対面営業・商談
鍼灸院の集客|初回で終わらせないために、施術のあとに話すこと
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
鍼灸院の集客が続かないのは、腕が足りないからではない
「楽になりました」と帰った人が、そのまま来ない

施術を終えて、患者さんが「楽になりました」と笑顔で帰っていく。手応えはあった。なのに1週間後の予約表を見ると、その人の名前がない。
「一回で楽にしきれなかったからだ」「もっと結果を出せていれば、また来てくれたはずだ」——そう自分に言い渡している先生は多いかもしれません。腕を責めて、次はもっと丁寧に、もっと効果を出そうと施術の技術を磨く方向に努力が向きます。
でも、来なかった理由は施術の効果そのものとは別のところにあることが多いです。腕を上げる努力は無駄ではありませんが、それだけを積み重ねても、予約表の空きは埋まりません。
新規を増やす前に、初回のあとを直す理由
鍼灸院の集客というと、多くの人がまずチラシやポータルサイト、SNSでの新規獲得を思い浮かべます。来る人が来なくなったから、来る人の数を増やそうとする発想です。
でも新規を増やしても、二回目が決まる仕組みが直っていなければ、同じだけ出ていきます。穴の空いたバケツに水を足しているのと同じです。二回目が決まるのは、施術台を降りたあとの数分。ここで何を話すかで決まります。ここが空いたままだと、新規をいくら足しても入っては出ていくだけになります。
紹介待ち型という詰まり方
紹介待ち型かもしれません。いい施術をすればまた来る、紹介も出るはずだと思っていて、思い出してもらうための働きかけを自分からはしていない型です。
腕のせいではありません。性格を変える必要もありません。口下手なままで構いません。話し上手になる必要もなく、施術のあとに話すことを3つ決めておくだけでいいです。この記事では、その3つを順番どおりに渡します。
患者さんが二回目を決められないのは、体ではなく判断材料がないから
帰り道の患者さんの頭の中
施術を受けた患者さんが帰り道で考えていることは、実はこんなことが多いようです。
- 「良くなった気はする。でも次いつ来ればいいんだろう」
- 「同じ料金をもう一度払う価値があるのか、自分では判断できない」
- 「先生は『また来てください』と言わなかった。ということは、もう来なくていいということかな」
不満があって来ないのではなく、決めるための材料が手元にないから決められない、という人が多いようです。患者さんは施術の専門知識を持っていません。次の一歩をどう判断していいか分からないまま、施術院を出ていくことになります。
「痛みがひどくなったら、また来ればいい」と考えて、そのまま日常に戻っていく人もいます。悪くなっていないから、来なくていい理由のほうが積み上がっていくのです。
「また来てください」を言えない先生の側の事情
先生の側にも事情があります。次回を勧めると売り込みに聞こえる気がする。通院を強いているみたいで嫌だ。押し売りと思われたくない。だから「お大事に」で締めくくって、送り出す。
この遠慮は、誠実さから来ているものだと思います。患者さんの財布や時間を尊重したい気持ちの表れです。でも患者さんの側からは、「この人はもう来なくていいと思っている」というメッセージとして受け取られてしまいます。
患者の本音と、先生が黙っていた理由
| 患者さんが思うこと | 先生が黙った理由 | 必要だった一言 |
|---|---|---|
| 次いつ来ればいいか分からない | 通院を強いたくない | 次は10日後くらいが目安です。予定を見て決めてください |
| もう一度払う価値があるか分からない | 値段の話は施術のあとにしにくい | 今日は腰まわりの張りを緩める施術をしました |
| また来てとは言われなかった、来なくていいのかな | 売り込みに見られたくない | 気になることがあれば、また相談してください |
黙ることは遠慮ではなく、判断材料を渡さないことになっている——ここが噛み合っていない部分です。
施術のあとに話すことは3つ。順番も決まっている
①今日、体で何が起きたかを分かる言葉で

経絡や気の巡りといった専門用語を並べても、患者さんの手元には残りません。家で確かめられる言葉に置き換えます。
「今日は腰まわりの張りを緩める施術をしました。立ち上がるときの重さが、少し変わっていると思います」
効果は言い切りません。「治ります」とは言わないほうがいいです。口頭であっても言い切り表現は避け、広告表現がどこまで書けるかは所属団体や保健所に確認し、個別の判断は専門家に相談してください。
「体に効きました」だけでは、患者さんは何が起きたのか翌日には忘れています。どこに何をしたかが一文で残っていれば、次に会ったときも「あそこ、どうですか」と話を続けられます。
②次に来るならいつか、なぜその間隔かを先に言う
目安と理由はセットで伝えます。
