紹介営業
継続報酬型の紹介手数料、BtoBの相場と契約前チェック5項目
このシリーズの全体像 継続報酬・ストックビジネス 完全ガイド
BtoBの紹介手数料、継続報酬型の相場は「継続金額の20%」が基準線
BtoBの紹介手数料には大きく二つの型がある。契約が決まった時点で一度だけ払う「成果報酬型」と、顧客が使い続ける限り毎月払われる「継続報酬型(レベニューシェア)」だ。

まず結論から。成果報酬型(一括)の相場は販売価格の10〜20%、継続報酬型は顧客の継続金額の20%が目安とされている。別の解説では、ストック型(継続課金に近い型)の手数料率は商品価格の20〜30%程度に置かれることが多いとされる。ただしS1は「継続金額」、S4は「商品価格」を母数にした数字で、そのまま重ねて比較できるものではない。相場には解説によって幅があると見ておいたほうがいい。
相場表の数字も鵜呑みにしないほうがいい。才流社が2023年5月に行った調査では、紹介手数料が「20%未満」と回答した企業が半数以上だった。相場表に出てくる数字より、実際に支払われている率は低めに寄っている。
プラットフォーム経由だと下限が5%まで広がり、振れ幅が大きくなる。ビジネスマッチングサービスの成果報酬型は契約金額の5〜20%程度、月額掲載型は月額1万〜10万円程度が相場だ。上限の20%は対面での相場と同水準だが、システムが仲介する分、下限側の余地が広がると考えていい。
| 型 | 相場 | 出典 |
|---|---|---|
| 成果報酬型(一括) | 販売価格の10〜20% | |
| 継続報酬型(レベニューシェア) | 継続金額の20% | |
| ストック型(別解説) | 商品価格の20〜30% | |
| マッチングサービス成果報酬型 | 契約金額の5〜20% | |
| マッチングサービス月額掲載型 | 月額1万〜10万円 |
※「相場」の母数は出典ごとに継続金額・商品価格・契約金額などバラバラなので、数字だけを横並びで比較しないほうがいい。
ここで注意したいのは、一括型と継続型を単純な率だけで比べないことだ。母数を月額利用料と置いた場合、月額10万円のSaaSを紹介したとして、一括型の20%なら2万円が一度だけ入る。継続型の20%なら月2万円が、顧客が使い続ける限り毎月入る。同じ「20%」でも、回収できる総額はまったく違う数字になる。率を見た瞬間に良し悪しを判断せず、後述する期間の条件までセットで見る必要がある。
対面の商談では、こんな聞き方が有効だ。「継続報酬でお願いしたいのですが、率は継続金額の何%を想定されていますか」とまず率を聞き、続けて「その率は何ヶ月分いただけるものですか」と期間まで確認する。率だけ聞いて満足してしまう人が多いが、期間まで聞いて初めて条件同士の比較ができる。
「20%」の数字だけ見て契約すると外す。3つの変数で実額は変わる
継続報酬型の「20%」は、契約書に書かれる条件次第で実際の手取りが数倍変わる。見るべき変数は3つある。

変数1:料率のかかる母数 「販売価格」にかけるのか「顧客の継続金額」にかけるのか。税抜か税込か。初期費用やオプション料金を含むか、値引き後の実請求額を使うか定価を使うか。同じ「20%」という数字でも、母数の定義が違えば実額は変わる。
たとえば月額10万円のSaaSで、初期費用30万円が別途かかる契約があったとする。母数を「月額利用料のみ」とするか「初期費用込み」とするかで、初月に発生する紹介手数料は数万円単位で変わる。契約書に「継続的な月額利用料金の20%」とだけ書かれていて初期費用の扱いが書かれていないなら、そこは必ず質問する。書かれていない項目は、支払う側に有利な解釈をされやすい。
変数2:支払い期間 無期限で払われるのか、12ヶ月・24ヶ月で打ち切られるのか。ここは相場情報にはほとんど出てこないが、実額への影響は料率より大きい。24ヶ月で打ち切られる20%は、無期限で払われる10%より受取総額が少なくなることがある。
変数3:発生条件 契約が締結された時点で発生するのか、入金が確認されてから発生するのか。実際の契約書の条項例では、契約締結に至った顧客一人当り5万円を払う定額型と、売上金額の入金が確認された後に売上金額の5%を払う入金確認後型が挙げられている。どちらが主流かは分からないが、率ではなく人数×固定額で組む契約もあるということだ。
NG例を挙げる。「売上の20%を払います」とだけ口頭かメールの一文で決めて、母数・期間・発生条件のどれも決めない。この状態で紹介を進めると、初回の支払いのタイミングで「思っていた額と違う」という揉め方をする。相場の数字を知っているかどうかより、この3つの変数を契約前に埋めているかどうかが手取りを決める。
契約前チェック5項目(このまま契約書と照合する)
紹介を受ける前に、次の5項目を契約書と照らし合わせる。

①料率と母数:何の何%か。継続金額ベースか販売価格ベースか。税抜・税込のどちらか。初期費用・オプション・値引き後価格をどう扱うか。
