対面営業・商談
取引先の飲み会の断り方|関係を悪くしない一言と、代わりの誘い方
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
取引先の飲み会は断っていい。関係を決めるのは出席より「断ったあとの一手」
断れないのは気が弱いからではない
打ち合わせが終わって、帰り支度をしているところで「今度、一杯どうですか」と言われる。その場の空気で「ぜひ」と返してしまう。帰り道に予定表を開いて、その日の夜に何も入っていないことを確認して、少し気が重くなる。
この場面に心当たりがある人は、断れない型かもしれません。断ったら次が来ない気がして、合わない誘いや仕事も受け続けてしまう型です。
人付き合いが苦手だから、とは限りません。「飲み会を断ったら、次の仕事はもう回ってこない気がする」という不安が背景にある人が多いようです。「断る自分は、取引先から選ばれなくなる人間だ」と、自分に判決を下してしまっている人もいるかもしれません。腕や仕事ぶりの問題というより、断ったあとの動き方を試す機会がなかっただけ、ということも多いと思います。
関係をつないでいるのは、お酒の席より仕事のやりとり
ここからは私の見立てです。誘う側が見ているのは、来るか来ないかより「この人と続けたいか」ではないでしょうか。誘うのは、距離を縮めたいからです。距離を縮める手段が飲み会しかないわけではありません。
断り方が丁寧で、別の形で会う約束まで取りつけてあれば、関係は切れにくいと考えています。逆に、出席しても不機嫌な顔で座っていたら、断るより関係を傷めることもあります。
なので、出るか断るかで悩む前に、断るときに次の接点をひとつ置くことを先に決めます。仕事の取り方全体の順番については、フリーランスの営業の仕方にまとめています。飲み会は、その中の「知り合う」「関係を続ける」段階の一場面です。
この記事で渡すのは3つ+判断表
- その場で言える断りの一言(口頭・電話)
- メールやLINEの文面(そのまま貼れる形)
- 飲み会の代わりに会う提案(4つの案と誘い文句)
断ることを「関係を切る行為」ではなく、「別の形で会う約束を取りつける場面」に置き換える。この流れで進めます。あわせて、行く・断る・顔だけ出すを決める判断表も載せます。
その場で言える断りの一言は「お礼→短い理由→代わりの案」の3つで足りる
3つの順番と、それぞれの役割
| 順番 | 役割 | 一言の例 |
|---|---|---|
| ①お礼 | 誘ってくれたこと自体を受け取る | 「お誘いありがとうございます」 |
| ②短い理由 | 事実を一言で。作り込まない | 「その日は先約がありまして」 |
| ③代わりの案 | 会いたくないわけではないと伝える | 「来週の打ち合わせのあと、お昼でもどうですか」 |
順番が大事なのは、お礼を先に言うと、断りの言葉がやわらかく届くからです。理由が長いと言い訳に聞こえやすくなります。そして代わりの案がないと、ただ断っただけになります。
口頭・電話でそのまま使える文例(3パターン)
例① 先約がある場合
お誘いありがとうございます。その日は先約があって伺えないんです。よければ今度、打ち合わせのあとにランチでもどうですか。
例② お酒が苦手な場合
ありがとうございます。実はお酒があまり飲めなくて。昼にゆっくりお話しできる場をもらえたらうれしいです。
例③ 家の事情がある場合
夜は子どもの迎えがあって難しくて。日中ならぜひ。
どれも3文から4文です。理由は事実を短く言うだけで、詳しい説明はしていません。相手も、断られた理由を細かく知りたいわけではないことが多いと思います(これも私の見立てです)。
NG例
「また今度ぜひ」だけで終わる。 次が決まらないので、相手には「今回は行く気がなかった」と残ります。代わりの案か、せめて「来月あらためて私から連絡します」まで言います。
もっともらしい嘘の理由を作り込む。 「親戚の法事で」「出張が入って」と盛ると、あとで別の話題が出たときに話が合わなくなります。嘘がばれると、断ったこと以上に信用を傷めます。先約・お酒が苦手・家の事情など、事実の範囲で十分です。
返事を先延ばしにする。 「確認して連絡します」のまま日が空くと、相手は店を予約できません。誘った側に手間をかけさせるのが一番まずいところです。行けるか分からないときも、その場か当日中に返事をします。
メール・LINEで断るときの文面テンプレート
