対面営業・商談
契約更新の前に送るメール|条件の見直しを切り出す例文
このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面
契約更新メールは5つの順番で書く(そのまま使える例文つき)
条件の見直しを切り出すメールは、「更新時期のお知らせ→お礼→見直したい点→相談の打診→返事の期限」の順に書きます。全文の例文を先に載せます。
5つの順番
| 順番 | パート | 役割 |
|---|---|---|
| ① | 更新時期のお知らせ | 用件を最初に言う。謝罪から入らない |
| ② | これまでのお礼 | 具体的な出来事を1つ。定型の礼で終わらせない |
| ③ | 見直したい点 | 何を、なぜ。理由は仕事の中身で書く |
| ④ | 相談の打診 | 決めつけず、話す場を作る |
| ⑤ | 返事をもらいたい時期 | 日付で書く。相手が動ける形にする |
例文(全文)
単価の見直しを相談する1通です。金額は空欄にしてあります。自分の数字に置き換えてください。
件名:〇月の契約更新について(ご相談)
株式会社〇〇 〇〇様
お世話になっております。〇〇の〇〇です。 〇月の契約更新の時期が近づきましたので、来期の条件についてご相談させてください。
この1年は、〇月のリニューアル対応をご一緒できて、私自身も勉強になりました。ありがとうございます。
来期の条件について、見直したい点があります。 契約当初は、月〇回の修正対応を想定していましたが、実際には月〇回ほどの対応が続いています。この差分に合わせて、条件を整えたいと考えています。
現行 変更案 月額 〇円 〇円 修正対応 月〇回想定 月〇回まで 金額を変える形のほかに、対応範囲を絞る形でも調整できます。〇〇様のご都合に合う形を、ご一緒に決められればと思います。
〇日頃までに、ご都合をお聞かせいただけますでしょうか。15分ほどのお電話でも、メールでも構いません。
どうぞよろしくお願いいたします。
〇〇(署名)
③の「この差分」は、相手が数字を見て判断できる材料です。ここだけは自分の仕事の実態に書き換えてください。
各パートのNG例と言い換え
①謝罪から始めない
- NG:「大変心苦しいのですが、お願いがありまして…」
- OK:「更新の時期が近づきましたので、来期の条件についてご相談させてください」
謝罪から入ると、相手は「何か悪い話だ」と身構えます。事務連絡なので、用件から書いて構いません。
③理由を「物価高騰のため」だけで終えない
- NG:「物価高騰のため、単価の改定をお願いします」
- OK:「契約当初は月2回の想定でしたが、いまは月4回ほどの修正対応になっています。その分を条件に反映させたいです」
物価の話だけでは、相手が社内に説明する材料になりません。作業量や範囲の変化を具体で書くほうが、相手も通しやすくなります。
②お礼は出来事を1つだけ
- NG:「いつも大変お世話になっております。日頃より格別のご高配を賜り」
- OK:「〇月のリニューアル対応をご一緒できて、勉強になりました」
お礼を何行も書く必要はありません。1つの出来事で足ります。
条件の見直しが書き出せないのは、文章力の問題ではない
場面:件名だけ打って閉じる
カレンダーに更新月が近づいている。「今年も同じ条件でいいか」と思って下書きを開き、件名に「契約更新について」まで打つ。そこで手が止まり、画面を閉じる。そのまま自動更新の日が過ぎている。
この場面に心当たりがある人は、少なくないと思います。
例文を知らないからではない
例文が足りないからでも、交渉が苦手だからでもありません。
値段が言えない型かもしれません。金額を口にすることが、そのまま自分の値打ちを言うことになっていて、言葉にできなくなる型です。
値上げを言い出した瞬間、「自分の仕事はもっと高い」と言い張っているような気がする。そう感じている人が多いようです。
ただ、値段は自分の点数ではありません。仕事の条件です。来年の条件をどうするかは、評価のお願いではなく、取引先と決める事務連絡です。
「評価してくれ」ではなく「一緒に決めましょう」と書く