②支払い期間と終了条件:何ヶ月支払われるか。顧客が解約したら紹介手数料も止まるか。紹介した側が事業をやめた場合はどうなるか。
③発生タイミング:契約締結時に発生するか、入金確認後に発生するか。入金確認後型を選ぶ場合は、未入金や分割入金が起きたときの扱いも契約前に決めておいたほうがいい。
④紹介の定義と重複時の帰属:どこまで動いたら「紹介した」ことになるか。同じ顧客に他のルートからも接触があった場合、成果は誰のものになるか。
⑤支払いサイクルと明細:月次か四半期か。継続金額をこちらが確認できる明細が出るか。明細が出ないなら、支払われた額が正しいかどうかを検証する手段がない。
契約担当者にそのまま聞ける質問例をまとめると、次のようになる。
・「この20%は税抜・税込どちらの金額に対してですか」 ・「顧客が月の途中で解約した場合、その月の分は日割りになりますか、それとも発生しませんか」 ・「入金が翌月にずれた場合、手数料の支払いも翌月にずれますか」 ・「同じ顧客に他の代理店からも接触があった場合、どちらの紹介として扱われますか」 ・「月次の明細には、顧客ごとの継続金額が記載されますか」
これをそのまま担当者にぶつけてみて、即答できない項目があれば、そこは契約書にまだ明文化されていない可能性が高い。
この5項目を1枚の表にして、契約書のどの条文が対応するかを埋めていく。埋まらない欄があれば、そこがそのまま交渉すべきポイントになる。
| チェック項目 | 契約書の該当条文 | 埋まっているか |
|---|---|---|
| ①料率と母数 | ||
| ②支払い期間と終了条件 | ||
| ③発生タイミング | ||
| ④紹介の定義と重複時の帰属 | ||
| ⑤支払いサイクルと明細 |
揉めるのは金額の大小ではなく「認識のズレ」
紹介手数料は少額であることが多いため訴訟が難しく、事前のリスクヘッジが重要だとされている。裁判で取り返せる前提が立たない金額感だからこそ、揉めないための準備が必要になる。
特に建設業やホームページ制作の分野では、「認識のズレ」がトラブルに発展しやすい傾向がある。案件ごとに条件が変わりやすい業種ほど、口頭の約束が食い違ったまま進みやすいと考えられる。
継続報酬型はこのズレの影響が長引く。一度きりの成果報酬なら、揉めても被害は1回分で済む。継続報酬型は毎月同じズレが繰り返され、12ヶ月・24ヶ月と積み上がってから初めて総額の差に気づくことになる。
対策はシンプルだ。対面で条件を握ったら、その日のうちに文面にして送り、相手からの返信をもらう。「本日お話しした通り、継続報酬は◯%、支払い期間は◯ヶ月、発生は入金確認後という認識で相違ないでしょうか」とメール1本送るだけで、「言った・言わない」を防ぐ記録になる。口頭で「長く払うから」と言われたときは、それが何ヶ月を指すのか数字で確認する。期間の言質が取れないまま紹介を進めないほうがいい。契約書の具体的な文言や紛争時の対応は、個別に弁護士など専門家に相談を。
人材紹介の上限制手数料と比べると、BtoB紹介の自由度が分かる
紹介手数料に上限規制がある業界もある。有料職業紹介事業(人材紹介)の手数料には「上限制手数料」と「届出制手数料」の2つの制度があり、ここでいう上限は上限制を選んだ場合の話だ。上限制手数料は6ヶ月分の賃金の11.0%(免税事業者は10.3%)、求人・求職受付手数料は710円(免税事業者は660円)と法律で定められている。この上限を超えた手数料の徴収は違法であり、6ヶ月以下の拘禁刑(旧・懲役)または30万円以下の罰金に処せられる可能性がある。
ここで押さえておきたいのは、この規制は「有料職業紹介事業」向けの制度だという点だ。一般的なBtoBの顧客紹介・代理店紹介に、この上限がそのまま適用されるわけではない。
ただし、これは「BtoBの紹介手数料には何の規制もない」という意味ではない。人材紹介の上限制手数料のような「一律の上限規制」は用意されていない。宅地建物取引業法・弁護士法・医療機関の療養担当規則など、業法側で紹介料そのものを制限・禁止している分野は別にある。自分が扱う商材がこうした業法の対象になっていないかは、紹介を始める前に弁護士など専門家に相談しておいたほうがいい。
これらの規制対象に当たらない一般的なBtoB紹介であれば、国があらかじめ上限を決めてくれる制度はない。契約書に書いた条件が実質的な防具になる。相場より高い率を提示されても違法にはならないし、逆に相場より著しく低い率で受け入れてしまっても誰も助けてくれない。
料率を上げる交渉より先に、母数と期間を取りにいく
相場が20%だと分かると、つい料率を上げてもらえないかと交渉したくなる。だが総額へのインパクトが大きいのは、料率よりも支払い期間だ。

