対面営業・商談

下請けからの脱却|元請けの仕事を続けながら、直接の依頼を増やす順番

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このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

下請けからの脱却は、元請けを切ることではない。続けながら直接の依頼を足す順番です

先に答えを言います

元請けが担う営業工程と下請けの手元に残る工程

下請けからの脱却は、元請けを切ることではありません。元請けの仕事を続けながら、直接の依頼が入る道を1本ずつ足すことです。順番は、このあと示します。

フリーランスの営業全体の考え方は、独立者の営業の全体像にまとめています。この記事は、その中でも元請けがいる人に絞った話です。

「直接の依頼が来ない=元請け抜きでは通用しない」と思っていないか

元請けからの発注が一時的に止まった週。連絡できる相手を探そうとして、自分から声をかけられる人が一人も思い浮かばなかった。そんな経験から、「元請けがいないと仕事が取れないのは、自分に直接頼まれるだけの力がないからだ」と結論を出している人は少なくありません。

ここで言う「力」は、仕事の腕のことだと思います。ただ、この結論は材料が違っています。

足りないのは腕ではなく、手元に残っていない営業の工程

下請けの仕事では、営業の工程の多くを元請けが代わりにやっています。

  • 相手を見つける
  • 話を聞いて要望を整理する
  • 金額を決めて見積を出す
  • 返事をもらう

作る側は、作ることに集中できるように組まれています。だから何年やっても、その工程だけが自分の手元に育たない。腕が足りないのではなく、習う機会がなかっただけ、という人が多いと私は見ています。これは構造の話で、人の出来不出来の話ではありません。

目の前優先型かもしれません

営業がいつもあとまわしになり、自分が動かないと仕事が入らない状態が続いている。これが目の前優先型です。

経営が分からないからではありません。仕事の取り方だけが空席のまま、社長(あるいは独立者)になった。そういう人が多いと私は見ています。だから、社長らしくなる必要はありません。今の働き方のまま、空いている席に1つずつ座っていけばいいのです。

元請けを切ってから営業する順番は危ない。続けながら足すほうが崩れにくい

よくあるNGの流れ

元請けを切る順と続けながら足す順の売上の違い

「もう下請けは嫌だ」という気持ちが高まって、元請けの仕事を断る。そこから直接の依頼を探し始める。ところが、見つけて、話して、見積を出して、受注するまでには日がかかります。その間、売上は空白になる。焦って条件のよくない仕事を受けるか、結局、元請けに頭を下げて戻る。起きがちなのは、この順番です。

勢いで切る人ほど、戻るときの気まずさも大きくなります。

元請けの仕事は「営業の時間を買う土台」

考え方を変えます。元請けの仕事は、抜け出す相手ではなく、営業にかける時間を買うための土台です。売上が一定入っているうちは、断られても生活への影響を抑えやすくなります。断られることに慣れる練習ができるのは、土台があるうちだけです。

反対に、今の仕事が回っているからと何も足さないでいると、元請けの発注が減った日に次の当てがありません。回っているときこそ、動ける時期です。

手順

  1. 元請けの仕事量は、今のまま維持する
  2. 空いた時間ではなく、先に予定表へ営業の枠を入れる
  3. 直接の依頼が一定入るまで、元請けとの関係は変えない

「空いたらやる」は、空かないので始まりません。先に枠を取る。これだけで順番が逆転します。

最初に確認すること:元請けとの約束で「やってはいけないこと」

動き出す前に、元請けとの約束を確認します。ここを飛ばすと、あとで一番高くつきます。

元請けの顧客と関係のない相手を分ける線引き図

契約書・発注書を読み返す

元請けの取引先に直接営業しない、直接取引をしない、といった取り決めが入っていることがあります。書き方は会社ごとに違うので、契約書や発注書、取引条件の書面を開いて、該当しそうな箇所を探してください。読んで判断に迷うときは、弁護士などの専門家に相談を。個別のケースは、この記事では判断できません。

