紹介営業
サラリーマンが法人向け紹介営業を副業で始める方法(クロージング不要・聞く力があれば始められる)
このシリーズの全体像 継続報酬・ストックビジネス 完全ガイド
サラリーマンが法人向け紹介営業を副業で始める4ステップ
最初に結論を出します。順番はこの4つです。

- 勤務先の就業規則を確認する
- 扱う商材を1つに絞る
- 商材元と紹介契約を結ぶ
- 自分の人脈リスト20社を書き出して当たる
①就業規則の確認が最初に来る理由は単純です。ここを飛ばすと、後の努力がすべて無駄になるリスクがあるからです。厚生労働省のモデル就業規則は、労働者の遵守事項から「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が削除され、副業・兼業について新たな規定が設けられました。国の指針は副業を後押しする方向に変わっています。ただし、これはあくまで国のモデル規則の話です。自分の勤務先の就業規則が同じように改定されているとは限りません。必ず自社の規則を自分の目で読んでください。解釈に迷う場合は、社内の人事担当者や社会保険労務士など専門家に確認することをおすすめします。
②商材を1つに絞る。最初から2つ3つ持ちたくなりますが、やめたほうがいいです。商材が複数あると、それぞれの説明が浅くなり、結局どれも紹介先に刺さりません。基準はシンプルで、「自分が今の仕事で使っていて、良さを自分の言葉で説明できるもの」を選ぶことです。使ったことのない商材を紹介するより、実感のある商材を紹介するほうが、話の説得力が違います。
③紹介契約を結ぶ。紹介(取次)代理店は、契約者があくまで商材元の会社で、自分は紹介手数料を受け取る軽量なモデルです。在庫を持つことも、請求書を発行することもありません。ここで大事なのは、契約書を交わす前に紹介を始めないことです。
④人脈リスト20社。いきなり知らない会社に飛び込む必要はありません。前職の同僚、取引先、同業の知人など、「相手が自分を知っている会社」を20社書き出すところから始めます。書き出してみると、思っていたより名前が出てくるものです。
NG例を1つ挙げます。契約書を交わす前に、知人を商材元へ紹介してしまうケースです。誰の紹介で成約したかを証明する手段がなく、後になって手数料が支払われないというトラブルにつながります。契約はステップ③で必ず先に済ませてください。
なぜ「営業スキル不要」で成立するのか——紹介営業と代理店営業の違い
代理店向け営業と直販営業は、目的がそもそも違います。直販営業は自社の商品を顧客へ直接売り、導入してもらうことが目的です。一方、代理店向け営業は、代理店に商品を売ってもらうことが目的です。副業で紹介営業をする人は、この「代理店」側に立ちます。

取次・紹介型は契約主体が商材元になるため、クロージング・見積・契約は商材元が担当するケースが多いです。ただし導入サポートや商談同席の要否は契約により異なるため、契約書で自分の役割範囲を確認してください。副業側の仕事は、「困っている会社と、それを解決できる会社をつなぐ」ところまでです。ここが、営業経験がなくても始められると言われる理由です。
似た言葉に販売代理店(再販モデル)があります。こちらは自分が契約の主体になるため、価格交渉もクレーム対応も自分に来ることが一般的です。副業として最初に選ぶなら、取次・紹介型のほうが負担は軽いです。商材元によっては、複数の紹介者・代理店を管理する仕組みを持っていることもあります。これはPRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)と呼ばれます。商材元側の仕組みなので、副業側が使いこなす必要はありません。
ただし「スキル不要」の意味を取り違えると失敗します。クロージング技術は不要ですが、相手の困りごとを聞き取る力と、それを商材元へ正確に引き渡す力は必要です。ここを飛ばして商材名だけを伝えると、「紹介したのに全部断られる」という状態になります。
マージン水準の目安は、成約金額の10〜20%です。これは中小企業のBtoBでよく見られるレンジで、商材の原価率・サポート工数・販促支援の有無によって大きく変わります。契約前に必ず、自分が扱う商材のマージン率を書面で確認してください。
始める前に必ず確認する5項目
副業を始める前に、次の5つを順番に確認してください。判断に迷ったら、副業と紹介営業の始め方の考え方に立ち返ると整理しやすくなります。
- 就業規則の副業条項
- 勤務先の顧客情報・名刺を使っていないか
- 勤務先と競合しない商材か
- 本業時間中に活動していないか
- 確定申告の要否
このうち②が最大の地雷です。勤務先で得た顧客リストや商談情報を副業に流用するのは、就業規則がどうこう以前の問題です。使ってよいのは、学生時代・前職・地元のつながりなど、勤務先と切り離せる関係だけです。
③の競合判定は、「同じ課題を解決する商材かどうか」で見ます。カテゴリ名が違っていても、顧客の予算を取り合う関係にあれば、競合として扱われる可能性があります。判断に迷う場合は、契約前に勤務先へ確認するほうが安全です。
④は商材選びにも関わります。打ち合わせが平日の昼にしか組めない商材は、サラリーマンの副業と相性が悪いです。オンライン商談に対応している商材元を選んでください。
