対面営業・商談
仕事の依頼への返信例文|引き受けるときに、納期と金額を先にそろえる
このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面
仕事の依頼への返信は「お礼・引き受ける返事・納期と金額の確認」を1通にまとめる
結論から書きます。依頼への返信に入れるのは次の3つです。この3つを、1通で返します。
- 声をかけてくれたことへのお礼
- 引き受けるかどうか
- 納期と金額の確認
依頼メールを開いたまま、返信が半日、1日と延びてしまうことがあります。文面が思いつかないのが原因に見えますが、実際は少し違うのではないかと私は見ています。こちらから金額や納期を書くと、「せっかく頼んでくれたのに、条件をつけるのは偉そうだ」と感じて手が止まる。これが私の仮説です。
金額の行まで書いて手が止まり、下書きのまま置いてしまう。翌日に見直しても、やはり送れない。金額を言うことが自分の値打ちを言うことのように感じて、口に出せなくなる状態です。
金額を書く瞬間、自分の値段を言っている気がする。この感覚は、腕のある人ほど強く出ると私は見ています。ただ、値段は自分の点数ではなく、仕事の条件です。点数をつけているのではなく、「この内容を、この日までに、この金額で」という条件を並べているだけです。
もう一つ、別の見方があります。頼んだ側は、いくらで、いつ届くかが分からないと、次の段取りを組めません。予算の確認、社内への説明、ほかの作業の順番。どれも金額と納期が前提です。条件を早く書くのは、偉そうにふるまうことではありません。相手が動けるように、材料をそろえることです。
この記事では、そのまま使える返信例文を場面別に3通載せます。そのあと、条件をあとに回したときの失敗、金額の書き方、すぐに決められないときの一次返信、送る前のチェックリストの順に進めます。営業メール全体の書き方は営業メールの書き方と例文の全体像にまとめているので、あわせて読んでください。
そのまま使える返信例文(場面別に3通)
〇〇の部分は空欄にしてあります。自分の数字と日付を入れて使ってください。具体的な金額の相場はここでは書きません。業種や内容で大きく変わるからです。
金額と納期をその場で出せるとき
内容が依頼メールの時点でほぼ分かっていて、すぐに見積れる場面です。
件名:Re: 〇〇制作のご依頼について
〇〇株式会社 〇〇様
お世話になっております。〇〇です。 このたびは、〇〇のご依頼をいただき、ありがとうございます。
ぜひお引き受けしたいと考えております。 条件は次のとおりです。
・金額:〇〇円(税別) ・納期:〇月〇日(〇)までに納品 ・含まれるもの:修正〇回まで
この条件で進めてよろしければ、ご返信をお願いします。 ご返信をいただいてから、作業に入ります。
ご不明な点があれば、お気軽にお知らせください。 どうぞよろしくお願いいたします。
〇〇(名前)
見てほしいのは、お礼のすぐあとに「ぜひお引き受けしたい」と書いている点です。引き受けるかどうかを後ろに回すと、相手は金額を読みながら「で、受けてくれるのか」と気にしたままになります。
もう一つは、「この条件で進めてよろしければ、ご返信をお願いします」の一文です。これが相手の次の動きになります。この一文がないと、返事が来ないまま日が空きやすくなります。
内容を聞かないと金額が出せないとき
依頼の中身がまだ薄く、確認しないと見積れない場面です。ここで「詳しく教えてください」だけを返すと、相手は何をどこまで書けばいいか分かりません。質問は番号を付けて、数を絞って書きます。
件名:Re: 〇〇のご依頼について(確認事項があります)
〇〇様
お世話になっております。〇〇です。 このたびは、お声がけいただきありがとうございます。 前向きにお引き受けする方向で考えております。
正確なお見積りを出すために、確認したいことが3点あります。
- 〇〇の数や分量は、おおよそどのくらいでしょうか
- 素材や資料は、ご用意いただけるでしょうか
- 納品の希望日は、いつ頃でしょうか
いただいた内容をもとに、〇月〇日(〇)までにお見積りをお送りします。 お電話でお話しするほうが早い場合は、〇日の〇時以降でしたら対応できます。
どうぞよろしくお願いいたします。
〇〇(名前)
ポイントは、見積りを出す日を返信の中で約束していることです。質問を投げたまま、こちらの予定が書かれていないと、相手は「いつ返事が来るのか」を待つ側に回ります。質問は3つ前後に絞ると、答える側の負担も軽くなります。
納期が厳しいとき
