対面営業・商談

新年の挨拶メール例文|仕事始めに送る、用件のない一通の書き方

新年の挨拶メール例文|仕事始めに送る、用件のない一通の書き方のイメージイラスト

このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面

新年の挨拶メールは、用件がなくても送っていい一通です

「仕事を催促しているみたいで送れない」の正体

納品して、お礼のメールをもらって、請求も済んだ。やりとりはきれいに終わっています。そこから時間がたって年が明け、「ご挨拶くらいは送ったほうがいいよな」と思う。でも用件がありません。今さら連絡したら、次の仕事をねだっているように見えるのではないか。そう考えて、下書きを開いたまま閉じる。そういう経験がある人は少なくないと思います。

この引っかかりは、腕や人柄とは関係がありません。連絡するときはいつも用件があった、というだけの話です。

年始は、用件がなくても不自然に見えにくい時期

私は、年始は「用件のないメール」がいちばん読みやすい時期だと見ています。受け取る側も、年が明けた最初の週に届く、知らない名前ではないメールは、挨拶だろうと思って開きます。頼みごとが入っているかと身構えて読まれることが、ほかの時期より少ないはずです。用件がないこと自体が、この時期のメールの読みやすさになります。

ところが、お礼のやりとりで区切りがついたあと、自分から次のひと言を切り出せない人がいます。区切りがついた相手ほど、連絡する理由がなくなったように感じるからです。この記事では、この状態を「お礼だけ型」と呼びます。お礼のやりとりで区切りがつき、次のひと言を自分で切り出せないまま、日が空いていく状態のことです。

この記事は、その区切りの先に、頼みごとなしで送れる一通を用意するためのものです。

先に答え:送る一通は5つの部品でできている

新年の挨拶メールは、次の5つの部品を順に並べるだけで書けます。

新年の挨拶メールを構成する5つの部品の縦並び構造図

  1. 件名:受信箱で、誰からか分かる形にする
  2. 書き出し:定型を1行(考えない)
  3. 昨年の一場面:その相手との実際のやりとりを1行
  4. 今年の近況:自分が今年やることを1行(頼みごとは書かない)
  5. 結び:返信を求めない

長さは、スマホの1画面に収まるくらいが目安です。長く書くほど、一斉送信に見えるか、営業メールに見えるかのどちらかに寄っていきます。

ここで、頼みごとのない連絡を送るのが苦手な人に伝えたいことがあります。メールを送るのが苦手なのではなく、頼みごとのない連絡を送ったことがないだけです。慣れの問題で、向き不向きの話ではありません。そして、頼まずに近況を伝えるだけの連絡でも、挨拶として十分に成り立ちます。

そのまま使える新年の挨拶メール例文3つ(相手との距離別)

【 】の部分が、差し替える場所です。コピーして、そこだけ書き換えてください。

何度も仕事をしている取引先へ

昨年の一場面と、今年の近況の両方を入れる形です。

件名:新年のご挨拶(【屋号】【名前】)

【会社名】 【相手の名前】様

新年あけましておめでとうございます。 旧年中は大変お世話になりました。

昨年は【月】の【案件名】で、急な修正にもすぐお返事をいただけて助かりました。

今年は【新しく始めたこと】にも力を入れていく予定です。

ご返信には及びません。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

【屋号】【名前】 【メールアドレス・電話番号】

差し替える場所は3か所だけです。

  • 宛名(会社名と相手の名前)
  • 昨年の一場面(【月】【案件名】と、そのとき助かったこと)
  • 今年の近況(【新しく始めたこと】)

昨年1回だけ仕事をした相手へ

1回だけの相手は、名前だけだと「どの仕事の人だったか」がすぐに浮かばないことがあります。名乗りに場面を添えて、思い出してもらう形にします。

名乗りだけのNG例と場面を添えたOK例の比較図

件名:新年のご挨拶(【屋号】【名前】)

【会社名】 【相手の名前】様

新年あけましておめでとうございます。 昨年【月】に【案件名】でご一緒しました、【屋号】の【名前】です。

あの案件では、【打ち合わせで印象に残っていること】が今も記憶に残っています。

今年は【分野】の仕事を増やしていく予定です。

ご返信には及びません。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

【屋号】【名前】 【メールアドレス・電話番号】

名乗りだけで済ませたNG例と並べると、違いがよく分かります。

名乗りの書き方受け取る側の印象
NG「【屋号】の【名前】です。昨年はお世話になりました。」取引先が多い人ほど、どの仕事の人か思い出すところから始まる
OK「昨年【月】に【案件名】でご一緒しました、【屋号】の【名前】です。」名前を見た瞬間に、場面が戻ってきやすい

差し替える場所は3か所だけです。

  • 【月】と【案件名】
  • 印象に残っていること(打ち合わせでの一言や、現場の様子など)
  • 今年やること(【分野】)

名刺交換だけで終わっている相手へ

仕事の話は一切入れません。会った場所と、話した話題を1行入れるだけの版です。

件名:新年のご挨拶(【屋号】【名前】)

