対面営業・商談

Web制作のフリーランスの営業|下請けから、直接の依頼を増やすまで

Web制作のフリーランスの営業|下請けから、直接の依頼を増やすまでのイメージイラスト

このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

直接の依頼が来ないのは、営業が下手だからではない

制作会社の案件で手は埋まっているのに、直接の依頼はゼロ

発注者・元請け・自分の関係を示し、下請けでは名前が届かない構造を表す図

毎月、制作会社やディレクター経由の案件で手はふさがっています。単価は言われた額で受けていて、金額の交渉をした記憶がありません。納品したサイトのエンドの担当者には、一度も会ったことがありません。

ポートフォリオに載せたくても、下請けで受けた案件は実績として名前を出せません。SNSのプロフィール欄には「制作実績:非公開多数」としか書けず、経験年数だけが増えていきます。新しいCMSを覚えても、コーディングを独学し直しても、問い合わせフォームに来る連絡は変わりません。

この状態で「web制作 フリーランス 営業」を検索している人は少なくないはずです。仕事はあるのに、自分の名前で仕事が来る感覚がない。

腕が足りないからでも、営業向きの性格じゃないからでもない

直接の依頼が来ないのは、腕のせいではありません。下請けの仕事は、サイトを見た人が、作った人の名前を知らない構造になっています。発注元の看板の下で作業しているので、どれだけ丁寧に作っても、その名前は表に出ません。

名前が出ない場所で腕を上げ続けても、指名は増えません。技術を磨く方向と、依頼が増える方向は、じつは別の軸にあります。これが直接の依頼が増えない本当の構造です。

目の前優先型かもしれません

目の前優先型かもしれません。営業がいつもあとまわしになり、自分が動かないと仕事が入らない型です。

自分は作る側の人間で、仕事を取るのは向いていない。だから元請けから来る分で回すしかない。そう思っている人は多いと思います。

ですが、これは性格の問題ではなく、予定に営業の枠が入っていないだけです。納期に追われている間は当てが減っていることに気づきにくく、元請けの案件が細ったときに初めて次の当てがないと気づきます。

この状態が続くと、仕事の量も金額もずっと元請け次第のままだと感じている人もいるかもしれません。ですがそれは今のやり方が続いた場合の話であって、性格でも実力でもなく、これから変えられる部分です。

抜ける最初の一歩は小さくていいです。過去に作ったサイトを1つ開いて、「その後」を見てください。更新日を確認するだけの、30分でできる作業です。それだけで十分です。

下請けと直接の依頼は何が違うのか(対比表)

6つの項目で並べる

下請けと直接依頼の違いを、関わる人と流れの構造で比較する図

言葉で説明するより、並べたほうが早いです。

項目下請け直接の依頼
連絡が来る相手ディレクター事業主本人
金額を決める人元請け自分
エンドの担当者に会えるか会えないことが多い会える
納品物に名前が出るか出ないことが多い出せる
次の仕事がどこから来るか元請けの都合相手との関係
合わない案件を断れるか断りにくい自分で選べる

一番効いてくるのは、下の2行です。次の仕事が「元請けの都合」で決まっているうちは、元請けの受注が減れば自分の仕事も減ります。合わない案件を断れないのも同じ理由です。窓口を1つしか持っていないと、条件を選ぶ側に立てません。

名前が出るかどうかも、見た目以上に効いてきます。名前が出ない仕事だけを積み重ねても、次に声をかけてくれる人は増えません。看板の問題であると同時に、次に会う人がいるかどうかの分かれ目でもあります。

下請けの良さは本物。だから『やめろ』ではなく『比率を変える』

下請けには下請けの良さがあります。営業の手間がほとんどなく、案件の入り口が安定して見えます。要件整理はディレクターがやってくれるので、作ることに集中できます。この良さを見下す必要はありません。

問題は良し悪しではなく、比率です。全部が下請けだと、「自分が動かなくても仕事が入る」状態が、いつの間にか「自分が動いても仕事が入らない」状態に変わります。動く先を持っていないからです。

直接の依頼に必要なのは3つで、ポートフォリオの豪華さは入らない

直接の依頼に必要なのは、次の3つです。

  • 自分の名前で会う場面 名刺交換やSNSのフォローではなく、事業主本人と話す場面
  • 自分で金額を出す経験 交流会で「いくらですか」と聞かれて答えられなかった、という経験がある人は多いはずです
  • 納品後も続く関係 納品して終わりではなく、その後も連絡が取れる相手

よくあるNG例が、直接の依頼を増やそうとして、まず実績サイトの作り込みに1か月かけることです。サイトの完成度は上がりますが、名前で会う場面は1つも増えていません。営業のやり方の全体像は、フリーランスの営業のやり方にまとめています。

