対面営業・商談
フリーランスが暇で不安なとき|忙しくなる前に、次の当てを1つ作っておく
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
フリーランスが暇で不安なのは、腕が落ちたからではない
結論から言うと、暇な時期にまずやることは新規開拓ではありません。過去の取引先へ、仕事を頼まない近況の1通を送ることです。ここから3日以内に「次に会う予定」を1つ作るところまでを、この記事で順番に説明します。
暇な週に自分へ言い渡していること
手元の仕事が一段落して、次の予定が真っ白になる。連絡も来ない、問い合わせも来ない。そんな週が続くと、「呼ばれない=もう必要とされていない」という判決を自分に下してしまう人は多いです。
実際には、単に連絡の順番が回っていないだけかもしれません。それでも暇な時間の中では、悪いほうに考えが進みやすいものです。仕事の質や腕の話にすり替わり、「自分の実力が落ちたのでは」というところまで考えてしまうこともあります。問い合わせが来ない理由を自分の技術や単価のせいにしてしまうと、直しようのないところまで話が飛んでしまいます。
暇な週によくあるのは、スマートフォンの通知をひっきりなしに確認したり、同業者のSNSでの近況を見て焦りが強くなったりすることです。相手の投稿は忙しさの一部しか映っていないのに、自分の暇な状態とだけ比べてしまうと、差はさらに大きく見えてきます。
暇であることを人に知られたくなくて、忙しいふりをしてしまうこともあります。同業者に予定を聞かれてはぐらかしたり、空いている日にあえて外出の予定を入れたりする人もいます。ですが、忙しいふりをしたところで、次の仕事につながる連絡が増えるわけではありません。暇に見られたくない気持ちより、空いている時間をどう使うかのほうが、次の週を左右します。
このパターンに心当たりはないか
閑散期にやることで触れた目の前優先型かもしれません。営業がいつもあとまわしになり、自分が動かないと仕事が入らない、という人はこのタイプです。もしそうなら、つらいのは暇なことより、誰にも呼ばれていない自分を見ることかもしれません。
忙しいときは目の前の納品で手一杯になり、次の当てを作る時間が後回しになります。手が空いたとたんに不安だけが残るのは、この順番のせいです。会社員のように営業部があるわけではないので、自分で時間を作らない限り、この順番は変わりません。
暇は腕ではなく順番の問題
忙しい時期に次の当てを1つでも作っておけば、暇な週の不安は今より軽くなります。逆に言えば、いまの不安は腕の問題ではなく、忙しい時に営業の時間を取っていなかっただけです。
次も同じことの繰り返しになるかは段取り次第です。性格を変える必要はなく、段取りを1つ変えるだけで、暇な週の過ごし方は変わります。
新規より先に、もう一度動く相手を思い出す
暇な時期に焦って、知り合い全員に「お仕事あればぜひ」と送りたくなることがあります。ですが受け取った側は、仕事がなければ断る役を引き受けることになります。
フリーランス協会の「フリーランス白書2025」でも、最も稼げる獲得経路は1位「人脈」、2位「過去・現在の取引先」、3位「エージェントサービス」の順とされています。新規の営業よりも、すでに関係のある相手のほうが動きやすいということです。連絡する順番の作り方とそのまま使える文例は、仕事が途切れたときに、まず動く先にまとめています。
仕事を頼む1通と、頼まない1通とでは、相手の受け取り方がまったく違います。頼む1通は、返信の時点で相手に「受けるか断るか」の判断を強います。頼まない1通は近況を伝えるだけなので、返信するもしないも相手の自由です。判断を迫られない分、相手も気軽に返しやすくなります。
連絡すること自体は、多くの人がすでに知っています。むずかしいのは、連絡した後に何を目印にして「前に進んでいる」と感じるかです。ここが決まっていないと、1通送っただけでは安心につながりません。
この記事で掘り下げるのは、その先の話です。連絡した後、何をもって「前進した」とみなすか。ここが曖昧なままだと、送った後もまた不安に戻ってしまいます。
「次の当てを1つ作る」の意味|受注ではなく、会う予定を数える
当ての定義
「次の当て」というと、受注や契約を思い浮かべるかもしれません。ここでいう当ては、次に会う・話す予定が1つある状態のことです。仕事の約束ではなく、接点の約束です。
「来週火曜日に〇〇さんと30分話す」という予定が1つあれば、それで当ては1つです。受注していなくても構いません。
案件を数えると不安が増える
案件の数を基準にすると、ある日とない日とで気分が大きく揺れます。案件がない日が続くと、不安はそのまま積み上がっていきます。案件は相手の都合次第で決まるので、自分では増やしようがないところも不安の原因です。相手が決めることを自分の物差しにしている限り、この揺れはなくなりません。
接点の数を基準にすれば、自分の行動で増やせます。連絡を1本送れば、その時点で1つ増えるからです。増やせるものを数えるほうが、気持ちは落ち着きます。
数え方を変えると、同じ1週間がどう変わるか
たとえば、月曜に連絡を1本送り、水曜に返事が来て、来週火曜に話す約束ができたとします。案件だけを数える人にとって、この1週間は「受注ゼロ」のままです。接点を数える人にとっては、「当てが1つできた1週間」になります。起きたことは同じでも、何を数えるかで週の手応えは変わります。
3つではなく1つに絞る理由