【会社名】 【相手の名前】様

新年あけましておめでとうございます。 昨年【月】に【会った場所・場面】で名刺交換をさせていただきました、【屋号】の【名前】です。

そのときにお話しした【話題】のことを、ふと思い出してご連絡しました。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。 ご返信には及びません。

【屋号】【名前】 【メールアドレス・電話番号】

差し替える場所は3か所だけです。

  • 会った場所・場面(【月】【会った場所・場面】)
  • そのとき話した話題
  • 宛名

この版には、今年の近況も入れていません。まだ仕事をしたことのない相手に近況まで書くと、自己紹介が始まってしまうためです。名乗りと、会った場面と、挨拶だけで十分です。

件名と書き出しは、迷わず定型で済ませる

件名は、受信箱で誰からか一目で分かる形にする

年始は、受信箱に挨拶のメールが並びやすい時期だと私は見ています。件名で誰からか分からないと、ほかの挨拶に埋もれます。

  • OK:新年のご挨拶(【屋号】【名前】)
  • NG:あけましておめでとうございます

NGの件名は、誰からか分からず、ほかの挨拶メールと見分けがつきません。件名に屋号と名前を入れるだけで、その問題は解消します。

書き出しは1行の定型でいい

書き出しに工夫はいりません。次のどれかをそのまま使ってください。

  • 新年あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。
  • 謹んで新年のお慶びを申し上げます。昨年は格別のご厚情を賜り、ありがとうございました。
  • 新年おめでとうございます。昨年は大変お世話になりました。

1つ目は誰にでも使えます。2つ目は少し改まった相手向けです。3つ目は、長いつきあいの相手に向いています。

凝った書き出しを考える時間があるなら、次の「一場面」に回したほうが、メールの印象は変わります。

書き出しでやりがちなNG

やりがちな書き出し何がずれているか
「厳寒の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」と季節のあいさつを重ねる相手が知りたいのは「誰が何の用で」。長いほど本題が遠くなる
自分の年末年始の過ごし方から始める相手が知りたい順番になっていない
「突然のご連絡で恐縮ですが」と詫びから入る挨拶に詫びがつくと、頼みごとが続くのかと身構えさせやすい

定型を1行書いたら、すぐ次の段落に進んでください。

一斉送信の挨拶と分かれ目になる「昨年の一場面」の書き方

定型文だけのメールは、受け手には一斉送信と区別がつかない

一場面を選ぶ3つの問いから1行にまとめる流れの図

次の本文を、受け取った側から読んでみます。

昨年は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。

この2文は、丁寧で、失礼もありません。ただ、誰に送っても同じ文面になります。受け手には、一斉送信のうちの1通として見えやすい文面です。見分けがつく部品は、その相手とのやりとりにしかない「昨年の一場面」だけです。ここを1行入れるだけで、「自分に向けて書かれた一通」になります。

一場面を選ぶ3つの問い

思い出せないときは、次の3つの問いのどれかに答えてください。1つで十分です。

  1. 一緒に困ったこと、乗り切ったことは何か
  2. 相手に言われてうれしかった一言は何か
  3. 納品後に、相手がどう使っていたか

どれか1つを、1行で書きます。長い思い出話にする必要はありません。

NG例とOK例の比較

NG(抽象)OK(具体)
いろいろとお世話になりました【月】の【案件】で、急な修正にすぐお返事をいただけて助かりました
良いお仕事をさせていただきました【案件名】の【公開・納品した成果物】を、【相手の使い方】に使っていただけているのがうれしかったです
ご縁をいただきありがとうございました【月】の打ち合わせで、【相手の言ってくれたひと言】とおっしゃっていただいたことが励みになりました

OKの3つはどれも、その相手との間でしか成り立たない文です。自分の側の気持ちより、相手が何をしてくれたかを書くほうが、嘘っぽくならずに書けます。

持ち帰り用「送り先メモ表」

メールを書く前に、この表を埋めてください。埋まれば、1通あたり迷わず書けます。

相手の名前昨年の一場面(1行)今年の近況ひと言次に連絡する目安の月

一場面が思い出せない相手は、無理に送らなくて構いません。名刺交換だけの相手向けの例文(会った場所と話題を入れる版)を使ってください。

「今年もよろしく」の手前に、頼みごとではなく近況を1行置く

頼みごとを書かない理由

次の一文は、親切のつもりで入れがちです。

お仕事がございましたら、ぜひお声がけください。

この一文があると、挨拶が営業メールに変わって読まれます。送る側も「頼んでしまった」という気の引けが残ります。年始のメールでは、ここを削るだけで送りやすさが変わります。

近況の書き方の例

頼みごとの代わりに、近況を1行置きます。相手が読んで「こういうことも頼めるのか」と分かる書き方がいいと思います。

  • 今年は【新しく始めたこと】に力を入れます
  • 【分野】の仕事を増やしていく予定です
  • 昨年の【案件名】の経験を生かして、【関連する新しい取り組み】を始めました

空き状況や値段には触れません。それを書くと、結局は依頼の催促になるからです。近況を知ってもらえれば、頼むかどうかは相手が決めてくれます。

返信を求めない結び

結びは、次のどちらかで終わらせます。

  • ご返信には及びません。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
  • 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

