対面営業・商談

土地家屋調査士の営業方法|司法書士や不動産会社から、依頼が続く関係の作り方

このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

土地家屋調査士の営業方法は「探しに行く」より「思い出される」——依頼が減ったのは腕のせいではない

開業して数年、最初は前の事務所とのつながりや、知り合いの司法書士からの紹介で仕事が回っていました。ところがここ最近、その紹介が細ってきて、次の当てがありません。「土地家屋調査士 営業方法」と検索するとき、自分に言い渡しているのはたぶんこの判決です。「仕事ぶりが足りなかったから、紹介が減った」。

紹介待ち型かもしれません。いい仕事をすれば紹介は出ると思っていて、思い出してもらう働きかけをしていない型です。

でも紹介が減ったのは、測量や申請の腕が落ちたからではありません。相手が次の案件のときに「あの人に」と思い出せる位置に、いなかっただけです。

土地家屋調査士の法定業務は、不動産の表示に関する登記につき必要な調査及び測量と、その登記の申請手続について代理することです。分筆登記、地積更正登記、建物の表題登記——これらはどれも、売買や相続や新築という「取引の途中」で発生します。

依頼人が最初に相談する相手は、土地家屋調査士ではありません。司法書士、不動産会社、建築会社です。だから、その入口を持っている人に思い出されることが、そのまま営業になります。

腕のせいではありません。頭を下げて頼み込む必要もありません。やることは「思い出される位置に戻る」、これ1つだけです。このあとの章は、その手順です。

思い出される位置というのは、特別な人脈を指すわけではありません。過去に一度でも仕事を通じてやり取りした司法書士や不動産会社の担当者に、案件が動くたびに名前が浮かぶかどうかです。一度きりの名刺交換で終わっている相手が多いなら、そこから作り直せます。

なお、この記事では一般の人向けのホームページ集客や広告は扱いません。表示登記は、一般の人が自分で調査士を見つけて依頼する場面が少ない構造だからです。ここは後回しでよい部分です。まずは紹介元との関係から動かします。

司法書士と不動産会社は、調査士を「腕」で選んでいない——振り先が決まる瞬間に見ていること

紹介元にとって、土地家屋調査士は「同じ資格を持つ人が何人もいる」中から選ぶ相手です。測量の正確さや申請の速さは、資格を持っている以上どの調査士にも一定の水準があると見られています。選ばれる基準は、腕ではありません。「段取りを任せて、進捗を聞かなくていいか」です。

土地家屋調査士が担うのは、表示に関する登記の調査・測量と申請代理まで。その先の所有権移転や決済は、司法書士の仕事です。役割が分かれているからこそ、相手が何を見ているかを知らないと、次につながりません。

司法書士が困る場面を考えてみます。決済日はすでに決まっています。そこに向けて分筆登記が間に合うかどうかが読めない。司法書士がほしいのは、測量の技術的な報告ではありません。「間に合います」か、「間に合わないなら、何日までに何が必要か」を先に言ってくれる相手です。

不動産会社が困る場面も同じ構造です。境界が決まらないと、売買そのものが前に進みません。隣地の所有者とのやりとりを誰がやるのか。不動産会社がほしいのは、「立会いの日程調整まで含めて引き受けます」と言ってくれる相手です。

同じ状況で、報告の仕方がこう変わるとします。

  • NG:「測量は終わっています」とだけ報告する調査士。紹介元は次に何をすればいいか分からず、結局自分から電話して聞くことになる
  • OK:「隣地の立会いが難航しそうです。◯日までに決まらなければ、決済日の相談が要ります」と先に言う調査士。紹介元はそのまま自分の顧客に説明できる

次も振られるのは後者です。紹介元が買っているのは、測量の技術そのものではありません。「自分の案件が止まらない安心」です。このあとの連絡文は、すべてこの視点で組み立てます。

もう一つ、紹介元が見ているのは「連絡のタイミングを自分で決めてくれるか」です。聞かれるまで黙っている調査士は、紹介元にとって「毎回こちらから確認しないといけない相手」になります。逆に、区切りのいいところで先に一言入れてくる調査士は、「放っておいても進捗が分かる相手」として、次の案件でも真っ先に名前が挙がります。忙しい紹介元ほど、後者を選びます。

最初の1件をもらうまで——知り合いゼロから司法書士・不動産会社に接点を作る手順

手順1 誰から当たるか

優先順位は「事務所から近い順」ではありません。「表示登記が発生しやすい順」です。売買を扱う不動産会社、相続や決済を扱う司法書士、新築を扱う建築会社や工務店。土地の分筆や建物の表題登記が起きる場面を持っている相手を、先に回ります。

