対面営業・商談

ピラティスの集客|体験に来た人が通い続けるまでにやること

このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

体験の人が続かないのは、レッスンが悪いからではない

「ピラティス 集客」で探している人の穴は、入口ではなく体験のあと

「ピラティス 集客」で検索している人の多くは、体験に来てもらう人数を増やしたいと思っています。でも実際に困っているのは、そこではないことがほとんどです。

体験レッスンは埋まっている。終わったあと「気持ちよかったです」「体が軽いです」と言ってもらえる。なのに2週間経っても、1か月経っても連絡が来ない。次の予約も入らない。

体験の人数は足りている。足りていないのは、体験のあとに続く人の数です。

続かない理由の大半は「不満」ではない

体験に来た人が続かないと、多くの指導者は「レッスンの質が足りなかったのか」「もっと丁寧に教えるべきだったか」と自分を責めます。

でも、そもそも運動教室は「不満」で辞める人のほうが少数派だとする研究があります。フィットネスクラブを対象にした調査では、退会理由の85%は「運動を続けられなかったから」で、施設の運営への不満や自宅で運動できるようになったことを理由にした退会は少数派だったと報告されています。

これはピラティス専門の数値ではなく、フィットネスクラブ全般を対象にした研究です。それでも、示唆していることは同じだと思います。人が辞めるのは、教室が嫌いになったからではなく、続ける仕組みが本人の中になかったから、ということです。

「もっと良いレッスンをすれば、みんな続けてくれるはず」という考え方は、真面目な指導者ほど陥りやすい思い込みです。技術を磨くことと、続けてもらう仕組みを作ることは、別の作業だと考えたほうがうまくいきます。

紹介待ち型かもしれない

「紹介待ち型」かもしれません。いいレッスンをすれば自然に続けてもらえる、いい仕事をすれば紹介は出るものだと思っていて、続けてもらうための働きかけを特にしていない型です。

体験に来た人が続かないのは、あなたのレッスンに魅力がないからではありません。体験のあとに「次に来る理由」と「次に来る日付」を、こちらから渡していないだけです。

魅力を足す必要はありません。ここから先は、方法の話です。

体験の帰り道、その人は何を考えているか

「気持ちよかった」と「また来る」は別物

体験を終えた人が笑顔で「ありがとうございました」と言っても、それは感想であって決定ではありません。

その人の頭の中で決まっているかどうかを分けているのは、「次にいつ来るか」がその場で決まっているかどうかです。感想がよくても、次の日付が決まっていなければ、帰り道で気持ちは自然に冷めていきます。

体験者が口にしない3つの引っかかり

体験後の人は、口には出さなくてもだいたい次の3つで迷っています。

  • 続けられるか不安(週1回通えるか、体力が続くか)
  • 料金の全体像が見えない(月謝以外に何がかかるか分からない)
  • 自分だけ体が硬くて恥ずかしかった(周りと比べて劣等感がある)

この3つに答えないまま「ご検討ください」で終わると、迷いだけが残ります。

この3つは、聞かれる前にこちらから一言ずつ潰しておけます。「週1回、30分だけでも大丈夫ですよ」「月謝以外にかかるものはこれだけです」「最初は体が硬くて当たり前です、みなさんそこから始まります」。この3つを体験の最後に言うか言わないかで、帰り道の安心感はかなり変わります。

NG例:料金表を渡して「ご検討ください」

よくあるのが、体験の最後に料金表を渡して「ご検討のうえ、ご連絡ください」で締めるやり方です。

これは決める役目を丸ごと相手に渡しています。家に帰ってゆっくり検討して、それでも申し込んでくれる人はほとんどいません。検討する時間が長くなるほど、他の予定や日常の忙しさに紛れて、体験の記憶ごと薄れていきます。

帰り道に不安が残る渡し方/次が決まっている渡し方

場面不安が残る渡し方次が決まっている渡し方
レッスンの締め「お疲れさまでした」で終わる「次はここをやりましょう」と中身を1つ予告する
料金の説明料金表を渡して終わり次回の内容を伝えたあとに料金を説明する
別れ際「またいつでもどうぞ」「来週の火曜と木曜、どちらか空いてますか」と日付を聞く

