対面営業・商談
納品ミスの謝罪メール例文|直す日と、次に同じことを起こさない手順を書く
このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面
納品ミスの謝罪メールで相手が知りたいのは「いつ直るか」と「次も起きないか」
納品ミスの謝罪メールは、お詫び → 何が起きたか → いつ直すか → 次に起こさない手順の4点を、この順で1通に入れれば成立します。言葉の丁寧さを足すより、この4点が揃っているかどうかのほうが、受け取った担当者の反応を左右しやすいです。
担当者はメールを読みながら、自分の段取りを組み直しています。知りたいのは「いつ使えるものが届くのか」と「また同じことが起きないか」の2点です。
謝罪の言葉を重ねても信用は戻らない理由
受け手が見ているのは「申し訳ございません」の回数ではなく、自分の段取りがどう変わるかです。
たとえば次のメールは、丁寧に見えて、相手が一番知りたいことが書かれていません。
このたびは大変申し訳ございません。ご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます。今後このようなことがないよう、心よりお詫び申し上げます。
お詫びが3回あり、何が起きたのかも、いつ直るのかも出てきません。担当者は返信するにも、何を聞けばいいのか分からなくなります。お詫びは冒頭と結びに1回ずつあれば足ります。余った行は、直す日と手順に回します。
書けずに止まるのは文章力のせいではない
ミスの直後は、「この人に頼んだのは失敗だった」と思われた気がして、相手の顔を思い浮かべるほど手が止まります。そう感じる人は多いようです(ここは仮説です)。
文章が下手だから書けないのではありません。書いている途中で、相手の頭の中にいる自分の評価を想像してしまうから、手が動かなくなります。
二回目が怖い型かもしれません
二回目が怖い型は、もう一度連絡したら「やっぱりダメな人だ」と確定してしまう気がして、次の連絡が出せなくなる型です。
謝るのが怖いんじゃなくて、ミスした自分をもう一度相手に見せるのが嫌なんだ。そう感じている人が多いのではないか、と私は見ています。
だから、メールの下書きだけ開いたまま日が空きます。日が空くほど、ミスそのものより「連絡がない」ことのほうが相手の印象に残りやすくなります。
ここで渡したい許可があります。ミスをしても、腕の値打ちまで下がるわけではありません。直し方を見せれば、取り返せます。
謝罪メールは、ミスした自分をさらす文章ではなく、直し方を見せる文章です。そう置き直すと、書く内容は4点に絞れます。営業メール全般の組み立て方は、営業メールの基本の型にまとめています。
そのまま使える納品ミスの謝罪メール例文(件名から結びまで)
件名の書き方
何の件かが、件名だけで分かる形にします。
【お詫び】〇月〇日納品分の誤りについて(屋号・氏名)
避けたいのは「先日の件」「ご連絡」です。ほかのメールに埋もれますし、開くまで謝罪だと分かりません。開く前に分かってもらうほうが、読まれる順番も上がります。
本文の例文(フリーランス → 取引先の担当者)
構成は、お詫び1文 → 起きたこと → いつまでに何を直すか → 次に起こさない手順 → 相手にお願いしたいこと → 結び、です。全文を載せます。〇の部分を差し替えて使ってください。
〇〇株式会社 〇〇様
お世話になっております。〇〇(屋号)の〇〇です。 〇月〇日にお納めした〇〇に誤りがありました。ご迷惑をおかけし、申し訳ございません。
【起きたこと】 納品したチラシデータの価格表記が、旧価格のままになっていました。ご支給いただいた最新の価格表ではなく、前回の版を使って作成したためです。
【修正の日時】 修正版を、〇月〇日(〇)17時までにお送りします。
【再発防止】 納品前に、ご支給資料の価格と数字を1行ずつ照らし合わせてから送る手順に変えました。ファイル名にも日付と版を入れ、旧版を使わないようにします。
【お願い】 修正版が届きましたら、価格表記の箇所だけご確認いただけますでしょうか。印刷や掲載に進んでいる分があれば、お知らせください。
このたびは申し訳ございませんでした。引き続きよろしくお願いいたします。
〇〇(氏名) 連絡先:〇〇
「起きたこと」は、何を・どこで・どう間違えたかを事実だけで書きます。原因を長く語る必要はありません。
ケース別の差し替え部分
全文は同じで、「起きたこと」と「直す日」の部分だけ入れ替えれば使えます。
① 数量・品目の誤り
【起きたこと】ご発注は〇〇を50個でしたが、30個しかお送りしておりませんでした。 【修正の日時】不足の20個を、〇月〇日(〇)に発送します。到着は〇月〇日(〇)の予定です。
② データやファイルの誤り(デザイン・原稿・写真の取り違え)
【起きたこと】納品した写真の一部が、別案件のカットに入れ替わっていました。 【修正の日時】正しい写真に差し替えたものを、〇月〇日(〇)12時までにお送りします。誤ったファイルは、お手数ですが破棄をお願いします。
③ 納期の遅れ