「今日緩めたところは、数日で元の状態に戻りやすいです。次は1週間から10日のあいだが目安です。戻り方を見ておきたいので」
理由がないと「通わせたいだけ」に聞こえます。理由があると、患者さんは自分で判断できます。
| 言い方 | 患者さんに伝わること |
|---|---|
| 「また来てください」だけ | 何のために来るのか分からない |
| 「しばらく通ってください」だけ | いつまで通えばいいのか分からない |
| 「次は10日後が目安です。戻り方を見たいので」 | 理由と期限が分かるので、自分の予定で決められる |
③次までに家でやることは1つだけ
宿題は1つに絞ります。「寝る前に湯船に10分」「長く座ったら一度立つ」、どちらか1つです。
5つ渡すと、患者さんは1つもやりません。1つなら、次回に「やってみてどうでした?」が会話の入口になります。この一言が、二回目の来院理由にもなります。
| 話すこと | 例 |
|---|---|
| ①今日体で起きたこと | 「腰まわりの張りを緩めました。立ち上がる重さが変わっているはずです」 |
| ②次の目安と理由 | 「次は10日後が目安です。戻り方を見ておきたいので」 |
| ③家でやること1つ | 「寝る前に湯船に10分、つかってみてください」 |
次の予約を勧めるのが押し売りに感じる人へ。判断は相手に返せばいい
判断を相手に返す一言の作り方

型は「目安+理由+決めるのはあなた」です。
「次は10日後あたりが目安です。ご都合を見て決めてください」
勧めているのは来院そのものではなく、判断材料です。「通わないと戻りますよ」と不安をあおって動かす言い方は避けたほうがいいです。不安で動かすのではなく、構造を説明するだけにとどめます。
その場で予約が入らなかったときの帰り際
その場で次の予約が決まらなくても、追いかける必要はありません。
「また調子を見て、気になったら連絡ください。今日の状態は控えておきます」
戻ってきやすい出口を作っておくだけでいいです。「じゃあ次いつにします?」と詰めるのは避けます。予約が入らなかったことは、失敗ではありません。その場で決めない人のほうが多いくらいです。決めなかった理由が「今日の家計」なのか「予定が読めない」なのかは、こちらには分かりません。追わずに待つほうが、次につながりやすいです。
後日の連絡は「経過を聞く」だけでいい
3日から5日後に、一通だけ送ります。
「その後、腰の重さはどうですか」
売り込みません。予約を促す文も入れません。返事が来たら、「それなら次はこのくらいが目安です」と、②の話をもう一度するだけです。
初回のあとでよくある5つの失敗。話しすぎも、話さなすぎも同じ結果になる
話す量ではなく、残るかどうかが問題
経絡や気の話を15分続けても、患者さんの手元には「よく分からなかった」しか残りません。逆に「お大事に」の一言で終わらせても、何も残りません。話す量は違っても、患者さんの手元に判断材料が残らないという結果は同じです。代わりに、体で起きたことを一文で伝えます。
初回に回数券を出すと、信頼が先に減る
初回に回数券やコースを勧めるのも、よくある失敗です。患者さんはまだ、この先生に体を預けるかどうかを決めている途中です。そこで先に売ると、「売りたい人」に見えてしまいます。②の目安と理由が伝わってから、二回目以降に「この間隔なら回数券のほうが負担が軽いです」と条件として出すほうが、伝わりやすいです。
目安は毎回同じ物差し、宿題は1つ
次回の目安が毎回ぶれると、患者さんは「先生も分かっていないのでは」と不安になります。前回は1週間、今回は3日と言われれば、基準が見えません。物差しを決めておき、変えるときは「今回は張りが強かったので、少し早めに」のように理由を添えます。宿題も5つではなく1つに絞ります。
| 失敗 | 代わりにこうする |
|---|---|
| ①経絡や気の話を長く説明する | 体で起きたことを一文で言う |
| ②「お大事に」だけで終える | ①②③の3つを順番どおり話す |
| ③初回に回数券・コースを勧める | 目安と理由が伝わってから、二回目以降に条件として出す |
| ④次回の目安が毎回ぶれる | 物差しを決め、変えるときは理由を言う |
| ⑤宿題を5つ渡す | 1つに絞る |
来なくなった患者さんに、もう一度連絡していいのか
来なくなった理由を勝手に決めない
来なくなった=不満だった、と決めているのは先生の側であることが多いです。実際には、忘れている、忙しくなった、良くなったので区切りがついた、という人も多いようです。連絡が来ないことと、不満があることは、イコールではありません。
紹介待ち型から抜ける最小の行動は、思い出してもらうための一通を出すことです。何を言うか決まっていれば、送るのに勇気はいりません。
経過を聞く一通の書き方
売り込みません。経過を聞いて、体の話を1つ添えます。
「その後、肩の調子はいかがですか。季節の変わり目で冷えやすいので、首元を温めると楽になりやすいです」
