対面営業・商談
取引先に電話をかける時間帯|相手の手が空いている時間と、避けたい時間
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
取引先に電話する時間帯は「相手の手が止まりにくい時間」で選ぶ
先に、検索した人が知りたいことに答えます。
- 避けたい時間:相手の始業直後、昼休み、終業間際、そして休み明けの朝
- かけやすい時間:それ以外の、相手の手が落ち着いている時間
これは、いくつかのサイトで少しずつ時刻を変えて紹介されている一般的な目安です。何時から何時、と決めて覚えるのはおすすめしません。取引先ごとに就業時間は違うからです。時刻は「相手の就業時間のなかでの位置」で考えます。
手順は3つです。
- 相手の営業時間・定休日を、WebサイトやGoogleマップで確かめる
- その中で、始めと終わりと昼をよける
- 最初のひと言で、用件と所要時間を言う
1と2が時間帯の話です。この記事の本題は3です。時間帯を完璧に選んでも、最初のひと言が「あの、少しよろしいですか」では、相手は身構えます。逆に、時間帯が多少ずれても、用件と長さを先に伝えれば、相手は「今出るか、後にするか」を自分で決められます。
用件はまとまっている。電話番号も手元にある。それでも発信ボタンの前で手が止まり、「今かけたら迷惑かな」と考えながら、時間帯を検索している。独立して間もない人には、そんな場面がよくあると思います。
電話の時間帯を調べる人の多くは、正解の時刻を知りたいというより、相手の邪魔をしたくなくて止まっているのではないか。これは私の見立てで、仮説です。
受け手の側から見ると、電話が負担になるのは、時刻そのものより、「何の用件で、何分かかるのか分からないまま手を止めさせられる」ときが多いと思います。時間帯は大事ですが、時間帯だけで迷惑かどうかが決まるわけではありません。ここを知っておくと、かける前の迷いはかなり軽くなります。
避けたい時間帯と、そのとき相手がしていること
避けたい時間を、受け手の事情で並べます。「ここは忙しい時間」と決めつける表ではなく、「相手はこういうことをしていることが多い」という想像の一覧です。
| 避けたい時間 | そのとき相手が多くしていること | どうしてもかけるなら |
|---|---|---|
| 休み明けの朝 | たまったメールや連絡の処理 | 急ぎでなければ翌日以降に回す。急ぎなら最初に「急ぎの確認で1分だけ」と言う |
| 始業直後 | その日の段取り、朝の打ち合わせ | 急ぎでなければ少し時間をおく。急ぎなら用件と長さを先に言う |
| 昼休み | 席にいない、食事中、休憩中 | 出たらすぐ「お昼時に失礼しました」と言い、かけ直す時間を自分から出す |
| 終業間際 | その日の締め、帰る準備、最後の連絡 | 長くなる話はやめる。一文で終わる確認だけにする |
| 営業時間外 | 閉店後・退勤後で、電話に出る前提になっていない | 緊急でなければ翌営業日に。メールで用件と電話しやすい時間を聞く |
時刻を書いていないのは、わざとです。相手の就業時間の「最初・真ん中・最後」で表しています。9時始まりの会社と、10時始まりの店では、避ける時刻がずれます。時刻で覚えるより、先方のWebサイトで就業時間を確かめるほうが確実です。
NG例:終業間際の「少しご相談が」
ありがちな失敗を1つ挙げます。終業間際に電話をかけて、こう切り出します。
「お世話になっております。少しご相談がありまして」
相手は「相談」が何分かかるか分かりません。話が長くなると、相手は帰れなくなります。そして聞いているあいだずっと、用件の中身より「いつ終わるのか」が気になっています。こうなると、内容が良くても、印象は「長い電話だった」で終わってしまいます。
終業間際にかけるなら、「見積書の送付先だけ確認させてください。1分で終わります」のように、一文で終わる用件に絞るほうが、相手の負担は小さくなります。
相手の仕事の流れで「手が空く時間」は変わる
上の表は、オフィス勤めの時間割を前提にしています。これを全員に当てはめるのは危険です。取引先が、お店なのか、医院なのか、施術の仕事なのか、現場に出る仕事なのか、事務所なのかで、忙しい時間はまったく違います。
考え方は1つです。相手のお客さんが来る時間は、相手が電話に出にくい時間。この見方で組み直します。
調べる順番
- Webサイトの営業時間・受付時間:まずここ。電話受付の時間が別に書いてあることもあります
- 定休日:定休日は営業時間外と同じ扱いです。祝日の扱いも見ておきます
- 予約の入り方:予約制の仕事なら、予約の合間にしか電話に出られないかもしれません