条件の見直しを、「来年の条件を一緒に決めましょう」という連絡として書く。そのための順番が、前の章の5つの順番です。営業メール全体の土台は、営業メール全体の書き方にまとめています。
「見直したい点」は値段から書かず、仕事の中身から書く
値段だけを書くと、値段の話しかできなくなる
「単価を上げたいです」の一文だけだと、相手は高いか安いかでしか判断できません。返ってくるのも「予算が厳しい」か「いいですよ」の二択になります。
先に書くのは、この1年で増えた作業です。中身が見えれば、相手は金額を「作業に対する条件」として読めます。
中身を分けて書く手順
4行で書けます。
- 契約当初の作業範囲
- いま実際にやっている作業
- その差分
- 差分に合わせた条件
例はこうです。
契約当初:月2回の修正対応を想定 現在:月4回ほどの修正対応と、毎月の報告資料の作成 差分:修正対応が倍になり、報告資料が追加された 来期の条件:月額を〇円から〇円へ、またはご相談の上で対応範囲を調整
自分の仕事の記録(メールの履歴、請求の内訳、作業メモなど)を見返すと、差分は意外と拾えます。拾えたものだけ書けば十分です。拾えないものを盛る必要はありません。
値上げ以外の見直しも選択肢に入れる
見直しは金額を上げるだけではありません。次のような選択肢があります。
- 対応範囲を絞る(修正は月〇回まで、など)
- 納期を延ばす
- 支払い条件を変える
「金額を上げる」か「作業を減らす」かを、相手に選んでもらう書き方もできます。
来期は、次のどちらかの形でご相談できればと思います。 A:現在の対応範囲のまま、月額を〇円に改定する B:現在の月額のまま、修正対応を月〇回までとする
二択にすると、相手は「断るか受けるか」ではなく「どちらにするか」で考えられます。値段が言えない型で止まっている人にとっては、金額を単独で言わずに済む形でもあります。
送る時期と、返事が来ないときの次の1通
送るのは更新日の直前ではない
まず契約書を開いて、更新条項を確認します。見るのは次の点です。
- 自動更新か
- 解約や条件変更を申し出る期限があるか
期限があるなら、その期限より前に送ります。期限の決まりがない場合も、相手が社内で検討する余裕を見て、早めに出すのが無難です(目安であり、取引先や契約によって違います)。
更新日の直前に送ると、相手は検討する時間が取れず、「今回は据え置きで」と返すしかなくなることがあります。
返事の期限をメールに書く
「ご検討ください」だけで終えると、相手の中で後回しになりやすくなります。日付で書きます。
- NG:「ご検討のほど、よろしくお願いいたします」
- OK:「〇日頃までに、ご都合をお聞かせいただけますでしょうか」
期限は急かしているのではなく、相手が動くための目印です。「頃」を付ければ、きつく響きません。
返事が来ないときの催促メール例文
期限の2〜3日後に、短い1通を送ります。
件名:Re: 〇月の契約更新について(ご相談)
〇〇様
お世話になっております。〇〇です。 先日お送りした来期の条件の件、ご検討の状況はいかがでしょうか。 15分ほど、お電話でお話しできればと思います。〇日か〇日のご都合はいかがですか。
よろしくお願いいたします。
ポイントは、メールを重ねるのではなく、会話に移すことです。メールで詳しく書き直すより、15分の電話のほうが早く決まることがあります。
受け手の側から見ると、条件見直しのメールはどう読まれるか
更新の相談は「続けるつもりがある」という連絡でもある
発注する側から見ると、更新前の条件相談は、関係を続ける意思の表れとも読めます。これは断定ではなく、そういう見方もできるという話です。
黙って条件を変えたり、更新後に急に請求額が変わったりするより、前もって相談してくれる相手のほうが続けやすい。そう受け取る人は多いのではないかと、私は見ています。
受け手が困るメール3つ
- 理由がなく金額だけ書いてある。 相手が社内に説明できません
- 謝罪が長く、本題が最後にある。 何を決めればいいのか分かりません
- 「ご検討ください」だけで期限がない。 結局、後回しになります
