対面営業・商談

請求書を送るときの一言|事務連絡で終わらせない

請求書を送るときの一言|事務連絡で終わらせないのイメージイラスト

このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面

請求書のメールが素っ気なくなるのは、性格のせいではない

納品が終わって、請求書のPDFを添付する。本文に「ご請求書をお送りします。ご査収ください。」と一文だけ書いて送信する。画面を閉じて、次の仕事に頭を切り替える。

素っ気ない請求メール一通が次の相談を遠ざける因果関係を示す図

その2週間後、次の相談は来ていない。

やって終わり型かもしれません。納めたら仕事は終わりだと思っていて、次につなぐ頼み方を知らない型です。事務的な性格だからではありません。請求は、自分が「お金をください」と言う立場になる場面です。そこに何か言葉を足すと催促しているように見える気がして、書けなくなっているだけなんだと思います。

ここで見落としがちなことがあります。請求書のメールは、事務連絡である前に、その案件で相手の印象に残りやすい文章になります。プレゼンも打ち合わせも終わったあと、相手の記憶に残りやすいのがこの1通です(入金確認の一言まで送るなら、そちらが案件の最後の接点になります)。ここが「ご査収ください」だけで終わると、案件全体の印象が「きちんとしていたが、それだけの人」で確定してしまいます。

だからといって、長い挨拶文やお礼を書き足す必要はありません。方法は1つだけです。請求書の送付メールに、「この仕事で分かったこと」を1行だけ足します。感想でもお礼でもなく、相手の事業について気づいたことです。

例えば「またよろしくお願いします」は、何も言っていない一文です。読んだ相手の頭に何も残りません。同じ1行を書くなら、相手の事業について自分が気づいたことを書くほうが、はるかに記憶に残ります。次の相談が来るかどうかは、腕の良さだけで決まるわけではありません。この最後の1通に何を書いたかで変わることがある、というのが実感です。具体的な文面は次の見出し以降で渡します。

そのままコピーして使える請求書送付メールの例文4パターン

請求メールは、宛名・添付の明示・支払期限・振込先の所在・次の一言の5つで組み立てます。この骨格は4パターンとも共通です。長さは6〜8行に留めます。長い挨拶文は、経理担当がまず読み飛ばす部分だからです。

請求送付メールの骨格を宛名・添付・期限・振込先・一言の5要素で示す図

件名や宛名の基本形は営業メールの文例集にもまとめているので、請求以外の場面で迷ったときはあわせてご覧ください。

基本形(初めての取引先)

件名:【ご請求書】□□様 9月分 ◯◯制作費のご送付

お世話になっております。△△です。 ◯月◯日納品分の請求書を添付いたします。 支払期限は◯月◯日、振込先は請求書に記載のとおりです。 ご確認のほどよろしくお願いいたします。

なお、今回の◯◯では△△の反応が特に良く、良い機会をいただきました。 また何かありましたら、ぜひお声がけください。

冒頭に納品物の一言、締めに次の接点を1行入れる形です。

継続取引の月次請求

毎月同じ文面で送ると、相手はそのうち本文を読まなくなります。件名だけ固定し、本文の1行だけ毎回変えます。変える1行は、今月やった作業のうち相手にまだ伝わっていないものです。「今月は◯◯に加えて、△△の見直しも合わせて行いました」のように書くと、月次の請求メールが作業報告も兼ねるようになります。件名は「【ご請求書】□□様 9月分 ◯◯運用費のご送付」のように月だけを変数にしておくと、相手のメールソフトでも過去分を探しやすくなります。

トラブル・遅延があった案件

謝罪は請求メールに混ぜません。謝罪は別便で先に送り、請求メールは通常どおりの形で送ります。請求と謝罪が同じメールに入っていると、相手が金額の話をしづらくなるからです。謝罪メールでは「このたびは◯◯の件でご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。」のように要点だけ先に書き、原因や言い訳を長く連ねません。そのうえで請求メールは、件名も本文も基本形と同じ形で送ります。謝罪の言葉を請求書の本文に書き足したくなりますが、そこは我慢して分けたほうが、双方にとって読みやすいメールになります。

金額が見積より増えた案件

増額の理由を、本文に1行で先に書いてから添付します。「今回、◯◯の追加対応があったため、見積時より△△円増えております」と書いてからPDFを開いてもらう順番です。PDFを開いて初めて金額差に気づかせる流れは避けます。

最後の1行に何を書くか——お礼でも催促でもない書き方

最後の1行には、3つの引き出しがあります。1通に入れるのは1つだけです。3つ全部書くと売り込みになります。

最後の一言に使う3つの引き出しを並べて比較する図

(1) この仕事で分かった相手の事業のこと 「今回の撮影で、御社の商品は実物を見た人の反応が一番強いと感じました」。相手の事業についての観察なので、売り込みになりません。

(2) 今回やらなかったが気になっている点 「今回は範囲外にしましたが、スマホで見たときの表示だけ気になっています。次に何かあるときに合わせてご相談ください」。次の依頼の入口を1つだけ置く言い方です。

(3) 相手の次の予定に触れる一言 「4月の展示会が終わったころに、また状況伺わせてください」。時期が入っているので、次の連絡が出しやすくなります。

やらないほうがいいのは、「他にも◯◯や△△ができますのでお気軽に」という一覧の提示です。まだ相談されていない段階でのサービス一覧は、読まれずに流されます。

どれを選ぶか迷ったら、初めての取引先には(1)、何度もやり取りしている相手には(3)が書きやすいです。(2)は、今回の仕事で実際に気になった点が具体的にある案件だけで使います。無理に何かひねり出す必要はありません。