試算してみよう。母数を継続金額と置いた場合、同じ商材を同じ20%という料率で紹介したとする。支払い期間が12ヶ月で打ち切られる契約と24ヶ月続く契約とでは、受取総額は単純に2倍の差がつく。無期限に近い形で3年ほど継続すれば、さらに積み上がる。率が同じでも、期間の条件だけで受取総額はまったく違う数字になる。料率交渉に力を使う前に、まず期間を確認したほうがいい理由はここにある。
母数の交渉も同様に効果が大きい。「値引き後の実請求額」を母数にしていた契約を「定価」ベースに変えられれば、値引きの多い商材ほど受取額は増える。まずは母数の定義がどちらになっているかを確認するところから始める。
相手が料率を下げたがっているときは、率を守ることにこだわらず、期間や母数で取り返す提案をするといい。「率か期間か」の二者択一にせず、条件の組み合わせで着地点を探るほうが交渉はまとまりやすい。
率だけ高くて、母数と期間が契約書に明記されていない話には乗らないほうがいい。30%という数字が魅力的でも、母数と期間が曖昧なら実際の手取りは読めない。20%でも母数と期間が明確な契約のほうが、結果的に手取りが多いことは十分にある。
継続報酬は「紹介した後」に働きが求められる
継続報酬型は、紹介して終わりの一括型とは前提が違う。顧客の継続金額に自分の収入が連動する以上、顧客が使い続けてくれないと収入も止まる。紹介した瞬間がゴールにならない。
だからこそ、導入後にどこまで関わるかを契約時に決めておく必要がある。紹介後は一切関わらないなら、料率が低く提示されても仕方がない部分がある。逆に、導入後のフォローや利用継続の後押しまで担うなら、その働きを根拠に料率交渉ができる。
毎月の働きとして考えられるのは、たとえば顧客への定期的な状況確認の連絡、活用が滞っていないかのフォロー、追加のニーズが出たときに導入先の担当者へつなぐ橋渡しなどだ。何をするかを具体的に言葉にできれば、それ自体が料率交渉の材料になる。
顧客の解約状況や利用状況が見えない契約もある。この場合、ある月から急に報酬が減っても、理由を確認する手段がない。契約前に、明細をどこまで共有してもらえるかを決めておくべきだ。
メーカー側が継続金額の20%を払うのは、紹介者が顧客との関係を維持してくれることを期待しているからだと考えられる。報酬の受け取り方を決めるときは、「自分が毎月何をするのか」を1行で言えるかどうかを基準にするといい。言えないなら、継続報酬型より一括型で受け取るほうが誠実な設計だ。
よくある質問
BtoBの継続報酬型(レベニューシェア)の紹介手数料は何%が相場ですか?
顧客の継続金額の20%が目安。ストック型は商品価格の20〜30%程度とする解説もある。ただし才流社の2023年5月調査では『20%未満』と回答した企業が半数以上で、実際の支払いは相場表より低めに寄る。
継続報酬はいつまで払われますか?無期限が普通ですか?
決まりはなく、契約次第。12ヶ月・24ヶ月で打ち切る例も無期限の例もある。期間の記載がないまま紹介すると後で揉めるため、月数を必ず数字で確認する。
紹介手数料は契約が決まった時点でもらえますか?入金後ですか?
どちらもある。契約書例では『売上金額の入金が確認された後、売上金額の5%』と入金確認を条件にしている。入金後型なら、未入金・分割入金のときの扱いも決めておく。
紹介手数料に法律の上限はありますか?
有料職業紹介事業(人材紹介)の手数料には『上限制』と『届出制』の2制度があり、11.0%(免税事業者は10.3%)は上限制を選んだ場合の上限。超過徴収は6ヶ月以下の拘禁刑(旧・懲役)または30万円以下の罰金の可能性がある。一方、一般的なBtoBの顧客紹介・代理店紹介にこの上限がそのまま適用されるわけではないが、宅建業法・弁護士法・医療の療担規則など、業法側で紹介料自体を制限・禁止する分野は別にある。個別の判断は専門家に相談を。
紹介手数料が払われないとき、訴訟で回収できますか?
紹介手数料は少額であることが多く訴訟が難しいため、事前のリスクヘッジが重要とされる。回収より、契約書と書面での条件確認で発生させない側に力を割く。個別の判断は弁護士に相談を。
参照した情報源
- 代理店への手数料の設計とは?相場や契約形態ごとのマージンをご紹介(パートナーサクセス株式会社)・確認日 2026-08-02
- 顧客紹介手数料契約書のリーガルチェックポイント|中小企業法務(波戸岡光太(弁護士))・確認日 2026-08-02
- 職業紹介サービスの最適な手数料はいくら?上限や相場を解説(マイナビ(tameni))・確認日 2026-08-02
- 代理店の手数料マージンの設計方法!相場や決め方をプロの経験者が解説!(パートナープロップ)・確認日 2026-08-02
- ビジネスマッチングサービスの手数料相場は?おすすめのサービス10選も紹介(オンリーストーリー株式会社)・確認日 2026-08-02
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