手順2 何を持っていくか

「仕事をください」とは言いません。渡すのは、こういう場面で使えると一目で分かる1枚です。

  • 対応できる業務(表示登記の調査・測量・申請代理)
  • 対応エリア
  • 連絡が返る目安
  • 立会い調整まで引き受けるかどうか

実績の数を並べる必要はありません。実績並べ型に寄ると、相手は自分の案件に重ねて考えられなくなります。

手順3 言い方の例文

「◯◯で開業した土地家屋調査士の△△です。分筆や表題登記で急ぎの案件が出たときに、候補の一人として頭の片隅に置いてもらえれば十分です。今日は顔だけ覚えてもらえたら」

頼み込みません。相手の負担がゼロの頼み方です。

NG例

  • 初対面で料金表を配って、安さを強調する
  • 「何でもやります」で終わる(相手は何を振ればいいか決められない)
  • その場で案件の有無を聞く

名刺交換で終わらせないことも大事です。帰ったその日に、「今日はありがとうございました。お話に出た◯◯の件、参考になりました」の1通を送ります。次に会う口実は「近くに来たので」ではありません。「前に話した件で、こんな事例がありました」のような、相手の仕事に関係する話題です。

初回の訪問で反応が薄くても、それだけで見込みなしと決めなくてかまいません。紹介元にとっても、その場で初対面の調査士に仕事を振るのはハードルが高い動きです。反応が薄いのは「今すぐ必要ではない」だけのことが多く、「候補として覚えておく」の段階では、むしろ普通の反応です。ここで諦めて足を止めると、思い出される前に接点が切れてしまいます。

1件目を「続く関係」に変える——納品後・案件がない時期・紹介を頼むときの動き方

納品で終わらせないことが、次につながる分かれ目です。登記完了の報告に、「次に起きること」を一言添えます。

「表題登記が完了しました。この後の所有権保存は、司法書士の先生の側で進む段取りかと思います。図面が必要でしたら、すぐ出せます」

相手が次の一手を考えなくていい状態にして渡します。

案件がない時期にも、月1回の連絡を固定します。頼み事はゼロで、近況だけです。

「先月は◯◯市の分筆を進めていました。隣地の立会いで時間がかかる地域だったので、そのあたりの案件があれば、早めに声をかけてもらえると日程を先に押さえられます」

相手の役に立つ情報を1つと、自分の空き具合を自然に伝えます。

紹介を頼むときは、借りにならない形にします。「紹介してください」ではありません。「◯◯のような案件があったら、候補に入れてもらえると助かります」。相手が断りやすい頼み方にすると、かえって頼みやすくなります。

連絡の頻度は、相手の案件サイクルに合わせます。不動産会社なら月末、司法書士なら決済の前後。「気が向いたとき」にせず、カレンダーに固定します。そのうち型に落ちる典型は、頻度を決めていないことから始まります。

月1回の近況連絡に返信が来なくても、続けてかまいません。紹介元は忙しく、毎回返す余裕がないだけのことが多いです。返信の有無ではなく、案件が動いたときに名前が浮かぶかどうかが目的なので、反応がない月があっても次の月も同じように送ります。

NG例

  • お礼のやりとりだけで区切りがついて終わる
  • 半年空いてから急に「お仕事ありませんか」と連絡する(相手は忘れていて、頼まれごとから始まる関係になる)

見積と納期の出し方——紹介元が「安心して振れる」形にする

総額だけを出さないことです。測量、境界の立会い・調整、登記申請と、中身を分けて出します。

納期は、最短の日数より「遅れる条件」を先に言います。

「順調なら◯週間です。隣地の所有者と連絡が取れない場合は、そこで止まります。その時は◯日時点で一度ご報告します」

決済日を握っている紹介元が、一番ほしいのはこの情報です。

隣地の立会いが難航しそうなときは、分かった時点で言います。「まだ分からない」段階でも、「今のところ懸念は◯◯です」と伝えます。悪い知らせを早く言う調査士ほど、次も振られます。

値段は下げません。紹介元の顧客に「安いから頼んだ」と言わせる形にしないためです。値段を下げると、紹介元は自分の顧客に値段の話をしづらくなります。腕が本物なら、条件として出してかまいません。

見積を分けて出すのは、値引き交渉のためではありません。紹介元が「どこにいくらかかっているか」を自分の顧客に説明できるようにするためです。測量にいくら、立会い調整にいくら、申請にいくら。

この3行があるだけで、紹介元は顧客からの「高くないですか」という質問に、自分の言葉で答えられるようになります。総額しか渡さない調査士は、この質問が来るたびに紹介元から問い合わせを受けることになります。

