対面営業・商談
紹介料の渡し方|現金か品物か、相手との間柄で決める
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
紹介料の渡し方は「相手との間柄」で決める。迷う理由は金額より、借りの感覚にある人が多いようです
先に結論:現金か品物かは、間柄の3区分で決まる
現金か品物かは、紹介してくれた人との間柄で決まります。大きく3つに分けて考えると迷いが減ります。
- 仕事でつながる紹介者(同業、外注仲間、取引先)
- 個人的な知り合い・恩人(友人、元上司、昔からの付き合いの人)
- お客さんが紹介してくれた場合
①は仕事として紹介してくれている場合があるので、取り決めがあれば現金もあり得ます。②と③は好意での紹介が多く、品物か食事のほうが相手の負担になりにくい、というのが私の考えです。詳しくは次の章の表で示します。
手が止まるのは、相場を知らないからではない
紹介してもらった仕事の初回入金を確認した夜。お礼の文面を書きかけては消し、何を渡すかも決められないまま3日たってしまった。そんな経験のある人は少なくないと思います。
検索すると「紹介料の相場」が並びます。でも、手が止まっている理由は相場を知らないことではない、というのが私の見方です。
本当の理由は、紹介してもらった借りをちゃんと返さないと、あの人と対等じゃなくなる気がすることではないでしょうか。借りだと思うから、軽すぎても重すぎても失礼に感じる。決められずに日が空き、日が空くほど連絡しづらくなる。この流れで止まっている人が多いように見えます。
これは性格の問題ではありません。紹介のお礼をどう扱うかを、誰からも習っていないだけです。渡し方の順番と言い方を知れば足ります。
ここで、一つ許可を置いておきます。お礼は借りを返す清算ではなく、次も声をかけやすくするための連絡です。きれいに返し切る必要はありません。「紹介が役に立ちました」と相手に伝わること。それがお礼の中身です。
間柄別の判断表:現金・品物・食事・紹介の返し方
判断表
行が間柄、列が向いているお礼の形です。金額の相場はここでは示しません(根拠を確認できる出典がないため)。
| 間柄 | 向いているお礼 | 避けたい形 | ひと言の例 |
|---|---|---|---|
| 同業・外注仲間 | 事前に取り決めがあれば現金。なければ仕事を返す | 取り決めのない現金を急に渡す | 「紹介のおかげで決まりました。今度、こちらからも案件があれば声をかけます」 |
| 取引先の担当者 | 丁寧な報告。仕事や紹介を返す | 高い品物(会社の規程で受け取れない場合がある) | 「ご紹介ありがとうございました。先日納品まで終わりました」 |
| 友人・知人 | 品物か食事 | 封筒に入れた現金 | 「おかげで仕事になった。ごはん行こう、こっちで予約するよ」 |
| 元上司・恩人 | 品物(手紙つき)。食事も可 | 紹介料という言い方 | 「あのとき繋いでいただいた件、無事に始まりました。お礼のしるしです」 |
| 既存のお客さん | 品物か、仕事の中での気づかい | 現金(紹介しづらくなる) | 「ご紹介いただき助かりました。ささやかですが受け取ってください」 |
表の「向いているお礼」は、迷ったときの基本線です。相手が現金を希望していたり、逆に品物を断る人だったりする場合は、相手に合わせてください。
現金が合うのは「仕事として紹介してくれた相手」
事前に「決まったら紹介料を払う」という話があった場合や、紹介が本業の一部になっている人が相手の場合です。取り決めがあるのに品物だけ渡すと、相手は「話は流れたのかな」と気にします。
逆に、友人が善意で紹介してくれた件で封筒に現金を入れて渡すと、「そういうつもりじゃなかったのに」と戸惑わせます。紹介が仕事の取引のように受け取られることがあるからです。
品物・食事が合うのは「好意で紹介してくれた相手」
見返りを求めていない相手には、品物か食事で気持ちを返します。紹介が役に立ったことが伝わる形のほうが残ります。
お客さんが「この人いい仕事するよ」と紹介してくれた件で現金を渡すと、「紹介するとお金のやりとりになるのか」と感じ、次から紹介しづらくなることがあります。好意のままにしておくほうが、次につながりやすいと私は考えています。
金額と品物の決め方:相場の数字より先に決める3つのこと
決まった仕事の大きさと、紹介した手間をそろえて考える
金額の相場は、この記事では出しません。業種や取引の形で大きく変わり、確かめられた数字を持っていないからです。代わりに、ずれを防ぐ考え方を置きます。
見るのは2つです。決まった仕事の大きさと、紹介してくれた人の手間。
