対面営業・商談

予算取りの時期|会社や役所に提案を持っていくなら何月か

このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

予算取りに「この月」という正解はない。相手の年度から逆算して決める

見積もりを出す前に、あるいは提案を持っていったところで、「ありがたいんですが、もう予算が決まっていまして」と言われる。これが何度か続くと、「先を読んで動けない自分は、経営に向いていないのかもしれない」と考えはじめる人が多いようです。

私はそこを少し違う角度から見ています。予算が決まる時期は相手ごとに違います。そして、その時期を相手に聞いたことがないまま、自分の手が空いたときに声をかけていた。起きているのは、それだけということが多いと見ています。性格や能力の話にする前に、順番の話として見直せます。

直球の答え:何月に行けばいいかは、相手の年度で変わる

「予算取りは何月に動けばいいか」という問いに、全員に当てはまる月はありません。この記事では特定の月を正解として示しません。

決めるのに要るのは、次の2つだけです。

  • 相手の「年度の始まり」はいつか
  • 相手が「来年の予算を考えはじめる時期」はいつか

月を覚えるより、この2つを相手に聞くほうが早くて確実です。聞いた時点で、その相手に使える答えが手に入るからです。

役所と会社で、動きの軸が違う

大枠だけ押さえておきます。

  • 役所:年度の切り替わりに合わせて動きます。次の年度の予算は、その年度が始まる前に組まれるのが基本です。つまり、提案は「次の年度の予算を考えはじめる前」に届いている必要があります
  • 会社:決算の時期によって、予算を組む時期がずれます。同じ業界でも、年度の始まりが違う会社はいくらでもあります

具体的な月日は、相手によって違うので、ここでは書きません。書けるのは「聞けば分かる」ということです。

NG例:一般論で動いて空振りする

よくあるのが、「年度末は予算が余るから、3月に営業すればいい」と聞いて、一般論のまま全員に同じ時期に連絡するやり方です。

相手の年度が別の時期に始まっていると、その連絡は「いま一番忙しい時期」に届いたり、「もう来期の枠が埋まった後」に届いたりします。年度末が狙い目という話は、そういう場合もあるのでしょうが、相手によって違います。当てにして動くより、相手本人に聞くほうが外れません。

予算が決まる前と後で、同じ提案でも返事が変わる

同じ提案への、2つの返事

同じ提案を持っていっても、届いた時期で返事はこう変わります。

届いた時期相手の返事
予算が決まる前「いい話ですね。来年の予算に入れておきます」
予算が決まった後「いい話だけど、今年は枠がなくて」

中身が同じでも、前なら「入れておく」と言えて、後なら「枠がない」になります。

断られたのは、中身ではなく時期のせいかもしれない

予算が決まったあとに来た話は、担当者が気に入っても動かせないことがあります。担当者に決める力がないのではなく、枠が閉じているからです。

ここを切り分けられないと、「やっぱり自分の提案が弱かったんだ」と、中身の評価に結びつけてしまいます。時期のせいで断られた話は、提案の価値とは別の話です。断られたら、まず「この返事は、中身についてのものか、時期についてのものか」を分けて見てください。

予算が決まったあとに会えたときの使い道

決まった後に会えたなら、今年の話を押す必要はありません。使い道は、次の約束を作ることです。

「今年はもう枠がないとのこと、承知しました。来年の予算を考えはじめるのは、だいたいいつ頃ですか」

このひと言で、「断られた」が「次の時期が分かった」に変わります。聞いた時期は、あとで連絡日にします(連絡日の決め方は、あとの見出しで書きます)。

具体例:小さな会社のホームページ改修

たとえば、社員数名の会社に、ホームページの改修を提案しに行ったとします。ちょうど相手の予算が固まった直後で、「来期ならぜひ」と言われました。

この返事を、「結局、断られた」と受け取る人がいます。でも実際は、相手が「来期の予算の話なら進められる」と言っている状態です。その来期がいつから始まるのか、予算をいつ考えはじめるのか。そこを聞いて、連絡日を入れたところから、今年の営業がはじまります。

相手の予算の時期は、聞けば教えてもらえることが多い

聞くのは失礼ではない

予算の時期を聞くのは、失礼だと感じる人もいます。でも、相手の立場で考えると、少し見え方が変わります。

相手の担当者にとっても、「いつ言えば通るか」を共有してもらえるほうが助かります。通したい話があるのに、時期を外して話が流れるのは、相手にとっても損です。聞いておけば、時期を外さずに話を持っていけます。

