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このシリーズの全体像 営業メールの例文集|場面別に、そのまま使える文面
概算見積のメールは「金額の幅・前提・次の段取り」の3つが書ければ送れる
概算見積のメールに必要なのは、次の3つです。

- 金額の幅(下限と上限)
- その金額の前提(範囲・回数・納期)
- 次の段取り(正式な見積をいつ出すか)
この3つが書ければ、概算は打ち合わせの当日に送れます。そのまま使える文面は、次の章に載せています。
打ち合わせの終わりぎわに「だいたいおいくらくらいですか」と聞かれて、「あらためてまとめてお送りします」と持ち帰る。よくある場面です。ところがそのあと、作業を全部洗い出して、数字がぶれないと思えるまで手が止まります。3日、1週間と日が空いていきます。
遅れている理由は、手の遅さや見積の苦手意識とは別のところにあることが多いと、私は見ています。「中途半端な金額を出して、あとで変わったら、いい加減な人だと思われる」。そう考えて、ぶれない数字ができるまで出せなくなっている人が多いようです(これは私の仮説で、全員に当てはまるわけではありません)。仕事に誠実な人ほど、数字を軽く扱いたくない気持ちが働くのかもしれません。
納得がいくまで出せずに日が空き、相手の熱が冷めてから届く。私はこれを「あとで送る型」と呼んでいます。腕の問題ではなく、概算という一通の役割が分かれていないだけです。
相手が概算で知りたいのは、頼める範囲かどうか
概算を受け取った側は、細かい金額の差まで他社と比べたいわけではないことが多いです。知りたいのは、予算の中に入りそうか、この人との話を先へ進めてよいか、の2点です。私はそう考えています。
そうなると、正確さより早さと幅のほうが役に立ちます。3日後のぴったりの数字より、当日の「〇万〜〇万円」のほうが、相手は次の判断に進めます。
概算と正式な見積の違い
一般的な実務では、概算は条件が決まる前の目安、正式な見積は範囲と条件を固めたあとに出す確定額、と分けて扱われることが多いです。ただし、これは法的な定義ではありません。契約上どう扱われるかは、取引の内容や書き方で変わります。個別の判断は専門家に相談してください。

ここで大事なのは、一通で両方を兼ねようとしないことです。概算は目安を早く渡す一通、正式見積は条件を固めてから出す一通。役割を分ければ、概算に確定額の重さを背負わせずに済みます。
金額が変わっても信用は落ちにくい書き方がある
幅と前提を先に書いておけば、あとで金額が動いても、約束を破った形にはなりにくくなります。「前提が変わったので、金額が変わりました」と説明できるからです。
方法は1つだけです。打ち合わせ当日か翌日に、幅で一通送る。次の章に、そのまま使える形を載せます。
そのまま使える概算見積メールの例文(打ち合わせ後に送る基本形)
件名の付け方
件名は、概算であることと、次に正式版が来ることが分かるようにします。
- OK:【概算のお見積り】〇〇の件(正式なお見積りは別途お送りします)
- NG:お見積りの件
NG例のように「お見積り」とだけ書くと、確定額だと受け取られやすくなります。件名の時点で線を引いておくと、本文の幅が目安として読まれます。
本文の例文
流れは、お礼、概算であることの一文、金額の幅、前提、金額が変わる条件、正式見積を出す日、相手にしてほしいこと、の順です。金額は〇で伏せています。
件名:【概算のお見積り】ホームページ制作の件(正式なお見積りは別途お送りします)
〇〇株式会社
〇〇様
お世話になっております。△△の□□です。
本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
ご相談の件、現時点で分かっている範囲での概算をお送りします。
正式なお見積りではなく、お話を進めるための目安としてご覧ください。
■ 概算金額
〇〇万円 〜 〇〇万円(税別)
■ 内訳の目安
・打ち合わせ・設計:〇万〜〇万円
・制作:〇万〜〇万円
・修正対応:〇万〜〇万円
・納品後の対応:〇万〜〇万円
■ この金額の前提
・範囲:トップページを含む〇ページ
・修正:2回まで
・納期:〇月〇日までにご発注の場合、〇月〇日納品
■ 金額が変わる条件
・写真や文章をこちらで用意する場合は、上限に近くなります
・ページが増える場合は、1ページあたり別途ご相談します
■ 今後の予定
正式なお見積りは、〇月〇日までにお送りします。
この目安がご予算と大きく離れていないかだけ、ひと言いただけると助かります。
何かご不明な点があれば、お気軽にご連絡ください。
業種が違っても、組み立ては同じです。「制作」の部分を、施術、撮影、執筆、設計、研修などに置き換えてください。
添付ファイルなしで本文だけで送ってよい
概算の段階では、見積書の書式を作り込まなくて大丈夫です。本文に3〜5行の内訳を箇条書きで書けば足ります。書式を整えるために送るのが遅れるのが、いちばんもったいない順番です。見積書のファイルは、正式版で作れば間に合います。