請求書メールで信頼を落とす6つの落とし穴

宛先違い・金額違いは、信用の問題として扱われます。送信前に「宛名・金額・期限・添付」の4点を口に出して読む習慣をつけると防げます。声に出して読むと、画面を目で追うだけでは気づきにくい誤字にも気づきやすくなります。

添付ファイル名が「請求書.pdf」のままだと、相手のフォルダには同じ名前のファイルがいくつも並びます。「20260930_請求書_◯◯様_△△制作費.pdf」のように、日付と社名と内容を入れます。

支払期限を本文に書かないと、PDFの中に書いてあっても、経理担当に転送された時点で期限が見落とされやすくなります。

請求メールに新しい提案を長く書くのも避けます。請求メールは経理担当に転送される前提のメールなので、営業の話は混ぜず、書くとしても1行に留めます。

何日も「いつ送ろう」と迷って遅れるのは、納得いくまで出せず日が空き、相手の熱が冷めてから届いてしまう動きです。請求書は、納品確認が取れた翌営業日に出すと決めてしまうほうが、結果として早く動けます。

もう一つ、時間帯にも注意が必要です。金曜夕方の送信は、相手の締め処理に間に合わず、支払いが翌月にずれることがあります。

送る相手が誰かで、書き方は変わる

請求メールは、担当者・経理・決裁者の3人が読む可能性があります。書き分けるのではなく、「誰に転送されても困らない形」にすることがポイントです。

担当者宛のメールでも、転送される前提で件名だけで内容が分かるようにします。件名に月・金額の対象・社名を入れておけば、経理担当は本文を開く前に何のメールか判断できます。

経理担当に必要な情報は、本文の上半分にまとめます。請求金額・支払期限・振込先の有無・インボイス登録番号の記載有無です。次につなぐ一言は、必ず本文の最後に置きます。上半分に混ぜると、事務情報が埋もれてしまいます。

小さい会社では、担当者がそのまま社長というケースもあります。この場合は事務情報を簡潔にまとめ、最後の一言を少し厚めに書いても問題ありません。読む人が1人なので、事務情報と次の一言が混ざっても支障がないからです。

入金が遅れたときの催促メールは、請求メールの続きとして書く

催促は、別の話として新しいメールを立てるのではなく、同じスレッドへの返信で送ります。件名を変えないことで、相手が過去のやりとりを探し直さずに済みます。

入金遅延時の催促を期限から1回目・2回目へ進める流れを示す図

**1回目(期限翌日〜3営業日)**は、自分側の確認として書きます。「行き違いでしたら失礼します。◯日付の請求書が弊社側で確認できておらず、処理状況をご確認いただけますでしょうか」という形です。

**2回目(1週間後)**は、メールを重ねず電話に切り替えます。メールを重ねるほど、相手の受信箱の中では読み飛ばされやすくなるからです。

催促をすると関係が壊れると思っている人は多いですが、経験上、経理の実務では入金漏れは珍しいことではなく、確認の連絡は事務作業の一つとして扱われることが多いです。

やらないほうがいいのは、謝りながら催促することです。「お忙しいところ恐れ入りますが何度もすみません」のように回数を自分から強調すると、かえって重い印象になります。催促のときこそ、次の仕事の話は書きません。1通に1用件です。

請求書を送ったあと、次の相談が来る人がやっていること

入金が確認できたら、請求メールで終わりにせず、確認の連絡を1本出します。「本日入金を確認しました。ありがとうございました」という短い一文です。ここが、その案件で最後に残る接点になり、良い印象のまま案件が締まります。

この入金確認メールに、次の連絡時期を1行入れます。「また状況が動くタイミングでご連絡させてください」ではなく、「秋ごろ、サイトの更新時期に一度伺います」のように、時期を具体的に書きます。

案件が終わったら、手元に3行だけ記録しておきます。

  • 相手の事業で気になっていること
  • 次に連絡する時期
  • 今回話に出たが、今回はやらなかったこと

この3行があると、次に連絡するとき「ご無沙汰しています」から始めずに済みます。

いい仕事をすれば紹介や次の相談が自然に来ると思って、思い出してもらう働きかけをしていない人は多いです。違いはここにあります。いい仕事をすれば思い出してもらえるという前提を持たず、思い出してもらう接点を自分で作っておくということです。

請求書を、案件の終わりの事務処理ではなく、次の相談につながる最後の1通として扱う。そこだけ変えれば、今までどおりの仕事のやり方のままで、次につながる確率が変わります。特別な営業トークも、新しい売り込み方も要りません。すでに終わった仕事の中に、次につながる材料はもう揃っています。

よくある質問

請求書を送るメールに何と書けばいいですか?

宛名・請求内容・支払期限・添付の明示の4点を本文の上半分にまとめ、最後に一言だけ足します。一言は「今回の仕事で分かった相手の事業のこと」が売り込みにならず自然です。

請求書メールの件名はどう書きますか?

「【ご請求書】◯◯様 ◯月分 ◯◯制作費のご送付」の形にします。経理担当に転送されるので、件名だけで社名・月・内容が分かるようにしておきます。

請求書に「ご査収ください」だけで失礼になりませんか?

失礼にはなりません。ただ、その案件で相手の印象に残りやすい文章がそれで終わります。事務としては正しく、次につながらないというだけの話です。

入金が遅れているとき、催促メールはいつ送りますか?

支払期限の翌日から3営業日以内に、同じメールスレッドへの返信で1回目を送ります。1週間経っても動かなければ、メールを重ねず電話に切り替えます。

請求書のメールに次の提案を書いてもいいですか?

1行までなら問題ありません。ただし請求メールは経理に転送されるので、長い提案は別便にします。書くなら「今回やらなかったが気になっている点」を1つだけにします。

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

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