対面営業・商談
紹介を断るメール例文|受けられない紹介の返し方
このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面
紹介のメールを開いて、お礼の一文だけ書いたまま手が止まる。そういう時間はないでしょうか。
断れないのは、気が弱いからではありません。相手の顔が浮かんで気まずいだけなら、まだ理由の付けようがあります。本当に止まっているのは、この紹介が仕事の入口のほとんどを占めているから、という人も多いのではないでしょうか。
紹介待ち型かもしれません。いい仕事をすれば紹介は出ると思っていて、思い出してもらうための働きかけを自分からしていない型です。この型に近い人ほど、断りのメールを書きながらこう言い渡しています。「この紹介を断ったら、次はもう自分の名前は出てこない」。
でも、縁が切れるのは断ったからではなく、断ったあとに何も言わないから切れるのだと思います。紹介を断るメールは、関係を終わらせる連絡ではなく、紹介者の頭の中にある自分の見出しを書き換える、年に数回しかない機会です。
やることは1つだけです。断りの中に「次に受けられる条件」を一行入れること。時期でも、分野でも、規模でもかまいません。ここが入っているかどうかで、同じ「お受けできません」でも紹介者に残る印象がまったく変わります。
この記事では、そのまま送れる断りメールの型、理由別の例文3本、断ったあとに関係を切らさない3回の連絡、代わりに人を紹介するときの手順、受ける・断るを迷わないための5項目チェックまでまとめました。
紹介を断るメールは「断り文」ではなく「次の一行」で決まる
断りづらさの正体

紹介が仕事の入口のほとんどを占めている場合、1件断ることが入口ごと閉じることのように感じられます。デザイナーでも士業でも施術者でも、独立してしばらくは紹介だけで仕事が回っていた時期があり、その成功体験があるほど1件の断りが重く感じられます。
断って終わる人と、断ってもまた紹介される人の違いは、腕でも人柄でもなく、断ったあとに何を書いたかです。
断りメールは4つの要素だけ
断りメールに必要な要素は4つだけです。並べ替えると読み手の印象が変わるので、この順番のまま使ってください。
- お礼(誰に何をしてもらったかを具体的に)
- 結論(受けられない、を先に言う)
- 理由は1つだけ(複数並べると言い訳に見える)
- 次の接点(いつなら、何ならできるか)
お礼は「ご紹介ありがとうございます」だけで終わらせず、「□□様のような案件をご紹介いただき」まで書くと、紹介者は自分が何をしてくれたかを具体的に思い出せます。結論を先に書くのは、読み手を待たせないためです。理由を先に長々と書くと、読み手は最後まで結論が分からないまま読み進めることになります。
濁った断り方は、たいてい要素が足りないか、順番が崩れているかのどちらかです。他の場面の営業メールの例文でも同じで、要素の順番を守るだけで文章の質は安定します。
そのまま使える基本例文(全文コピペ)
以下は基本形です。名前と理由の部分だけ差し替えて使えます。
◯◯さん
△△社の□□様をご紹介いただき、ありがとうございます。
今回の件、私では十分にお力になれないため、お受けしないほうがよいと判断しました。理由は〜だからです。
◯月下旬以降であれば同様のご相談をお受けできますので、また思い出していただけたら嬉しいです。
NG例は、お礼と謝罪だけで終わる文です。
大変恐縮ですが、今回は見送らせていただきたく存じます。
これだけだと次の接点がなく、断り=終了の合図になってしまいます。もう一つのNG例は、逆に長くなりすぎる文です。事情を説明しようとして経緯を時系列で書き始めると、読み手は「結局受けるのか断るのか」が最後まで分からず、返信のしようがなくなります。
長い付き合いの相手なら、語尾だけやわらげても構いません。
◯◯さん、いつもありがとうございます。今回の件、今の状況だと十分にお応えできなさそうです。◯月に入ったら動けると思うので、そのころまた声をかけてもらえたら嬉しいです。
4つの要素(お礼・結論・理由・次の接点)は変えず、トーンだけを相手との距離に合わせます。
理由別・そのまま使える断り例文3本
手が回らないとき
稼働の事実だけを書きます。
今は既存案件で◯月中旬まで手が空かず、着手が遅れてご迷惑をおかけしてしまいます。◯月下旬なら着手できますので、その頃改めてご相談させてください。