そのまま使える聞き方は2つだけ

聞くことは、次の2つだけです。

  1. 「御社(そちら)は、何月から新しい年度ですか」
  2. 「来年の予算を考えはじめるのは、だいたいいつ頃ですか」

打ち合わせの終わりの雑談で、こう切り出せます。

「今後のご相談のタイミングを外したくないので、1つだけ教えてください。そちらは何月から新しい年度ですか。それと、来年の予算を考えはじめるのは、だいたいいつ頃でしょうか」

答えが「うーん、はっきりは決まってなくて」でも構いません。「だいたいでいいので」と添えると、答えが返ってきやすくなります。「この時期は社長が決める」「秋ごろに部署ごとに出す」のように、相手の言葉で教えてもらえます。メモはその場で取ってください。

役所や団体の場合

役所や団体なら、担当課の人に同じ2つを聞きます。「次の年度の予算の話は、いつ頃から出てきますか」と聞けば、教えてもらえることが多いと思います。

公開されている予定表や案内があれば、あわせて確認してください。どこに載っているかは自治体や団体によって違うので、ここでは具体名は書きません。担当課の人に「その時期が分かる資料はありますか」と聞くのも、1つの手です。

NG例:金額から聞いてしまう

予算の時期を知りたくて、いきなり「ご予算はいくらですか」と聞いてしまう人がいます。相手には、「いくらまで出せるのか、先に言え」という売り込みに聞こえます。

時期を聞くことと、金額を聞くことは別の話です。最初に聞くのは時期だけ。金額の話は、相手の話を聞いたあとでも間に合います。

分かっていても動けないのは、目の前の仕事がいつも先に来るから

よくある流れ:「その頃また連絡します」と言ったのに

ここまでで、相手の予算の時期は聞けるようになりました。でも、聞けたのに動けない人が多いと感じています。流れは、だいたいこうです。

  1. 打ち合わせで、予算を考えはじめる時期を教えてもらう
  2. 「では、その頃にまたご連絡しますね」と言って別れる
  3. 当日が近づく頃、目の前の案件の納期に追われている
  4. 連絡が後ろに回る。気づくと時期が過ぎている
  5. 次に思い出したときは「もう決まってまして」と言われる

聞いた時期は覚えている。でも、自分で動かないかぎり、誰も連絡日を知らせてくれません。目の前の納期はいつも先に来るので、営業の連絡は毎回あとまわしになります。

この状態を「目の前優先型」と呼ぶ

営業がいつもあとまわしになり、自分が動かないと仕事が入らない。この状態を、ここでは「目の前優先型」と呼びます。

一人で回している人や、社員数名の会社の社長に多い型だと見ています。手を動かす人が自分しかいないので、目の前の仕事を止めるわけにいかない。だから連絡の時間が毎回なくなります。意志の弱さの話ではなく、時間の配分の構造です。

経営が分からないのではなく、仕事の取り方だけ空席のまま社長になった

この型の人は、「経営者なのに先を読めない」と自分を責めがちです。私は少し違うと見ています。

経営が分からないのではなく、仕事の取り方だけ空席のまま社長になった、という人が多いのではないでしょうか。作る側として腕を磨いてきて、独立したときに「取る側」の順番を誰からも教わっていない。それだけの話です。

社長らしくなる必要はありません。先を読む力を急に身につける必要もありません。必要なのは、忘れても動ける仕組みだけです。次の章で、その仕組みを1つだけ渡します。

手を動かすのは年に1回でいい。相手ごとの「連絡日」を先に決める

方法は1つだけです。聞いたその場で、連絡日をカレンダーに入れる。 これだけです。

仕事の取り方を全体から見直したい人は、フリーランスの営業の仕方にまとめています。この記事は、その中の「予算の時期」の部分だけを扱っています。

手順は4つ

  1. 相手の年度の始まりを聞く
  2. 相手が予算を考えはじめる時期を聞く
  3. その「少し前」を、連絡日としてカレンダーに入れる
  4. 当日は、文面のテンプレを送る

3の「少し前」が大事です。予算を考えはじめる時期ちょうどだと、相手はもう社内の話を始めていることがあります。少し前に近況を送っておけば、思い出してもらった状態で、その時期を迎えられます。