お礼や日程調整など、ほかの場面のメールは、営業メールの例文をまとめたページにあります。
場面別の例文|問い合わせへの返信・当日中に送る・条件が決まっていないとき
初めての問い合わせに返すとき
まだ会っていない相手から「費用はどのくらいですか」と聞かれた場面です。
お問い合わせありがとうございます。
近いご依頼では、〇万〜〇万円の幅になることが多いです。
内容によって上下しますので、詳しくはお話を伺ってから、正式にお出しします。
15分ほどのお電話かオンラインで、状況を教えていただけますか。
並べて見ておきたいNG例がこちらです。
お問い合わせありがとうございます。
費用は内容によって変わりますので、まずはお打ち合わせをお願いします。
NG例は、金額を伏せたまま「まずは打ち合わせ」とだけ返しています。相手は予算に入るかどうか分からないまま、時間だけ求められます。
この一文が効いている理由:「近いご依頼では」と幅を先に出すことで、相手は会う前に予算の見当をつけられます。
打ち合わせ当日中に送るとき
本日はありがとうございました。
忘れないうちに、目安の金額だけ先にお送りします。
正式なお見積りは、条件を整理してから改めてお出しします。
当日に送ると、相手の頭にまだ打ち合わせの内容が残っているうちに届きます。日が空くほど、相手は話の細部を忘れ、こちらは数字を出しづらくなります。
この一文が効いている理由:「忘れないうちに」と書くと、完成度ではなく早さを優先していることが相手に伝わります。
条件がまだ決まっていないとき
条件が決まらないことを理由に出さないのではなく、分けて出します。
条件がまだ固まっていないため、2つの形でお出しします。
A案(ページ数を絞った形):〇万円前後
B案(現在のご希望をすべて含む形):〇万円前後
どちらに近いかをお知らせいただければ、正式なお見積りをその形でお出しします。
この一文が効いている理由:「どちらに近いか」だけ聞くので、相手は細かい仕様を決めなくても返事ができます。2〜3案に分けると、決めるのは相手の側になり、こちらが全部を確定させる必要もなくなります。
金額の幅の決め方|広すぎても狭すぎても相手は決められない
作業を3〜5個に分けて、それぞれの下限と上限を足す
作業を全部洗い出す必要はありません。大きなかたまりを3〜5個に分けます。たとえば「打ち合わせ・制作・修正・納品後の対応」です。

それぞれについて、少なく済んだとき(下限)と、手間がかかったとき(上限)の金額を置きます。あとは下限どうし、上限どうしを足すだけです。
| 作業 | 下限(順調にいったとき) | 上限(手間がかかったとき) |
|---|---|---|
| 打ち合わせ・設計 | 〇万円 | 〇万円 |
| 制作 | 〇万円 | 〇万円 |
| 修正 | 〇万円 | 〇万円 |
| 納品後の対応 | 〇万円 | 〇万円 |
| 合計 | 〇万円 | 〇万円 |
この合計が、そのままメールの「〇万〜〇万円」になります。表にしてしまえば、短時間で作れます。
幅のNG例
- 広すぎる幅:上限が下限の何倍にも開いているような幅は、目安になりません。相手は予算に入るかどうかを判断できません
- 幅のない一点:「〇〇万円です」と一点だけ書くと、確定額として受け取られます
- 下限だけ:「〇万円〜」とだけ書くと、上限が見えず相手が不安になります
目安として、上限は下限から大きく離さない範囲に収めると、相手は決めやすいと私は考えています。公的な基準ではなく、私の経験則と考え方です。幅が広くなりすぎるときは、条件が決まっていないということなので、前の章のように案を分けて出してください。
安く見せるために下限を削らない
早く出したい気持ちから、下限を実際より低く書いてしまうことがあります。正式見積で上がったとき、説明がつかなくなります。
概算は、安く見せる場ではなく、正直な目安を出す場です。下限は「順調にいった場合に、実際にこの金額で受けられるライン」で置いてください。
前提条件と有効期限の書き方|あとで金額が変わっても揉めにくい一文
前提に書く3項目=範囲・回数・納期
前提は、この3つを書けば足ります。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 範囲 | 〇〇までを含みます |
| 回数 | 修正は2回までとします |
| 納期 | 〇月〇日までにご発注の場合、〇月〇日納品です |
3つが書いてあれば、条件が変わったとき「範囲が増えたので」「修正が3回目に入るので」と、金額が動く理由を説明できます。説明できることが、信用を守る助けになります。
金額が変わる条件を先に書いておく
上がる条件は、先に一文で書いておきます。
- OK:素材をこちらで用意する場合は、上限に近くなります
- OK:ページが増える場合は、1ページあたり別途ご相談します
- NG:状況により変動します
NG例は、何が起きたら変わるのかが分かりません。相手は「結局いくらになるのか」と不安になります。具体的な条件を1〜2個書くだけで、相手は見通しを持ちやすくなります。
有効期限と正式見積の出し日
次の2文を入れます。
