対面営業・商談
依頼の返事を保留するメール|すぐ決められないときに、いつ返すかを伝える
このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面
依頼の返事を保留するメールは「受け取りました」と「◯日までに返します」の2点が入っていれば足りる
依頼のメールが届いて、日程も条件もまだ見えない。断る理由はないけれど、すぐ「やります」とも言えない。そんなとき、返信の画面を開いたまま手が止まる人は多いと思います。
先に結論です。保留のメールは、長くなくて構いません。「依頼を受け取りました」と「◯日までに返事します」が入っていれば、メールとして成り立ちます。
保留の連絡をためらう理由
すぐに引き受けられない人が保留の連絡を出しづらいのは、相手に悪いと思うことよりも、「すぐ『やります』と言えない自分は、相手にとって使いにくい外注だ」と思っているからではないか。これは私の仮説です。腕には自信があって、仕事そのものは断りたくない。それでも即答できない自分に、減点をつけてしまう。
この減点は、事実に基づいたものではないことが多いと私は見ています。依頼を出す側が探しているのは、すぐに返事をくれる人というより、ちゃんと仕事をしてくれる人のはずです。
依頼した側が困るのは「保留」ではなく「沈黙」
依頼を出した側の立場で考えてみます。メールを送ったあと、返事が来ない。1日たち、2日たつ。受け取ってもらえたのかも分からず、断られたのかも分からない。ほかの人に頼むべきか、もう少し待つべきかも決められない。困るのはここです。
同じ「すぐには決まらない」状況でも、「受け取りました。◯日までに返事します」と一通あれば、相手は待つことを選べます。待つ期間が見えているので、次の手を自分で決められるからです。
すぐ決めないことと、黙っていることは別のことです。決めるのは遅くてもいい。受け取ったことと、いつ返すかだけは早く伝える。この切り分けができると、保留は失礼ではなくなります。
最小の形
一番短い保留メールは、次の2文です。
ご依頼ありがとうございます。日程を確認し、◯月◯日(木)までにお返事します。
これだけで保留メールとして十分に機能します。お礼で受け取ったことが伝わり、曜日つきの日付で、いつ返事が来るかが伝わります。ここに理由や詫びを足していくと、かえって読みにくくなります。
日が空いてから慌てて返す流れ
逆に避けたいのは、その場では何も返さず、日が空いてから「遅くなりすみません」と慌てて送る流れです。日が空くほど、返事は出しづらくなります。出しづらくなるほど、さらに空きます。最初の一通を「保留の連絡」として早く出しておくと、この流れに入らずに済みます。
保留メールは4つの順番で書く
4つの順番と、各段の役割
| 順番 | 役割 | 1行の例文 |
|---|---|---|
| ① お礼 | 受け取ったことと、頼まれたことへの感謝を伝える | ご依頼ありがとうございます。 |
| ② 理由 | すぐ決められない理由を、ひと言で伝える | 日程を確認する必要があるため、すぐにはお返事できません。 |
| ③ 期限 | いつ返事をするかを、曜日つきの日付で伝える | ◯月◯日(金)の17時までにご連絡します。 |
| ④ 先に連絡 | 期限を過ぎそうなら、期限の前に伝える | 確認に時間がかかっており、◯日(月)までお待ちいただけますか。 |
④は、メールを送った時点では書きません。保留したあとに、必要になったら出すものです。保留メールそのものに入れるのは①〜③です。
①と③は必ず入れる。②は1行でいい
①と③は、欠かせません。①がないと、受け取ったかどうかが伝わりません。③がないと、相手は待ち続けるしかありません。
②の理由は、1行で足ります。理由を長く書くほど、断る前置きに読まれやすくなります。比べてみます。
NG例(理由が長い)
ご依頼ありがとうございます。大変ありがたいお話なのですが、いま他の案件も重なっておりまして、正直なところ、お受けできるか自分でも判断がつかず、少し時間をいただければと思っております。
直した例
ご依頼ありがとうございます。現在進行中の案件の進み具合を確認したうえで、◯月◯日(木)までにお返事します。
NG例は、読む側からすると「断られそうだ」という空気が先に立ちます。それに、相手が判断に使える情報がほとんどありません。直した例は、何を確認して、いつ分かるかが書いてあるので、相手は待つ前提で動けます。
件名に期限を入れる
件名にも、期限を入れておくと親切です。
【◯月◯日までにお返事します】◯◯のご依頼の件
相手は、メールを開く前に「返事はいつ来るか」が分かります。返信の件名を書き換えるのは少し手間ですが、依頼が重要なときほど効果があります。
書き方の土台は例文集にある
保留に限らず、営業まわりのメールの書き出し、お礼、お願いの言い回しは、営業メールの例文集にまとめています。この記事の例文を、ふだんの文面に寄せたいときの参考にしてください。
「すぐ決められない理由」はどこまで書くか
書いてよい理由の例
理由は、相手が「それなら待とう」と思える内容であれば十分です。たとえば次のようなものです。