3つとも、文章のうまさではなく、順番の問題です。5つの順番に当てはめれば避けられます。
受け手が社内で通しやすい書き方
相手が担当者の場合、上司や経理に確認を取る必要があります。そのとき、メールをそのまま転送できると助かります。
変更点は、本文に「現行/変更案」の2列表で入れておきます。
| 現行 | 変更案 | |
|---|---|---|
| 月額 | 〇円 | 〇円 |
| 修正対応 | 月〇回想定 | 月〇回まで |
| 支払い条件 | 月末締め翌月末払い | 変更なし |
変わらない項目も「変更なし」と書いておくと、相手は「どこが変わるのか」を探さずに済みます。
断られたとき・値下げを返されたときの返し方
「今回は据え置きで」と言われたら
すぐ引き下がらず、範囲を減らす案を1つだけ出します。
ご事情、承知しました。それでは、現在の月額のまま、修正対応を月〇回までとする形ではいかがでしょうか。
案は1つで十分です。いくつも並べると、相手が選べなくなります。
逆に値下げを求められたら
その場で受けません。「中身を見直した案をお送りします」と持ち帰ります。
ご要望、ありがとうございます。作業の範囲を整理した上で、〇日までに案をお送りします。
聞かれたその場で安くすると、中身の議論が飛んでしまいます。下げることが誠実さだと思って、つい受けてしまう人は多いです。ただ、持ち帰って「作業を減らした案」を出せば、誠実さと自分の条件の両方を守れます。
断られても自分の価値は下がらない
条件が合わなかったのは、仕事の条件の話です。腕の評価ではありません。
今回は据え置きでも、次の更新で見直す約束だけは取っておきます。
承知しました。今回は現行のままで更新します。来期の更新の前に、改めて条件を見直すお時間をいただけますか。
この一言があるだけで、来年のメールが「突然の値上げ」ではなく「約束していた相談」になります。
送る前のチェックリストと、今日やること
送信前チェックリスト(持ち帰り用)
- □ 冒頭が謝罪になっていない
- □ お礼に具体的な出来事が1つある
- □ 見直したい点が、作業の中身から書かれている
- □ 変更点が「現行/変更案」で分かる
- □ 返事の期限が日付で入っている
- □ 契約書の更新条項・申し出期限を確認した
今日やること
- 契約書を開いて、更新日と申し出期限を確認する
- カレンダーに「送信日」を入れる
- 下書きは、例文の③だけ自分の言葉に書き換える。ほかは例文のままで出せます
全部を完璧にしてから送る必要はありません。③が書けたら、出せる状態です。
法的な扱いの注意
この記事は、契約更新の連絡についての一般的な考え方の説明です。契約条項の解釈や、取引上のルールが関わる判断は、個別の契約によって変わります。個別の判断は、弁護士など専門家に相談してください。
よくある質問
契約更新のメールはいつ送ればいいですか?
まず契約書の更新条項(自動更新か、条件変更の申し出期限があるか)を確認し、その期限より前に送ります。決まりがない場合も、相手が社内で検討できるよう余裕を持って早めに出すのが無難です。
契約更新で値上げを切り出すときの例文は?
謝罪から始めず、「更新の時期が近づきましたので、来期の条件についてご相談させてください」と書き出します。そのあと、この1年で増えた作業、見直したい条件、返事の期限の順で書きます。全文の例文は本文に載せています。
値上げの理由に物価高だけを書いてもいいですか?
それだけだと、相手が社内で説明しにくくなります。契約当初と今の作業範囲の差など、仕事の中身の変化を具体的に書き添えてください。
条件見直しのメールに返事が来ないときはどうすればいいですか?
返事の期限を過ぎてから、短い催促を1通送ります。「15分ほどお電話で」のように、メールから会話に移す形が使いやすいです。
契約更新の交渉で据え置きと言われたら引き下がるべきですか?
すぐ引き下がらず、作業範囲を絞る案を1つ出します。それでも難しければ、次の更新で見直す約束を取っておきます。
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