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このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面
問い合わせフォームの営業文は「お願い」ではなく「お知らせ」として書けば送れる
書きかけて閉じてしまうのは、文章が下手だからではない
気になる会社のサイトを開く。問い合わせフォームの本文欄に「はじめまして」と打つ。そこで手が止まって、続きが出てこない。しばらく眺めて、結局タブを閉じる。
この流れに心当たりがある人は多いと思います。文章力の問題だとは、私は見ていません。まだ仕事をしたことのない相手に、仕事の話を出してよいのかが分からなくなっているのだと思います。取引のない相手に、仕事の話をどう切り出せばよいか分からない。止まっている理由は、たいていそこだと私は見ています。
止まっているのは、頼んだら対等ではなくなる気がするから
知らない会社に自分から送ると、頭を下げて仕事をもらいにいくようで嫌だ。そう感じている人が多いようです。これは私の仮説で、全員がそうだと言うつもりはありません。
ただ、フォームで送る一通は「仕事をください」と頼む文でなくていいと、私は考えています。「こういうことができる人がここにいます」と知らせて、相手が必要になったときに思い出せるようにしておく。それだけの文で足ります。頼まれていない相手は、断る必要もありません。
だから、押しの強い営業トークを身につける必要もありません。性格はそのままで大丈夫です。口数の少ない人は、短い一通のほうが合っています。
まず完成形の一通(約300字)
先に完成形を見てください。ウェブデザイナーが、地域の工務店に送る想定です。【】の部分を自分の情報に差し替えます。
件名:施工事例ページの写真について(名古屋のウェブデザイナー・【山田】)
はじめまして。名古屋でウェブデザイナーをしています、【山田太郎】と申します。
貴社の施工事例のページを拝見し、写真の明るさが現場ごとに少し違うことが気になりました。仕上がりのよさが、画面では伝わりにくいように見えたためです。
私は、写真の明るさと色味をそろえ、事例ページを見やすく整える仕事をしています。新しく撮り直さなくても、お手持ちの写真の並べ方と色の調整だけで、見え方はかなり変わります。
今回は仕事のお願いではなく、こういうことができる者がいます、というお知らせです。必要になったときに思い出していただければ十分です。
ご不要でしたら、このまま返信なしで大丈夫です。
【山田太郎】/【自分のサイトのURL】
会う約束は求めていません。ここがこの一通の大事なところです。
この一通がしている4つのこと
- ①誰が送ったか分かる(名前・職種・地域が冒頭にある)
- ②なぜこの会社に送ったのかが分かる(サイトで見たことが1行ある)
- ③何を頼めるのかが1つに絞られている(写真の整え方だけ)
- ④断るのに手間がかからない(返信なしでよいと書いてある)
次の節では、これを受け取る側がどう読んでいるかを見ていきます。
受け取る側はこう読んでいる:開いてから「回すか消すか」を決めるまで
最初の2行で、売り込みか自分たちあての用件かを見分けている
小さな会社では、フォームに届いた連絡を事務の担当者か社長本人が見ていることが多い。これは私の見立てで、会社によって違います。
どちらにしても、忙しい合間に開く人が多いと思います。冒頭が「弊社サービスのご案内です」だと、どの会社にも送っている文だと見られて、そこで閉じられやすいと私は見ています。冒頭の2行を比べてみます。
NGの書き出し
突然のご連絡失礼いたします。弊社では中小企業様向けに、集客支援サービスをご提供しております。
OKの書き出し
はじめまして。名古屋でウェブデザイナーをしています【山田】と申します。貴社の施工事例のページを拝見し、写真の明るさが現場ごとに違うことが気になりました。
NGは「誰が」も「なぜこの会社に」も分かりません。OKは、2行で送り主とこの会社に送った理由が分かります。
担当の人が社長にそのまま転送できる文になっているか
フォームの連絡を最初に読むのが担当者だった場合、その人は社長に回すか、そのまま閉じるかを決めます。回すときに、担当者が説明を足さなくて済む文になっていると、回してもらいやすくなります。
