対面営業・商談

打ち合わせで緊張しない方法|話さなくていい間を先に作っておく

打ち合わせで緊張しない方法|話さなくていい間を先に作っておくのイメージイラスト

このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

打ち合わせで緊張するのは、口下手だからではない

緊張が出る場面を思い出す

しゃべりすぎが起きる悪循環を4ステップの円環図で示す

商談の最中、相手が黙る。3秒。その3秒がもたなくて、聞かれてもいない説明を足してしまう。

「あ、ちなみに今回のプランですと」「ついでに言うと、こういう対応もできまして」と、頼まれていないことまで話してしまう。打ち合わせが終わって帰り道、「またしゃべりすぎた」と反省する。次はもっと簡潔にしようと思うのに、次の打ち合わせでも同じことが起きる。

オンラインの打ち合わせでは特に強く出ます。画面越しの沈黙は対面より長く感じられて、つい先に口を開いてしまいます。この繰り返しに心当たりがある人は多いと思います。

口下手だからではなく、聞く順番を持っていないから

しゃべりすぎ型かもしれません。沈黙が怖くて自分の説明で埋め、相手の話を取ってしまう型です。

間が来る。埋めるものが自分の説明しかない。しゃべる。相手の話を取る。次に何を聞けばいいか分からなくなる。また間が来て、また緊張する。この輪がぐるぐる回っているだけで、口下手だから起きているわけではありません。聞く順番を持っていないから、間が来るたびに手札が説明しかない状態になっているだけです。それが「しゃべりすぎ」に見えています。

話がうまい必要はない。聞く順番でいい

この記事は、緊張を消す方法を渡すものではありません。緊張したままでも崩れない打ち合わせの組み立て方を渡します。性格はそのままでいい。話がうまくなる必要もない。

聞く順番を先に決めておけば、間が来ても「次はこれを聞く」と手元に答えがある状態になります。手札が増えれば、説明で埋める以外の選択肢が生まれます。

「話さなくていい間」を先に作っておくとは何か

間は事故ではなく、相手が考えている時間

先回りで答えを渡すNG例と、待って引き出すOK例を左右比較する図

質問を受けた相手は、頭の中で答えを組み立てています。その途中で「つまり◯◯ということですよね」と先回りで埋めてしまうと、相手は考えを取られてしまいます。

NG例

こちら「今、一番困っていることは何ですか」 相手「そうですね……」 こちら「予算のことですかね、それとも人手が足りないとか」

相手が答えを探している間に、選択肢まで渡してしまっています。これでは相手は自分の言葉で答える機会を失います。相手が本当に困っているのが「予算」でも「人手」でもなく、たとえば「頼み方が分からない」ことだったとしても、選択肢を渡してしまった時点でその答えは出てこなくなります。

同じ場面を、間を渡したまま待つとこうなります。

こちら「今、一番困っていることは何ですか」 相手「そうですね……」(数秒の沈黙) 相手「実は、何をどこまで頼んでいいのか分からなくて」

先に埋めなければ、相手自身の言葉で出てきます。

間を誰のものにするか、先に決めておく

質問を出した直後の間は、相手のものです。黙っていていい。自分が説明した直後の間は、自分のものです。相手の反応を待つ番になります。

この区別を紙に一行書いておくだけで、間が来たときに「今は相手の番」「今は自分の番」と分かるようになります。判断に迷ったときは、直前に口を開いたのが自分か相手かを思い出すだけで、どちらの番か分かります。

前日に書く3つ

前日に、次の3つを紙に書いておきます。

  1. 最初のひと言
  2. 聞く順番5問
  3. 間が来たときの返し方1つ

この3つが手元にあると、「話すことがなくなったらどうしよう」という恐れが消えます。緊張の正体は、実は「次に何をすればいいか分からない状態」であることが多いです。次の一手が決まっていれば、緊張していても手は止まりません。逆にこの3つがないまま打ち合わせに入ると、間が来るたびに手ぶらで埋めることになり、それが「しゃべりすぎ」として出てしまいます。

前日に書いておく「聞く順番メモ」の作り方

5問の順番:今の状態→困っていること→試したこと→こうなったらいい→決め方

聞く順番メモの5ステップを矢印でつなぐフロー図

聞く順番はこの5つです。

  1. 今の状態「今はどんな形で対応されていますか」
  2. 困っていること「いま一番手間がかかっているのはどこですか」
  3. 試したこと「これまで誰かに頼んだことはありますか」
  4. こうなったらいい「理想としては、どうなっているのがいいですか」
  5. 決め方「今回、どなたが最終的に決められますか」

