対面営業・商談

見積を出し直すときのメール|金額が変わった理由を先に書く例文

このシリーズの全体像 お金の話の伝え方|値段・値上げ・値引きを、関係を壊さずに伝える

見積の出し直しメールは「何が変わったか→金額→次にしてほしいこと」の順で書く

結論から書きます。出し直しのメールは、次の3つを、この順に1〜2行ずつ書けば足ります。

  1. 前回から何が変わったか
  2. その結果、金額がいくらからいくらになったか
  3. いつまでに何を返してほしいか

長いお詫びも、凝った敬語も要りません。受け取った側が知りたいのは「前と何が違うのか」「で、自分は何をすればいいのか」だけです。

言い出しにくいのは、文章が下手だからではない

金額が上がる出し直しを前にして、手が止まることがあります。「最初の見積が甘かったと白状するようなものだ」と、自分を責めているのかもしれません。

私は、この見方は少し違うと見ています。金額が変わったのは、打ち合わせで条件が変わったからです。腕や信用の話とは別の話です。最初の見積は、その時点の条件に対する正しい答えでした。条件が動いたので、答えも動いた。それだけのことです。

メールの書き方は、この解釈を土台に決まります。「申し訳ない」から書き始めると、謝罪だらけの文面になります。「条件が変わったので見直した」から書き始めると、報告の文面になります。

金額を口にするたびに、自分の値打ちを言っている気がする。だから理由も添えず、数字だけ差し替えて送ってしまう。ここで渡したい許可は一つです。値段は自分の価値の点数ではなく、仕事の条件です。条件が変われば値段も変わります。

金額の変化は、お詫びではなく条件変更の報告

主語を決めましょう。「お打ち合わせで撮影カットが10点から15点に増えたため」のように、相手との話で決まった事実を主語にします。「私の見通しが甘く」を主語にしないことです。

事実を主語にすると、相手は「確かにそう話した」と思い出せます。自分を主語にして謝ると、相手は「この人の見積は当てにならないのか」と受け取ってしまうことがあります。

本文の基本形(3行版)

例文の一案です。そのまま使えます。

先日のお打ち合わせで〇〇が加わったため、お見積りを出し直しました。 総額は△円から□円になります。内訳は添付のとおりです。 ◯日までにご確認いただけると、◯月の着手に間に合います。

1行目が「何が変わったか」、2行目が「金額」、3行目が「次にしてほしいこと」です。この順番を崩さなければ、あとは自分の言葉に直して構いません。

金額が変わった理由を先に書く例文|上がる・下がる・中身を入れ替える

金額が動く場面は、大きく3つあります。それぞれ件名つきで例文を置きます。

依頼が増えて金額が上がるとき

順番は、理由(増えた作業を具体的に)→ 増えた分の金額 → 新しい総額、です。

件名の例:

【再提出】〇〇制作のお見積り(◯月◯日のお打ち合わせ内容を反映)

本文の例:

お打ち合わせで、撮影カットを10点から15点に増やすことになりました。 増える5点分として〇〇円を加え、総額は△円から□円になります。 内訳と前回との比較を添付しました。◯日までにご確認ください。

NG例はこれです。

諸事情により金額が変わりました。

受け手は、何が増えたのか分かりません。理由が見えないので、ただの値上げに見えます。「諸事情」と書きたくなるのは、理由を言うと値上げの話が具体的になるからです。ですが、具体的に書いたほうが相手は納得しやすいです。

範囲を絞って金額を下げるとき

相手から「予算をもう少し抑えたい」と言われた場面です。ここで大事なのは、何を外したかを書くことです。

件名の例:

【再提出】〇〇制作のお見積り(ご予算に合わせた案)

本文の例:

ご予算に合わせて、△△を外した案にしました。 総額は□円から〇円になります。 外した結果、修正は2回までの対応になります。ほかの内容は前回と同じです。

外した結果どうなるかも、一行で添えておきます。黙って下げると、最初の金額が水増しだったように見えます。「何を外したから下がった」が書いてあれば、値下げではなく、中身を変えた別の案として受け取ってもらえます。