予約リンクは貼りません。割引も付けません。売り込みの気配があると、患者さんは「営業の連絡か」と身構えてしまい、経過を聞かれても答えにくくなります。手段はLINEでもはがきでも構いません。選ぶ基準は、その患者さんが普段使っているほうです。頻度は季節の変わり目など、続けられる間隔で決めます。
紹介は「頼む」より「伝えておく」
紹介を頼むと借りができる気がして、言い出せない人もいると思います。頼む必要はありません。
「同じような症状でお困りの方がいたら、初回はこういう流れです、と伝えてもらえたら」
紹介する側が説明しやすい材料を渡すだけです。紹介される側の手間を減らすことが、こちらからできる働きかけになります。
鍼灸院の集客方法は順番がある。新規を増やすのは最後でいい
集客方法を試す順番

| 順番 | やること | 次に進む目安 |
|---|---|---|
| ① | 施術のあとに話す3つを固める | 今週来た患者さん全員に、②の目安と理由を言えた |
| ② | 来なくなった人に経過を聞く一通を出す | 一通を出す仕組み(手段・頻度)を決めた |
| ③ | 紹介する人が説明しやすい材料を渡す | 紹介の説明文を1つ用意できた |
| ④ | 新規(Googleビジネスプロフィール、ポータルサイト、チラシ、SNS) | ①〜③が回り始めた |
新規の入口の素材は、初回のあとの会話の中にある
新規向けの文章に何を書けばいいか分からない、という相談もよく聞きます。答えは案外近いところにあります。「初回のあとに何を説明するか」「通う目安をどう決めるか」をそのまま書けば、それが他院との違いになります。
効果や実績を並べ続けるより、初めて来る人が迷う点に先に答えるほうが、読む人は自分の状況と重ねやすくなります。実績を足せば足すほど、読む人が自分を重ねる場面は減っていきます。「初めての方へ」というページに、当日の流れと、通う目安の考え方を書いておくだけでも、電話をかける前の不安は減らせます。
職人が営業を習っていないのと同じ構造
施術の腕は本物なのに、足りないのは施術のあとの順番だけ。これはデザイナーや職人が、納品して終わりになってしまう構造と同じです。フリーランスの営業のやり方でも、仕事を取る流れ全体を順番で書いています。
今日の最後の患者さんから始める。施術後3分のチェックリスト
施術後3分チェックリスト
施術室に貼っておける形です。
- □ 今日体で起きたことを一文で言った
- □ 次の目安を「いつ+なぜ」で言った
- □ 家でやることを1つだけ渡した
- □ 「決めるのはあなた」の一言を添えた
- □ 予約が入らなくても、戻りやすい出口を言った
- □ 3〜5日後に経過を聞く一通を出す予定を書いた
今日やることは1つ
全部を一度にやろうとしなくていいです。今日の最後の患者さん1人に、②の「次の目安と理由」だけ言ってみます。言えたら、明日は2人に増やします。
性格を変える必要はありません。口下手なままでいいです。言うことが決まっていれば、言えます。
うまくいった言い回しを手元に残す
患者さんの反応が良かった言い方は、ノートに1行ずつ残しておきます。毎回いちから考えなくて済むようになりますし、スタッフが増えたときにも同じ型で話してもらえます。
集客方法を増やす前に、今日の最後の1人から始めてみてください。
よくある質問
鍼灸院で二回目の来院につなげるには、施術のあとに何を話せばいいですか?
順番は3つです。①今日体で起きたことを分かる言葉で一文伝える、②次に来る目安を「いつ+なぜその間隔か」で伝える、③家でやることを1つだけ渡す。効果は言い切らず、決めるのは相手だと添えます。
鍼灸院で次回予約を勧めると押し売りになりませんか?
目安と理由を伝えて判断を相手に返せば押し売りにはなりません。勧めているのは来院ではなく判断材料です。黙るほうがかえって患者さんを迷わせます。「通わないと戻る」と不安であおる言い方だけは避けてください。
鍼灸院の集客は何から始めればいいですか?
新規より先に、初回のあとに話すことを固めます。順番は①施術後の3つ→②来なくなった人に経過を聞く一通→③紹介する人が説明しやすい材料→④新規(Googleビジネスプロフィール、ポータル、チラシ)です。
来なくなった患者さんに連絡してもいいですか?
いいです。ただし売り込みません。「その後、調子はいかがですか」と経過を聞き、体の話を1つ添える一通にとどめます。予約リンクや割引は付けません。来ない理由は不満とは限らず、忘れているだけの人も多いようです。
鍼灸院で回数券やコースはいつ勧めればいいですか?
初回は避けます。患者さんはまだ体を預けるか決めている途中で、先に売ると「売りたい人」に見えてしまいます。次の目安と理由が伝わってから、二回目以降に「この間隔なら負担が軽い」と条件として出します。
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