- Googleマップの営業時間:サイトが古いときの確認用です。ただしこちらも古いことがあるので、2つが食い違ったらサイトのほうを優先して、気になるなら本人に聞きます
具体例
- 飲食店:店が混む時間は、電話どころではありません。お客さんが来る前の準備の時間や、お客さんが引いたあとの時間のほうが落ち着いていることが多そうです
- 現場に出る仕事:日中は現場に出ていて、電話に出られないことが多いと考えられます。朝の出発前や、夕方に戻ってくる時間のほうがつながりやすいかもしれません
- 施術・医院:予約が詰まっている時間は、手が離せません。受付の時間内でも、予約の合間にしか出られないことがあります
ただし、これらは推測です。業種だけで決めつけず、最後は本人に確かめます。
「今後のご連絡は、お電話のほうがよろしいでしょうか。お電話しやすい時間帯があれば、教えていただけますか」
このひと言を、最初のやりとりのどこかで聞いておけば、あとは迷わずに済みます。
聞いた時間は、残しておく
一度聞いた「つながりやすい時間」は、名刺の裏や連絡先のメモに書いておきます。たとえば「平日の午後、電話は2回目のコールで出る」「月曜の午前は避ける」といった一行で十分です。次にかけるとき、またいちから考えなくて済みます。
時間より効くのは、最初の10秒で言うこと
時間帯を気にしている人ほど、実は、最初のひと言のほうが相手に大きく響きます。受け手が最初に知りたいのは、この3つです。
- 誰からの電話か
- 何の用件か
- 何分かかるか
これを先に言えば、相手は「今出られるか、後にするか」を自分で決められます。それが、相手にできる一番の気づかいだと私は思います。
そのまま使える最初のひと言
順番は4つです。
- 名乗る:「◯◯(屋号)の◯◯です」
- 用件を一文で言う:「先日お出しした見積もりの件でお電話しました」
- 所要時間を言う:「3分ほどで終わります」
- 都合を聞く:「今、お時間よろしいでしょうか」
つなげるとこうなります。
「◯◯(屋号)の◯◯です。先日お出しした見積もりの件でお電話しました。3分ほどで終わります。今、お時間よろしいでしょうか」
声に出して10秒ほどです。これだけで、相手には「見積もりの件で、3分」という地図が渡ります。
NG例と直し方
「お世話になっております、あの、少しよろしいですか」
この言い方は、用件も長さも分かりません。相手は「何を言われるんだろう」と身構えます。電話を受ける側からすると、内容が分からないまま時間を取られるのがいちばん落ち着かないところです。
直した版は、上の4つの順番です。同じ「少しよろしいですか」でも、前に用件と長さがあるだけで、受け取り方は変わります。
かける前に、用件を一文で書く
電話を取る前に、用件を一文で紙に書き出します。「見積もりの金額について、1か所だけ確認したい」。これが一文になれば、電話で話せます。
一文にならないときは、まだ整理ができていないか、電話に向かない用件です。資料を見ながら説明したい、数字や日程を残したい。そういう内容は、先にメールで送ったほうが、相手にとって楽な場合もあります。電話は「短く、すぐ答えが出る」用件に向いています。
「今ちょっと…」と言われたときの返し方
電話をかけて、「すみません、今ちょっと手が離せなくて」と言われる。ここで「あ、すみません、失礼しました」と切ってしまって、そのまま連絡が止まる人は、案外多いのではないかと思います(これも仮説です)。
「今は手が離せない」は、その時間の都合を言っているだけです。断られたわけではありません。相手が嫌がっているのは、電話そのものではなく、いま手を止めることです。
その場で返すひと言
「失礼しました。では、◯時ごろか、明日の午前中に、あらためてお電話してもよろしいでしょうか」
候補を自分から2つ出すのがコツです。相手は選ぶだけで済みます。「いつがいいですか」と聞き返すと、相手に考える仕事を渡すことになります。2つ出せば、相手は「じゃあ明日の午前で」と一言返すだけで終わります。
NG例:「またかけ直します」だけで切る
「そうですか、ではまたかけ直します」
これで切ると、いつかけるのかが決まらないまま、日が空きます。日が空くほど、次の電話は出しづらくなります。かけ直す時間は、その場で決めて口に出しておきます。決めた時間は、カレンダーか手帳に書いておきます。
折り返しをお願いされたとき
「あとでこちらから折り返します」と言われた場合は、出られる時間を伝えます。
「◯時ごろまでは電話の前におりますので、お手すきのときにお願いします」
そのあいだは、電話を手元に置いておきます。折り返しが来たときに出られなかったら、相手の手間が無駄になります。
まだ仕事をしていない相手には、電話の前にひと言メールを送る