そのための具体策は、「誰が・何を・何のために」を本文の上から5行以内に収めることです。上の完成形なら、名乗りが1行目、この会社に送った理由が2行目、できることが3行目に入っています。転送された社長が、スクロールせずに用件をつかめます。
返事しやすい一通と、返事しにくい一通
| 返事しにくい一通 | 返事しやすい一通 | |
|---|---|---|
| 書き出し | 「弊社サービスのご案内です」 | 名乗りと、サイトで見たこと |
| 長さ | 長文。実績の一覧つき | 300〜400字 |
| 求めていること | 「一度お打ち合わせの機会を」 | 申し出は1つ。会う約束は求めない |
| 断りやすさ | 断るには理由を考えて返信が要る | 「不要なら返信なしで大丈夫」 |
返事しにくい一通は、読んだ人に宿題を渡しています。返事しやすい一通は、読んだ人に何も求めていません。ここが分かれ目です。
一通を組み立てる5つの部品と、字数の目安
5つの部品は、件名、名乗り、この会社に送った理由、申し出1つ、断りやすい締めです。名乗りは完成形で見たとおりなので、ほかの4つを順に説明します。
件名欄と最初の一文は「誰が・何の件で」
件名欄があるフォームでは、件名だけで用件が分かる形にします。
- NG:「ご提案」「はじめまして」
- OK:「採用ページの写真について(名古屋のカメラマン・【鈴木】)」
「お問い合わせの種類」を選ぶ欄があるときは、「その他」を選ぶのが無難です。「サービスについて」「資料請求」などを選ぶと、別の窓口に回されたり、お客さんからの問い合わせと混ざったりすることがあります。私は「その他」を選び、本文の1行目で用件を示しています。
なぜこの会社に送ったのかを1行で書く
どこにでも送れる一通にしないための部品です。サイトを見て気づいたことを1つだけ書きます。
- OK:「施工事例のページを拝見し、写真の明るさが現場ごとに違うのが気になりました」
- 悪口に聞こえるNG:「写真がバラバラで、正直もったいないです」
- 上から目線に聞こえるNG:「改善の余地が大きいと感じました」
直したいのはサイトの欠点を指摘することではありません。「見ました」「気になりました」と、見た側の感想で止めるのが安全です。「仕上がりのよさが画面では伝わりにくい」と、相手の強みを前に置く言い方もあります。
申し出は1つ、締めは断りやすく
できることを3つ並べたくなりますが、1つに絞ります。手順はこうです。
- 相手のサイトから、見つけた困りごとを1つ選ぶ
- それに対して自分ができることを1つだけ書く
- ほかにできることは、返事が来てから話す
字数は全体で300〜400字が目安です。これは私がこの長さで送ってきた実感に基づく目安で、調べた数字ではありません。名乗り、この会社に送った理由、申し出1つ、断りやすい締めが入って、ちょうど収まる長さです。
締めの例を3つ置きます。
- 「ご不要でしたら、このまま返信なしで大丈夫です。」
- 「今すぐのお話でなくて構いません。名前だけ覚えていただければ十分です。」
- 「今回は、こういう者がいるというご紹介までです。」
職種別の例文3本(そのまま直して使える形)
デザイナー・カメラマンが店舗や工務店に送る例文
相手のサイトで気づいたこと1つ→自分ができること→「必要なときに思い出してもらえれば」で締めます。
件名:【採用ページ】の写真について(【名古屋】のカメラマン・【鈴木】)
はじめまして。【名古屋】でカメラマンをしています、【鈴木一郎】と申します。
貴社の【採用ページ】を拝見し、【働いている方の様子が写った写真が少ない】ことが気になりました。文章から雰囲気が伝わってくるだけに、写真があるともっと伝わるように思いました。
私は【店舗や職場で働く人の自然な表情を撮る】仕事をしています。【半日】あれば、ページに使える数枚をそろえられます。
今すぐのお話でなくて構いません。必要になったときに思い出していただければ十分です。ご不要でしたら、返信なしで大丈夫です。
【鈴木一郎】/【ポートフォリオのURL】
差し替える場所は【】の部分です。「相手のサイトで気づいたこと」は、会社ごとに必ず書き直してください。
エンジニア・ライターが小さな会社に送る例文
