対面営業・商談

料金表の作り方|値段を聞かれたときに、相手を迷わせない書き方

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このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

料金表が作れないのは、書き方を知らないからではない

「いくらですか」と聞かれて、言葉に詰まったことはないでしょうか。頭の中には金額があるのに、口に出す直前で迷いが生まれ、「だいたいこのくらいで…」と濁してしまう。相手の顔を見て、思っていたより低い数字を口にした経験がある人も多いはずです。

LINEで聞かれたときも同じです。既読をつけたまま、返信の文面を何度も打ち直す。安めの数字を送って、すぐに「安すぎたかもしれない」と思う。その場をしのいだつもりが、次に同じ仕事を頼まれたときも、同じ低い金額を期待される形で返ってきます。

料金表が作れないのは、エクセルの操作が苦手だからでも、相場が分からないからでもありません。金額を口に出すたびに、自分の値段を言っている気がするからです。

これは値段が言えない型かもしれません。金額を言うことが自分の値打ちを言うことになっていて、口に出せない型です。腕には自信があっても、数字を差し出す瞬間だけ足がすくむ、という状態です。

先に一つだけ渡しておきます。値段は自分の価値の点数ではなく、仕事の条件です。安く言えば謙虚に見えるわけでも、高く言えば図々しく見えるわけでもなく、範囲と回数と期限を決めた、ただの条件です。相手も、値段そのものより「何にいくらかかるか」を知りたがっていることのほうが多いものです。

料金表を作らないまま仕事を続けていると、聞かれるたびに金額がぶれていきます。相手によって高めに言ったり安めに言ったりを繰り返すうちに、自分でも「今の適正な金額」が分からなくなっていきます。料金表は、この言いにくい金額を毎回その場で言わなくて済むように、先に紙に置いておく道具です。一度作ってしまえば、次に聞かれたときは口で説明する代わりに渡すだけで済みます。

相手が迷う料金表と、迷わない料金表の違い

料金表には、相手を迷わせるものと、迷わせないものがあります。違いは金額の大小ではなく、中身を分けているかどうかです。

一式表記と内訳分けの料金表を左右比較する図

迷わせる例はこうです。

「ロゴ制作 一式◯万円」

これだけだと、相手は高いか安いかしか判断できません。何にいくらかかっているのか分からないので、聞けることが「もう少し安くなりませんか」しか残らないのです。写真撮影でも同じことが起きます。「撮影 一式◯万円」とだけ書かれていると、相手はカット数が何枚なのか、修整が含まれるのか、データはどう渡されるのかが分からないまま、金額の印象だけで判断することになります。

迷わせない例はこうなります。

  • 基本料金:◯案提案・修正◯回まで込みで◯万円
  • 追加修正:1回につき◯円
  • 急ぎ対応:通常納期より早める場合は+◯円

写真撮影であれば、次のような分け方になります。

  • 基本料金:撮影◯時間・データ◯カット込みで◯万円
  • 追加カット:1カットにつき◯円
  • 出張料:会場までの移動が必要な場合は+◯円

中身を分けると、相手は「基本のままでいくか」「修正を増やすか」「急ぎにするか」を選べるようになります。金額の話ではなく、範囲を選ぶ話に変わるのです。

もう一つ、ありがちな失敗が「総額だけ口頭で伝えて、あとから内訳を送る」というやり方です。先に総額を聞いた相手は、その数字を基準に考え始めているので、あとから内訳を見せても「結局いくらなのか」という感覚のほうが強く残ります。順番は逆で、先に内訳を見せてから、必要なら総額をまとめて伝えるようにします。

比較総額だけの料金表中身を分けた料金表
相手が聞けること「安くなりませんか」だけ「この範囲ならいくらですか」
値下げを頼まれたとき総額を削るしかない修正回数や範囲を削って合わせられる
追加の仕事が出たときいくら請求していいか分からず、無料になりがちオプション欄に足すだけで済む

金額を1つの数字にまとめてしまうと、値下げの相談も追加の相談も、全部「総額をどうするか」という一点に集中します。中身を分けておくと、相談の入口が増える分、総額そのものを削らずに済む場面が増える、というのが実務での感覚です。

料金表に入れる5つの項目と、並べる順番

料金表に入れる項目は、次の5つで足ります。

料金表の5項目を上から並べる順番を示すフロー図

  1. 基本料金
  2. 基本料金に含まれるもの(回数・納品物・期間)
  3. オプション
  4. 含まれないもの
  5. 支払い条件・有効期限

並べる順番は、基本料金 → 含まれるもの → オプションの順にします。理由は単純で、相手はまず「最低いくらで頼めるか」を知りたいからです。オプションから見せてしまうと、相手は全体の金額感をつかめないまま、細かい選択を先に迫られることになります。

