対面営業・商談

初回打ち合わせの時間設計|下調べ・最初の一問・お金の幅・最後に決める3つ

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このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

初回の打ち合わせがうまく進まないのは、話す力がないからではない

打ち合わせが終わった帰り道、「今日はよく話せたな」と思うのに、電車の中で今日の内容を思い出そうとすると、出てくるのは自分が説明した言葉ばかり。相手が何に困っているのか、一言も聞けていなかった——という場面に覚えがあるかもしれません。

60分の打ち合わせの時間配分を5区分の横棒グラフで示す図

これはしゃべりすぎ型かもしれません。沈黙が怖くて自分の説明で埋め、相手の話を取ってしまう型です。口下手だからではなく、打ち合わせを進める順番を習ってこなかっただけだと思います。

会社員のときは「作る側」で、打ち合わせの場を回すのは上司や営業担当の仕事でした。聞かれたことに答える役だったので、自分から場を進める練習をしていない人がほとんどです。独立した瞬間に、その「進める役」を急に引き受けることになりますが、誰も順番までは教えてくれません。性格の問題ではなく、順番を知らないだけです。話がうまい必要はありません。聞く順番さえ決めておけば、打ち合わせは進みます。

60分の打ち合わせなら、時間の使い方の目安はこうなります。

区分時間の目安やること
前置き5分自己紹介と今日の進め方の確認
最初に聞くこと25分困りごと→きっかけ→ゴールの順で聞く
こちらの話15分相手の言葉を使って短く返す
最後に決めること10分次の日付・こちらが出すもの・相手に用意してもらうもの
予備5分話が伸びたときの調整枠

この60分の中で、自分で決めておくのはたった四つです。会う前の下調べ、最初の一問、お金の話をどこで幅として出すか、そして最後に決める三つ。この四つさえ決まっていれば、間の会話は自然に埋まります。逆にここを決めずに打ち合わせに入ると、最初の沈黙が気まずくて自分の説明で埋め、金額の話をするタイミングを逃し、最後は「また連絡します」で終わる——という、しゃべりすぎ型が繰り返す形になります。

初回の打ち合わせ1回の時間設計だけでなく、問い合わせから次の仕事につながるまでの仕事の取り方全体の流れを知っておくと、この1回がどこに位置するかが見えてきます。

会う前の下調べは15分で足りる(調べるのは3つだけ)

会う前の下調べは、15分もあれば十分です。調べるのは3つだけです。

会う前に確認する3つの下調べ項目を並べた図解

  1. 相手の仕事の中身 — 何を扱っている会社・個人か。サイトやSNSをざっと見れば分かります
  2. 今回の相談のきっかけ — 紹介者がいるなら「なぜ今、声をかけてくれたのか」を一言確認しておく
  3. 決める人は誰か — 個人なのか、数名の会社なのか

深く調べる必要はありません。一問目を相手の言葉で始められれば十分です。

下調べなしで打ち合わせに入ると、相手が説明する側に回ってしまいます。「どういうお仕事をされてるんですか」から始めると、相手は自分の会社説明に10分近く使うことになり、本題に入る前に疲れてしまいます。逆に、「サイトで◯◯を拝見しました」の一言があるだけで、相手は「見てくれている」と感じて話しやすくなります。

相手が個人か、数名の会社かで、聞く順番が少し変わります。個人であれば、目の前の人がそのまま決める人です。数名の会社が相手なら、「最後に決めるのはどなたですか」を初回のうちに必ず聞いておきます。ここを聞き忘れると、二回目の打ち合わせで「社長に聞いてみます」と言われて話が止まる、ということが起きます。

最初の一問で、あとの40分の流れが決まる

打ち合わせが始まったら、自分の紹介は30秒で切り上げます。長く話すほど、相手は「話す側」から「聞く側」に回ってしまいます。

最初の一問から会話が流れる4ステップの手順図

一問目はこう聞きます。

「今回、どういうことでお声がけいただいたんでしょうか」

相手が話し始めたら、途中で遮りません。メモは相手が使った言葉のまま書きます。「売上を上げたい」ではなく、相手が実際に言った「今の常連さんが減ってきた」のような言葉を残しておくと、あとで効いてきます。

この一問目のあとは、困りごと→きっかけ→ゴールの順で会話が自然に流れていきます。一問ずつ何をどう聞き、返ってきた答えをどう受け止めるかの型は初回相談で何を聞くかに詳しくまとめてあります。時間配分の目安としては、この「聞く」パートに25分を使います。

やってはいけないのは、商品説明から入ることと、いきなり予算を聞くことです。「うちはこういうことができます」から始めると、相手はその説明に自分を当てはめる作業をさせられます。予算を先に聞くと、「値段で選ぶ人」だと受け取られることがあります。どちらも、困りごとを聞く前にやると、打ち合わせが値段と機能の話に変わってしまいます。

自分の話は「相手の言葉を使って」短く返す

相手の困りごとを聞き終えたら、自分の話に移ります。ここで実績を並べる必要はありません。何を・どんな順で話すかの詳しい型は打ち合わせで何を話すかにまとめてあるので、ここでは初回の時間配分だけ押さえます。