サイトを見れば分かる困りごとから入ります。たとえば「ホームページのお知らせ欄の更新が止まっている」「採用ページの文章が短い」などです。
件名:お知らせページの更新について(【名古屋】のライター・【佐藤】)
はじめまして。【名古屋】でライターをしています、【佐藤花子】と申します。
貴社のホームページを拝見し、お知らせ欄の最新が【前年の日付】になっていることに気づきました。お客さまがページを見たときに、今も営業中かどうかが分かりにくいかもしれません。
私は、現場で聞いた話を短いお知らせの文章にする仕事をしています。【月に1本】、【300字ほど】の更新なら、お手間を増やさずに続けられます。
今回はお願いではなく、こういう者がいますというお知らせです。ご不要でしたら、返信なしで大丈夫です。
【佐藤花子】/【自分のサイトのURL】
専門用語は、相手が普段使う言葉に言い換えます。
- NG:「SSL対応とレスポンシブ化が可能です」
- OK:「スマホでも見やすく、安全な表示に直せます」
士業・施術者・講師が地域の会社に送る例文
法人向けの研修や顧問のような申し出は、相手が「それは何をしてくれるのか」をすぐ思い描けません。そこで、1回分の内容と所要時間を具体的に書きます。
件名:新人向けメール文章講座のご紹介(【名古屋】の講師・【田中】)
はじめまして。【名古屋】で、会社向けの文章講座の講師をしています【田中次郎】と申します。
貴社の【採用ページ】を拝見し、【新しい方を迎える準備をされている】ことを知りました。
私は、新人の方が書くお客さま向けメールを、その場で一緒に直す講座をしています。1回【60分】で、【お客さまへのお礼メール・お詫びメール・日程調整メール】の3種類を、実際の文面で練習します。
今回は、こういう講座があるというお知らせまでです。ご不要でしたら、返信なしで大丈夫です。
【田中次郎】/【自分のサイトのURL】
金額は最初の一通には書きません。内容を知る前に値段だけで判断されると、中身の話にたどり着けないからです。聞かれたら、中身を分けて答えます。
送る前に止めたい一通:よくある失敗3つと直し方
実績や経歴を並べた一通
NG例
はじめまして。【山田太郎】と申します。【賞名】を受賞し、【取引先A】【取引先B】【取引先C】のホームページ制作を担当してきました。対応範囲は、ホームページ制作、ロゴ、名刺、パンフレット、写真撮影、動画編集、SNS運用、広告運用まで幅広く、【年数】の経験があります。つきましては、貴社の売上向上に貢献できると考えております。一度お打ち合わせの機会をいただけないでしょうか。
直した文
貴社の施工事例のページを拝見し、写真の明るさが現場ごとに違うことが気になりました。私は、写真の色をそろえて事例ページを見やすく整える仕事をしています。ご不要でしたら、返信なしで大丈夫です。
分かってもらおうとして実績を足すほど、相手は自分の会社の話として読めなくなります。実績は、返事が来てから見せれば間に合います。
どの会社にも送れる一通(社名だけ差し替えた文)
社名を変えただけの文は、受け取る側に見抜かれやすいと私は思います。どの会社にも当てはまる言葉だけで書かれているからです。「御社の発展に貢献したい」「課題解決をお手伝いします」といった文は、何の会社に送っても通じます。
見分けるための確認はひとつです。この一文は、ほかの会社に送っても通じるか。 通じるなら書き直します。会社ごとに変える1行は、「なぜこの会社に送ったか」の部分だけで構いません。
最初から会う約束を求める一通
「30分お時間をいただけませんか」を一通目に入れると、相手は断るか、無視するかしか選べなくなります。会ったこともない人の30分は、重い頼みごとです。
順番を変えます。一通目はお知らせだけ。返事が来たら、そこで初めて会う話をします。会う話は返事が来てからで、遅くありません。
送ったあと:返事が来ないとき・来たとき・送らないほうがいい会社
返事が来ないときは、2週間あけて1回だけ
返事が来なくても、がっかりしなくて大丈夫です。忙しくて読まれていないだけかもしれません。私のやり方は、2週間あけて1回だけ送り、それでも返事がなければそこで止める、というものです。これは調べた数字ではなく、私が決めている間隔と回数です。
追いかける文は、前の一通を責めず、新しい話を1つ足します。