- 日程の確認:「ご希望の時期のスケジュールを確認し、◯日までにお返事します」
- いまの案件の進み具合の確認:「進行中の案件の状況を確認したうえで、◯日までにお返事します」
- 人手や外注先への確認:「お願いしているパートナーの空きを確認し、◯日までにお返事します」
- 見積の算出:「内容を拝見し、お見積を算出してから◯日までにお返事します」
どれも、何をしているか、そしていつ分かるかが伝わります。
書かなくていいこと
「他の仕事で手一杯で」「正直迷っていて」といった、自分の事情の言い訳は書かなくて構いません。相手がその情報を使って判断することはできないからです。読んだ側は、なんとなく不安になるだけです。
忙しさや迷いを伝えるのは、誠実さの表れのつもりかもしれません。ただ、保留メールで相手が知りたいのは、自分の依頼がどうなるか、その一点です。
「少し考えさせてください」だけで終わるメール
一番よく見かけるのが、次のような返信です。
NG例
ご依頼ありがとうございます。少し考えさせてください。
何を考えるのか、いつ分かるのかが書かれていません。相手は、次の手を打てません。待っていいのか、別の人に聞いていいのかも決められません。
直した例
ご依頼ありがとうございます。お見積の内容と日程を確認したうえで、◯月◯日(金)の17時までにお返事します。
変えたのは、確認する内容と、曜日つきの期限だけです。文字数はほとんど増えていません。
返事の期限は「自分が確実に守れる日」で切る
曜日つきの日付で書く
期限は「近日中」「なるべく早く」ではなく、曜日つきの日付で書きます。
NG例
近日中にご連絡します。
直した例
◯月◯日(金)の17時までにご連絡します。
「近日中」は、書いた本人と読んだ相手で、受け取る長さが違います。日付を入れれば、その差がなくなります。曜日を添えるのは、日付の取り違えを防ぐためです。時間まで書いておくと、「その日のうちに連絡が来る」のか「午前中か」が相手に伝わり、段取りを組みやすくなります。
相手の都合を先に聞く手もある
期限を自分で切る前に、相手に聞いてしまう方法もあります。
いつ頃までにお返事があると助かりますか。
相手に先方の期限があるなら、それより前に返事ができるかを考えます。間に合わないときは、その時点で「その日までには難しいです」と伝えられます。早い段階で分かるほうが、相手も代わりの手を考えられます。
迷ったら、確認に必要な日数に1日足す
期限を何日後にするか迷ったら、確認に必要な日数に1日足した日にします。これは数字の根拠があるものではなく、実務上の目安です。
早すぎる期限は、守れなかったときに信頼を削ります。「明日には返事します」と書いて守れないより、「◯日(金)までに」と少し余裕を持たせ、前倒しで返せるほうが、相手の印象はよくなります。期限は、自分が確実に守れる日で切る。これが基準です。
場面別の保留メール例文
初めての相手からの依頼
関係がまだ浅い相手には、お礼を厚めにして、確認することを具体的に書きます。何を確認しているかが見えると、相手は「ちゃんと考えてくれている」と受け取れます。
件名:【◯月◯日までにお返事します】◯◯のご依頼の件
◯◯様
はじめまして、◯◯と申します。このたびは、私にご依頼をいただき、ありがとうございます。お声がけいただけたこと、とてもうれしく思っています。
ご依頼内容を拝見しました。きちんとお受けできるかを判断するために、次の2点を確認させてください。
・ご希望の時期に、スケジュールが確保できるか ・必要な作業の範囲と、お見積の目安
確認のうえ、◯月◯日(木)の17時までにお返事します。それまでの間に、ご不明な点やご希望の変更があれば、このメールにご返信ください。
どうぞよろしくお願いいたします。
確認事項を2つに絞って書いています。数が多いと、保留の理由が増えすぎて、断りの前置きに見えてしまいます。
いつもの取引先からの依頼(忙しい時期に重なった)
付き合いの長い相手には、短くします。期限だけはっきり書けば足ります。
件名:【◯月◯日までにお返事します】◯◯の件
◯◯様
いつもありがとうございます。ご依頼の件、受け取りました。
いまの案件の進み具合を確認して、◯月◯日(水)までにお返事します。
よろしくお願いいたします。
「いつもありがとうございます」から入り、3文で終えています。関係ができている相手には、丁寧さを足すより、読む手間を減らすほうが親切です。
条件(金額・納期)が合うか分からない依頼
金額や納期が決まっていない依頼では、保留の理由を「条件の確認」に置きます。
件名:【◯月◯日までにお見積とあわせてお返事します】◯◯のご依頼の件
◯◯様
ご依頼ありがとうございます。
金額と納期を確認したうえで、◯月◯日(金)までに、お見積とあわせてお返事します。
なお、ご予算とご希望の納期が決まっていれば、教えていただけると、お見積の精度が上がります。
理由が「条件の確認」なので、相手にとっても自然です。予算や納期を先に聞いておくことで、あとから「その条件では難しい」とならないように、早めにすり合わせておく狙いもあります。
