対面営業・商談

不動産仲介の集客|ポータル頼みから、売った人と買った人の紹介が回るまで

このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

不動産仲介の集客が細るのは、会社が小さいからではない

反響が減った、の中身を分けると見えること

ポータルの反響が月に数件しかない。広告費だけ上がっていく。引き渡したお客さんから、その後いちども連絡がない。

この「反響が減った」を、いちど分けてみます。反響を「ポータル経由」「過去のお客さん・紹介」「その他」の3列で数えると、多くの人はここで気づきます。減ったのではなく、もともと2列目がゼロに近かった、と。

買った人も売った人も、次に不動産を動かすのは何年も先

「小さい会社だから大手に負ける」わけではありません。「紹介が出ないのは、まだそのレベルの仕事ができていないから」でもありません。

不動産は、取引した本人がすぐ次を頼むことがほぼない業種です。家を買った人が次に家を買うのは、早くて数年後。売った人も同じです。「いい仕事をすれば次が来る」がいちばん成り立ちにくい業種だということです。

だから紹介は、放っておいても出ません。思い出してもらう働きかけがあって、初めて出ます。

紹介待ち型かもしれません

紹介待ち型かもしれません。いい仕事をすれば紹介は出ると思っていて、思い出してもらう働きかけをしていない型です。

仕事が減ったのではなく、思い出してもらえなくなっただけかもしれません。腕のせいではありません。足りないのは、思い出してもらう仕組みだけです。

「不動産仲介の集客」とひとことで検索しても、実際には2本の集客があります。ポータルが作る今月の反響と、紹介が作る来年の反響です。この記事では後者、来年の反響の作り方を1つだけ渡します。

ポータルは捨てない。「ポータルだけ」から抜ける

ポータル反響の人は、担当者を選んでいない

ポータルを悪者にする話ではありません。ポータルの役割は「今月の反響を作る」ことで、ここは他に代わりがありません。

ただしポータルから来た人は、物件を選んでいて担当者を選んでいません。同じ物件を扱う他社と並べば、比べられるのは仲介手数料になりやすいです。

反響が来るたびに「手数料は相談できます」と先に言ってしまうのはNGです。値段の話しかできない関係を、自分から作ってしまいます。

反響を3列で数える表

持ち帰りの1つ目です。列は「ポータル経由」「過去のお客さん・紹介」「その他(看板・チラシ・飛び込み)」。行は月です。

月ポータル経由過去のお客さん・紹介その他
7月
8月
9月

書き方は2つだけ守ります。成約ではなく「最初の接点があった日」で数えること。紹介は誰からかを名前で書くこと。

判断基準はひとつです。2列目が3か月続けてゼロなら、この記事はあなたのための記事です。

今月の売上を落とさず、紹介を足す順番

順番があります。①反響表を作る ②引き渡し済みのお客さんへの連絡を始める ③2列目が増えてからポータルの配分を見直す。

NGな順番は、先にポータルの出稿を減らして反響ゼロの月を作ることです。もう一つのNGは、新しい広告媒体を足して「その他」の列を増やすだけで終わることです。どちらも2列目は増えません。

引き渡しから何年かたつと、売った人も買った人も担当の名前を忘れる

引き渡し後の連絡が途切れる本当の理由

引き渡しの瞬間が、関係のピークです。その後は連絡する理由がないと、担当者側が思っています。

お客さん側も同じことを思っています。「用事がないのに連絡したら悪い」と。両方が遠慮して、そのまま切れます。

「何かあればご連絡ください」が紹介につながらない理由

引き渡し当日の定番の別れ方が「何かあればご連絡ください」です。これは相手に判断を渡す言い方で、相手は「何か」が起きたときに担当者の顔が浮かびません。

年賀状だけ、会社名だけのDMも同じです。受け手は会社名を覚えていません。覚えているのは「あのとき動いてくれた人」です。

紹介が出る瞬間は、友人が家の話をしたとき

お客さんは「紹介したくない」わけではありません。「紹介する場面で思い出さない」だけです。

友人が「家を探してる」と言ったその場で名前が出るかどうかで、紹介は決まります。だからフォローの目的は「売る」でも「お願いする」でもありません。その瞬間に名前が出る状態を保つこと、これだけです。

引き渡し後1年の連絡表|買った人と売った人で中身を変える

引き渡し当日に「次に連絡する日」を伝えて帰る

当日にひと言、次の連絡日を伝えます。「1か月くらいしたら、住み心地をうかがう連絡をしますね」。これで次の連絡は「営業」ではなく「約束」になります。

売った人には「お引っ越しが落ち着いたころに一度ご連絡します」。同じ考え方です。

時期別の連絡表(買った人/売った人)

持ち帰りの2つ目です。

時期買った人への連絡売った人への連絡目的
当日次に連絡する日を伝える次に連絡する日を伝える約束にする
1か月後住んでみて困っていることを聞く引っ越し後の手続きで残っているものを聞く気にかけている実感を渡す
半年後近所の情報や季節の点検の話近所の情報や季節の点検の話接点を切らさない
1年後「あれから1年ですね」の一通「あれから1年ですね」の一通名前を思い出す機会を作る

税金や登記の細かい手続きは、個別の判断が絡みます。税理士や司法書士など専門家に相談してください。

連絡の目的は「思い出してもらう」であって「売る」ではない

NG例は3つです。連絡のたびに新着物件を送ること。「ご紹介ください」だけ書くこと。会社の一斉メールに埋め込んで終わることです。

OKなのは、相手の名前で、相手の家のことだけを一通で書くことです。1年に4回、1通3行で十分です。

「紹介してください」と言わずに、紹介が出る言い方

「紹介してください」が言いにくい理由と、代わりに渡す一言

「紹介ください」は相手に宿題を出す言い方です。言う側も気が引けますし、言われた側も動けません。

代わりに、場面を渡します。「もし周りで家を探している方や、売ろうか迷っている方の話が出たら、私の名前を出してもらえるとうれしいです」。頼むのではなく、思い出す場面を指定するだけです。