NG例:元請け経由の発注者に「次は直接どうですか」

元請け経由で知り合った発注者に、「次は直接やりますよ」と持ちかける。約束に反する恐れがあるうえ、元請けとの信頼も失います。見つかれば、いちばん守りたい土台が崩れます。

線を引く:直接の依頼は「元請けと関係のない相手」から

直接の依頼は、元請けと関係のない相手から作る。こう線を引くと、後ろめたさなく営業できます。同じ業界でも、元請けの顧客ではない人はたくさんいます。

確認チェックリスト

  • 契約書・発注書の該当箇所を読んだ
  • 元請けの顧客リストと、自分の営業先が重なっていない
  • 元請けに黙っていなければできないことをしていない
  • 判断に迷う箇所は、専門家に相談すると決めた

3つ目に引っかかるなら、いったん止まる合図です。黙っていなければできない営業は、やらないほうがいいと私は考えています。

直接の依頼を増やす順番は5段階。いきなり知らない会社に営業しない

下請けの人が最初にやりがちなのは、知らない会社への飛び込みです。ここは順番を守るほうが進めやすいと私は考えています。

直接の依頼を増やす5段階の階段図

段階1:自分の仕事を一文で言えるようにする

下請けでは「元請けの一部」として名乗ってきたので、自分の名前で何を頼めるかが言えない人が多いです。まず一文にします。

「◯◯業の会社向けに、△△を作っています。たとえば□□のお困りごとのときに頼んでもらえます。」

肩書きではなく、頼まれる場面を入れるのがコツです。

段階2〜3:直接つながりのある人に近況を伝える

前職の同僚、同業者、個人的な知り合い。元請けを通していない人に、近況を伝えます。仕事を頼むのではありません。「いま、こういう仕事を自分で受けている」と伝えるだけです。頼まれていない相手に頼むのは気が引けても、近況なら出せます。

段階4〜5:小さく1件受けて、次につなぐひと言を用意する

返事が来たら、最初は小さな仕事で構いません。終わったあとに、「またこういうことがあれば声をかけてください」とひと言添える。小さな直接案件を積むほうが、大きな案件を狙うより早いと私は思っています。大きな案件は、見積も責任も重く、最初の1件には向きません。

5段階の表

段階やること1回の行動単位ありがちなつまずき
1自分の仕事を一文にする紙に書く肩書きだけで終わる
2昔の知り合いを思い出して書き出すリストを作る「誰もいない」と決めつける
3近況を1通送る1人に1通頼み事にしてしまう
4小さな直接案件を1件受ける1件の見積・納品最初から大きく狙う
5終わったあとに次のひと言を渡すお礼と一緒に1文納めて終わりにする

期間や件数の目安は、あえて書きません。人によって違い、根拠のない数字を置くと、遅れたときに自分を責める材料になるからです。

来るのを待つ形から、週1回だけ自分から動く形へ

下請けでは、仕事は上から降ってくる

元請けがいる間は、発注を待つのが当たり前でした。待っていても仕事が来る環境です。直接の依頼は違います。自分から動かないと、何も始まりません。これは腕とは別の話で、仕組みの違いです。

手順:毎週同じ曜日の同じ時間に30分

毎週同じ曜日、同じ時間に30分だけ押さえます。30分は目安で、根拠のある数字ではありません。自分に合う長さに変えて構いません。その枠で、近況連絡を1通送る。量は目的ではなく、止めないことが目的です。1通も送れなかった週があっても、枠だけは次週も残します。

文面の例(元請けの顧客ではない知人向け)

ご無沙汰しています、◯◯です。お元気ですか。 実は最近、◯◯の仕事を自分の名前でも受けるようにしていて、先月も△△の制作を1件納めました。 何かの折に思い出してもらえたらうれしいです。近いうちに、お茶でもぜひ。

売り込みの言葉は入れていません。お願いもしていません。相手が返しやすいのは、こういう文面だと私は考えています。なお、「先月も△△を1件納めました」の部分は、実際にあった話だけを書いてください。まだ無ければ、その一文は外して構いません。

