対面営業・商談
お客様への誕生日メッセージ|売り込みに見えない例文と、送る相手の選び方
このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面
お客様への誕生日メッセージは「仕事の話をしない短い一通」でいい
半年前に納品したお客様の誕生日が、Facebookの通知に出ていたとします。メッセージ欄を開いて「お誕生日おめでとうございます」まで打ち、そこで手が止まる。仕事の切れ目に自分から連絡するのは、仕事をくださいと言っているのと同じ気がする。そう感じて、画面を閉じた経験のある人は少なくないと思います。
結論:3文・仕事の話なし・返事を求めない
- 長さは3文以内
- 入れるのは3つだけ:お祝い、相手に関するひと言、締めのあいさつ
- 仕事の話、お願い、お知らせは入れない
- 返事を求めない
これだけです。以降は、この型を実際の文面にする方法と、送る相手の選び方を書きます。
迷っているのは文面より「送っていいのか」のほう
誕生日メッセージで検索する人は、文例を探しているように見えます。ただ、実際に止まっているのは文面ではないことが多いです。「失礼にならないか」「営業だと思われないか」「今さら連絡して迷惑ではないか」。こうした気持ちが先にあって、文面を考える前に閉じてしまいます。
なので、文面を磨く前に「送ってよい」という線引きを持っておくほうが先です。線引きは後半の「送る相手の選び方」に書きました。
誕生日の一通は、頼まずに近況を伝える連絡になる
誕生日の一通は、仕事をください、というお願いではありません。「覚えています」「元気にしています」を伝える近況のあいさつです。頼みごとをしない連絡なので、送ったからといって相手との対等さは崩れない、と私は考えています。誕生日は、用事がなくても連絡してよい数少ない日です。
そのまま使える誕生日メッセージ例文(関係の深さ別)
【 】の部分が、相手ごとに差し替える箇所です。ここに「その人との仕事で覚えていること」を入れます。ここが空欄のままだと、誰にでも送れる文面になり、一斉送信に見えます。
久しぶりの相手に送る例文
納品から1年以上あいている相手です。仕事の話は一切せず、覚えていることだけを書きます。
◯◯様 お誕生日おめでとうございます。 【昨年ご一緒した△△のこと】、今でもよく思い出します。 どうぞよい一年をお過ごしください。
【 】に入れる例:「打ち合わせで出してくださったお茶のこと」「現場で教えていただいた段取りのこと」「写真を選ぶとき、迷わず決めていただいたこと」。仕事の中身で、本人が聞いたら思い出せることがよいです。
久しぶりの相手には「ご無沙汰しております」を入れたくなりますが、入れなくていいです。入れると、連絡が空いたことを詫びる話になり、お祝いの一通が少し重くなります。
今も取引がある相手に送る例文
今も仕事でやりとりしている相手には、近況に触れる軽さのほうが合います。
◯◯様 お誕生日おめでとうございます。 【先日の打ち合わせで話されていた、お子さんの運動会】、いい天気になるといいですね。 素敵な一年になりますように。
進行中の仕事がある相手でも、同じ一通に仕事の話は入れません。「ついでに〜の件ですが」を足すと、お祝いが前置きに見えます。仕事の連絡は、別の日に別の一通で出します。
個人的な話もする相手には、もう少しくだけて構いません。
◯◯さん、お誕生日おめでとうございます。 【最近はじめたと言っていたランニング】、続いていますか。 無理せず、よい一年を。
くだけるといっても、3文以内は変えません。質問の形にしても、答えを求める温度にならないよう、軽い話題を選びます。
LINE・メール・はがきで変える長さと言い回し
手段は、ふだんそのお客様とやりとりしている手段に合わせます。
| 手段 | 長さの目安 | 言い回しのポイント |
|---|---|---|
| LINE | 2〜3行。スタンプは1個まで | 話し言葉に寄せる。件名がないぶん、1行目にお祝いを置く |
| メール | 本文3文以内 | 件名は「お誕生日おめでとうございます」だけ。署名は通常どおり、宣伝文は付けない |
| 手書きのはがき | 4〜5行 | 相手に関するひと言を1行足してよい。手書きは、それだけで「時間をかけた」と伝わる |
LINEの例です。
◯◯さん、お誕生日おめでとうございます🎂 【去年の撮影で、寒い中ずっと付き合ってくださったこと】、今でも覚えています。 よい一年になりますように。
メールで気をつけるのは署名です。署名欄にサービスの案内やキャンペーンのリンクが自動で入る設定の人は、この一通だけ外してください。お祝いの下に宣伝があると、次の章のNG例と同じことになります。
