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このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面
企画の持ち込みメールは、実績の多さより「相手の話から始まっているか」で読まれる
会ったことのない編集者や会社に、自分から企画を送ろうとしている。メールの下書きを開いたまま、もう何時間もたつ。そういう場面を前提に書きます。
この記事では、持ち込みメールを組み立てる順番と、そのまま使える例文を渡します。先に結論です。読まれるかどうかを分けるのは、実績の量よりも、冒頭が相手の話になっているかどうかだと私は見ています。例文だけ先に見たい方は、次の「そのまま使える企画持ち込みメールの例文」へ進んでください。
社長や職人の方は、例文の「記事」「ページ」を自分の仕事の言葉に置き換えて読んでください。たとえば「◯◯様の現場の写真を拝見し…」のように、相手が出しているものを一言で指す形にします。
実績が足りないと思うほど、メールは長くなる
下書きは、たいてい「はじめまして。◯◯と申します」から始まります。次に、これまでの経歴を足します。過去の仕事を足します。資格を足します。取引先の名前も足したくなります。
足し終わって読み返すと、画面の半分が自己紹介です。肝心の企画は、いちばん下に2行だけ。長すぎる気がして削り始めると、今度は実績が足りなく見えて、また足す。この往復で、送信ボタンの前で手が止まります。
実績を足し続けるのは、書き方が分からないからではなく、実績が少ない自分は会ったこともない人に送る資格がないと、先に自分で結論を出しているから、という人が多いようです。メールを書いているつもりで、実際は自分への判決文を書き直している。この状態で書くと、メールは企画の紹介ではなく、実績の弁明になりやすいと私は見ています。
受け取る側が最初に見ているのは「自分に関係があるか」
知らない人からのメールを開いたとき、受け取る側は何を見るでしょうか。私は、次の順だと見ています。
- 受信箱で件名を見て、自分宛ての用件かを判断する
- 冒頭の1〜2行を見て、読み進めるかを決める
- 読み進めた人だけが、実績や経歴を確かめる
実績は、読み進めたあとで確かめるものです。冒頭に自己紹介と経歴が並んでいると、自分の媒体の話なのか、自分の店の話なのかが分からないまま閉じられます。実績が立派でも、順番が逆だと、実績の段落まで誰も届きません。
実績を足すほど、相手は自分のこととして読めなくなる
足し終わって読み返すと、画面の半分が自己紹介で、企画は一番下に2行だけ。受け取る側から見ると、自分の媒体や自分の会社が出てくる場所が、どこにもありません。「いい人そうだが、うちの話ではないな」で終わります。
教科書ではこれを「実績並べ型」と呼んでいます。分かってもらおうと実績を足し続けて、読む人が自分を重ねる場面がなくなる状態です。腕が足りないから起きるのではなく、順番の問題だと私は見ています。
実績が少なくても、相手の話から始められる人は読まれます。送る資格は、実績の量では決まりません。
最初の一文を、相手の話にするだけでいい
抜けるための動きは1つだけです。最初の一文を、相手の話に入れ替えます。
NG例
はじめまして。フリーランスでWebデザインをしております◯◯です。これまで◯年ほど制作に携わり…
OK例
◯◯(相手の商品・記事・お店)を拝見して、ご連絡しました。
OK例には実績が1つも入っていません。それでも「自分宛てだ」と分かります。実績は、このあとの本文に1〜2行で置けば足ります。営業メール全体の組み立ては、営業メールの例文と書き方でまとめています。
そのまま使える企画持ち込みメールの例文(5つのかたまりで組む)
5つのかたまりの順番
持ち込みメールは、次の5つのかたまりで組みます。順番を固定すると、書く手が止まりません。
| 順番 | かたまり | 役割 | 書く量の目安 |
|---|---|---|---|
| ① | 件名 | 自分宛てだと分かってもらう | 相手の固有の言葉を1つ入れる |
| ② | 宛名と短い名乗り | 誰から来たかを伝える | 1〜2行 |