件名:【先日の件】の続きです(【名古屋】のウェブデザイナー・【山田】)
先日、施工事例ページの写真についてご連絡した【山田太郎】です。
その後、貴社のブログを拝見し、【現場の様子を写した記事】がとても読みやすいと感じました。あの雰囲気を事例ページにも出せると、さらに伝わるように思います。
お返事は不要です。必要になったときに思い出していただければ十分です。
返事が来たら、会って話す30分につなぐ
返事が来たら、まず丁寧に礼を言い、会う話を1つだけ提案します。
ご返信ありがとうございます。もしよろしければ、【30分】ほどお会いして、現場の写真を見ながらお話しできればと思います。【名古屋】であれば、そちらにお伺いします。オンラインでも大丈夫です。
オンラインでもいいのですが、近くの会社なら、会いに行く選択肢もあります。顔を合わせて話すと、メールでは伝わらなかったことが伝わることがあります。このメディアが大事にしている「会って信頼を重ねる」考え方です。メールの例文全般は、営業メールの例文をまとめた記事も参考にしてください。
フォームに「営業お断り」と書いてある会社には送らない
送らない理由は、相手を大事にするためです。わざわざ断りの文言を置いている会社に送ると、一通目から相手の意思を無視することになります。この先に会って信頼を重ねたい相手に、それは避けたいところです。
法律上どう扱われるかについては、公的な資料で確認できていないため、ここでは断定しません。気になる人は、専門家に相談してください。
今日やること:送り先を3社選んで、1通だけ書く
送り先の選び方
手の届く範囲から3社選びます。
- 近くの会社
- 知り合いの取引先と同じ業種の会社
- 自分のサイトやSNSを見てくれた人の会社
一斉送信はしません。1社ずつ、サイトを見て、気づいたことを1行書きます。まず1通書けば十分です。
送る前のチェックリスト(7項目)
印刷して、送る前に1通ずつ確認してください。
| 確認 | チェック |
|---|---|
| ①件名で用件が分かる | □ |
| ②名乗りが1行目にある | □ |
| ③この会社に送った理由が1行ある | □ |
| ④申し出は1つだけ | □ |
| ⑤400字以内に収まっている | □ |
| ⑥会う約束を求めていない | □ |
| ⑦断りやすい締めがある | □ |
送った記録を残す
送ったら、記録をつけます。下のひな形をそのまま使えます。
| 社名 | 送った日 | 返事の有無 | 次に送る日 |
|---|---|---|---|
| 【工務店A】 | 【10/14】 | 【なし】 | 【10/28】 |
| 【 】 | |||
| 【 】 |
何通送ればどれくらい返事が来るかは、この記録から自分で見えてきます。ほかの人の数字より、自分の記録のほうが次の一通に役立ちます。まず今日、1通だけ書いてみてください。
※個別の法的な判断が必要な場合は、専門家にご相談ください。
よくある質問
問い合わせフォームから営業の連絡を送っても失礼にならない?
「営業お断り」と書いてある会社には送りません。それ以外の会社には、短く、断りやすい一通にすれば、受け取る側の負担は小さくなります。法律上の扱いは公的な資料で確認できていないので、断定はしません。気になる場合は専門家に相談してください。
問い合わせフォームの営業文は何文字くらいがいい?
私の目安は300〜400字です。名乗り、この会社に送った理由、申し出1つ、断りやすい締めが収まる長さです。調べた数字ではなく、私の実感に基づく目安です。
最初の一通に料金を書いたほうがいい?
一通目には書きません。内容を知る前に値段だけで判断されやすくなるからです。相手が興味を持って聞いてきたときに、中身を分けて答えます。
返事が来ないときは、もう一度送ってもいい?
2週間あけて1回だけ、新しい話を1つ足して送ります。それでも返事がなければ、そこで止めます。これは私のやり方です。
同じ文面を何社にも送っていい?
社名を変えただけの文は、受け取る側に見抜かれやすいと私は思います。少なくとも「なぜこの会社に送ったか」の1行は、会社ごとに書いてください。
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