取引先の担当者へのメール文例
長さは5〜7行に収めます。そのままコピーして、名前と日付だけ直してください。
件名:お誘いありがとうございます(◯月◯日の件)
◯◯様
お世話になっております。◯◯です。 このたびは、お食事のお誘いをありがとうございます。 あいにくその日は先約があり、伺えそうにありません。 よろしければ、来週◯曜日の打ち合わせのあと、そのままお昼をご一緒できませんか。 ◯◯様のお話をゆっくり伺えればうれしいです。 ご都合をお知らせください。 引き続きよろしくお願いいたします。
ポイントは、同じメールの中に候補日を1つ入れていることです。「今度ランチでも」では動きません。日付があると、相手は返事をするだけで済みます。
社長や目上の相手から誘われたときの文例
丁寧さは上げますが、理由は増やしません。
悪い例
誠に申し訳なく、本来であれば真っ先に伺うべきところ、あいにく別件が重なっておりまして、このような失礼なお返事となりますことを深くお詫び申し上げます。
よい例
お声がけいただき、ありがとうございます。あいにくその日は先約がございます。お礼を申し上げたく、来週◯曜日のお昼に、お時間をいただけないでしょうか。
謝罪を重ねると、相手が「そんなに気を遣わせてしまったか」と感じることもあります。私は、謝る量を増やすより、お礼を厚くするほうが距離が縮まると考えています。「お礼を申し上げたく」という一言は、日中に会う理由にもなるので使いやすいです。
LINEで誘われたときの短い返し方
お誘いありがとうございます!その日は先約があって伺えないんです。 来週の打ち合わせのあと、お昼どうですか?
2〜3行で足ります。スタンプだけで済ませるのは避けます。断りの気持ちが伝わらず、返事を待たせることにもなります。
返すタイミングは、誘われた当日中を目安にします。これは私の提案です。早めに返すと「前向きに考えたうえでの断り」に見えることがあります。日が空くと、断りの言葉が重くなりがちです。
飲み会の代わりに会う誘い方|断りを「次に会う約束」に変える
代わりの案は4つから選ぶ
| 代わりの案 | 向いている相手 | 誘うときの一言 |
|---|---|---|
| ①打ち合わせのあとのランチ | 担当者、現場の人 | 「次の打ち合わせのあと、お昼どうですか」 |
| ②打ち合わせを30分延ばして雑談の時間にする | 忙しくて外食の時間がない人 | 「今度は少し長めにお時間をいただけませんか。最近のお話も伺いたくて」 |
| ③相手の会社や現場を見に行く | 製造・店舗・施工など現場のある相手 | 「一度、現場を見せてもらえませんか。仕事の理解が深まりそうです」 |
| ④朝のコーヒー | 夜が難しい人同士、早起きの社長 | 「朝の15分だけ、コーヒーをご一緒できませんか」 |
選ぶときは、相手が一番ラクに応じられるものを基準にします。夜の会食が好きな人でも、昼なら断りにくい人がいます。迷ったら、ランチか打ち合わせの延長が無難です。
代わりの案は日付まで出すと口だけで終わらない
NG: 「今度ランチでも行きましょう」
OK: 「来週の打ち合わせのあと、そのままお昼どうですか」
「今度」は、お互いに忘れます。日付を出すと予定表に入るので、実際に会えます。断りのメッセージの中で候補日を1つ出す。これだけ守れば足ります。相手の都合が合わなければ、相手が別の日を返してくれます。そうなれば、それも立派な次の接点です。
代わりの場で話すこと
代わりの場で仕事の話を詰めようとしなくて大丈夫です。私のおすすめは、相手の会社で最近あったことを1つ聞くことです。「最近、忙しいのはどの時期ですか」「新しく始めた取り組みはありますか」くらいで足ります。
聞いた内容は、次の提案の材料になります。対面で顔を合わせる時間そのものが、関係を深める時間です。飲み会でなくても、会って話した経験は積み重なります。
行く・断る・顔だけ出すを決める判断表
迷ったときは、次の表の「状況」の行だけ見れば決められます。
判断の基準は3つ
- その場に誰がいるか(担当者だけか、紹介につながる人が来るか)
- 誘われたのは何回目か
- 翌日の仕事に響くか
この3つで決めます。気分で決めると、毎回断る人は毎回断り、毎回行く人は毎回消耗します。
判断表
| 状況 | おすすめの動き |
|---|---|
| 初めて誘われた。相手は担当者だけ | 顔だけ出す、または代わりの案 |
| 紹介につながりそうな人が来る | 顔だけ出す(短くても行く価値がある) |