⑤の確定申告について、給与を1か所から受けて年末調整を受けている場合、給与所得・退職所得を除く各種所得金額(収入から必要経費を差し引いた金額)の合計が20万円を超える人は、確定申告が必要です。紹介手数料による所得もここに含まれます。年20万円を超えそうだと分かった時点で、入金と経費の記録を取り始めてください。給与の受け方によって条件は変わるため、税務の個別の判断は、税理士など専門家に相談することをおすすめします。
扱う商材の選び方——「継続手数料が入るか」で決める
商材選びは、次の5つの軸で見ます。

| 判断軸 | 見るポイント |
|---|---|
| 手数料が単発か継続か | 継続型は紹介が積み上がるほど本業と両立しやすい |
| 紹介後に自分が動く工数 | 工数が多いほど本業と衝突しやすい |
| 商談のオンライン可否 | 平日昼限定の商材は副業と相性が悪い |
| 紹介先がすぐ困っているテーマか | 緊急度が低いと商談化までが長引く |
| 商材元の担当者と直接連絡が取れるか | 進捗が見えないと紹介先への面目が立たない |
単発型(機器の一括販売など)は、1件成約すればそこで終わりです。一方、継続手数料型(月額サービス・保守契約など)は、紹介が積み上がるほど収入が積み上がっていきます。継続的に収益が積み上がるレベニューシェア型の考え方を理解しておくと、単発型と継続型のどちらを優先すべきかが判断しやすくなります。
副業で持てる商談数には限りがあります。だから、1件あたりの手数料額よりも、「1件が何ヶ月続くか」を先に見てください。
NG例として、手数料率の高さだけを見て、成約率が極端に低い高額商材を選んでしまうケースがあります。率が20%でも、成約がゼロなら収入もゼロです。
もう1つ実務的なポイントを挙げます。商材元の担当者と直接LINEやチャットでつながれるかどうかは、効率を大きく左右します。取次いだ後に進捗が見えない商材は、紹介先への面目が立ちません。契約前に、担当者との連絡手段を確認しておいてください。継続型の商材では、途中解約時に手数料を差し戻すクローバック条項が契約に含まれていることもあるので、契約書の細部まで確認してください。
最初の1件をつくる——「売り込まない紹介」の会話の型
紹介の会話は、次の順番で進めます。

- 近況を聞く
- 困りごとが出たら深掘りする
- 「それ、詳しい人がいるので一度話だけ聞いてみますか」で止める
- 商材元へ引き渡す
本体は②の深掘りです。聞くのは3つだけです。「いつから困っているか」「今どう対処しているか」「放置するとどうなるか」。ここを聞かずに商材名を先に出すと、それは紹介ではなく売り込みになります。
③では、「契約してほしい」とは言いません。紹介する側の役割は、話す機会をつくるところまでです。ここで契約を迫ると、相手は身構えます。
引き渡しのとき、商材元へ渡す情報は次の5点です。
- 会社名
- 担当者の役職と決裁権
- 困っている内容(相手の言葉のまま)
- すでに検討している他社があるか
- 連絡してよい時間帯
NG例です。紹介した相手に、自分から見積を出してしまうケース。取次型では、価格を語る権限は自分にありません。値引きの話が出たら、「それは担当から」と必ず商材元に戻してください。
断られた場合の対応も、あらかじめ決めておきます。「今じゃない」は不成立ではありません。半年後の再訪リストに入れておけば、それだけで次の商談機会になります。
紹介された側は何を見ているか——受け手目線の落とし穴
ここまでは紹介する側の手順です。しかし実際に成否を分けるのは、紹介された側が何を見ているかだと考えています。紹介先の社長や担当者は、商材の中身より先に、「誰が紹介してきたか」を見ています。
受け手が警戒するパターンは主に3つです。
- 急に連絡してきた昔の知人
- 相手の事業を調べずに、商材の話から入ってくる
- 自分の紹介料の話を隠すそぶりがある
対策はシンプルです。紹介料を受け取る立場であることを、先に伝えます。「自分は紹介料をもらう形なので、合わなければ断ってもらって大丈夫です」と言ったほうが、むしろ話は早く進みます。隠すより明かすほうが、相手の警戒を解きます。
もう1つ大事な視点があります。紹介した後、商材元の対応が悪いと、失われるのは商材元の信用ではなく、紹介した自分の信用です。だから商材元の対応品質は、契約前に自分で確かめておくべきです。具体的には、自分が一度、客として問い合わせてみることをおすすめします。
つながりが持つ価値は、仕事の紹介だけにとどまりません。副業人材を受け入れた企業の55.6%が、「(他社の)副業人材が自社に転職してきたことがある」と回答しているというデータもあります。これは企業内で働く副業人材についての調査で、紹介営業とは形態が異なる点には注意してください。ただ、副業を通じてできたつながりが、仕事の紹介以外の形で本業のキャリアに影響することもあります。
収入の見立てと、続かない人がやめる理由
副業の平均時給は3617円で、2025年調査では前回の2023年調査から24%上昇しました。時給の中央値は2083円です。紹介営業は時給で測る仕事ではありませんが、「本業の可処分時間をこの水準以上に使えているか」を考える目安にはなります。
中小企業のBtoBでは10〜20%というレンジがよく見られます(業界横断の公的統計ではない)。成約金額が大きい商材ほど、1件あたりの手数料額も大きくなります。ただし、これは成約率と商談数を掛け合わせないと、実際の月収にはなりません。