紹介する人が使える「説明文」を用意する

紹介は、紹介者が友人に一言で説明できないと止まります。自分の説明を一文にしておきます。

「◯◯駅まわりの中古戸建てに強い人」「売るときの段取りを先に全部教えてくれる人」。こういう一文です。「不動産全般なんでもやります」は、紹介者が言葉にできません。

紹介をもらった後の報告が、次の紹介を決める

紹介が来たら、結果が出る前に一報を入れます。「ご連絡いただきました、ありがとうございます」。

成約しても、断られても、結果を報告します。受けた日、途中、結果。この3つを伝えるだけです。報告がない紹介者は「紹介して大丈夫だったか」が分からず、二度目を出しません。

宅建で独立した人が、最初の1年でやる集客の順番

独立後の営業全体の型についてはフリーランスの営業のやり方にまとめているので、合わせて確認してください。

免許の準備で先に押さえること

事務所を1つの都道府県に置くなら都道府県知事の免許、2つ以上の都道府県に置くなら国土交通大臣の免許を受けます。

事務所には従業者5人に1人の割合で専任の宅地建物取引士を置く必要があり、置いていないと免許を受けられません。国土交通大臣免許(新規・更新)の審査はおおむね100日程度です。

独立直後は1都道府県・1事務所から始める人が多いので、まずは知事免許で足りるかを確認してください。手続きの詳細は所管の窓口や行政書士など専門家に確認してください。

独立の連絡は「頼まない」で送る

順番は3つです。①前職の取引先・知人・過去に担当したお客さんに独立の連絡を送る ②エリアを1つに絞る ③ポータルで今月の反響を作る。

文面は「このたび独立しました。◯◯エリアで、売却と購入の仲介をしています。近況のご報告まで」。「よろしくお願いします」で締めません。頼みに見えてしまいます。

NGは2つです。独立の告知を会社名だけのハガキで出すこと。エリアを広げて誰の得意でもなくすることです。

最初の1件から、引き渡し後フォローを始める

独立1年目は件数が少ないぶん、1件ごとのフォローが回りやすい時期です。最初の3件を1年間フォローすれば、その3人が紹介の入口になります。

落とし穴は、件数が少ないうちは「まだ紹介の段階じゃない」と思ってフォローを後回しにすることです。件数が増えたころには、最初の3人を忘れています。

今日やること|直近で引き渡した3人に、一通ずつ連絡する

まず3人。文面はこれ

紹介待ち型から抜ける最小行動です。直近で引き渡した3人を選び、一人ずつ名前入りで一通送ります。

買った人には「◯◯様、お引き渡しから◯か月ですね。住んでみて、困っていることや気になることはありませんか。何もなければ返信不要です」。

売った人には「お引っ越し後、残っている手続きなどはありませんか」。売り込みは一切入れません。

反響を3列で数える表を今日作る

  • 直近3か月の反響を3列で数えた
  • 引き渡し済みの人の一覧に「最後に連絡した日」の列を足した
  • 次の引き渡しで「次に連絡する日」を口で伝える
  • 自分の説明を一文にした

やらなくていいこと

やらなくていいことも決めておきます。ポータルを止める。新しい広告を始める。ホームページを作り直す。「紹介キャンペーン」を打つ。

どれも列を増やすだけで、2列目は増えません。判断基準は一点だけです。「2列目(過去のお客さん・紹介)が増える動きかどうか」。

性格を変える必要はありません。連絡の順番を持つだけでいいはずです。

よくある質問

不動産仲介の集客で、ポータルサイトはやめたほうがいいですか?

やめません。ポータルは今月の反響、紹介は来年の反響で役割が違います。先に引き渡し済みのお客さんへの連絡を始め、反響表の2列目(過去客・紹介)が増えてからポータルの配分を見直してください。先に止めると反響ゼロの月ができます。

個人で不動産仲介を始めた場合、最初の集客は何からすればいいですか?

前職の取引先・知人・過去のお客さんに「頼まない独立の連絡」を送ります。次にエリアを1つに絞り、ポータルで今月の反響を作ります。最初の1件から引き渡し後のフォローを始めてください。独立1年目は件数が少ないぶん、1件ごとのフォローが回りやすい時期です。

不動産の紹介は、どれくらいで回り始めますか?

期間の数字は言えません。取引の間隔が長い業種なので、引き渡し後1年の連絡表を回しながら待つ期間になります。目安にするのは月数ではなく、反響表の2列目が3か月続けてゼロでなくなったかどうかです。

宅建を取って独立するとき、免許は誰から受けますか?

事務所を置くのが1つの都道府県なら都道府県知事、2つ以上の都道府県なら国土交通大臣の免許です。事務所には従業者5人に1人の割合で専任の宅地建物取引士が必要です。大臣免許の審査はおおむね100日程度です。詳細は所管の窓口や行政書士など専門家に確認してください。

引き渡しが終わったお客さんに連絡するのは、迷惑ではないですか?

売り込みでなければ迷惑になりません。引き渡し当日に「1か月後に住み心地をうかがいます」と伝えて帰れば、次の連絡は営業ではなく約束になります。新着物件を送る・「ご紹介ください」だけ書く連絡は避け、相手の家のことだけを3行で書いてください。

参照した情報源

  1. 建設産業・不動産業:宅地建物取引の免許について(国土交通省)・確認日 2026-09-18

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