空く時期を書くと、断りが予約に変わります。時期がまだ読めない場合は「◯月上旬に一度状況をお伝えします」と、いつ次の連絡をするかだけでも決めて書くと、あいまいさが残りません。NG例は「立て込んでおりまして」だけで終わる文です。いつ空くか分からないので、紹介者の記憶から静かに外れていきます。
専門外のとき
断る文の中で、自分の守備範囲を1行言い直します。
今回のご相談は◯◯が中心とのことで、私の手が届く範囲を超えます。私が普段やっているのは△△と□□です。
この一行で、紹介者の中にある自分の印象が変わります。紹介者は「この人に頼めば何でもやってくれる」と思って紹介していることが多く、専門外の案件を無理に受けて後で苦しむより、この一通で正しい見出しに直すほうが、次の紹介の質が上がると思います。断ったうえで自分の専門領域を書いておけば、次に来る紹介は的が絞られたものに変わっていきます。
予算・条件が合わないとき
金額そのものを否定せず、構造で言います。
ご予算に対して私の作り方だと合いません。この予算でやるなら、◯◯だけに絞る形なら可能です。
選べる形を1つ出すのがポイントです。値下げして受けるのは、断るより関係を痛めることがあります。一度下げた額は、次も基準になってしまうからです。範囲を絞って同じ単価で受けるほうが、あとで無理をせずに済みます。NG例は「その金額では厳しいです」で止める文です。相手に次の一手を残していません。
返信の順番と宛先を間違えない(紹介者が先、当事者は後)
必ず紹介者に先に返す

紹介先に直接断ると、紹介者は自分の知らないところで話が終わった状態になります。順番はこの3手です。
- 紹介者へ結論を伝える
- 紹介者の意向を確認する
- 紹介先へ一報を入れる
関係の近い紹介者であれば、メールの前に一本電話を入れて「今回は難しそうで、そのままお伝えしてもいいですか」と一言確認するだけでも印象が変わります。口頭で先に伝え、同じ内容を短くメールで残すと、紹介者の手元に記録が残り、紹介先への説明も紹介者任せになりません。
紹介先にも一報を入れるときの書き方
紹介者をCCに入れたまま、短く書きます。
◯◯さんよりご紹介いただきました△△です。今回は私では十分にお役に立てないため、お受けしないご連絡をいたしました。ご期待に添えず申し訳ありません。
理由の詳細は書きません。紹介者向けに書いた本音をそのまま転記すると、意図しない形で伝わってしまうことがあります。
NG例3つ
- 紹介者を外して当事者だけで完結させる
- 紹介先に断ってから紹介者に事後報告する
- 紹介者向けの本音(条件が合わない等)が書かれたメールをそのまま転送する
どれも紹介者を置き去りにする動きです。次に紹介したいと思ってもらえるかどうかは、この順番で決まります。
「代わりに誰か紹介します」は、やり方を間違えると二重に迷惑になる
名前を出す前に本人へ一報
無断で同業者の名前を出すのは、その人に断りメールを書く仕事を押し付けるのと同じです。手順はこうです。
- 候補者へ「こういう話が来ているが受けられるか」を確認する
- OKが出てから紹介者へ名前を出す
候補者への確認は短くて構いません。「今、こういう相談が来ているのですが、受けられそうですか」だけで十分です。ここを飛ばして名前だけ出すと、候補者は事情を知らないまま先方から連絡を受けることになり、対応に困ります。
出すなら1人だけ、理由付きで
この分野なら◯◯さんです。私が△△の案件で一緒にやったことがあり、この規模の進め方に慣れています。
3人並べるのは丸投げに見えます。紹介者に選ぶ手間を渡すことになるからです。
出せる人がいないときは無理に出さない
お力になれる方が今すぐ浮かばず、無責任にお名前を出すのは避けます。心当たりが出たら改めてご連絡します。
ここで適当な人を出すと、次に自分が紹介される確率のほうが下がると思います。紹介は信用の受け渡しなので、雑に扱うと自分の信用も一緒に減っていきます。
断ったあとに関係が切れる人と、続く人の差は3回の連絡
1回目・断った当日

断りメールの中に「次に受けられる条件」を1行入れます。時期・分野・規模のどれか1つで構いません。ここを書かないと、紹介者の中で自分は「忙しい人」に分類されて終わってしまいます。
2回目・数週間後
その案件がどうなったかを一度だけ聞きます。
先日ご紹介いただいた件、その後いかがでしたか。無事に進んでいるとよいのですが。
断った案件を気にかける人は少ないので、これだけで印象が残ります。売り込みの要素が一切ない連絡なので、警戒されずに読んでもらえるのも利点です。