直接の依頼は、知らない人からではなく『もう知っている人』から来る

収入になる経路は、過去・現在の取引先と人脈が上位

依頼の獲得経路のうち既存の関係が占める割合を示す構成比の図

新しい見込み客をゼロから探しに行く前に、確認しておきたいことがあります。フリーランス協会の調査では、最も収入が得られる仕事獲得経路は「過去・現在の取引先」「人脈」「エージェントサービス」の上位3種で、全体の4分の3を占めています。Web制作も例外ではないはずです。面識のある相手のほうが、金額の話も依頼の話も切り出しやすいからだと考えられます。

つまり、新規開拓より先にやることがあります。すでに会ったことのある相手を、営業先として数えていないだけかもしれません。

Web制作者の『もう知っている人』を何人か書き出す手順

紙を1枚用意して、次の3つの枠で書き出します。

  1. 過去に直接受けた相手(名刺サイズの小さな案件でもいい)
  2. 元請け以外で知り合った事業者(友人の店、家族の勤め先、前職の取引先、通っている店)
  3. 元請けの担当者本人(会社ではなく、その人)

学生時代の友人が始めたカフェ、親戚が営む工務店、前職の同僚が転職した先の会社。仕事の依頼相手として見ていなかっただけで、名前を出せば意外と埋まります。

何人か書けなくても構いません。書けないこと自体が、「名前で会う場面がゼロだった」という事実を教えてくれます。それも収穫です。

NG例:名前で会う、になっていない営業

交流会で名刺を配って回る、SNSで「Web制作承ります」と発信するだけ、クラウドソーシングで単価勝負をする。

名刺を配るだけでは、その場限りの記憶にしかなりません。SNSの発信は、すでに探している人には届きますが、探していない人には届きません。クラウドソーシングは同業者と価格で比較されるので、値段の話にしかなりにくいです。

どれも動いてはいますが、相手が「この人に頼む」と思う場面が作れていません。動いているのに依頼が増えない理由は、たいていここにあります。

元請けを敵にしない。下請けを続けながら直接の依頼を増やす順番

絶対にやらない3つ

下請けを続けながら直接依頼を増やす3段階の移行手順を示す図

  • 元請けの顧客に直接営業する 信頼を失い、下請けの仕事も切れます。一番多い落とし穴です
  • 元請けから受けた案件を、許可なく実績として公開する 契約に守秘義務が入っていることも多く、公開する前に必ず確認が要ります。契約内容の解釈に迷ったら、専門家に相談してください
  • 元請けに「これからは自分で取ります」と宣言する 警戒され、今ある仕事まで先に減らされることがあります

元請けに言っていいこと、その言い方

そのまま使える言い方です。

「自分名義でも受けたいので、御社の案件と重ならない領域(地域・業種・規模)で動こうと思っています」 「名前を出せる案件があれば、教えていただけると助かります」

もし渋られたら、「もちろん御社の案件は優先します」と一言添えると、警戒が和らぎます。断られても関係は壊れません。元請けは敵ではなく、一番近い「もう知っている人」です。

比率を変える順番

  1. まず週に半日、下請けの手を埋めない時間を先に空けます
  2. その時間は「作る」に使わず、「名前で会う」に使います
  3. 直接の依頼が続くようになったら、比率を見直します

半日の中身は単純でいいです。何人かのリストから1人に連絡する、返信が来た相手と会う日程を決める、会った相手との話をメモに残す。この繰り返しです。

目安として、3か月ほどはこの半日を守ってみてください。NG例は、一気に下請けを減らすことです。収入が先に落ちて、営業そのものをやめてしまう人が出ます。

『名前で会う』場面の作り方:Web制作者が使える口実3つ

口実①:過去に作ったサイトの『その後』を聞きに行く

売り込みではなく、点検です。

「更新、止まってませんか」 「スマホで見ると崩れているところ、ありませんか」 「問い合わせは来てますか」

「特に問題ないです」と返ってきても構いません。そこで「せっかくなので、一度画面を見ながらお話しできませんか」と続ければ、会う口実になります。会うと、運用・改修・追加ページの話が自然に出てきます。

もし不具合が見つかったら、その場で直そうとせず「一度お見積りしますね」と持ち帰ります。修正の依頼が、そのまま次の仕事の入口になります。

口実②:知り合いの事業者の店・事務所に行って、商売の話を聞く

作る前に会います。画面越しで完結させない理由は、Web制作が「何のためのサイトか」を聞けた人が選ばれる仕事だからです。

「最近どうですか。お店の話、聞きたくて」

相手の商売の話を先に聞き、サイトの話は最後にします。聞く順番は、商売の話 → 困りごと → 提案は次回、です。しゃべりすぎないための順番でもあります。

口実③:元請けの担当者と、案件の外で一度会う

納品後の振り返りを対面でやります。「次の案件のため」ではなく「今回どうだったか」を聞きます。

「先日の件、落ち着いたころにでも一度お茶でもどうですか。振り返りをさせてください」

多忙で会う時間が取れない担当者には、まずメッセージで「落ち着いたら少しだけお話しできると嬉しいです」と送っておくだけでも構いません。人としてつながっておくと、その担当者が異動・転職・独立したときに、直接の依頼になることがあります。