この目安は、〇月〇日までにご依頼いただく場合を前提としています。
正式なお見積りは、〇月〇日までにお送りします。
日付を書くと、自分にも締め切りができます。「あとで送る」がそのまま止まるのを防げます。
契約や法務に関わる個別の扱いは、取引の内容によって変わります。必要に応じて専門家に相談してください。
送る前のチェックリスト|概算メールで抜けやすい7項目
送信前チェック表
| No. | 確認すること | 確認 |
|---|---|---|
| ① | 件名に「概算」と入っているか | □ |
| ② | 金額が幅で書いてあるか | □ |
| ③ | 税込か税別かを書いたか | □ |
| ④ | 範囲・回数・納期の前提があるか | □ |
| ⑤ | 金額が変わる条件を書いたか | □ |
| ⑥ | 正式見積を出す日を書いたか | □ |
| ⑦ | 相手にしてほしいこと(予算感が合うかの返事など)を書いたか | □ |
やりがちなNG表現と言い換え
| NG表現 | 言い換え |
|---|---|
| ざっくりですが | 目安として |
| たぶんこのくらいかと | この条件なら〇万〜〇万円です |
| ご予算に合わせます | ご予算をお聞きできれば、範囲を調整した案もお出しします |
「たぶん」「ざっくり」は、謙虚なつもりでも、数字の根拠が見えなくなります。条件を添えて言い切るほうが、いい加減な印象にはなりにくいです。「ご予算に合わせます」は、中身を削ることにつながるため、調整の中身を示す言い方にしておきます。
全部埋まらなくても送ってよい基準
②金額が幅であること、④前提があること、⑥正式見積を出す日があること。この3つが書けていたら送る、と決めておきます。
7項目すべてが埋まるまで待つと、結局また日が空きます。残りの項目は、返事をもらってから足せます。
概算を送ったあとの一通|返事がないときと、正式見積に切り替えるとき
返事がないときの確認メール

送って数日たっても返事がないときは、次のように短く聞きます。
先日お送りした目安の件です。
金額の幅がご予算と大きく離れていないかだけ、ひと言いただけると助かります。
離れている場合は、範囲を調整した案もお出しします。
並べて見ておきたいNG例はこちらです。
先日の金額、もう少しお安くすることもできます。
いきなり金額を下げる提案から入ると、最初の幅が根拠のない数字だったように見えます。聞くのは「離れていないか」だけで十分です。
予算と合わなかったと言われたとき
値引きではなく、中身で調整します。
ありがとうございます。
範囲を〇〇までに絞れば、〇万円で収まります。
どの部分を残すか、一緒に決めさせてください。
「ここまでなら〇万円」と中身と金額を一緒に出すと、金額を下げたのではなく、条件を変えた話になります。
正式見積に切り替える一文
先日の目安から、決まった条件をもとに正式な金額をお出しします。
前回との違いは、〇〇の部分です。
概算との差を、自分から先に書きます。差を先に言えば、金額が動いても信用は落ちにくくなります。冒頭の「あとで変わったら、いい加減な人だと思われる」という心配は、変わること自体ではなく、変わった理由が見えないことから生まれるのだと私は考えています。
今日やれる形
次に金額を聞かれたら、その日のうちに、件名と幅と前提3項目だけの一通を送ってください。内訳が3行でも、お礼が一言でも構いません。完成した見積書より、早く届いた幅のほうが、相手の次の一歩を作ります。
よくある質問
概算見積と正式な見積はどう違いますか?
一般的な実務では、概算は条件が決まる前の目安、正式な見積は範囲と条件を固めたあとの確定額として分けて扱われることが多いです。メールの件名と本文で概算であることをはっきり書き、正式な見積を出す日も添えます。法的な定義ではなく、個別の契約の扱いは専門家に相談してください。
概算見積の金額はどのくらいの幅で書けばいいですか?
作業を3〜5個に分けて、それぞれの下限と上限を足します。私は、上限を下限の1.5倍前後までに収めると相手が決めやすいと考えています(公的な基準ではありません)。下限だけの「〇万円〜」や、目安にならないほど広い幅は避けます。
概算で出した金額から正式見積で上がってしまったら失礼ですか?
前提条件と金額が変わる条件を概算の段階で書いておけば、前提が変わったと説明できます。正式見積を送るときは、概算との差とその理由を自分から先に書いてください。
概算見積は見積書のファイルを添付したほうがいいですか?
概算の段階なら、本文に3〜5行の内訳を書くだけで足ります。書式を整えるために送るのが遅れると、相手の検討が止まってしまいます。見積書のファイルは正式版で作れば間に合います。
概算見積を送ったのに返事が来ないときはどうすればいいですか?
数日おいて、金額の幅が予算と大きく離れていないかだけを聞く短いメールを送ります。いきなり値引きを持ちかけず、合わなければ範囲を調整した案を出します。
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