- 受注額が大きい仕事なのに、お礼が小さな菓子折りだけ。相手は「役に立てなかったのかな」と感じるかもしれません
- 小さな仕事なのに、高価な品物を渡す。相手は気を遣い、次に紹介するときに身構えます
手間は、名前を出してくれただけか、先方に事前に話を通してくれたか、同席までしてくれたかで違います。
事前に紹介料の取り決めがあるならそれに従う/なければ自分で上限を決めておく
手順は3つだけです。
- 取り決めの有無を確認する。 メールやメッセージに「決まったら〜」という話がないか見返します
- なければ「品物か食事」を基本線にする。 迷ったら、ここに戻ります
- 仕事として続く相手なら、次から取り決めを作る。 何度も紹介し合う関係なら、「次からは決まったらこうしましょう」と先に話しておくと、毎回悩まなくて済みます
金額は、渡す前に自分で上限を決めておきます。その場で考えると、気持ちが先走って重くなりがちです。
品物選びのNG例
- 相手の会社で受け取りが禁止されている物。 会社員の担当者には、規程でお礼の品を受け取れない場合があります。先に「お礼をお送りしてもよいですか」と確かめます
- 高すぎて気を遣わせる物。 相手がお返しを考える負担を抱えます
- 自分の商品を押しつける物。 お礼ではなく宣伝に見えることがあります
迷ったら、消えもの(食べ物、飲み物)が無難です。好みが分からなければ、好き嫌いが出にくい物を選びます。
渡すタイミングと順番:お礼は2回に分ける
1回目は紹介を受けた当日〜翌日、ひと言だけ
1回目は、紹介を受けた当日か翌日に送るひと言です。この時点で物は渡しません。目的は、「会えました」「話が進んでいます」と知らせることです。
紹介した側は、「迷惑をかけていないかな」と気にしていることが多いものです。早く報告が届くと、その気がかりが消えます。
文面例
○○さん、ご紹介ありがとうございました。本日、△△さんにお会いして、お話を聞かせていただきました。いい方で、話が進みそうです。決まりましたら、あらためてご連絡します。
長くしなくて構いません。会えたこと、話が進んだこと、あとでまた連絡すること。この3点が入っていれば足ります。
2回目は仕事が決まった(または納めた)あとに形にして渡す
2回目で、品物・食事・紹介料を渡します。仕事が決まったあと、あるいは納めたあとです。結果が分かってから形にすると、「どうなったか」まで伝えられるので、お礼の中身が具体的になります。
決まらなかった場合も、お礼の連絡は入れます。物は必須ではありません。会ってもらえたこと、話を聞けたことへの感謝と、結果を短く伝えます。
決まらなかったときの文面例
○○さん、先日はご紹介ありがとうございました。△△さんとお話しできて、勉強になりました。今回は見送りになりましたが、お声がけいただいたことに感謝しています。また何かありましたらご連絡します。
決まらなかった報告のほうが、出しにくいものです。でも、紹介した側にとっては「どうなったか分からない」状態が一番落ち着かないものだと思います。結果が悪くても、伝えたほうが相手は安心します。
NG例:決まるまで連絡しない/お礼で区切りがついて、そこで連絡が止まる
場面を2つ見ます。
場面1:決まるまで連絡しない。 紹介を受けたあと、「決まってからまとめてお礼しよう」と考えて黙っている。紹介した側は、2週間たっても何も聞こえてこないので、「何かあったのかな」と不安になります。
場面2:お礼で区切りがついて、そこで止まる。 品物を送り、「ありがとうございました」「いえいえ」とやりとりが終わる。お互いに「済んだ」と感じて、それ以降は連絡が途切れる。数か月後、その人に別の仕事の話があっても、思い出してもらえません。
お礼は終わりの合図ではなく、次の連絡の入口です。そこで止めないために、あとの章で書く報告が効きます。
そのまま使えるお礼の文面:現金・品物・食事の3パターン
紹介料を渡すときのひと言
事前の取り決めがあるときの言い方です。理由を短く添えます。
対面で手渡す場合
先日のご紹介、おかげで○○の仕事をいただけました。お約束していた分です。お礼として受け取ってください。
振り込む場合(メッセージ)
○○さん、先日のご紹介の件、無事に決まりました。お約束のお礼を、本日振り込みました。ご確認いただけると助かります。本当にありがとうございました。
ポイントは、「何の件か」と「約束していた分か」を書くことです。何に対する金額か分からないと、相手は受け取りにくくなります。
品物を送るときの添え状
3〜4行で十分です。何の紹介で、どうなったかを具体的に書きます。
○○様 先日はご紹介ありがとうございました。おかげさまで、△△の仕事をいただくことができました。 ささやかですが、お礼のしるしです。お召し上がりください。 今後ともよろしくお願いします。