なお、登記に関する個別の判断や費用の扱いは案件ごとに異なります。個別の判断は専門家に相談してください。

紹介元を失う3つの動き——やってはいけない営業

1. 紹介元の顧客に直接営業する

紹介で会った不動産会社の顧客や、建築会社の施主に、次の案件を直接取りに行く。一度でもやると、その紹介元からは二度と来なくなります。顧客との関係は、紹介元のものです。

2. 断り方が雑

手が空いていないとき、「今は無理です」で終わる。紹介元は代わりを探す手間が増え、次から声をかけなくなります。断るなら、「◯日以降なら受けられます。急ぎなら◯◯さんという調査士に声をかけますか」まで返します。一度断られても、代わりの案まで示してくれた調査士は、紹介元の記憶に「頼りになる人」として残ります。何も提案せずに断るのと、次の一手まで添えて断るのとでは、同じ「断る」でも紹介元に残る印象がまったく違います。

3. 進捗を聞かれるまで報告しない

問題がなくても、「今週は立会いの日程調整中です」の一言を入れます。紹介元が自分の顧客に聞かれて、答えられない状態を作りません。

このほかに、問い合わせを待つだけで、自分から相手を探す時間を取っていない状態が続くと、紹介元が1、2社に偏ります。その1社の担当者が異動しただけで、仕事が止まります。紹介元を増やす動きは、今仕事があるうちにやっておく話です。

3つのうち、自分に当てはまるものを1つだけ選んで直してください。全部いっぺんにやる必要はありません。

今週やること——紹介元リストと3種の連絡文

今日やる1つ

過去に仕事をくれた相手を思い出し、一番連絡が空いている1人に近況を1通送ります。頼み事は書きません。件名は「近況のご報告(△△事務所)」で十分です。

紹介元リスト

持ち帰って埋めてください。空欄があってもかまいません。

相手の名前会社職種もらった案件の種類最後に会った日最後に連絡した日次に連絡する予定日
司法書士/不動産会社/建築会社分筆・地積更正・表題登記など

3種の連絡文

  1. 納品後の報告文(次に起きることを添える)
  2. 案件がない月の近況文(役立つ情報1つ+空き具合)
  3. 候補に入れてもらう頼み方の文

それぞれ、この記事の該当章で挙げた例文をそのまま使えます。

月初には、リストを見て「3か月以上連絡していない相手」を探します。いたら、その人に②の近況文を送ります。これだけを固定の習慣にします。

性格を変える必要はありません。頭を下げて頼み込む営業もいりません。腕は本物で、足りなかったのは、思い出される位置にいるための段取りだけです。選ぶのは読者です。

個人で仕事を途切れさせずに回していく営業の型は、フリーランスの営業のやり方にまとめています。

よくある質問

土地家屋調査士は開業してすぐ仕事が来ますか?

表示に関する登記は売買・相続・新築という取引の途中で発生する仕事なので、依頼人が最初に相談するのは司法書士や不動産会社になることが多い。開業直後は一般向けの集客より、入口を持つ相手との接点作りが先。最初は「候補の一人として覚えてもらう」ことを目標にする

司法書士に挨拶に行くとき、何を持っていけばいいですか?

料金表や実績一覧より、「どんな場面で使えるか」が一目で分かる1枚。対応業務・対応エリア・連絡が返る目安・立会い調整まで引き受けるか。「仕事をください」ではなく「急ぎの案件のとき頭の片隅に置いてもらえれば」と伝える

不動産会社からの紹介が減ってきました。どうすればいいですか?

腕が落ちたのではなく、思い出される位置から外れていることが多い。まず一番連絡が空いている相手に、頼み事なしの近況を1通送る。以後は月1回、相手の役に立つ情報1つと自分の空き具合を伝える連絡を固定する

土地家屋調査士の営業にホームページは必要ですか?

一般の人が自分で調査士を探して頼む場面は少ない構造なので優先度は低い。ただし紹介元が「どんな人か確認する」ときに見られるので、業務範囲・対応エリア・連絡先が分かる程度は整えておく。集客の主戦場は紹介元との関係

紹介元に「紹介してください」と頼むのは失礼ですか?

言い方次第。「紹介してください」は相手に借りを作らせる形になる。「◯◯のような案件があったら候補に入れてもらえると助かります」のように、相手が断りやすい頼み方にする。仕事をした後の報告文に添えると自然

参照した情報源

  1. 土地家屋調査士について(日本土地家屋調査士会連合会)・確認日 2026-09-18

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

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