保留したあと、期限までにやること
期限を過ぎそうなときは、前日までに先に連絡する
確認に思ったより時間がかかっているときは、期限の前日までに先に連絡します。
◯◯様
ご依頼の件、確認に時間がかかっており、お返事を◯月◯日(月)までお待ちいただけますでしょうか。申し訳ありません。
新しい期限までには必ずお返事します。
期限を過ぎてから謝るのとは、相手の受け取り方が大きく違います。
| 期限の前日に連絡する | 期限を過ぎてから謝る | |
|---|---|---|
| 相手の状態 | 待つ期間を延ばすだけで、段取りは崩れない | 返事を待っていたのに来ず、不安になる |
| 文面の中心 | 新しい期限 | お詫び |
| 受け取られ方 | 先に知らせてくれた | 約束が守られなかった |
同じ「遅れる」でも、先に言えば、約束を守ったことになります。新しい期限を日付で伝えるのも、最初の保留と同じです。
受けるときの返事
受けると決めたら、保留したことを詫びすぎないのが大事です。詫びが長いと、依頼した側が気を遣います。短く、すぐ次の段取りへ進みます。
お待たせしました。ぜひお受けします。
進め方の確認のため、打ち合わせの日程を調整させてください。◯月◯日(火)か◯日(水)の午後はいかがでしょうか。
保留した時間は、条件を確かめるための時間でした。確かめた結果として受けるので、前向きな返事で構いません。
断るときの返事
断るときも、保留していた時間を活かせます。「検討した結果」と書けるからです。
お待たせしました。検討しましたが、今回はご希望の納期でお受けするのが難しく、見送らせてください。
納期に余裕のある時期でしたら、お受けできる可能性があります。そのような機会があれば、あらためてお声がけください。
断る理由は短く、相手が納得できる範囲で書きます。そのうえで、別の時期なら可能など、次につながるひと言を入れておきます。断った相手とも、そこで関係が終わるとは限りません。
保留できないと、合わない仕事まで受けてしまう
その場で「やります」と返す流れ
断ったら次の依頼が来ない気がして、その場で「やります」と返してしまう。日程も条件もよく分からないまま受ける。その結果、合わない仕事で手が埋まり、本当に受けたかった話が来たときに、手が空いていない。こういう状態を、教科書では「断れない型」と呼んでいます。
型の名前よりも、この流れが起きる構造のほうが大事です。即答できる人が優れているわけではなく、即答しないと不安になる状況があるだけです。そして、保留という選択肢を教わる機会は少ないのではないか、と私は見ています。腕の問題ではありません。
保留メールは、受けるかどうかを自分で決める時間を取る道具
保留メールは、断るための道具というより、受けるかどうかを自分で決める時間を取るための道具です。依頼が来たら、まず受け取ったことを伝える。そのあとで、日程と条件を確かめる。確かめてから、受けるか断るかを決める。この順番にするだけで、「その場で受けてから後悔する」ことは減らせると考えています。
即答しない日をつくるだけで構いません。次に依頼が来たときに、いったん保留メールを返す。一度やってみると、相手の反応は思ったより普通だった、となることが多いのではないかと思います。
今日やれること
まず、依頼が来たときに返す一文を、自分用の下書きに保存しておきます。
ご依頼ありがとうございます。◯日までにお返事します。
送るときは、◯に日付を入れるだけです。急に依頼が来た日に、ゼロから文面を考えなくて済みます。
送る前のチェックリスト
- 最初にお礼を書いたか
- 理由を1行で書いたか(言い訳を書いていないか)
- 期限を曜日つきの日付で書いたか
- 期限を過ぎそうなら、前日までに連絡する段取りを決めたか
- 受ける・断るどちらの返事でも、次の段取りまで書く準備ができているか
この5つが揃っていれば、保留メールは十分です。すぐ決められなかった自分を責める必要はありません。決めるための時間を、相手に伝えたうえで取る。それだけの話です。
よくある質問
依頼の返事を保留するとき、失礼にならない言い方は?
お礼を先に書き、「◯月◯日までにお返事します」と曜日つきの期限を入れます。期限があれば、保留しても失礼には受け取られにくいです。
保留の返事はいつまでに送ればいい?
保留の連絡自体は、依頼を受け取った当日中が目安です。決めるのはあとでいいですが、「受け取った」「いつ返す」はすぐ伝えます。
保留の理由は正直に書くべき?
日程や条件の確認など、相手が待つ理由が分かる程度のひと言で足ります。忙しさや迷いの言い訳は書かなくていいです。
保留したあと、結局断ることになったらどう書く?
「検討した結果」と添えて、受けられない理由を短く書きます。別の時期なら可能など、次につながるひと言を入れます。
返事の期限に間に合わないときは?
期限の前日までに先に連絡し、新しい期限を日付で伝えます。期限を過ぎてから謝るより、相手の段取りを崩さずに済みます。
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