| ③ | なぜこの相手に送ったか | 一斉送信ではないと伝える | 1〜2文 |
| ④ | 企画の要点 | 相手にとって何が変わるかを伝える | 2〜3行。実績は最後に1〜2行 |
| ⑤ | 小さな頼みごと | 返事の仕方を分かりやすくする | 1つだけ |
実績は独立した段落にせず、④の最後に置きます。名乗りの段階で長く書かないのがコツです。
例文①:フリーのライターが、Webメディアの編集部に記事企画を送る
◯◯の部分に、実際の名前や記事タイトルを入れて使ってください。
件名:◯◯(連載名)に関する記事企画のご相談
◯◯編集部
◯◯様
はじめまして。フリーでライターをしております、◯◯と申します。
貴媒体の「◯◯」の記事を読み、△△の部分に、現場で働く人の具体的な動き方を足せると思い、ご連絡しました。
【企画案】
「◯◯(仮タイトル)」
◯◯の現場で働く人に取材し、△△のときに実際どう動いたかを、順を追って書く記事です。「◯◯」の記事を読んだ人が、次の一歩を考える材料になると考えています。
近い記事として、◯◯の記事(URL)を書いています。
もしご興味があれば、企画書(A4一枚)をお送りしてもよろしいでしょうか。合わない場合は、その一言だけでもいただけると助かります。
◯◯(名前)
メール:◯◯
作例:◯◯(URL)
見るところは、③の「『◯◯』の記事を読み」です。どの記事を読んだかが書いてあるだけで、一斉送信の文面ではないと伝わります。実績は「近い記事として」の1行だけです。
例文②:フリーのデザイナーが、地元の会社に販促物の改善を提案する
件名:ホームページの◯◯ページについて、1点ご提案です
株式会社◯◯
ご担当者様
はじめまして。フリーでデザインをしております、◯◯と申します。
御社のホームページの「◯◯」のページを拝見しました。サービスの内容は伝わってくる一方で、初めて訪れた人が最初に押すボタンが見つけにくいと感じ、ご連絡しました。
【ご提案の要点】
ボタンの位置と文言を変えて、問い合わせまでの道すじを短くする案です。ページ全体を作り直すものではなく、まず1ページだけの改善です。
近い仕事として、◯◯業の会社さんのページ改善(URL)があります。
よろしければ、改善案のイメージを1枚にまとめてお送りしてもよろしいでしょうか。お返事は一言だけでも構いません。
◯◯(名前)
メール:◯◯
制作例:◯◯(URL)
店頭のチラシを見て送る場合も、同じ組み立てです。③を「店頭で◯◯のチラシをいただき」に変えれば、会ったことはなくても、調べたことが伝わります。
件名と書き出しで「自分宛てのメールだ」と分かってもらう
件名のNGとOK
基準は1つです。相手の固有の言葉を1つ入れます。
| NG(誰にでも送れる) | OK(相手の固有の言葉が入っている) |
|---|---|
| ご提案のお願い | ◯◯(相手の連載名・商品名)に関する記事企画のご相談 |
| 企画のご相談 | ◯◯店さまのチラシについて、1点ご提案です |
| お仕事のご依頼について | ◯◯のページ改善について、ご提案です |
NGの件名は、誰に送っても成り立ちます。受け取る側からは、自分宛てかどうかが分かりません。
「なぜこの相手に送ったか」を一文で書く
型はこうです。
◯◯を拝見して、△△の部分が自分の得意な分野と重なると思い、ご連絡しました。
一斉送信に見えるメールとの違いを並べます。
| 一斉送信に見える | 自分宛てに見える |
|---|---|
| 貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます | 貴媒体の◯◯の記事を読みました |
| 幅広い分野に対応しております | △△の分野なら、取材から執筆まで対応できます |
| 何かお役に立てればと思い | ◯◯の部分に、こういう案を足せると考えました |
送る前に調べるのは3つだけ
調べすぎると、今度は送れなくなります。調べるのは次の3つに絞ります。
- 相手が最近出したもの(記事・商品・投稿)
- 受け付けの窓口(持ち込みや募集の案内があるか)
- 宛名にする担当者の名前が分かるか