「ありがとうございました」だけの定型文より、「△△の仕事をいただきました」と書いてあるほうが、相手には役に立ったことが伝わります。
食事に誘うときの言い方
食事は、断りやすさを残して誘います。
ご紹介のおかげで仕事が決まりました。お礼に、ランチをごちそうさせてもらえませんか。お忙しければ、日程は○○さんの都合に合わせます。難しければ、お気持ちだけで大丈夫です。
NG例は、「ぜひ何かお返しさせてください」だけで終わる誘い方です。何をするかを相手に選ばせることになり、相手が考える負担を背負います。「ランチ」「お店はこちらで探す」と、こちらで具体案を出してから、断る道を残すと誘いやすくなります。
お礼のあとに一番効くのは、その後の報告
ここまで読んで、場面2が自分のことのように感じた人は、お礼だけ型かもしれません。お礼のやりとりで区切りがついて、そこから次のひと言を切り出せなくなる型です。
この型から抜ける最小の行動は、長い連絡ではなく、3行の報告を1通送ることです。この章の最後の「今日やること」に、そのまま書き出せる形でまとめました。
紹介者が知りたいのは、紹介した相手とうまくいったか
受け取る側の目線で考えます。紹介した人は、物をもらいたくて紹介したわけではないことが多いと思います。気にしているのは、紹介した相手とうまくいっているか、自分の紹介が迷惑になっていないか、という点です。
だから、お礼の品より、その後の報告のほうが「紹介してよかった」と思える材料になる、というのが私の見方です。経過が伝わると、紹介者は安心し、次に似た相手に会ったとき、「あの人に声をかけてみよう」と思い出しやすくなります。
報告の型:納品後に1回、その後の様子を1回
報告は2回で足ります。
- 納品後に1回。 無事に納めたこと、相手が喜んでくれたことを伝えます
- しばらくしてから、その後の様子を1回。 継続になった、別の仕事につながった、など
1回目の例
○○さん、ご紹介いただいた△△さんの件、先日納品が終わりました。「助かった」と言っていただけました。あらためて、ありがとうございました。
2回目の例
○○さん、その後の様子をお伝えします。△△さんから、続けてお願いしたいと言われ、今も一緒に進めています。ご紹介のおかげです。
ここで大事なのは、頼みごとを書かないことです。「また紹介してください」とは書きません。近況を伝えるだけでいい。頼みごとが苦手な人にとって、これが一番負担の軽い形です。頼まなくても、伝えるだけで関係は続きます。
なお、紹介が仕事の流れに乗ってきたら、フリーランスの営業の仕方の全体像もあわせて見直すと、次の一手を決めやすくなります。
今日やること
- 紹介してくれた人を1人、思い出す
- その後どうなったかを、3行で書く(会えたこと/決まったか納めたか/ありがとう)
- 頼みごとは入れない
- 今日送る。送れなければ、送る日付を決める
3日たっていても、3か月たっていても構いません。「遅くなりました。その後の報告です」と書き出せば足ります。遅れた理由の説明は、1行で十分です。
お金を渡す前に確かめたいこと:税金と業界の決まり
帳簿上の扱いや源泉徴収の要否は、取引の中身で変わります。業界の決まりや、相手の会社の規程で受け取れないこともあります。この記事では具体的な法令名や数字は確認できていないため書きません。渡す前に、事前の取り決め、相手の会社の規程、帳簿・税金の扱いを確かめ、個別の判断は税理士など専門家に相談してください。
よくある質問
紹介のお礼は現金と品物どちらがいいですか?
間柄で決めます。仕事として紹介してくれた相手や事前に取り決めがある場合は現金、好意で紹介してくれた友人・恩人・お客さんには品物か食事が無難です。迷ったら品物を基本線にします。
紹介してもらったのに仕事が決まらなかったら、お礼は必要ですか?
物は必須ではありませんが、お礼の連絡は入れます。会えたこと、話を聞けたことへの感謝と結果を短く報告すると、紹介した側の気がかりも消えます。
紹介のお礼はいつ渡せばいいですか?
2回に分けます。紹介を受けた当日〜翌日にひと言の報告、仕事が決まったか納めたあとに品物・食事・紹介料を渡します。
取引先の担当者に紹介のお礼を渡しても大丈夫ですか?
相手の会社の規程で受け取れない場合があるので、先に確かめます。受け取れない場合は、丁寧な報告と、自分から仕事や紹介を返す形でお礼にします。
紹介料を払ったら税金の扱いはどうなりますか?
帳簿上の扱いや源泉徴収の要否は、取引の中身によって変わります。この記事では一般論に留めるので、個別の判断は税理士など専門家に相談してください。
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