| 3回目の誘い。毎回断っている | 一度は行く。行けないなら代わりの案を必ず実行する |
| 大人数の会 | 1次会だけ参加して、先に失礼する |
| 体調や家の事情がある | 断って、代わりの案を出す |
| 翌日に大事な仕事がある | 断って、代わりの案を出す |
この表は私の提案です。相手との関係や業界の習慣で変わるので、自分の状況に合わせて使ってください。
「顔だけ出す」のやり方
- 最初に伝える。「今日は1時間で失礼します」と、席についたらすぐ言う。
- 乾杯のあとに担当者と5分話す。 仕事の話より、最近の様子を聞く。
- 帰るときにお礼を言う。「今日はありがとうございました。楽しかったです」。席を立つのは、区切りのいいタイミングで。
最初に時間を伝えておくと、途中で帰っても角が立ちません。伝えずに途中で消えるのが一番印象を落とします。
関係を悪くするのは「断ること」より「断り方の落とし穴」
毎回断って、代わりの案も出さない
誘いを断り、代わりの案も出さない。これが続くと、相手は「忙しそうだから声をかけるのをやめよう」となることもあります。誘われなくなると、飲み会の席で自然に生まれていた雑談の機会もなくなります。
当日になってのキャンセルと、理由のつじつまが合わない
前日までに連絡するのが無難です。当日のキャンセルは、店の予約や人数に影響します。理由は事実だけを短く。前に言った理由と食い違うと、信用が下がります。作り込まないことが一番の防御になります。
断れずに行って、不機嫌な顔で座っている
断れない型の人がやりがちな落とし穴です。人格の話ではなく、今の動き方の問題です。断る選択肢がないまま行くと、気持ちが顔に出ます。それなら、気持ちよく断って、別の形で会うほうが関係を傷めない場面があります。
断ったあとの1週間でやること
翌日にひと言送る
昨日はお誘いありがとうございました。来週のランチ、楽しみにしています。
断った件にはもう触れません。お礼と、次の約束の確認だけです。短いほうが、相手の負担になりません。
代わりの約束を実行する
予定表に入れて、前日に確認の連絡をします。「明日◯時に◯◯でお待ちしています」の1行で足ります。約束を流してしまうと、断りが「口実」に見えてしまいます。代わりの案は、断ったことへの埋め合わせではなく、関係をつなぐ本番です。
断っても、選ばれなくなるとは限らない
断っても、仕事ぶりへの評価は下がるとは限りません。飲み会に出ることと、信頼されることは別のものだと私は考えています。断ったあとに約束どおり動く人は、むしろ印象に残るのではないでしょうか。
今日やれる1つの行動
次に誘われたときのために、断りの一言と代わりの案を1つだけ決めて、スマホのメモに書いておきます。たとえば次のようなものです。
お誘いありがとうございます。その日は先約があって。来週の打ち合わせのあと、お昼どうですか。
性格を変える必要はありません。言う順番を決めておくだけでいいです。断ったら終わりではなく、断ったら次に会う日が決まる。そう置き換えるだけで、飲み会の誘いは少し軽くなります。
よくある質問
取引先の飲み会を断ると、仕事に影響しますか?
影響するかどうかは、断ったこと自体より、断り方と次に会う約束があるかで変わる、というのが執筆者の見立てです。代わりの案と日付を一緒に出せば、関係は切れにくいと考えています。
取引先の飲み会を断るとき、理由は正直に言うべきですか?
作り込んだ嘘は、あとで話が合わなくなるので避けます。先約・お酒が苦手・家の事情など、事実を短く一言で伝えれば足ります。細かく説明する必要はありません。
取引先の飲み会をメールで断るときの例文は?
お礼→断り→代わりの案(ランチなど、候補日を1つ)→結びの順で、5〜7行に収めます。謝罪を何度も重ねないことがポイントです。本文の文例をそのまま使えます。
何度も誘われて毎回断っていると失礼ですか?
代わりの案を出さずに断り続けると、誘われなくなることもあります。一度は1次会だけ顔を出すか、代わりの約束を実際に果たすことで、関係はつなげられます。
接待の誘いを断るとき、取引先の社長にはどう伝えればいいですか?
丁寧さは上げますが、理由は増やしません。お礼を厚めにして、日中に会う代わりの案を添えます。謝りすぎると、かえって距離ができることがあります。
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