「基本料金に含まれるもの」は、回数・納品物・期間の3点で書くと具体的になります。「修正2回まで」だけでなく、「納品はPDFとデータ一式」「ご依頼から◯日以内に納品」まで書いておくと、相手は自分の予定と照らし合わせて判断できます。

見落としやすいのが、4番目の「含まれないもの」です。ここを書かずに料金表を作ると、あとで想定外の作業が出たときに追加費用を言い出せず、そのまま無料で引き受けることになりがちです。「印刷用データへの変換は含まれません」「取材にかかる交通費は含まれません」のように最初から書いておけば、その場で断る必要がなくなります。断るのではなく、最初から線を引いておく、という考え方です。

5番目の支払い条件・有効期限も抜けやすい項目です。「着手時に半額、納品時に残り半額」「この金額は発行日から◯日間有効」のように書いておくと、あとから支払いのタイミングでもめることも、時間が経ってから同じ金額で頼まれることも防げます。有効期限がないと、半年前に出した見積もりの金額のまま依頼が来て、材料費や自分の単価が変わっているのに断りづらい、という場面も起きます。

「含まれるもの」と「オプション」の線引きに迷ったら、判断基準は一つです。ほとんどの依頼で必ず発生するものは「含まれるもの」、依頼によってあったりなかったりするものは「オプション」に置きます。すべての案件が一点ものだとしても、この線引きさえ決めておけば、基本部分だけは固定できます。毎回ゼロから金額を考える必要がなくなり、変わる部分だけをそのつど足したり引いたりすればよくなります。

エクセルとスマホで料金表を作る手順

エクセル(スプレッドシートでも可)で作る場合

項目・内容・金額・備考の4列で作る表のレイアウト例

列は「項目・内容・金額・備考」の4列だけにします。それ以上増やすと、作る側も見る側も迷います。

1行に1項目を入れます。「基本料金」の行、「追加修正」の行というように分けて、1つのセルに複数の情報を詰め込まないようにします。項目名は「一式」のような曖昧な言葉ではなく、「ロゴ制作(基本)」「名刺デザイン」のように、何を指しているかが一目で分かる言葉にします。

セルの結合や色分けは使いすぎないようにします。見栄えを整えたくなりますが、色を増やすほど、どこが重要な数字なのか分かりにくくなります。金額の列だけ太字にする程度で十分です。作り終えたら、PDFで書き出しておくと、相手の環境によって表示が崩れる心配がなくなります。

スマホだけで作る場合

パソコンがなくても、スマホのメモアプリか表計算アプリで同じ4列を作れます。項目・内容・金額・備考を並べて入力し、画像かPDFで保存しておきます。

保存しておけば、LINEやメールで「いくらですか」と聞かれたときに、その場で送れます。毎回言葉で説明する必要がなくなります。文字だけのメモを送るより、表の形にして画像で送るほうが、相手は一目で全体を把握できます。

料金を見直したら、ファイル名に日付を入れて上書き保存しておきます。「料金表_最新」のような名前のままだと、更新を忘れたときに、以前の安い金額のまま送ってしまうことがあります。

どちらで作っても、最後に確認すること

最後にスマホの画面幅で見て確認します。横に動かさないと金額が見えない表になっていないか、という点です。列が多い場合は、表を横に広げるのではなく、縦に並べ直します。相手が見るのは、たいていスマホの画面です。パソコンの画面できれいに見えても、スマホで開くと文字が小さすぎたり、横スクロールが必要になったりすることがあるので、必ず自分のスマホで一度開いて確認します。

税込・税抜の書き方で気をつけること

料金表を作るときに、もう一つ気をつけたいのが税込・税抜の書き方です。

消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合、消費税額を含めた価格(税込価格)を表示することが義務付けられています。これは総額表示義務と呼ばれるもので、店頭表示、チラシ広告、新聞・テレビの広告など、どのような表示媒体で行うものであっても対象になります。

一方で、価格を表示していない場合や、口頭で伝える価格は、総額表示義務の対象にはなりません。「見積もりの場で口頭で伝える金額」は対象外ですが、「料金表として書いて渡す・見せる」場合は価格を表示していることになるため、対象になりうると考えられます。

ここから先、相手が会社か個人か、どの場面で見せるかによって扱いが変わる可能性があります。今回確認できたのは消費者向けの総額表示義務までです。個別の判断は、税理士など専門家に相談することをおすすめします。