希望の日付が、普通に作業すると間に合わない場面です。すぐに断らなくても、道は残せます。2つの案を出して、相手に選んでもらいます。
件名:Re: 〇〇のご依頼について(納期のご相談)
〇〇様
お世話になっております。〇〇です。 このたびは、ご依頼ありがとうございます。
〇月〇日(〇)のご希望について、お返事します。 内容をすべてそろえる場合、確実にお届けできるのは〇月〇日(〇)です。 〇月〇日(〇)をご希望の場合は、△△の範囲に絞る形でいかがでしょうか。
・案A:全体を〇月〇日(〇)納品/金額〇〇円(税別) ・案B:△△のみを〇月〇日(〇)納品/金額〇〇円(税別)
どちらがご都合に合うか、お知らせください。 ご希望に沿えるよう調整します。
どうぞよろしくお願いいたします。
〇〇(名前)
「無理です」と返すより、「この日ならできます」と返すほうが、相手は次の判断をしやすくなります。相手の希望日には理由があることが多く、範囲を絞れば間に合う場合もあるからです。
納期と金額をあとに回すと、どこで困るのか(よくある失敗3つ)
「まず受けて、条件はあとで決めよう」と考えると、次のような場面で困りやすくなります。
「ぜひやらせてください!」だけ返して、条件はあとで送ると書いたケース
勢いのある返事は、嬉しい気持ちが伝わります。ただ、相手の頭の中では「この人に頼むことが決まった」になります。決まった気でいるところに、あとから金額が届きます。すると、金額を見て考え始めるのではなく、「思ったより高い」と受け取られやすくなります。
| NG文面 | 直した文面 |
|---|---|
| ぜひやらせてください!金額と納期は、あらためてお送りします。 | ぜひお引き受けしたいです。金額は〇〇円(税別)、納期は〇月〇日(〇)を予定しています。この条件でよろしければ、ご返信をお願いします。 |
作業を始めてから金額を話したケース
流れを順に追うと、こうなります。
- 依頼が来て、「やります」と返す
- 金額の話をしないまま、作業を始める
- 途中や納品前に、金額を伝える
- 相手が「もう少し安くならないか」と言う
- すでに手を動かしたあとなので、断りにくい
- 結局、言われた額で受けることになる
手を動かしたあとの交渉は、こちらの立場が弱くなります。これは相手が悪いのではなく、順番の問題です。金額は作業の前に出す。これだけで、この流れは避けやすくなります。
納期をあいまいにしたケース
「なるべく早くお届けします」と書いて受けると、相手の頭の中の日付と、自分の日付がずれたまま進みます。相手は「3日後くらい」と思っていて、こちらは「来週中」と思っている、ということが起こります。
| NG文面 | 直した文面 |
|---|---|
| なるべく早くお届けします。 | 〇月〇日(〇)までにお届けします。 |
| 来週中には出せると思います。 | 〇月〇日(〇)の夕方までに納品します。 |
| 追ってご連絡します。 | 〇月〇日(〇)までに、ご連絡します。 |
日付だけでなく、曜日まで書く。これで「何日のことか」のずれが減ります。
金額の書き方:1行で終わらせず、何が入っているかを添える
金額のあとに「含まれるもの」を1〜3行で書く
金額だけを1行で書くと、相手は「この金額で、どこまでやってもらえるのか」を想像するしかありません。想像のずれが、あとのもめごとのもとになります。金額のすぐ下に、含まれるものを短く添えます。
金額:〇〇円(税別) ・修正は〇回まで含みます ・素材や資料のご用意は、お願いします ・納品の形式は〇〇です
数字は例として空欄にしてあります。何回までが妥当かは、業種と仕事の内容で変わるので、自分の仕事に合わせて決めてください。大事なのは、書いてあるかどうかです。
税込か税別か、実費をどうするかを明記する
後でもめやすい項目を、先に書いておきます。
- 金額は税込か、税別か
- 交通費はこちらで持つのか、別にいただくのか
- 送料や印刷代などの実費は、金額に入っているか
- 支払いの時期(納品後〇日以内、など)
これらは、聞かれてから答えるより、最初に書いたほうが話が早くなります。相手にとっても、聞きにくいことが先に書いてあるのは助かるはずです。
「お安くしておきます」「勉強させていただきます」を入れたくなったとき
丁寧にしようとして、聞かれる前に金額を下げる言葉を足したくなることがあります。ただ、先に下げると、その金額が基準になります。次の依頼でも、その金額が出発点になりやすいです。