担当者名が分からないときは、無理に個人を探さなくて構いません。公式の問い合わせ窓口や、持ち込みの受付先宛てで送って大丈夫です。その場合も、件名と最初の一文で、何を見て送ったかを具体的に書きます。
企画の中身は「相手にとって何が変わるか」を1つに絞る
企画書の全部をメール本文に貼らない
本文に書くのは、企画の芯だけです。2〜3行で、次の3つを入れます。
- タイトル案
- 誰に向けたものか
- 相手の側に何が増えるか(読む人の反応、お客さんの分かりやすさなど)
効果の数字は約束しません。「問い合わせが増えます」と書くと、根拠を聞かれたときに答えられないからです。「問い合わせまでの道すじが短くなります」のように、変わることを書きます。
実績は、この企画に近いものを1〜2個だけ
並べる基準は、相手がこの企画を任せてよいか判断できるかどうかです。実績が少ない人は、作例やポートフォリオのURLが1本あれば足ります。
削る前
これまで◯年以上、制作会社・事業会社・個人事業主の方々と数多くのお仕事をさせていただき、◯◯の資格も保有しております。主な取引先は◯◯、◯◯、◯◯などです。
削った後
近い仕事として、◯◯業の会社さんのページ改善(URL)があります。
削った後のほうが、相手は「この企画に近い仕事をした人だ」と判断しやすくなると考えています。資格や取引先は、聞かれたときに答えれば間に合います。
NG例と直し例を並べて見る
実績から始まるメールを1通出して、3手で直します。
直す前
件名:ご提案のお願い
はじめまして。フリーでライターをしております◯◯です。これまで◯◯、◯◯、◯◯などの媒体で執筆してまいりました。取材経験も豊富で、◯◯の資格も保有しております。
このたび、記事の企画を考えましたので、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
直し方は3手です。
- 冒頭を相手の話に入れ替える。 「貴媒体の『◯◯』の記事を読み、△△の部分に足せる企画があると思い、ご連絡しました」にする
- 実績を1行にする。 並べていた媒体名と資格を、「近い記事として、◯◯の記事(URL)を書いています」の1行にする
- 頼みごとを足す。 「企画書をお送りしてもよろしいでしょうか」で終える
直すと、例文①の形になります。何を足したかではなく、何を前に出して何を後ろに下げたかで変わっています。
最後の頼みごとを小さくすると、返事がもらいやすくなる
「ご検討のほどよろしくお願いいたします」で終わらない
この終わり方は丁寧ですが、受け取る側は、検討したあとに何をすれば返事になるのかが分かりません。返事の形が決まっていないメールは、「あとで考えよう」と後ろに回されやすいと私は見ています。後ろに回ると、忙しい日が続くうちに、そのまま埋もれます。
返事しやすい頼み方の例
頼みごとは、相手の手間が小さいものを1つだけ選びます。
| 頼み方 | 相手の手間 |
|---|---|
| 企画書をお送りしてもよろしいでしょうか | 「はい」と一言返すだけ |
| ご興味があれば、15分ほどオンラインでお話しできれば幸いです | 日程を選ぶだけ。ただし時間を取らせる分、やや重い |
| 合わなければ、その一言だけでもいただけると助かります | 断る手間も最小にできる。上の2つに添えて使う |
3つ目は、単独ではなく、1つ目か2つ目に添える形をすすめます。断りやすい出口があると、相手は返事を出しやすくなると私は見ています。
添付ファイルは最初から付けるか
初回は本文だけで送り、「見たい」と言われてから企画書を送る形もあります。添付があると、開く前に「重そうだ」と感じる人もいるからです。
ただし、持ち込みの募集要項で送り方が決まっている場合は、それに合わせるのが先です。「企画書をPDFで添付」と書いてあれば、そのとおりにします。
送ったあと返事が来ないときの動き方
追いかけの連絡は一度だけ、日にちを決めて出す
送った日に、「◯日後に返事がなければ、一度だけ確認する」と自分で決めておきます。決めていないと、「もう少し待とう」が続いて、そのまま連絡しそびれます。
追いかけの文面例です。
件名:Re: ◯◯(元の件名)
◯◯様