「さっきの◯◯というお話でしたら、こういう形でやれます」

このように、相手が今言った言葉をそのまま使って返すと、相手は自分の話として聞けます。実績は、その根拠として一件添える程度で十分です。

話す量の目安は、相手7:自分3です。60分の打ち合わせなら、自分が話すのは合計20分以内に収めます。超えそうになったら、「ここまでで気になる点はありますか」と相手に話を戻します。沈黙が来ても、3秒は待ちます。相手が考えている時間かもしれません。

その場で答えられないことは、無理に答えを作らず「持ち帰ります」でいいです。その場で答えようとすると説明が長くなり、あとで訂正することになりかねません。「そこは確認して◯日までにお返しします」と言うほうが、かえって信頼されます。持ち帰りは弱さではなく、次の連絡をする口実にもなります。

お金の話は初回に「幅」だけ出す

初回に金額の話をまったくしないと、相手は見積が届くまで不安なまま待つことになります。「だいたいこのくらいの幅になります」の一言があるだけで、二回目までの温度が変わります。

相場の読みやすさで金額の伝え方が分岐する図

相場が読める案件なら、

「今日うかがった内容ですと、◯万円から◯万円くらいの幅になります。中身によって前後します」

相場が読みにくい案件なら、

「まだ幅を出せるほど固まっていないので、今日の話をもとに組んでみます。◯日までに幅でお伝えします」

予算を聞くのは失礼ではありません。「今回、ご予算の目安はありますか」と聞いて構いません。「特にない」と言われたら、「では中身から組んで、幅でお伝えします」と返せば十分です。

やってはいけないのは、聞かれてもいないのに自分から「もう少し安くもできます」と言うことです。相手の反応を見て下げると、最初に出した金額が嘘に見えてしまいます。

幅も出せないときは、「今日聞かせてもらった中身で組んで、◯日までに見積をお送りします」と、日付をつけて言います。「後で送ります」だけだと日が空き、相手の熱が冷めてから届くことになります。

最後に決めること|次の日付と、誰が何をするか

打ち合わせの最後に決めるのは3つだけです。

決めること内容
次に連絡する日こちらから連絡する日を口に出して決める
こちらが出すもの見積・案・資料など
相手に用意してもらうもの資料・決める人の予定・現状の数字など

この3つを口に出して確認し、メモに残します。

「また連絡します」で打ち合わせを終えると、次に動くのがどちらか曖昧になります。相手は忙しく、こちらは催促に見えそうで出せない——というまま日だけが過ぎていきます。日付を決めるのは急かしではなく、相手の手間を減らすことです。

終わりはこう言います。

「今日うかがった◯◯と△△をもとに、◯日までに見積をお送りします。それを見ていただいて、◯日ごろにもう一度お時間いただけますか」

当日中に送るお礼メールには、次の2つだけ書きます。

本日はお時間をいただきありがとうございました。◯◯についてのお話、大変参考になりました。うかがった内容をもとに、◯日までに見積をお送りいたします。

聞いたことと、次の日付。それ以外の長い挨拶や売り込みは書きません。

初回打ち合わせのチェックリスト(会う前・最初・最後)

会う前

  • 相手の仕事の中身を調べたか
  • 今回の相談のきっかけを確認したか
  • 決める人が誰かを把握しているか

最初

  • 自己紹介を30秒で切り上げたか
  • 一問目で困りごとを聞けたか
  • そのあと、きっかけとゴールまで自然に聞けたか
  • 自分の話を20分以内に収めたか

最後

  • 次に連絡する日を決めたか
  • こちらが出すものを伝えたか
  • 相手に用意してもらうものを伝えたか
  • 当日中にお礼メールを送ったか

印刷して、打ち合わせの前に見るくらいの使い方でちょうどいいです。

打ち合わせが終わったら、10分だけ時間を取ってメモを残します。ここでも相手の言葉をそのまま書くのがコツです。「売上を上げたい」ではなく「今の常連さんが減ってきた」。次の打ち合わせの一問目は、このメモから作ります。ここを残さないと、毎回いちからの状態に戻ってしまいます。

今日やれる最小行動はひとつです。次の打ち合わせの一問目を、紙に一行書いておくこと。それだけで打ち合わせの最初の5分が変わり、真ん中の説明が減っていきます。しゃべりすぎ型から抜けるのは、話す量を減らす練習ではなく、最初の一問を決めておくことです。

よくある質問

初回の打ち合わせは何分くらいが適切ですか

60分を目安に、前置き5分・聞く25分・話す15分・決める10分・予備5分に分けます。時間を超えて伸びるほど、決めるべきことが曖昧なまま終わりやすくなります

初回の打ち合わせで金額の話をしてもいいですか

幅だけ出します。「◯万〜◯万で、中身によって変わります」と言えば相手は次を判断できます。出せないときは見積を送る日付を約束します

打ち合わせで何を聞けばいいか分かりません

困りごと→きっかけ→ゴールの順です。一問目は「今回どういうことでお声がけいただいたんでしょう」。自分の説明は30秒で切ります

打ち合わせの最後に何を確認すればいいですか

次に連絡する日、こちらが出すもの、相手に用意してもらうものの3つです。「また連絡します」で終わらせません

打ち合わせ後のお礼メールには何を書けばいいですか

当日中に「聞いたこと(相手の言葉で)」と「次の日付」の2つだけ書きます。長い挨拶や売り込みは書きません

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