直接の依頼で最初に困るのは『金額』と『範囲』

言われた額から、自分で出す額へ

下請けでは金額を考えたことがない人が多いです。総額だけ出すと、値段の話しかできなくなります。

項目内容
設計ページ構成・要件整理
デザイン見た目・配色・素材
実装コーディング・実装作業
公開後の更新月ごとの保守・修正対応

分けて出すと、「ここは削る、ここは残す」という会話になります。「デザインは自分で用意するので、実装だけお願いできますか」といった相談にも応じやすくなります。

総額だけで出していたころは、値引き交渉にしかなりませんでした。項目ごとに出すようになってからは、何にお金がかかっているかを相手が理解したうえでの相談に変わります。

範囲を紙一枚で決める

NG例は、「ついでにチラシも」「ロゴもお願い」「ちょっと文章も直して」を全部受けてしまい、制作費の中で終わらなくなることです。

最初に紙一枚で渡しておきます。

  • 今回やること:トップページ・下層3ページ・問い合わせフォーム
  • 今回やらないこと:ロゴ制作、印刷物、原稿の執筆
  • 追加の場合の目安:ページ追加は1ページ単位、文章作成は別途相談

こう書いておくだけで、あとから範囲が広がるのを防げます。

納品して終わりにしない

最初の見積に、月ごとの更新・点検を入れておきます。

「公開後の更新や不具合対応も、月額でお受けできます。ご希望があれば見積に入れます」

1回の制作で終わる関係より、続く関係のほうが「また頼まれる」が仕組みになります。断られても構いません。入れておくだけで、次の話が出る入口が残ります。

今週やること(今日・今週・今月のチェックリスト)

今日

  • 名前を知っている事業者を何人か書き出す
  • 過去に作ったサイトを3つ開いて「その後」を見る(更新日・スマホ表示・問い合わせ導線)

目の前優先型から抜ける最初の一歩は、ここまでで十分です。

今週

  • 1人に「その後どうですか」の連絡を出す
  • 元請けに「自分名義でも受けたい」と伝える文面を用意する(送るのは来週でいい)
  • 週半日の「名前で会う」枠をカレンダーに先に入れる

今月

  • 「その後」の連絡を出した相手のうち1人と会う
  • 直接の依頼が来たときの見積の分け方(設計・デザイン・実装・更新)を自分用に一枚作っておく

この3つのチェックリストは、どれも1回30分あればできる作業です。まとめてやろうとせず、日・週・月に分けてあるのは、営業を「特別な作業」ではなく「予定の一部」にするためです。

営業が後回しになる構造は、意志ではなく予定で先に潰します。カレンダーに枠がある限り、動かない理由がなくなります。

下請けをやめる必要はありません。名前で会う時間を、予定の中に先に確保するだけです。

よくある質問

Web制作のフリーランスは営業しないと仕事が来ませんか?

制作会社の下請けやエージェント経由なら営業なしでも回ります。ただし金額と相手を選べません。直接の依頼を増やしたいなら、売り込みではなく『自分の名前で会う時間』を週に一枠つくるのが先です。

下請けの仕事はやめたほうがいいですか?

やめなくていいです。比率を変えます。条件は元請けの顧客に直接営業しないこと、元請けの案件を無断で実績公開しないこと。この2つを守れば、元請けは一番近い『もう知っている人』のままです。

実績を公開できないとき、直接の依頼はどう取ればいいですか?

まず元請けに『名前を出せる案件はありますか』と聞きます。無理なら、知り合いの店や事業者の小さなサイトを1つ自分名義で作り、それを『名前が出る実績』にします。実績サイトの作り込みより、名前で会う場面が先です。

営業が苦手でも、直接の依頼は増やせますか?

売り込みは要りません。過去に作ったサイトを開いて『更新止まってませんか』『スマホで崩れてませんか』と聞きに行く点検型で十分です。会えば運用や改修の話が自然に出ます。

直接の依頼で金額はどう決めればいいですか?

総額だけ出さず、設計・デザイン・実装・公開後の更新に分けて出します。分けると『ここは削る、ここは残す』の会話ができます。最初に『やること・やらないこと』を紙一枚で渡すと、あとから範囲が広がるのを防げます。

参照した情報源

  1. フリーランスの実態・ホンネが丸わかり〜「フリーランス白書2024」を発表〜(フリーランス協会(プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会))・確認日 2026-09-15

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

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