入れる場所は、いつも見るカレンダーです。件名は「◯◯様 予算前の連絡」のように、開いたら何をするかが分かる形にします。アラートは前日と当日の2回にしておくと、うっかりを防げます。

連絡日にやることは、1通だけ

連絡日にやるのは、近況とひと言を送ることだけです。提案書はまだ要りません。そのまま使える文面を置いておきます。

件名:近況のご連絡

◯◯様

お世話になっております。◯◯です。 先日は、◯◯についてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。 その後、こちらは◯◯を進めています。

来年の予算を考える時期かと思い、ご連絡しました。 提案書はまだ用意していません。今の段階で聞いておいたほうがいいことがあれば、お知らせください。

◯◯

「提案書はまだ用意していません」と書いておくのがポイントです。相手は身構えずに読めますし、自分も「書き上げてから送る」という準備のハードルがなくなります。送るのは近況のひと言だけ。5分で終わります。

忙しい月と連絡日が重なったら

連絡日が、納期に追われている月と重なることがあります。そのときも、ずらさずに出してください。1通5分で終わる形にしてあるのは、そのためです。

本文を全部書き直そうとすると、また後ろに回ります。テンプレに、近況の1行だけ差し替えて送る。それだけで、連絡日は守れます。ずらしてしまうと、結局「その頃また連絡します」のまま切れてしまいます。

連絡日を入れないとどうなるか

連絡日を入れないと、「その頃また」は、相手から見ると何も約束していないのと同じになります。入れておけば、年に1回、1通を送るだけで、次の予算の前に思い出してもらいやすくなります。手を動かすのが年に1回でも、時期を外さなければ、返事は変わってきます。

持ち帰り用:相手ごとの予算時期メモ(表)

メモの表

そのままコピーして使える形で置いておきます。列は6つです。

相手の名前年度の始まり予算を考えはじめる時期自分の連絡日前回話したこと次に送るひと言
(   )(  月)(  月ごろ)(  月  日)(      )(      )

記入例(2行)

月の数字はすべて「例」です。特定の月が正解というわけではありません。相手ごとに、聞いた内容で書き換えてください。

相手の名前年度の始まり予算を考えはじめる時期自分の連絡日前回話したこと次に送るひと言
役所の担当課(例)◯月(担当課に聞いて書く)前の年の秋ごろ(例)9月上旬(例)次年度に広報物の相談をしたい「次年度の予算を考える時期かと思い、ご連絡しました」
社員数名の会社(例)10月(例)7月ごろ(例)6月中旬(例)ホームページ改修は来期なら進めたい「来期のご計画を考える時期かと思い、ご連絡しました」

今日やること

今日やるのは、次の3つだけです。

  1. いま、つきあいのある相手を3件書き出す
  2. 年度の始まりが分からない欄に、印をつける
  3. 次に会ったとき、その欄の2つだけを聞く

全員分を埋める必要はありません。3件で十分です。聞けた相手から、連絡日を入れていきます。

チェックリスト

  • □ 年度の始まりを聞いた
  • □ 予算の時期を聞いた
  • □ 連絡日をカレンダーに入れた
  • □ 文面を用意した

4つにチェックが入った相手は、次の予算の前に、時期を外さずに話を出せます。「もう決まってまして」と言われる回数は、相手の時期を聞いたところから減っていくはずです。

よくある質問

会社の予算取りの時期は何月ですか?

決まった月はありません。会社の年度の始まり(決算の時期)によってずれるので、相手に年度の始まりと、来年の予算を考えはじめる時期を聞いて逆算します。

年度末は予算が余るから営業のチャンスというのは本当ですか?

そういう話はよく聞きますが、相手によって違い、根拠のある数字はここでは示せません。年度末を当てにするより、来年の予算を決める前に話を出しておくほうが確実です。

役所に提案を持っていくならいつがいいですか?

役所は年度単位で予算を組むので、来年度の予算を考える前に話が届いている必要があります。具体的な時期は担当課に聞いて確かめてください。

予算の時期を相手に聞くのは失礼になりませんか?

失礼とは限りません。「何月から新しい年度ですか」「来年の予算を考えはじめるのはいつ頃ですか」と聞けば、相手にとっても話を通しやすくなると私は見ています。

予算が決まった後に提案してしまったらどうすればいいですか?

今年の話は無理に押さず、来年の予算を考えはじめる時期を聞いて、カレンダーに連絡日を入れます。断られたのは中身ではなく時期のせいかもしれないと切り分けてください。

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

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