値引きは、相手から相談があってから考えれば足ります。相談が来たら、金額を下げるのではなく、範囲を絞る形で調整する方法もあります。たとえば「修正の回数を減らす」「納品物の数を減らす」といった形です。
なお、契約書の扱いや、下請けに関わる法律などは、この記事では扱いません。気になる場合は、弁護士や行政書士などの専門家に相談してください。
すぐに条件を決められないときは、先に「受け取りました」の返信を送る
依頼の内容によっては、その場で金額や納期を決められないこともあります。そのときは、返事を全部止めないで、一次返信を送ります。
受け取ったことと、返事をする日だけを送る
件名:Re: 〇〇のご依頼について
〇〇様
お世話になっております。〇〇です。 ご依頼ありがとうございます。確かに受け取りました。 内容を確認し、〇月〇日(〇)までに、お見積りと納期をお送りします。
どうぞよろしくお願いいたします。
〇〇(名前)
短くて構いません。この1通があるだけで、相手は「届いている。〇日に返事が来る」と分かります。
返事をする日は、自分で書く
日付を書かずに「追ってご連絡します」とすると、そのまま日が空きやすくなります。日が空くほど、次の連絡は出しづらくなり、相手の熱が冷めてから届くことになります。
| NG文面 | 直した文面 |
|---|---|
| 内容を確認して、追ってご連絡します。 | 内容を確認して、〇月〇日(〇)までにご連絡します。 |
| 少しお時間をください。 | 〇日(〇)の午前中までに、お見積りをお送りします。 |
書いた日付は、自分との約束にもなります。日付を書いたら、その日をカレンダーに入れておくと忘れにくくなります。
送るのは、依頼を受け取った日のうちを目安に
一次返信は、依頼を受け取った日のうちに送るのを目安にします。理由は実務的なものです。相手は返事を待っている間、ほかの人にも声をかけるかどうかを迷っているかもしれません。待つ時間が短いほど、相手は落ち着いて待てます。条件が決まっていなくても、受け取ったことと日付だけは先に伝える。これは相手の待つ時間を短くする行動です。
送る前に見る5項目チェックリスト
持ち帰り用のチェックリスト
送信ボタンを押す前に、次の5つを見てください。
- □ お礼を1行目に書いた
- □ 引き受けるかどうかが、はっきり書いてある
- □ 金額(税込か税別か)を書いた
- □ 納期を、日付と曜日で書いた
- □ 相手が次にすること(「この条件でよければご返信ください」)を書いた
1つでも抜けていたら、その項目だけ足して送る
全部が完璧にそろうまで、下書きに置いておく必要はありません。抜けている項目が1つなら、その1行だけ足して送ります。文面を最初から書き直すと、また手が止まります。足りない行だけ足す。これを守ると、送るまでの時間が短くなります。
一度うまく書けた返信は、テンプレートとして保存する
今回書いた返信は、次の依頼でも使えます。うまくいった文面は、メールソフトの下書きやメモに保存しておいてください。次の依頼では、金額・納期・含まれるものの数字を入れ替えるだけで送れます。毎回いちから組み立てなくて済むので、返信も早くなります。
金額を書く手が止まったときは、ここまでの文面を思い出してください。値段は自分の点数ではなく、仕事の条件です。条件を先にそろえて渡すことは、頼んでくれた相手の段取りを助けることでもあります。
よくある質問
仕事の依頼を引き受けるときの返信で、いきなり金額を書いても失礼になりませんか?
お礼と引き受ける返事を先に書いてから金額を書けば、失礼にはなりにくいです。頼んだ側は金額と納期が分からないと段取りを組めないので、早めに書くほうが相手は動きやすくなります。
見積を出すのに時間がかかるとき、返信はどうすればいいですか?
受け取ったことと、見積を送る日を書いた一次返信を先に送ります。「追ってご連絡します」ではなく、「〇日(〇)までに」と日付を書きます。
納期が厳しい依頼は断るべきですか?
すぐに断らなくて構いません。「この日なら確実に届けられる」「この日なら範囲を絞れる」のように2つの案を出して、相手に選んでもらいます。
返信で「お安くしておきます」と書くのはよくないですか?
聞かれる前に下げると、その金額が基準になってしまいます。値引きは、相手から相談があってから考えれば足ります。
仕事の依頼への返信は、いつまでに送ればいいですか?
目安は受け取った日のうちです。条件が決まらなくても、受け取ったことと返事をする日だけは先に伝えます。
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