ここは正直に書いておきます。紹介営業の副業で個人がいくら稼いだかという公的な統計や、大手メディアの実データは見つかりませんでした。ネット上に出回る「月◯万円」系の数字は、根拠が確認できないものが多いです。この記事でも、個人の収入額を断定する数字は書きません。
続かない人には共通点があります。
- 最初の3ヶ月で成約が出ずに止めてしまう
- リストを作らず、思いついたときだけ連絡する
- 商材を毎月変えてしまう
一方で、始める側の環境は整ってきています。正社員の副業実施率は2025年調査で11.0%となり、2018年の調査開始以来最高となりました。特に20代男性の実施率は20%で、2023年比11ポイント増えています。副業を容認する企業の割合も64%と過去最高です。環境が整ってきたことと、実際に成果が出るかどうかは別の話ですが、始めやすさという意味では、以前より条件は良くなっています。
3ヶ月の立ち上げスケジュール(週の使い方まで)
最後に、実際の動き方を月単位で示します。
1ヶ月目:就業規則を確認する。商材を1つ決める。紹介契約を結ぶ。商材元の資料を読み込み、自分の言葉で3分で説明できる状態にする。
2ヶ月目:人脈リスト20社を書き出し、優先順位をつける。週2社ペースで連絡する。連絡は平日夜と土日に集中させる。
3ヶ月目:初回の引き渡しを回す。同時に、断られた理由を1件ずつ記録する(値段/時期/既に他社で検討中/必要ない、のどれか)。
週の使い方の例としては、平日夜30分をリスト整理と連絡に使い、土日のどちらかで2時間を商談・打ち合わせに充てる形が現実的です。本業の時間中に副業活動をしないことは、就業規則の観点からも徹底してください。
記録するものは、連絡日・相手・反応・次のアクション日の4つで十分です。表計算ソフト1枚あれば足ります。最初からツールを揃える必要はありません。
3ヶ月で成約がゼロでも、それだけで撤退を決める必要はありません。撤退を判断する基準は、「商談の場に至った件数がゼロかどうか」です。商談自体がゼロなら、商材の選び方かリストの当たり方に原因がある可能性が高いです。そこを見直してから、続けるかどうかを判断してください。
よくある質問
会社に副業がバレずに紹介営業をやることはできますか
隠す前提で勧めません。厚生労働省のモデル就業規則は改定され、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が削除され、副業・兼業の規定が新設されています。まず自社の就業規則を確認し、必要なら届出を出してください。勤務先の顧客情報や名刺を使うのは、規則以前の問題として避けてください。判断に迷う点があれば、社会保険労務士など専門家に相談してください。
紹介営業の副業は確定申告が必要ですか
給与を1か所から受けて年末調整を受けている場合、給与所得・退職所得を除く各種所得金額(収入から必要経費を差し引いた金額)の合計が20万円を超えると、確定申告が必要です。紹介手数料による所得もここに含まれます。手数料が発生し始めたら、入金と経費の記録を最初から取っておいてください。給与の受け方によって条件は変わるため、個別の判断は税理士など専門家に相談してください。
紹介手数料の相場はどれくらいですか
取次・紹介代理店は、成約金額の10〜20%が中小企業のBtoBでよく見られるレンジとされています。ただし商材の原価率・サポート工数・販促支援の有無によって大きく変動します。業界横断の公的統計ではないため、契約前に必ず個別の条件を書面で確認してください。
営業経験がなくても法人向け紹介営業はできますか
取次・紹介型なら、契約者は商材元の会社で、紹介者は手数料を受け取る立場です。見積・契約は商材元が担当するケースが多く、クロージング技術は不要です。ただし導入サポートの範囲は契約により異なるため、事前に確認してください。相手の困りごとを聞き取り、商材元へ正確に引き渡す力は必要になります。
人脈がなくても紹介営業の副業は始められますか
ゼロからの新規開拓は、副業の時間では厳しいです。まず前職の同僚・取引先・同業の知人など、「相手が自分を知っている20社」を書き出すところから始めてください。書き出してみると、思っていたより名前が出てくることが多いです。
参照した情報源
- 「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」を発表 副業実施率、企業の副業容認率・受入率が過去最高(株式会社パーソル総合研究所(PR TIMES))・確認日 2026-08-03
- 副業時給は平均3617円 容認企業は64%、パーソル調査(日本経済新聞)・確認日 2026-08-03
- 副業・兼業の促進に関するガイドラインについて(厚生労働省)・確認日 2026-08-03
- No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)・確認日 2026-08-03
- BtoB代理店開拓の方法|中小企業が自社営業の限界を超える5ステップ(COMTRI)・確認日 2026-08-03
- BtoBの代理店営業とは?直販営業との違いやポイントを解説(エムオーテックス株式会社(セキュリティ対策Lab))・確認日 2026-08-03
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