体験の中でやること:次の一回を体験の中で決める

最初の5分で聞く3つ

体験が始まる前の5分で、次の3つを聞いて紙に残します。

  1. 来た目的(腰痛、姿勢、産後の体型戻し、運動不足など)
  2. 体の困りごと(痛みの場所、苦手な動き)
  3. 通える曜日と時間

この3つがあると、レッスンの中で「さっき言っていた腰、今の動きでどうですか」と聞き返せます。聞かれたことを覚えていてもらえた、というだけで印象は変わります。

レッスン中に「変わった点」を本人の言葉で言ってもらう

体験の終わりに、始める前と比べて何が変わったかを、指導者からではなく本人の口から言ってもらいます。

「最初と比べて、呼吸はどうですか」「肩の感じ、変わりましたか」と聞くだけです。「なんか楽になった気がします」という一言でも、本人が自分の言葉で言うと、指導者が「効果があります」と説明するより強く残ります。

この質問は体験の最後、着替える前のタイミングで行います。着替えてしまうと気持ちが日常に戻り、聞いても答えが出てきにくくなります。

終わりに「次はこれをやります」と中身を予告する

料金の話をする前に、次回やる内容を1つだけ伝えます。台本にすると次の3文で足ります。

  1. 「今日は◯◯を見ていきましたが、次は△△をやってみましょう」
  2. 「◯曜日と□曜日、どちらか都合いい方ありますか」
  3. 「じゃあ◯月◯日の◯時で仮予約しておきますね」

料金の説明はこのあとです。中身が先、金額はあとという順番を崩さないようにします。

NG例は、体験の最後に器具の性能や自分の資格・経歴の説明を足すことです。これは実績並べに寄っていて、話すべきは相手の体の話だけです。

体験のあと3か月:連絡の型を決めておく

連絡は勧誘ではなく「様子を聞く」

体験のあとに連絡すること自体を、勧誘だと思い込んで避けている指導者は多いです。「もう一度連絡したら、しつこいと思われるかもしれない」と身構える必要はありません。体の様子を聞くことは営業ではなく、指導者としての当然のフォローです。

フィットネスクラブを対象にした研究では、月1回・3か月間、退会を防ぐ目的でコーチングを行ったところ、退会が30%抑制されたと報告されています。これはフィットネスクラブ全般を対象にした研究で、コーチングの具体的なやり方も個人スタジオとは異なります。

それでも、ここから借りられる考え方はあります。体験のあとも月1回程度、体の様子を聞く連絡を欠かさないこと自体が、続ける力を支える手立てになる、というのが筆者の考えです。

連絡カレンダー表

タイミング目的文面の例
翌日体の変化を聞く「昨日はお疲れさまでした。今朝、体の感じはどうですか」
1週間後次回の確認「来週の◯曜日、お待ちしていますね」
来なくなって2週間様子を聞く「その後、腰の調子はどうですか」
1か月様子を聞く「1か月経ちましたが、体は落ち着いていますか」
3か月様子を聞く「季節も変わりましたが、お元気にされていますか」

来なくなった人への1通の書き方

来なくなった人に送る文面は、「お待ちしています」ではなく、体の話にします。

「先週お伝えいただいた腰の調子、その後どうですか」のように、前回聞いたことを1つ拾って聞くだけです。返事が来なくても、1通で終えて構いません。返事を催促する2通目は、催促に感じさせてしまいます。

NG例は、来なくなった人にキャンペーン案内だけを送ることです。相手には「体の心配」ではなく「客として数えられている」ことが伝わってしまいます。

続く人が増えるスタジオの作り方:顔見知りと記録

グループの支えが続ける力になる

運動を続けるうえでは、グループでの連帯的なサポートが重要な役割を果たすとされています。仲間づくりの場を設けて、お互いの体の変化を認め合う機会を増やすことが、続ける力につながるという考え方です。

マンツーマンのスタジオでも、この考え方は使えます。月1回の少人数会や、記録の共有だけでも顔見知りは作れます。

顔見知りを作る具体策

  • 体験者を常連の隣ではなく、初心者同士が近くなる時間帯に置く
  • 名前で呼ぶ(「体験の方」ではなく名前を覚えて呼ぶ)
  • レッスン前の2分だけ、近況を一言ずつ話す時間を作る

例えば、体験の人が来る日に常連さんへ「今日体験の方がいらっしゃるので、よかったら一言声をかけてあげてください」と一声かけておくだけでも、レッスン前の空気は変わります。

記録を見せる

できるようになった動きや変化を、専門用語ではなく本人の言葉でカードに書いて渡します。「体幹が安定しました」ではなく「前より深く座れるようになりました」のように、本人が話していた言葉をそのまま使います。