この順番には理由があります。困りごとより先に「こうなったらいい」を聞いてしまうと、相手はまだ現状を整理できていないので答えづらくなります。今の状態から困りごと、試したことへと順番に聞いていくと、相手は自然と話しながら自分の状況を整理していけます。5問目の「決め方」を最後に置いているのも理由があって、先に聞くと値踏みしているように聞こえますが、内容を聞き終えたあとなら自然な確認になります。

Webデザイナーが店舗オーナーと初回打ち合わせをする場合の記入例

  1. 今の状態「今はホームページ、どなたが更新されていますか」
  2. 困っていること「更新のときに一番時間がかかるのはどこですか」
  3. 試したこと「これまで業者さんに頼まれたことはありますか」
  4. こうなったらいい「サイトがどうなっていたら一番助かりますか」
  5. 決め方「進める場合、決裁は店主おひとりですか」

A4の紙半分に、この5行を手書きで書いておくだけで十分です。持ち込む資料は実績集ではなく、この紙1枚にします。相手の目の前でこの紙を見ながら話すと、「今日はちゃんと聞きに来た」という姿勢そのものが伝わります。

NG例:説明の順番メモになっている

やりがちなのが、自分の実績・料金・工程を並べたメモを用意してしまうことです。これは「聞く」メモではなく「話す」メモになっています。話すメモは読み上げる台本になり、相手が想定外の返事をした瞬間に立て直せなくなります。

たとえば「実績1、実績2、料金プラン、工程」の順で書いたメモを持っていくと、相手が途中で「うちはちょっと事情が違って」と割り込んできたときに、次に何を言えばいいか分からなくなります。聞くメモなら、相手の返事がどんな内容でも次の質問に進むだけなので、崩れません。メモは常に「次に何を聞くか」の順番で作ります。

間が来たときの返し方3つ(表で持ち帰る)

黙って待つ:頭の中で5つ数える

質問を出した直後の間は、頭の中で5つ数えます。5秒は自分には長く感じますが、相手にとっては考えるのに普通の時間です。数え終わる前に相手が話し出すことがほとんどです。数えている間は、相手の顔やメモに視線を置いておくと、無言でも不自然になりません。

言い直さず、相手の言葉をそのまま返す

相手が「予算が読めなくて」と言ったら、「予算が読めない、ですか」とそのまま返します。新しい説明を足しません。相手が続きを話し始めます。

「予算が読めなくて」に対して「では分割払いのプランもありまして」と提案から入ってしまうと、相手はまだ話し切っていない状態で会話を持っていかれてしまいます。まず相手の言葉をそのまま返す方が、続きが出やすくなります。

次の質問に進む合図を出す

相手が言い切ったあとの間は、「ありがとうございます。次に◯◯を聞かせてください」とメモの次の行に進む合図を出します。合図を出さずに黙っていると、相手は「もう話すことがないと思われたのか」と不安になることがあります。短い一言でいいので、次に進む合図は必ず出します。

間の種類返し方やりがちなNG
質問を出した直後頭の中で5つ数えて待つ先回りして答えの候補を渡す
相手が言い切ったあと「ありがとうございます、次に◯◯を」話題を変えて自分の説明を始める
自分が説明したあと相手の反応を待つ(自分の番)反応を待たずに説明を続け足す

打ち合わせの途中で「しゃべりすぎた」と気づいたときの戻し方

気づいた時点で止めて、ひとつ聞く

しゃべりすぎたと気づいたら、途中で止めていいです。「すみません、話しすぎました。◯◯についてはどうですか」と言えます。途中で止めることは失礼ではありません。

むしろ止めずに最後まで話し切るほうが、相手の時間を取ってしまいます。たとえば工程の説明を5分続けてしまったと気づいたら、「長くなってすみません、ここまでで分かりにくいところはありますか」と一度切って、相手に間を返します。

説明は聞かれた分だけ

「料金はどのくらいですか」と聞かれたら、料金だけ答えます。工程や実績を続けて説明しません。「料金は◯◯円です」で一度止め、答えた最後に「ここまでで気になる点はありますか」と返して、間を相手に戻します。聞かれていない工程の説明まで続けると、相手は料金についてさらに聞きたかったことがあっても、話の腰を折られた形になり聞きそびれます。

