか

1〜2週間後に「その後、問題なくお使いいただけていますか」の一文だけ送る。売り込みはしない。連絡を出さないと、相手の中の印象がトラブル時のまま止まる。

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

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