ここまでは、すでに付き合いのある取引先を前提にしてきました。ここからは、名刺交換はしたけれど、まだ一緒に仕事をしていない相手の場合です。
仕事の話をしたい。でも「いきなり電話は失礼かな」と考えて、何日も止まっている。名刺は机に置いたまま、時間だけが過ぎていく。まだ仕事をしたことのない相手に、仕事の話を切り出せない状態です。
この状態の人が止まっている理由は、時間帯ではないことが多いように思います。頼んだ瞬間に、相手と対等ではなくなる気がする。そう感じている人が多い、というのが私の見立てです。時間帯を調べているのは、その気持ちを「マナーの確認」という形に置き換えているのかもしれません。
ここで、1つ許可を渡します。最初の連絡で、仕事を頼まなくていい。 近況を伝えて、話す時間をもらうだけで十分です。
そのまま送れるメール文例
件名:先日の◯◯のお礼と、お電話のお願い
◯◯様
先日の◯◯では、ありがとうございました。 ◯◯の件で、5分ほどお電話してもよろしいでしょうか。 ◯日の午後か、◯日の午前で、ご都合いかがでしょうか。 お電話しやすい時間帯があれば、そちらに合わせます。
◯◯(屋号) ◯◯
このメールのポイントは3つあります。
- 用件が「◯◯の件」と一文で分かる
- 所要時間が「5分ほど」と分かる
- 日時の候補を相手が選べる
時間を相手が選べるので、「何時にかければ迷惑にならないか」を自分で悩む必要がなくなります。時間帯の迷いの多くは、相手の都合を知らないまま決めようとするところから来ているように思います。先に聞いてしまえば、迷いごと消えます。
最初の連絡から仕事につなげるまでの全体の順番は、フリーランスの営業の仕方にまとめています。電話の前後でどう動くかを整理したいときに、あわせて読んでみてください。
電話をかける前のチェックリスト
持ち帰り用です。電話の前に、上から順に確認します。
- □ 相手の営業時間・定休日を確かめた
- □ 始業直後・昼休み・終業間際を外した
- □ 休み明けの朝ではない
- □ 用件を一文で言える
- □ 何分で終わるか言える
- □ つながらなかったときの次の手(留守電で言うこと、メール文)を決めてある
留守電に残すひと言
留守電になったとき、何も入れずに切る人もいますが、残すほうが親切です。長く話す必要はありません。
「◯◯(屋号)の◯◯です。見積もりの件でお電話しました。あらためて、明日の午前中にお電話します」
名乗る、用件を一文で言う、かけ直す時間を自分で言う。この3つだけです。かけ直す時間を先に伝えておけば、相手は折り返さなくて済みます。相手の負担を増やさない、というのが、電話のマナーのいちばん奥にある考え方だと私は思っています。
今日やれる形に落とす
全部を一度にやらなくて大丈夫です。今日やることは3つだけにします。
- 電話したい相手を、1人だけ選ぶ
- その相手の営業時間をWebサイトで調べる
- 最初のひと言(名乗る→用件→所要時間→都合を聞く)を紙に書く
かけるのが重いときは、先にメールで「5分ほどお電話してもよろしいでしょうか」と時間を聞くだけでも構いません。それも立派な、最初の1歩です。
よくある質問
取引先に朝一番で電話してもいいですか?
始業直後は、相手がその日の段取りや朝の打ち合わせをしていることが多いので、急ぎでなければ外します。急ぎのときは最初に『急ぎの確認で1分だけ』と用件と長さを言えば、相手は判断しやすくなります。
昼休みに電話してしまったときはどうすればいいですか?
相手が出たら『お昼時に失礼しました』とひと言おわびし、『あらためて◯時ごろにかけ直してもよろしいでしょうか』と、かけ直す時間を自分から出します。長々と謝るより、すぐ切り上げるほうが相手の負担は小さくなります。
取引先の携帯電話には何時までかけていいですか?
決まった時刻はありません。携帯でも、相手が仕事として出している営業時間・受付時間の中にかけるのが基本です。時間外は、急ぎでなければメールやメッセージにして、電話しやすい時間を聞いておきます。
電話とメール、どちらで連絡するほうがいいですか?
用件を一文で言えて数分で済むなら電話、資料や金額など残しておきたい内容ならメールが向いています。まだ仕事をしていない相手には、先にメールで『5分ほどお電話してもよろしいでしょうか』と時間をもらうと、時間帯で迷わずに済みます。
電話がつながらなかったら留守電は残すべきですか?
残すほうが親切です。名乗る・用件を一文で言う・かけ直す時間を言う、の3つだけを短く入れます。かけ直す時間をこちらから伝えておけば、相手は折り返さずに済みます。
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