NG例:仕事が落ち着いたら動こうとする

「いまは手一杯だから、落ち着いたら」と待つ。元請けの仕事が忙しいときほど、「落ち着いたら」の日は先へ先へと延びがちです。だから先に枠を取ります。

直接の依頼でつまずきやすい「お金の話」と「全部自分でやる負担」

金額は、自分で言う

下請けでは、金額は元請けが決めていました。直接の依頼では、自分で言います。元請け経由のときの単価をそのまま使うと、安すぎることがあります。元請けの単価には、元請けの取り分や、営業・調整の手間が前提に入っている場合があるからです。具体的な相場はここでは書きません。見積を出す前に、自分が担う作業を含めて考えます。

値段は自分の価値の点数ではなく、仕事の条件です。そう思うと、口に出しやすくなります。

元請けが代わりにやっていた作業が、全部自分に来る

事前に、次の作業を書き出しておきます。

  • 最初の打ち合わせと要望の聞き取り
  • 見積書の作成と送付
  • 日程の調整
  • 契約や発注の取り交わし
  • 納品後の確認と修正対応
  • 請求書の発行と入金確認

全部が1人に来ると、思った以上に時間を食います。あらかじめ一覧にしておけば、「見積に入れる手間」として数えられます。

直接の依頼が増えても、元請けをすぐ減らさない

両方を回すと手が足りなくなります。そのとき、どちらを減らすかは、直接の依頼が安定してから決めます。安定する前に減らすと、最初のNGの流れに戻ります。

税金や契約の細かい判断は、一般論では足りない場面が出ます。そのときは、税理士や弁護士など専門家への相談を前提にしてください。

今日やれること:元請けとの関係を守ったまま始める3つ

1. 契約書・発注書を開いて、直接取引に関する取り決めを確認する

読むだけで構いません。取り決めがあるか、ないか。あるなら、どんな範囲か。迷ったら専門家へ。

2. 自分の名前で何を頼めるかを一文で書く

「◯◯業の会社向けに、△△を作っています。□□のときに頼めます。」の形で、メモに1行書きます。完成度は気にしません。

3. 元請けと関係のない知人1人に、売り込まない近況連絡を1通送る

上の文面をそのまま変えて使って構いません。1人で十分です。

腕が足りないからだと決めつける前に、見直す順番があります。足りないのは、営業の工程を手元で回す経験と、営業の時間を先に取ることかもしれません。元請けを続けながら足していくか、別の順番を選ぶか。選ぶのは自分です。ただ、続けながら足す順番は、崩れにくいと私は考えています。

よくある質問

下請けから脱却するには元請けとの取引をやめるべきですか?

やめてから探すと空白期間ができやすいです。元請けの仕事を続けながら、週に決まった枠で直接の依頼を足していく順番のほうが崩れにくいと考えています。どちらを減らすかは、直接の依頼が安定してから決めます。

元請けの取引先に直接営業してもいいですか?

契約や発注書で直接取引を制限する取り決めがある場合があります。まず書面を確認し、判断に迷うときは専門家に相談してください。直接の依頼は、元請けと関係のない相手から作るのが基本です。

下請けしかやったことがなく、営業経験がありません。何から始めればいいですか?

知らない会社への営業ではなく、自分の仕事を一文で言えるようにし、もともとつながりのある知人に売り込まない近況連絡を1通送るところから始めます。

直接の依頼の金額は元請けからの単価と同じでいいですか?

元請け経由の単価は、元請けの取り分や手間を前提にしていることがあり、そのまま使うと安すぎる場合があります。見積・請求・やり取りなど、自分で担う作業も含めて考えます。

元請けの仕事で忙しく、営業の時間が取れません

空いた時間を待つと始まりません。先に予定表へ週30分など短い枠を入れ、その枠でだけ動く形にします。30分は目安なので、自分に合う長さで構いません。

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