3回目・手が空いたとき
自分から言います。
以前ご紹介いただいた□□のような話、今なら着手できます。
空きの連絡は催促ではなく在庫情報だと考えています。断った相手にこそ出す連絡です。NG例は、断ったあと半年黙り、仕事が減ってから「何かあれば」と連絡することです。相手からすると、都合のいいときだけ連絡してきたように映ってしまいます。
断り文でやりがちなNG3つ(濁す・謝りすぎ・盛る)
濁して引っ張る
「一度検討させてください」で数日置くのが一番迷惑になります。受けられないと分かった時点で、読んだ日のうちに結論を返すほうが感謝されます。
修正例: 「検討します」→「結論から申しますと、今回はお受けしません」
謝りすぎる
1通に「申し訳ありません」が3回入ると、読む側は責められた気持ちになります。謝罪は1回、残りはお礼と次の接点に置き換えます。
NG例: 「大変恐縮ですが」「誠に申し訳ございませんが」「ご期待に添えず申し訳なく」を全部入れる文。読み返して謝罪の言葉が2つ以上あれば、1つになるまで削り、残りはお礼か次の接点に差し替えてください。
理由を盛る
実際より忙しい設定や架空の先約を書くと、直後に別の仕事を受けたときに矛盾します。書くのは事実1つだけです。言えない事情なら、理由を出さずに「今回は私の判断でお受けしません」と言い切るほうが安全だと思います。
受けるか断るかを迷わないための5項目チェック
見るのは5つだけ

- 守備範囲(自分が普段やっている仕事か)
- 稼働(既存案件を落とさずに入るか)
- 条件(金額・納期が自分の作り方と合うか)
- 相手の意思(紹介者に言われて会うだけの状態になっていないか)
- 紹介者との関係(断って壊れる関係か、断っても続く関係か)
相手の意思の項目は見落とされがちですが、紹介者に頼まれて仕方なく会っている先方も一定数います。話を聞いてみて温度が低いと感じたら、無理に進めず「またご興味が出たタイミングでご連絡ください」と一言添えて終える選択もあります。
線引きの目安
×が1つなら条件付きで受けます(範囲を絞る・時期をずらす)。×が2つなら、条件を1つだけ交渉して、通らなければ断ります。×が3つ以上なら断ります。×が守備範囲なら、他が全部○でも断ります。専門外を根性で受けた案件が、紹介者への一番大きな迷惑になると思います。無理に受けて品質が落ちれば、紹介者の見立てそのものが疑われてしまうからです。
迷っている間に出す一次返信
すぐに結論が出ないときも、返信自体は先に出します。
ご紹介ありがとうございます。◯日までにお受けできるかご返事します。
返事の期限を自分から切ると、迷う時間が保留ではなく手続きになります。期限を決めずに考え込むと、そのまま数日が過ぎ、結局「あとで送る型」に近い状態になってしまいます。
断るという判断そのものは、恥じることではありません。守備範囲外の仕事を無理に受けて品質を落とすほうが、紹介者の信用に傷をつけます。今回断る案件があるなら、まずは4つの要素を並べたメールを書き、その中に次の接点を1行だけ足してみてください。
よくある質問
紹介を断るのは、メールと電話のどちらがいいですか
結論はメールで残します。関係が近い紹介者なら電話で先に一言入れ、そのあと同じ内容をメールで送ります。口頭だけだと紹介先への説明が紹介者頼みになり、話がずれて伝わることがあります。
断る理由は正直に書いたほうがいいですか
事実を1つだけ書きます。書けない事情なら理由を出さずに「今回は私の判断でお受けしません」と言い切ります。忙しい設定を作るなど盛った理由は、あとで矛盾して信用を落とします。
紹介された相手に、直接断ってもいいですか
順番として紹介者が先です。紹介者に結論を伝え、意向を確認してから紹介先へ短く一報を入れます。当事者だけで完結させると紹介者の立場がなくなってしまいます。
断るとき、代わりに誰かを紹介したほうがいいですか
心当たりがあり、その本人に先に確認できたときだけにします。無断で名前を出しません。候補は1人に絞り、なぜその人かを一行添えます。いなければ無理に出さないほうがいいです。
一度断った紹介者から、また紹介をもらうにはどうすればいいですか
断りメールに次の条件(時期・分野・規模のどれか1つ)を書き、数週間後にその案件の行方を一度だけ尋ね、手が空いたら自分から知らせます。この3回で、断りが予約に変わります。
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