年始は、相手も多くの挨拶メールを受け取っていると思います。返信の手間をかけないことが、この時期のメールでは気づかいになる、と私は見ています。

送る時期と送り方で失敗しないためのチェックリスト

いつ送るか

相手の仕事始めの当日朝は、受信箱が混みやすい時間帯だと私は見ています。その日の午後から、数日のうちに送るのを目安にしてください。

松の内(地域によって期間に違いがあります)を過ぎたら、挨拶ではなく「寒中見舞い」に切り替える考え方もあります。迷うなら、書き出しを「寒中お見舞い申し上げます」に変えるだけで対応できます。

一斉送信のNG

新年の挨拶で起きやすい事故は、次のようなものです。

  • BCCで一斉送信して、宛名が「各位」になる
  • 前のメールを使い回して、別の会社名や別の人の名前が残る
  • 宛名の敬称や漢字の誤り

挨拶は、1通ずつ送る前提で書いてください。送り先は絞って構いません。3人でも十分です。多く送ることより、1通を読んでもらうことのほうが大切です。

喪中の相手・年賀状を出した相手

喪中と分かっている相手には、「おめでとう」を使わない形に変えるのが無難だと私は見ています。「新年おめでとうございます」を外し、「本年もどうぞよろしくお願いいたします」から始める、あるいは寒中見舞いの形にします。判断に迷う相手は、送らない選択もあります。

年賀状を出した相手でも、ふだんのやりとりがメール中心なら、メールで一言添えて構いません。そのときは年賀状と同じ文にせず、近況を1行足してください。

持ち帰り用「送信前チェックリスト」

  • 件名に屋号と名前が入っている
  • 宛名と会社名が、この相手のものになっている
  • 昨年の一場面が1行入っている
  • 頼みごと(「お声がけください」など)が入っていない
  • 結びが返信不要の形になっている
  • 署名に連絡先が入っている
  • 喪中の確認をした

7つとも確認できたら、送ります。

送ったあとが本番:返事が来ても来なくても、次の連絡日を決めておく

返事が来たら1往復で止める

返事の有無で分かれ、次の連絡日に合流する流れ図

返事が来たら、お礼を1回返して終えます。長く続けようとしなくて構いません。

ご丁寧にお返事をいただき、ありがとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

この2行で十分です。やりとりを続けるかどうかは、相手に任せてください。

返事が来なくても失敗ではない

年始は、相手も挨拶メールを受け取る時期です。返事が来ないことは、読まれていないこととは別です。読んで、それで終わりにした人もいるはずだと私は見ています。

ここで起きやすいのが、「また連絡するつもりはあるのに、いつ出すかを決めていない」という動きです。返事がないまま日が過ぎ、次に連絡する理由も見つからないので、結局そのまま切れてしまいます。

次に連絡する日を、今決めてカレンダーに入れる

送り先メモ表の「次に連絡する目安の月」を使います。「2月に【相手の業界の話題】で一言」のように、次の口実を1つだけ決めて、カレンダーに入れておきます。

口実は大きなものでなくて構いません。相手の業界のニュースを見かけた、昨年の案件の成果物が公開された、など、一言で済む話題で十分です。次の連絡日が決まっているだけで、返事が来ない不安は軽くなります。お礼メールや日程調整のメールも同じ考え方で書けます。全体像は営業メールの例文と書き方の全体像にまとめています。

今日やれる形

  1. 送り先を3人だけ書き出す
  2. 昨年の一場面を、1人1行ずつ埋める
  3. 仕事始めの日に、3通送る

3通で十分です。送った3通が、次のひと言のきっかけになります。

よくある質問

取引先への新年の挨拶メールはいつまでに送ればいい?

相手の仕事始めから数日のうちが目安です。当日朝は受信箱が混みやすいと見て、午後以降をおすすめしています。松の内(地域によって期間が違います)を過ぎたら、寒中見舞いの形に切り替える考え方もあります。

新年の挨拶メールは一斉送信でもいい?

BCCの一斉送信は定型文に見えやすく、宛名や会社名の差し替え忘れの事故も起きやすい方法です。送り先を絞って1通ずつ、昨年の一場面を1行入れるほうが読まれやすいと考えています。

年賀状を出した取引先にもメールで挨拶したほうがいい?

必須ではありません。ふだんのやりとりがメール中心なら、仕事始めに短い一通を送ってもよいと思います。そのときは年賀状と同じ文を繰り返さず、近況を1行添えてください。

新年の挨拶メールに仕事の依頼やお願いを書いてもいい?

書かないほうが送りやすく、読まれやすいと考えています。頼みごとの代わりに「今年は〇〇に力を入れます」と近況を1行置けば、相手に何を頼めるかは伝わります。

新年の挨拶メールに返信が来たら、また返すべき?

お礼を1回返して終えて構いません。長く続ける必要はありません。返信が来なくても失敗ではないので、次に連絡する時期を決めておきましょう。

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

無料プレゼント 対面営業の教科書