用語辞典
連鎖販売取引 れんさはんばいとりひき
かんたんに言うと個人を販売員として勧誘し、その人にさらに次の販売員を勧誘させる形で組織を連鎖的に拡大する商品・役務の取引。特定商取引法の規制対象で、特定利益・特定負担など4つの要件を満たすと該当する。
連鎖販売取引とは?成立する4つの要件
連鎖販売取引とは、消費者庁の定義では「個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせるという形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品(権利)・役務の取引」とされています。
この取引に該当するには、次の4つの要件をすべて満たす必要があります。
- 物品の販売やサービス提供などの事業であること
- 再販売・受託販売・販売のあっせんをする人を勧誘していること
- 「特定利益が得られる」と誘引していること
- 「特定負担」を伴う取引であること
どれか1つでも欠ければ、連鎖販売取引には該当しません。4つがすべて揃って初めて、規制の対象になります。
4つすべてが揃って初めて連鎖販売取引に該当する
「マルチ商法」という呼び方とねずみ講との違い
連鎖販売取引は「マルチ商法」とも呼ばれる俗称で、法律上は同じものを指します。よく混同されるのが「ねずみ講(無限連鎖講)」ですが、両者は別物です。
決定的な違いは、商品・サービスの動きがあるかどうかです。連鎖販売取引は紹介・あっせんの一環として商品・サービスの取引があるため適法ですが、ねずみ講は商品・サービスがなく、組織内の金銭の移動そのものが目的になっているため違法とされています。
決定的な違いは「商品・サービスの動き」があるか否か
特定利益・特定負担とは何か(いくらから対象になるか)
特定利益とは、商品やサービスを売って得る利益そのものではなく、新しい人をシステムに加入させることで得られる利益を指します。具体的には次の3種類が該当します。
- 販売員を獲得したときのリクルートマージン
- 自分の下の販売員がさらに販売員を増やすと得られるマージン
- 自分の下の販売員の販売実績によるマージン(スリーピングマージン)
特定負担は、商品の仕入れ代金だけでなく、保証金・加盟金・研修費・スターターキット代なども含まれます。以前は2万円以上という基準がありましたが、現在は1円以上の金銭負担でも特定負担に該当します。
紹介・代理店ビジネスとの違い(判断基準表)
単純な紹介料や代理店手数料の仕組みと、連鎖販売取引の境目はどこにあるのか。判断のポイントは「特定利益」と「特定負担」の有無です。
| 項目 | 通常の紹介・代理店ビジネス | 連鎖販売取引 |
|---|---|---|
| 収入の主軸 | 商品・サービスの販売や紹介の対価 | 新規会員の勧誘自体で得られる利益(特定利益) |
| 加入時の負担 | 通常なし | 1円以上の金銭負担(特定負担)を求める |
| 勧誘の対象 | 顧客紹介が中心 | 再販売者・販売員の勧誘が中心 |
実務でありがちな落とし穴は、代理店契約に「勧誘実績に応じた紹介料」や「加入時の初期費用」を組み込んでしまうケースです。悪気がなくても、特定利益・特定負担の要件に近づいてしまいます。自分の紹介料・代理店報酬の設計がこの境界に触れそうな場合は、自己判断せず専門家に相談してください。なお、勧誘される側として相手を見極めたいときは、失敗しない代理店の選び方で危険な兆候のチェックポイントを解説しています。
該当した場合に事業者が負う規制
連鎖販売取引に該当すると、事業者にはいくつかの規制がかかります。
- 書面交付義務:契約前に「概要書面」、契約後遅滞なく「契約書面」を交付し、文字の大きさは8ポイント以上とする
- クーリング・オフ:書面を受け取ってから20日以内なら契約を解除でき、業者は損害賠償や違約金を請求できない
- 禁止行為:事実と異なる表示、威迫、誇大広告などが禁止されている
紹介や代理店の仕組みを設計するときは、この規制対象に入らないラインを意識しておくことが実務上の安全策になります。
参照した情報源
- 連鎖販売取引 - 特定商取引法ガイド(消費者庁)・確認日 2026-07-18
- 基礎知識「マルチ商法(連鎖販売取引)」(東京くらしWEB(東京都消費生活総合センター))・確認日 2026-07-18
- 連鎖販売取引とは?該当するための4つの要件と事業者への規制を解説(トップコート国際法律事務所)・確認日 2026-07-18
- 連鎖販売取引とは④~特定利益・特定負担とは~(篠原・森法律事務所)・確認日 2026-07-18
- 【マルチ商法=連鎖販売取引=適法だが規制あり|ねずみ講=無限連鎖講=違法】(東京・埼玉の理系弁護士(弁護士法人響))・確認日 2026-07-18
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