迷ったときの目安は、「料金表として紙や画像にして渡すなら、税込表記にしておく」という考え方です。「◯◯円(税込)」のように、税込であることが分かる書き方をしておきます。税抜の数字だけを大きく書いて、税込の金額を小さく添える、あるいは分かりにくい書き方にするのは避けたほうが無難です。

税込・税抜のどちらか一方しか書いていないと、「聞いていた金額と違う」というやりとりが後から発生しやすくなります。備考欄に「税込」「税抜」のどちらかを必ず一言添えておくだけで、この行き違いは防げます。

料金表を見せたあと、値段の話をどう進めるか

料金表ができたら、渡し方も決めておきます。

まず料金表を先に渡します。そのうえで、「この中だと、どこまで必要そうですか」と聞きます。こう聞くと、金額そのものの話ではなく、どの項目を選ぶかという話に変わります。金額を言う場面が、選んでもらう場面に置き換わるので、口に出すつらさも減ります。

値下げを頼まれたときは、総額をそのまま削るのではなく、中身を減らして合わせる言い方をします。

「金額を下げるなら、修正回数を◯回にする形でどうでしょう」

このように返すと、金額を下げる代わりに範囲を狭める形で折り合いをつけられます。聞かれる前に自分から金額を下げる必要はありません。相手から言われたときに、初めて中身の調整で応じる、という順番を守ります。逆に、聞かれてもいないのに「もう少し安くできます」と先回りしてしまうと、次に会うときも同じ値引きを前提にされてしまいます。

料金表を渡したあと、しばらく返事がないこともあります。黙っているのは、高いと思われたからとは限りません。中身を見比べて、どこまで頼むかを決めるのに時間がかかっているだけの場合もあります。料金表を渡しておけば、相手は自分のタイミングで見返して検討できるので、その場で答えを急かさずに待てます。

料金表は、見積もりを出してからの営業の流れの一部です。見積もりを出したあと返事をどう待つか、値下げの相談にどう応じるかについては、対面営業のやり方でまとめて扱っています。

今日やること:料金表の最初の1枚を作る

料金表を一度に全部作ろうとすると、手が止まります。まずは1つだけで十分です。

送る前に確認する7項目のチェックリスト図

直近で一番多く頼まれた仕事を1つ選び、「基本料金」と「含まれるもの」の2行だけを書きます。全部の商品をそろえるのは、あとからで構いません。オプションや含まれないものは、実際に聞かれた場面が出てきてから、1行ずつ足していけば十分です。

送る前に、次の7項目を確認します。

  • 基本料金がある
  • 含まれるものの回数と範囲が書いてある
  • オプションが分かれている
  • 含まれないものが書いてある
  • 税込か税抜かが分かる
  • 支払い条件と有効期限がある
  • スマホで横に動かさずに読める

次に「いくらですか」と聞かれたら、口で言う代わりに、この1枚を送ればいいだけです。金額を言う瞬間に詰まる性格を、変える必要はありません。先に紙に書いておけば、その場で言わずに済みます。

料金表は一度作って終わりではありません。経験が増えて対応できる幅が広がったときや、材料費・時間単価が変わったときは、そのつど数字を見直します。最初の1枚を完璧に作ろうとせず、まず送れる形にしておいて、使いながら直していくくらいでちょうどよいものです。

よくある質問

料金表は税込と税抜のどちらで書けばいいですか?

消費者に前もって価格を見せる場合は、税込価格の表示が義務になる。口頭で伝える価格は対象外。取引の相手や場面で扱いが変わりうるので、個別の判断は専門家に相談する

料金表をエクセルで作るとき、最低限どんな列が必要ですか?

項目・内容・金額・備考の4列で足りる。1行に1項目にして、セルの結合や色は控えめにする

スマホだけで料金表を作って送れますか?

メモアプリか表計算アプリで4列を作り、画像かPDFで保存しておけばLINEやメールですぐ送れる。スマホの画面幅で金額が見えるかを最後に確認する

料金表を出すと値下げを頼まれませんか?

中身を分けておけば、金額を下げる代わりに項目を減らす形で相談できる。聞かれる前に自分から下げない

オーダーメイドの仕事でも料金表は作れますか?

全部を固定しなくていい。基本料金と含まれる範囲だけ決め、それ以外をオプションや別見積にすれば作れる

参照した情報源

  1. No.6902 「総額表示」の義務付け(国税庁)・確認日 2026-09-30

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

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