はがきは4〜5行あるぶん、「相手に関するひと言」をもう1行足せます。ただし足すのは相手の話で、自分の近況ではありません。
売り込みに見える誕生日メッセージのNG例と直し方
善意で書いたのに、売り込みに読まれてしまう文面には型があります。
| NG | 何が起きるか | OKへの直し方 |
|---|---|---|
| 「お誕生日おめでとうございます!ところで今月から新しいプランを始めまして…」 | お祝いが前置きに見える | お祝いと案内は同じ一通に入れない。案内は別の機会に |
| 「何かお困りごとがあれば、いつでもご連絡ください」 | 善意でも頼みごとに読める | 締めは「よい一年を」だけにする |
| 宛名なし、誰にでも言える内容 | 一斉送信だと分かる | その相手との仕事で覚えていることを1つ入れる |
| 誕生日を過ぎてから「遅くなりましたが」 | 1週間以上あくと取り繕いに見える | 誕生日の話をやめ、ふつうの近況の連絡に切り替える |
お祝いにお知らせを混ぜると、全部が宣伝に見える
1通のなかに「お祝い」と「案内」が両方あると、受け取った側は案内のほうを先に読みます。お祝いの部分は、案内に入るための前置きだったのだと読み直されてしまいます。
すると、そこまでの本心の部分も、まとめて「営業の一環」に見えます。案内したいことがあるなら、誕生日とは別の日に、別の一通で出してください。
「いつでもご相談ください」が余計になる理由
この一文は、善意で書かれることがほとんどです。ただ、受け取る側には「仕事があれば連絡して」と同じ意味に届きます。頼みごとをしない連絡だったはずが、最後の1行で頼みごとの連絡に変わります。
私は、困ったときに声をかけてもらえる関係は、こういう一文を入れなくても、思い出してもらえた時点でできると考えています。締めは「どうぞよい一年をお過ごしください」で十分です。
遅れたときは誕生日の話をやめて近況に切り替える
数日遅れなら「少し遅くなりましたが」で送って構いません。1週間以上あいたら、誕生日には触れず、ふつうの近況の連絡に切り替えます。
◯◯様 ご無沙汰しています。【先日、お仕事で行かれた出張の写真】を拝見して、お元気そうでうれしくなりました。 また落ち着いたころに、ゆっくりお話しできたらと思います。
ここでも仕事の依頼は入れません。「落ち着いたころに」と書いておけば、返事を急がせず、相手のペースで動いてもらえます。
送る相手の選び方:全員に送らなくていい
誕生日がわかっているお客様全員に送る必要はありません。全員に送ろうとすると、送る作業が重くなって続かなくなるうえ、一通ごとが薄くなります。
送っていい相手・見送る相手の判断表
| 区分 | 相手 |
|---|---|
| 送る | 一緒に仕事をして、相手の名前と仕事の中身を思い出せる人 |
| 見送る | 名刺交換だけの人 |
| 見送る | 取引が気まずく終わった人 |
| 見送る | 誕生日を自分から聞いていない人(調べて知った場合) |
判断の基準は一つです。その人の名前を見て、仕事のことを1つ思い出せるか。思い出せるなら、【 】に入れる話があるので、一通が「その人宛て」になります。思い出せないなら、一斉送信と変わらない文面になります。
誕生日を「どこで知ったか」で決める
- 相手がSNSで公開している、または会話で聞いた → 送ってよい
- 調べて知った → 送らない
調べて知った誕生日は、受け取った側が「なぜ知っているのか」と驚きます。お祝いのはずが、不安を渡してしまいます。
Facebookの通知に出たものは、相手が公開設定にしているものです。ただ、公開されているから誰に対しても送ってよいわけではないので、前の表の「仕事の中身を思い出せる人」を先に確認してください。
最初は5人まで。多いほど一通が薄くなる
最初は5人までに絞ります。人数が増えると、1人に使う時間が減り、【 】が埋まらなくなります。埋まらない一通が増えるほど、宣伝に見える一通に近づきます。
5人なら、1人ずつ「この人との仕事で覚えていること」を書き出す時間が取れます。慣れてから、少しずつ増やしても遅くありません。
受け取った側にどう見えているか
送る側は、長さや言い回しを気にします。受け取る側が見ているのは、そこではないことが多いです。
受け手が見ているのは「覚えていてくれたか」
場面を2つ並べます。
仕事の話が一切ない一通が届いた場合。受け取ったお客様は、スマホの通知を見て「ああ、あの人か。元気にしているかな」と、納品したときのことを思い出します。その日は返信しなくても、頭のどこかに名前が残ります。