先日お送りした◯◯の企画の件で、念のため再送いたします。
お忙しいところ恐縮ですが、合わない場合も、その旨だけいただけると助かります。
◯◯(名前)
元のメールに返信する形で送ると、相手は経緯をすぐ確認できます。追いかけは一度だけにして、それ以上は重ねません。
返事が来ないことは、腕の評価ではない
返事がないと、「やはり自分の実績では無理だった」と結論を出したくなります。ただ、受け手の側には、時期が合わない、担当が変わった、読む余裕がない、といった事情があることもあります。返事がないことは、腕の評価とは別の話です。
返事がないのを、実績が足りなかった証拠にしないでください。次の1通を出す手が止まらないようにするための、考え方として置いておきます。
送ったメールを残して、次の1通に使う
送ったら、次の表に1行だけ残します。
| 送り先 | 送った日 | 件名 | 追いかける日 | 反応 |
|---|---|---|---|---|
| ◯◯編集部 | ◯月◯日 | ◯◯に関する記事企画のご相談 | ◯月◯日 | 返信あり/なし |
反応があった書き出しや頼み方は、次の相手に合わせて書き換えて使います。毎回ゼロから書くのではなく、うまくいった文面を手元に置いておくと、次の1通が早く書けます。
送る前のチェックリスト
そのまま印刷、またはコピーして使えます。
相手のことのチェック
| 確認 | ✔ |
|---|---|
| 件名に相手の固有の言葉が入っている | □ |
| 最初の一文が相手の話になっている | □ |
| なぜこの相手に送ったかが一文で書けている | □ |
| 持ち込みの窓口や募集の案内を確かめた | □ |
中身のチェック
| 確認 | ✔ |
|---|---|
| 企画の芯が2〜3行で言える | □ |
| 相手にとって何が変わるかが1つ書けている | □ |
| 実績はこの企画に近いものを1〜2個だけにした | □ |
| 効果の数字を約束していない | □ |
送り方のチェック
| 確認 | ✔ |
|---|---|
| 最後の頼みごとが1つで、返事の仕方が分かる | □ |
| 署名に連絡先と作例のURLがある | □ |
| 追いかける日を決めた | □ |
| 送った記録を残した | □ |
全部にチェックが付かなくても、送れます。まず最初の一文を相手の話にするだけで、メールの読まれ方は変わると私は見ています。
持ち込みの一斉送信や広告・宣伝にあたるメールの扱いは、送る内容や相手によって変わる可能性があります。気になる場合は、消費者庁や総務省の公式ページを確認するか、専門家に相談してください。
よくある質問
実績がほとんどないのに、企画を持ち込んでもいいですか?
持ち込んでいい。受け手が先に見るのは「自分に関係ある企画か」で、実績はそのあとに確かめると私は見ている。作例やポートフォリオのURLが1本あれば、相手は判断できる。実績の量を増やすより、最初の一文を相手の話にする方を優先する。
企画書はメールに添付した方がいいですか?
相手の持ち込み案内で送り方が決まっていれば、それに従う。決まっていなければ、初回は本文に企画の芯だけを書き、「企画書をお送りしてもよいか」と聞く形も選べる。相手が開くかどうか迷う手間を減らせる。
担当者の名前やメールアドレスが分からないときは?
無理に個人を探さず、公式の問い合わせ窓口や持ち込みの受付先に送ってよい。その場合も、件名と最初の一文で、相手のどの記事・商品を見て送ったのかを具体的に書く。
返事が来ないとき、何日後にもう一度送ればいいですか?
決まった正解はないので、送った日に自分で「◯日後に一度だけ確認する」と決めておく。追いかけは一度だけにし、「合わない場合もその一言だけいただけると助かります」と、断りやすい言い方を添える。
同じ企画を何社かに同時に送ってもいいですか?
送り先ごとに件名と書き出しを相手に合わせて書き直すことが前提。一斉送信に見えると読まれにくい。媒体によっては同時に別の所へ送らないよう求めている場合もあるので、持ち込みの案内を先に確かめる。
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