相手の希望で項目を入れ替えたとき

足したものと外したものが両方あるときは、案に名前を付けて並べます。

件名の例:

【再提出】〇〇制作のお見積り(A案・B案の比較つき)

本文の例:

A案(前回)とB案(今回)を並べました。 B案は、△△を追加し、□□を外した内容で、総額は前回と〇円の差です。 比較表を添付します。どちらで進めるか、◯日までにお知らせください。

何が増えて何が減ったかを、一文で言い切ります。ここで長くなる人は、内訳の表に任せて、本文は短くしてください。

受け手が開いて最初に探すのは「前と何が違うか」

ここからは、受け取る側の目線です。

見積を受け取った人は、前の見積と新しい見積を見比べて、違うところを自分で探します。これは地味に手間です。その手間を送り手が先に引き受けるのが、いちばんの気づかいだと私は見ています。

新旧を並べた比較表を添える

ひな形です。

項目前回今回変わった理由
基本の撮影〇円〇円変更なし
追加カット〇点〇点◯日の打ち合わせで増加
急ぎ対応なし〇円納期を早めたいとのご希望
合計△円□円

変わった行だけ、色や印(★など)を付けます。全部の行を並べ直す必要はありません。印の付いた行だけ読めば違いが分かる状態にします。

件名と1行目で「出し直し」と分かるようにする

NG例:

お見積書送付の件

前回と同じ件名だと、どちらが最新か分からなくなります。メールの一覧に同じ件名が並ぶからです。

OK例:

【再提出】お見積り(v2・◯月◯日付)

【再提出】、版番号、日付の3点を入れます。1行目にも「前回のお見積りを、◯月◯日のお打ち合わせ内容を反映して出し直しました」と書いておくと、メールだけ読んでも状況が分かります。

添付ファイル名にも版と日付を入れる

例:

見積書_〇〇様_v2_1004.pdf

古い見積を、相手が社内で回してしまう事故を防げます。相手が上司に転送するとき、ファイル名だけが頼りになることもあります。

総額だけを書き直すと、値段の話しかできなくなる

NG例:「再度お見積りしました。総額◯円です」

総額だけを差し替えると、受け手が判断できるのは「高いか安いか」だけになります。選べる材料が総額しかないので、そのまま値下げ交渉の流れになりやすいです。

理由は構造の問題です。中身が見えない箱に値段が付いていると、相手が動かせるのは値段の数字そのものしかありません。

内訳を分けると、相手が選べるようになる

内訳を3〜5つに分けます。たとえば「基本の撮影」「追加カット」「急ぎ対応」のようにです。

予算が合わないとき、相手は全体の値下げをお願いする代わりに、「追加カットを減らす」を選べます。話の中心が、値段から中身に移ります。

外せる項目と外せない項目を書き分ける

見積の中で、先にこう示しておきます。

ここは外せます(その場合 −◯円)。 ここは仕事の品質に関わるため、外すと対応できません。

聞かれる前に示しておけば、全体を一律に下げる話になりにくくなります。外せる項目を自分で決めておく作業は、自分の仕事の条件を整理する作業にもなります。

金額の伝え方そのものは、お金の伝え方の基本にまとめています。内訳の考え方に迷ったら、あわせて読んでみてください。

出し直しは遅れるほど届きにくい|完璧より「いつ出すか」を先に伝える

打ち合わせ当日に送る1行

再見積をすぐ作れないときは、その日のうちに、これだけ送ります。

本日の内容を反映した見積を、◯日(◯曜)までにお送りします。

見積そのものは後でも、「出す日」だけは先に渡せます。相手は待つ日が決まるので、安心できます。

納得いくまで直していると、相手の熱が冷める

数字を何度も見直しているうちに、1週間空く。その間に、相手は別の会社と話を進めている。そういうことは起こりえます。

手順を変えましょう。作る前に、出す日を先に決めます。「◯曜の午前に送る」と決めてから、その日に間に合う範囲で作ります。私は、細部まで磨いて遅れた見積より、期日どおりに届く見積のほうが、相手には届くと見ています。足りない部分は、次の版(v3)で直せます。

返事の期限と見積の有効期限を書く

例:

◯月◯日までにご返信いただければ、◯月着手で進められます。

期限は、急かすためではなく、相手が社内で予定を組むための材料として書きます。

見積に有効期限を書く場合の言い方の一案です。

本見積の有効期限は、◯月◯日までとさせてください。

なお、有効期限や前の見積の扱いが契約上どう効くかは、ここでは判断しません。気になる場合は、専門家に相談してください。

やりがちなNG表現と言い換え

謝りすぎる

NG:「大変申し訳ございません、こちらの見通しが甘く…」

OK:「お打ち合わせで〇〇が加わったため、金額を見直しました」

条件が変わっただけなら、謝る必要はありません。自分の計算違いが原因のときだけ、一言お詫びを入れます。

理由を書かずに金額だけ変える

NG:「改めて金額を調整いたしました」

OK:「△△の作業が増えた分、□円を加えています」

値下げを恩に着せる

NG:「今回は特別にお値引きしました」

OK:「△△を外した案です。必要になれば後から加えられます」

何を外したかが分かれば、受け手は安心して選べます。「特別に」と書くと、次回も下げる前提になります。

NG→OKの早見表

やりがちなNGOKの言い換え直す理由
申し訳ございません、見通しが甘く〇〇が加わったため見直しました条件の変化を主語にする
金額を調整いたしました△△が増えた分、□円を加えました理由と金額を結ぶ
特別にお値引きしました△△を外した案です中身の変化として示す

自分の下書きと見比べて、左の列に近い文があれば、右の列に寄せてみてください。

送る前のチェックリストと、返事が来ないときの一通

送信前のチェックリスト

  • 件名に【再提出】と版が入っている
  • 1行目で、何が変わったかが分かる
  • 変わった理由が、相手との話の事実になっている
  • 前回の金額と今回の金額が並んでいる
  • 内訳が3つ以上に分かれている
  • 外せる項目を示した
  • 比較表を添えた
  • ファイル名に版と日付が入っている
  • 返事の期限を書いた
  • 謝りすぎていない

全部にチェックが付かなくても送れます。迷ったら、まず「何が変わったかが1行目で分かる」「理由が相手との話の事実になっている」「前回と今回の金額が並んでいる」の3つを確認してください。

3営業日たっても返事がないとき

例文:

先日お送りした見積(v2)について、内訳で分かりにくいところがあれば、お電話で5分ほどご説明します。

金額を下げる提案から入らないのがポイントです。返事がない理由は、金額とは限りません。分かりにくさが原因なら、説明で解けます。

黙られても、高いと思われたとは限らない

社内で回している最中かもしれません。決める材料が足りないのかもしれません。連絡が後回しになっているだけの場合もあります。黙られたことが、そのまま「高い」という評価だとは決まりません。

そう考えられると、次の一通が出しやすくなります。説明を申し出るのか、期限を改めて確認するのか。どちらにするかは、相手との関係を見て、自分で選んでください。

よくある質問

見積を出し直すとき、お詫びの言葉は入れるべき?

自分の計算違いが原因なら、一言お詫びを入れます。相手の依頼内容が増えた・変わったのが理由なら、謝るより「何が変わったか」を先に書くほうが伝わります。

見積を出し直すときの件名はどう書けばいい?

【再提出】と版番号(v2など)、何を反映したか(◯月◯日のお打ち合わせ内容など)を入れて、前回の見積と区別できるようにします。

見積の金額が上がるとき、どう伝えれば角が立たない?

増えた作業を具体的に書き、増えた分の金額と新しい総額を分けて示します。外せる項目とその場合の金額も添えておくと、相手が選べます。

出し直した見積に返事が来ないときはどうする?

3営業日ほどたったら、値下げの提案ではなく「分かりにくいところがあればご説明します」と短く送ります。黙られたからといって、高いと思われたとは限りません。

前の見積書は取り消す連絡が必要?

本文に「◯月◯日付の見積は、本見積に差し替えます」と一文入れ、ファイル名にも版と日付を入れておくと、どれが最新か迷わせません。契約上の扱いが気になる場合は専門家に相談してください。

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

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