案内つきの一通が届いた場合。受け取ったお客様は、お祝いの言葉を読み終えるより先に、案内の文字に目が止まります。「営業か」と一言で片づけて、画面を閉じます。
同じ「誕生日メッセージ」でも、残るものが違います。前者は「あの人」という記憶、後者は「営業の連絡」という整理です。
返事がないのは、届かなかったという意味ではない
誕生日の一通は、返事を求める連絡ではありません。既読だけで終わっても、思い出してもらうという目的は果たしています。
返事が来なかった一通を見て、「やはり迷惑だったか」と考え込む人がいます。ただ、返事がないことと、迷惑だったことは別の話です。受け取った側は、返信するほどの用件ではないと判断して、そっとしているだけの場合が多いと思います。
だから、文面にも「ご返信は不要です」とは書きません。書くと、返信を意識させてしまいます。返事を求めない文面は、求めていないことを断らなくても伝わります。
次に仕事の話が出るのは、誕生日の当日ではない
誕生日の一通を送った当日に、仕事の相談が返ってくることはあまりありません。思い出してもらった人が、次に何かを探すタイミングで、「そういえばあの人」と連絡してくる。その順番です。
当日に成果が出なかったからといって、やめる必要はありません。誕生日の一通は、仕事の連絡ではなく、関係の連絡です。そう考えると、結果を急がず続けられます。
お礼のあとに途切れた相手へ、誕生日を次のひと言にする
お礼で区切りがつくと、次のひと言を出す理由がなくなる
納品のお礼のやりとりが終わって、ひと区切りつく。「また連絡しよう」と思ったまま、半年たつ。その間、仕事の話でもなんでもない一通を出す口実がなかった。いい仕事をすれば、また頼まれたり、紹介が出たりすると思っていて、思い出してもらう働きかけは特にしていない。この状態を、このメディアでは「紹介待ち型」と呼んでいます。いい仕事をすれば紹介は出ると思っていて、思い出してもらう働きかけをしていない状態のことです。
この状態にいる人は、仕事が減ったことを自分の腕の問題として受け取りがちです。ただ、私は、仕事が減ったのではなく、思い出してもらえなくなっただけかもしれない、と見ています。腕のせいではありません。
誕生日は「用がない連絡」を出せる日
用がない連絡は、出す理由がないと出せません。誕生日は、その理由を最初から持っている日です。お礼のあとに途切れた相手に、仕事の話をせずに連絡を取り直せる、数少ない口実になります。
頼まない連絡なので、返事がなくても、断られたことにはなりません。断られる可能性のない連絡を、1通出す。それだけで、「また連絡しよう」と思ったまま止まっていた状態が動きます。
今日やること:3人の誕生日をカレンダーに入れる
最小の行動は1つだけです。
- 取引のあったお客様で、誕生日がわかっている人を3人書き出す
- スマホのカレンダーに、それぞれ誕生日の前日の日付で「前日に一言」と入れる
文面は、通知が来た日に考えれば間に合います。今日やるのは、3人の名前を書き出して、カレンダーに入れるところまでです。
お礼のあとに近況を送る文面や、メール全般の書き方は、営業メールの例文と書き方の全体像にまとめています。誕生日の一通が出せるようになったら、そちらも合わせて見てください。
営業が苦手でも、性格を変える必要はありません。3文以内の短い一通なら、いまの自分のまま出せます。
よくある質問
お客様に誕生日メッセージを送るのは失礼ではないですか?
相手が公開している、または会話で聞いた誕生日であれば、短いお祝いだけの一通は失礼にはなりにくいです。調べて知った誕生日には送らないほうがよいです。
誕生日メッセージに仕事の話を入れてもいいですか?
入れません。お祝いと案内を同じ一通に入れると、全体が宣伝に見えます。仕事の話は別の機会にします。
お客様の誕生日を過ぎてしまったらどうすればいいですか?
数日なら「少し遅くなりましたが」で送って構いません。1週間以上たったら誕生日には触れず、ふつうの近況の連絡に切り替えます。
誕生日メッセージはLINEとメールのどちらで送るべきですか?
ふだんやりとりしている手段に合わせます。LINEなら2〜3行、メールなら件名をお祝いだけにして本文3文以内、はがきなら4〜5行が目安です。
誕生日メッセージに返信が来なかったら気にしたほうがいいですか?
気にしなくて大丈夫です。返事を求める連絡ではなく、思い出してもらうための一通なので、既読だけでも目的は果たしています。
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