【起きたこと】〇月〇日の納品予定が、制作の遅れで間に合わず、現在〇%の状態です。 【修正の日時】完成版を〇月〇日(〇)15時までにお送りします。それまでに状況が変わる場合は、前日の17時までにご連絡します。
納期の遅れでは、「遅れる」という事実と、新しい納期の2つを先に出します。理由の説明は、そのあとで足ります。
「直す日」は約束できる日を書く。早すぎる日付は二度目のミスになる
直す日の決め方の手順
謝るときは焦っているので、つい早い日付を書きたくなります。次の順で決めてください。
- 修正にかかる作業時間を見積もる
- 確認の時間を足す
- 自分のほかの締め切りと重ならないか見る
- その日付を書く
信用を落としやすいのは、焦って「本日中に」と書いて、守れないことです。最初のミスは仕方がなくても、約束を破ると「二度目のミス」になります。多少遅くても、確実に守れる日のほうが、担当者は段取りを組みやすくなります。
すぐ直せないときの書き方
原因がまだ分からない、直す方法が決まらない。そんなときは、次の連絡の日時を約束する形にします。
原因を確認し、〇月〇日(〇)15時までに、修正の見通しをご連絡します。
日付のない「至急対応いたします」は書かないでください。受け取った側は、いつまで待てばいいのか分かりません。期限のない「至急」は、待たされる側にとって不安のもとです。
直したあとの報告メール
直したら、報告を送ります。報告がないと、相手は直ったかどうかを自分で確かめる手間を負います。
短くて構いません。差し替え完了・確認してほしい点・お手数への一言、の3点です。
〇〇様
お世話になっております。〇〇です。 先ほど、修正版をお送りしました。価格表記を最新のものに差し替えています。 〇ページ目の価格欄だけ、ご確認をお願いします。 お手数をおかけしました。
〇〇
再発防止は「気をつけます」ではなく、変えた手順を1行で書く
NG例と言い換え
「今後は十分注意いたします」は、気持ちの表明です。受け手が見たいのは、気持ちではなく、変わった手順です。
| NG | 言い換え |
|---|---|
| 今後は十分注意いたします | 納品前に、発注書の品目と数量を1行ずつ照らし合わせてから送る手順に変えました |
| 確認を徹底します | 送信前に、チェックリスト1枚を埋めてから送ります |
| 二度と起こさないようにします | ファイル名に日付と版を入れ、旧版を送らない形にしました |
手順が1行で書けないときは、まだ原因が絞れていないということです。そのときは、再発防止の欄に「原因を確認のうえ、〇日までにご連絡します」と書いて、先に進みます。
一人で仕事をしている人の再発防止の作り方
ダブルチェックしてくれる同僚はいません。なので、一人で回せる手順に落とします。
- 納品前チェックリストを1枚作る:発注書の品目・数量・納期・宛先など、毎回見る項目を並べておく
- 送る前に1時間置いて見直す:作った直後は、間違いが目に入りにくい。時間を置くと、別の人の目に近づく
- ファイル名に日付と版を入れる:「最終」「最終2」のような名前をやめ、旧版の取り違えを防ぐ
このうち、いま書いている謝罪メールに載せるのは、実際に今日から始められるものだけにします。載せた手順が守られなければ、それも約束違反になるからです。
原因の書き方の線引き
原因は、事実だけを1〜2文で書きます。相手や事情のせいに読める書き方は、言い訳として受け取られやすくなります。
| 言い訳に読まれる書き方 | 事実として書いてよい書き方 |
|---|---|
| 忙しくて確認が追いつかず | 納品前に、資料と照らし合わせる確認の手順が抜けていました |
| ご指示が分かりにくく | 指示内容を、こちらで確認し直さないまま作業に入っていました |
| 担当が替わったばかりで | 旧版のファイルを、最新版と取り違えて使用しました |
右の列は、全部「自分の手順の話」になっています。相手のせいにも事情のせいにもしないほうが、読み手に素直に届きます。
謝罪メールで信用を落とすNG集(送る前の確認表)
持ち帰れる確認表
送信ボタンを押す前に、次の6項目を見てください。
- 何が起きたかが、1文で分かる
- 直す日が、日付で書いてある
- 再発防止が、手順で書いてある
- 相手のせいに読める言葉がない
- お詫びが3回以上重なっていない
- 次の連絡の日時がある
1つでも抜けていたら、そこを直してから送ります。
やりがちなNG例3つ
① 謝りすぎて卑屈になり、何をするかが埋もれる
「こんな私が…」「お恥ずかしい限りで…」と書くほど、読む側は何をすればいいのか分からなくなります。卑屈さは誠意の量ではなく、読む手間を増やすだけです。
② 「ご迷惑をおかけしたかもしれません」とミスをぼかす
間違いがあったことは、事実です。「かもしれません」と書くと、認めていないように読まれます。起きたことは、ぼかさずに書きます。
③ 値引きや無料対応を、相手から言われる前に申し出る
謝りたい気持ちから、「今回は無料でやり直します」「お値引きします」と先に書いてしまう人がいます。ところが、話が値段にすり替わります。担当者が知りたいのは、いつ直るかと、次も起きないかです。値引きは、相手が望んだときに、落ち着いて話せば足ります。