メモに視線を落とす

手元のメモに視線を落とすと、「次はこれを聞く」が目に入り、話す以外の動きができます。緊張したときの逃げ場を、頭の中ではなく手元に置いておくという考え方です。頭の中だけで「次何を話そう」と探すと焦りますが、紙に書いてあれば視線を落とすだけで済みます。

緊張は相手に伝わってもいい(相手が見ているのは別のところ)

相手は緊張に気づいても減点しない

声が固い、言葉が詰まる。これは相手にとって「真面目に来ている」と映ることのほうが多いと感じています。相手が打ち合わせのあとに覚えているのは、緊張していたかどうかではなく、「自分の話を聞いてもらえたか」だけです。

減点されるのは、相手の話を取ったとき

これまで見てきた打ち合わせを思い出すと、緊張して言葉が少なかった打ち合わせのほうが、流ちょうに40分説明した打ち合わせより次の連絡が来やすいことが多いです。前者は相手が話す時間が長く、後者はこちらが話す時間が長かったという違いがあります。減点されるのは緊張したことではなく、相手の話す時間を取ってしまったときだと思います。

緊張を隠そうとするほど話す量が増える

隠そうとする、沈黙が怖くなる、説明で埋める。この順で悪化していきます。隠さずに、最初に「少し緊張しています」と言ってしまう選択肢もあります。言ってしまうと、不思議と間が怖くなくなります。隠さなくていいと分かった時点で、沈黙を埋めるための説明も減っていきます。

打ち合わせの前後にやること(今日から1回分で始める)

当日30分前に読むのはメモだけ

前日・当日・終了後の3段階でやることを示すタイムライン図

実績や提案資料を読み返すと「説明モード」に入ってしまいます。当日読むのは聞く順番メモの5問だけにします。最初のひと言は、声に出して1回言っておきます。声に出しておくだけで、本番の第一声がすんなり出やすくなります。

終わったあとに2行だけ書く

打ち合わせが終わったら、「聞けたこと」「聞きそびれたこと」を2行だけ書きます。次の打ち合わせのメモは、ここから作ります。毎回いちからにならず、回数を重ねるほどメモが自分の型になっていきます。聞きそびれたことがあれば、次回の最初の質問に回すだけでいいので、振り返りに時間はかかりません。

1回で直そうとしない

次の1回の目標は、「間を1つ待てた」だけで十分です。5問すべて聞けなくてもいいです。全部やろうとすると、それ自体が新しい緊張の種になります。

前日3つ、当日1つ、終了後2行のチェックリストにしておきます。

  • 前日:最初のひと言、聞く順番5問、間の返し方1つを紙に書く
  • 当日:打ち合わせ30分前にメモだけ読む
  • 終了後:聞けたこと、聞きそびれたことを2行書く

営業の型は、聞く順番を先に決める営業のやり方を含めて他にもいくつかあります。打ち合わせの間の作り方は、そのうちの一つです。

よくある質問

打ち合わせで頭が真っ白になったらどうすればいいですか?

手元のメモに視線を落とし、次の1問を読み上げるだけでいい。「すみません、◯◯について聞かせてください」と言えば会話は戻る。真っ白になるのは話す側に立っているときで、聞く側に戻れば止まらない

沈黙が続くと相手に失礼ではないですか?

質問を出した直後の沈黙は相手が考えている時間なので失礼にならない。失礼になるのは、考えている途中を自分の説明で埋めて相手の答えを取ること。頭の中で5つ数えて待つ

オンラインの打ち合わせでも同じやり方でいいですか?

同じ。むしろ画面外にメモを置けるので使いやすい。間が対面より長く感じるが、相手側も同じ条件なので「今は相手の番」と決めておけば待てる

打ち合わせの緊張は場数を踏めば消えますか?

場数だけでは消えにくい。毎回いちからだと回数を重ねても同じ場面で詰まる。終了後に「聞けたこと・聞きそびれたこと」を2行残し、次のメモに反映していくと、緊張の量が回ごとに減っていく

相手があまり話さない人だったらどうしますか?

沈黙を埋めずに、相手の言った短い言葉をそのまま返す(「手間がかかる、ですか」)。それでも出なければ「たとえば◯◯と△△だとどちらが近いですか」と選択肢で聞く。自分の説明を足すのは最後の手段

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