NG例は、常連中心の空気が固定化して、新しい人が居場所をなくすことです。ここまで来ると、続かない理由が「不満」の側に回ってしまいます。

体験の人数を増やすのは、この順番のあと

ここまでの型ができてから、初めて入口の話に進みます。

先に3つの数字を取る

  • 体験→2回目に進んだ割合
  • 2回目→3か月継続した割合
  • 来なくなった時期(何回目のあとか)

手書きの表で十分です。ここで穴が見つかるなら、出口の問題です。入口を増やしても、同じ割合で漏れていきます。

迷ったときの判断基準

数字を取ったあと、どこから手をつけるか迷ったら、次の基準で考えます。

  • 体験→2回目が5割を切っている → 体験の中の台本(前章)を直す
  • 2回目には進むが3か月続かない → 連絡カレンダー(前々章)を整える
  • 2回目も3か月も問題ないのに人数が増えない → ここで初めて募集文章に手をつける

順番を飛ばして募集文章から直すと、増えた体験の人数がそのまま同じ割合で抜けていくだけになります。

問い合わせを待つだけにしない:今の生徒に頼むひと言

紹介は黙っていても出るものではありません。今通っている生徒に「同じような悩みの方がいたら、体験だけでもどうぞと伝えてもらえますか」と、こちらから思い出してもらう働きかけをします。

体験募集の文章で書く3つ

体験の募集文章には、次の3つを書きます。

  1. 誰向けか(腰痛、産後、デスクワークによる肩こりなど)
  2. 体験で何が分かるか
  3. そのあとどう通うことになるか

営業の流れを一件ずつどう組み立てるかは、独立後の営業の進め方にまとめています。

NG例は、「初回無料」だけを前に出すことです。安さで来た人には、続ける理由がまだありません。「ピラティスで理想の体へ」のような曖昧な言葉だけの文章もNG例に近いです。誰の、どんな困りごとに向けた体験なのかが分からないと、来てほしい人ほど自分のことだと思えません。

今日から3か月でやること

今週:体験の終わりの台本を1枚書く

次の3つだけを1枚にまとめます。

  • 変わった点を本人に聞く一文
  • 次回の中身を予告する一文
  • 次の日付を決める一文

例えば、こんな流れです。「最初と比べて、呼吸はどうですか」「今日は骨盤の動きを見ていきましたが、次は呼吸と合わせてやってみましょう」「来週の火曜と木曜、どちらか都合いい方ありますか」「では火曜の10時で仮予約しておきますね」。この4文を声に出して練習しておくと、本番でもつっかえずに言えます。

今月:連絡カレンダーを作る

5つのタイミングの文面を先に書いておきます。当日は名前と体の話だけ差し替えれば送れます。

3か月後:数字を見て、入口に手をつけるか決める

体験→2回目の割合が半分を切っていれば、出口が先です。半分を超えていれば、募集の文章に進んでいい状態です。

性格を変える必要はありません。聞く順番と、連絡する日付を先に決めておくだけです。

体験の人数を追いかける前に、目の前に来てくれた1人が続く形を先に整える。遠回りに見えて、これが一番早い道です。

よくある質問

ピラティスの体験から入会につながる割合はどれくらいですか?

ピラティスに特化した公的な数値は見つかりませんでした。フィットネスクラブ全般を対象にした研究はありますが、ピラティスの数値としてそのまま使うことはできません。まずは自分のスタジオで体験→2回目→3か月継続の割合を数えるところから始めてください。

体験のあとに勧誘するのが苦手です。どうすればいいですか?

勧誘ではなく「次回の中身の予告」に置き換えてください。料金の前に「次はこれをやりましょう」と体の話で次を決めると、売り込みの感じが薄まります。

来なくなった生徒に連絡してもいいですか?

して構いません。ただし案内ではなく、体の様子を聞く1通にしてください。フィットネスクラブの研究では、月1回のコーチングで退会が30%抑制されたと報告されています。返事がなくても1通で終えて大丈夫です。

インスタやチラシで体験の人数を増やしたいのですが?

その前に、体験→2回目に進んだ割合を確認してください。ここが半分を切っているなら出口の問題です。入口を増やしても、同じ割合で漏れていきます。

マンツーマンのスタジオでも仲間づくりは必要ですか?

研究では、グループでの連帯的なサポートが継続に役立つとされています。マンツーマンでも、記録カードを共有したり、月1回の少人数会を開いたりすることで、同じような効果を狙えます。

参照した情報源

  1. フィットネスクラブ新規入会者の退会に関連する心理的要因:前向きコホート研究(日本公衆衛生学会(日本公衆衛生雑誌 2021; 68(4): 230-240))・確認日 2026-09-17

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