損害や費用の話が出たとき
補償や返金の扱いは、契約内容で変わります。メールで即答しないでください。
費用面のご相談につきましては、契約内容を確認のうえ、〇月〇日(〇)までにご返答します。
金額が大きいときや、契約の解釈に迷うときは、個別の判断を専門家(弁護士など)に相談してください。この記事は一般的な書き方の考え方であり、法的な判断を示すものではありません。
電話か、メールか。送るタイミングと順番
判断基準の表
| 場面 | 先にする手段 |
|---|---|
| 相手の作業が止まっている | まず電話。そのあと、記録としてメール |
| 本番や公開に影響が出ている | まず電話。そのあと、記録としてメール |
| 相手の作業への影響が小さい | メールで先に知らせる |
| 影響の大きさが分からない | 電話をかけて、つながらなければメール |
迷ったときの基準は、相手の次の作業が、いま止まっているかどうかです。止まっているなら、メールを待たせるより声で知らせたほうが、相手は早く動けます。
気づいてから送るまでの時間
直す日がまだ決まっていなくても、先に次の2つだけ送ります。気づいたことと、詳細を連絡する日時です。
〇月〇日納品分に誤りがあることに気づきました。ご迷惑をおかけし、申し訳ございません。詳細と修正の日時は、〇月〇日(〇)15時までにご連絡します。
全部そろえてから出そうとして、日が空くのは避けたいところです。気づいたことを先に伝えれば、相手は自分の段取りを調整できます。
電話でつながらなかったときのメール例文
〇〇様
お世話になっております。〇〇です。 先ほどお電話いたしましたが、お話しできませんでしたので、メールにてご連絡します。 〇月〇日納品分に誤りがありました。申し訳ございません。内容は次のとおりです。
(起きたこと・直す日・再発防止を、前述の形で記載)
お手すきの際にお電話をいただけますと幸いです。こちらからも、〇時ごろに改めてお電話します。
謝ったあと、その取引先との仕事を一回で終わらせない
謝罪で終わると縁が切れやすい理由
ミスのあとは、連絡しづらくなります。次の案件の声もかからないまま、自然に切れていく。そういうパターンは珍しくありません。
縁を切るのはミスそのものではなく、そのあとに黙ってしまうことが多いのではないか、と私は見ています。前の章で出した「二回目が怖い」感覚が、ここでも働きます。連絡しないでいる間に、相手の中では「あのミスで終わった人」という印象だけが残りかねません。
直したあとに送る一通
修正が終わってから数日〜1週間後に、様子を聞く一通を送ります。売り込みではなく、確認として送ります。
〇〇様
お世話になっております。〇〇です。 先日お送りした修正版について、その後、問題なくお使いいただけていますか。 何か気になる点があれば、いつでもお知らせください。
〇〇
新しい提案は入れません。確認だけです。返事が「問題ないです」の一言でも、ミスのあとに関係が続いていることが、相手にも自分にも見えるようになります。
今日やれる最小行動
やることは1つだけです。直す日と、再発防止の手順を書いて送る。
- 謝罪メールの「直す日」と「再発防止の手順」の2行だけ、先に書く
- 全文を整えて送る
- カレンダーに「修正報告」と「その後の確認」の2つの予定を入れる
全文を完璧にしてから書き始めると、止まります。先に2行だけ書けば、残りはその前後を埋める作業になります。
次の連絡の予定がカレンダーに入っていれば、「連絡しそびれた」は起きにくくなります。ミスのあとも仕事を続けてもらえるかどうかは、謝罪メールの出来より、その後の2通で決まることが多いと私は考えています。
よくある質問
納品ミスの謝罪はメールだけで失礼にならない?
相手の作業が止まっている、または影響が大きいなら、まず電話をして、そのあと記録としてメールを送ります。影響が小さければ、メールで先に知らせて問題ありません。判断の目安は、相手の次の作業がいま止まっているかどうかです。
謝罪メールに原因はどこまで書けばいい?
「確認の手順が抜けていた」など、自分の手順についての事実だけを1〜2文で書きます。忙しかった、指示が分かりにくかったなど、相手や事情のせいに読める書き方は避けます。
まだ直す日が決まらないときはどう書く?
日付のない「至急対応します」ではなく、「〇月〇日〇時までに修正の見通しをご連絡します」と、次の連絡の日時を約束する形で書きます。
謝罪のときに値引きや無料対応を申し出るべき?
相手から言われる前に自分から出すと、話が値段にすり替わりやすくなります。まず直す日と再発防止の手順を示します。補償や返金は契約内容で変わるため、メールで即答せず、確認して日付を決めて返答します。個別の判断は専門家に相談してください。
ミスのあと、取引先にまた連絡してもいい?
修正完了の報告と、数日〜1週間後の「その後問題ないか」の確認は送って構いません。売り込みではなく確認として送ると、ミスのあとに黙って関係が切れる流れを避けやすくなります。
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