暇な時期ほど、3人にまとめて連絡したくなります。ですが3人を同時に動かそうとすると、返信を待つ間に手が止まり、結局どれも進まないことがあります。
まず1人に絞って連絡し、その1人との予定が決まってから次に進みます。1つ動けば、残りは後から埋まっていきます。1人に絞っておけば、返信がなかった場合の次の一手も決めやすくなります。
当てが1つあると、次の日から何が変わるか
予定が1つ入ると、その日までにやることが自然に決まります。会う前に近況を整理したり、渡せる話題を用意したりと、空白だった時間に用事ができます。
案件がゼロのままでも、次に会う日が決まっているだけで、「呼ばれていない」という判決は一旦保留になります。保留にできれば、その間に次の連絡先を考える余裕も生まれます。1つの予定が、次の1つを呼び込む土台になります。
暇な週に、3日で次の当てを1つ作る手順
1日目:やりとりした相手を10人書き出す
この1年でやりとりした相手を10人、紙でもメモアプリでも書き出します。順番は、過去の取引先を先に、知り合いをあとに置きます。
2日目:10人のうち1人だけに、仕事を頼まない近況の1通を送る
10人全員ではなく、1人だけに送ります。内容は仕事の依頼ではなく、近況の共有です。誰に送るか迷ったら、いちばん連絡が途切れている相手からで構いません。
3日目:返事が来たら会う日を決める
返事が来たら、その場で会う日か話す日を決めます。来なければ、次の1人に同じ1通を送ります。
| 日 | やること | 終わりの目安 |
|---|---|---|
| 1日目 | やりとりした相手を10人書き出す(過去の取引先→知り合いの順) | リストが埋まったら終了 |
| 2日目 | 1人だけに仕事を頼まない近況の1通を送る | 送信して終了。返信は待たない |
| 3日目 | 返事が来たら会う日を決める。来なければ次の1人へ | 予定が1つ決まったら終了 |
NG例として、10人全員に同じ文面を一斉送信するやり方があります。一度に送ると、返信が重なって対応しきれなくなったり、使い回しだと伝わってしまうことがあります。1人ずつ、順番に送ってください。
返事が来ないときに考えること
1人に送って、2〜3日待っても返事が来ないことはあります。ここで「やっぱり必要とされていない」と結論を出す必要はありません。忙しくて後回しになっているだけかもしれませんし、タイミングが悪かっただけかもしれません。
催促する必要もありません。次の1人に同じ1通を送り、リストを進めます。10人のうち1人でも返事が来て、会う日が決まれば、その週の目的は達成です。返事が来なかった相手には、また別の機会に送ればいいだけの話です。
そのまま送れる文面3本と、送ってはいけない1本
過去の取引先へ
「〇〇さん、ご無沙汰しています。以前お納めした△△、その後いかがですか。近くまで行く用事があれば、また顔を出させてください。」
仕事は頼んでいません。納めたものの様子を聞くだけの1通です。
忙しい時に断った相手へ
「〇〇さん、以前は立て込んでいてお受けできず、申し訳ありませんでした。あのお話、その後どうなったか気になっていました。」
「あの時は受けられず」から始めると、断った件を蒸し返さずに再開できます。
昔の知り合いへ
「〇〇さん、お久しぶりです。最近△△という仕事をしています。そちらは変わりなくお過ごしですか。」
自分の近況を1つ、相手への話題を1つ。この2つで十分です。長く書こうとするほど、返信のハードルは上がります。
元請けや施主への一言でも同じです。
NG例:「お仕事あればぜひ」「何でもやります」
この2つの言い回しが重く読まれるのは、受け手に判断を丸投げしているからです。「何かあれば」と言われても、受け手は自分から仕事を思いつく必要が出てきます。近況を聞く1通のほうが、返信のハードルは低くなります。
一度この3日間をやってみると、次に暇な週が来たときの動き方が変わります。何もせず不安に耐える週ではなく、次の当てを作る週だと分かっているからです。会う約束が1つあるだけで、暇な週は「何もない週」から「準備をする週」に変わります。忙しくなってから思い出すのではなく、暇な今のうちに、1人にだけ連絡してみてください。
次の当てを作る動き方を営業の型として順番から整理し直したい場合は、フリーランスの営業のやり方もあわせて読んでみてください。
よくある質問
フリーランスが暇なときは何をすればいいですか?
新規営業より先に、過去の取引先へ仕事を頼まない近況の1通を送ります。3日で「次に会う予定」を1つ作ることを目安にしてください。
暇な時期に営業のメールを送るのは迷惑ではないですか?
「お仕事ありませんか」は受け手に断る役を押しつける形になるので重く届きます。納めたものの様子を聞くだけの1通なら、迷惑になりにくいです。
フリーランスの暇な期間はどのくらい続くと危ないですか?
期間の長さでは判断しません。「次に会う予定が0」の状態が続いていることが問題なので、予定を1つ作れば状態は変わります。
暇なときはエージェントに登録すべきですか?
フリーランス白書2025では、稼げる獲得経路は人脈・過去や現在の取引先が上位とされています。先に人脈と取引先へ連絡し、エージェント登録は並行で進めれば十分です。
参照した情報源
- 「フリーランス白書2025」を発表〜フリーランスの実態・ホンネが明らかに〜(フリーランス協会)・確認日 2026-09-17
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