対面営業・商談
セミナー講師の集客|告知を増やす前に、前回来た人から次の参加者を集める
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
セミナー講師の集客は「告知を増やす」より「前回来た人に思い出してもらう」が先
席が埋まらないのは話がつまらないからではない

告知を出しても申し込みが2〜3件で止まると、内容が弱いのか、自分の話し方が刺さっていないのか、と考えたくなります。40席の会場を用意して、埋まったのが8席だけだった。そういうとき、次にやることは「もっと分かりやすいスライドを作る」ではないことが多いです。実際には、前回来てくれた人が「次もやる」ことを知らない、もしくは知っていても忘れているだけ、ということが多いです。
告知を見るのは新しい人だけではありません。むしろ一度会場に来た人のほうが、講師の話し方や人となりをすでに知っています。そこに何も届いていないのだとしたら、告知の量を増やす前にやることがあります。
告知を増やすこと自体は無駄ではありません。ただ、一番動きやすい相手に何も送らないまま、動きにくい相手ばかり増やしているとしたら、順番が逆になっています。
紹介待ち型かもしれません
いい仕事をすれば紹介は出ると思っていて、思い出してもらう働きかけをしていない状態です。
参加者が減ったのではなく、思い出してもらえなくなった。腕のせいではありません。前回のセミナーが悪かったわけでも、今回の内容が薄いわけでもなく、単に「次があること」が相手に伝わっていない、というだけかもしれません。
知らない人より、前回来た人と、その人が連れてくる人のほうが動く
友人や家族からの推薦は信頼度がもっとも高く、83%という調査結果があります。見知らぬ人に告知を届けるのと、一度会場に来た人から声をかけてもらうのとでは、参加へのハードルが違います。知らない講師のセミナーに申し込むより、知っている人から「これよかったよ」と言われたセミナーに申し込むほうが、動きやすいのは自然なことです。
この記事で渡す方法は1つだけです。終わったあとの3回の連絡で、前回の参加者から次の参加者を集める方法です。営業全体の考え方は対面営業の基本にまとめているので、合わせて読んでおくと今回の内容がつながりやすくなります。
告知を増やしても席が埋まらない講師がやりがちな3つのこと
終わった瞬間に「ありがとうございました」で解散する

セミナーが終わると、アンケートを回収して「本日はありがとうございました」で締める講師が多いです。ここで参加者の連絡先も、次回の案内をしてよいかの確認も取っていないと、そのあとにつながる接点が何も残りません。会場を出た瞬間、参加者との関係は途切れます。名刺交換をした相手であっても、連絡していい理由がなければ次に声をかけるきっかけがありません。
次回の日程が決まってから連絡しようと思っている
「次回の日程が決まったら連絡しよう」と考えていると、日程が決まる頃には前回から2〜3か月空いています。その間に参加者の記憶からは講師の名前も内容もうすくなっていきます。案内が届いたときには「誰だっけ」という状態からのスタートになります。
連絡は日程が決まる前に、お礼と近況確認の形で先に済ませておけます。日程が決まっていないことは、連絡を後回しにする理由にはなりません。
集客=新しい人に向けたSNS投稿だと思っている
集客のたびに、ゼロから告知文を書いてSNSに投稿する。それ自体は必要な作業ですが、前回の参加者には何も送らず、毎回新しい人だけを探しにいっているとしたら、一番動きやすい相手に声をかけていないことになります。SNSの告知文を書く時間の一部を、前回の参加者への1通に振り分けるだけで、動き方は変わります。
以下はよくあるNG表現と、言い換えの例です。
| NG | 言い換え |
|---|---|
| また機会があればぜひ | 次は◯月に同じテーマの続きをやります。案内を送ってもいいですか |
| よろしければまたご参加ください | 今日聞いた◯◯の話、次回はもう少し踏み込んで話します |
| いつか告知しますので | 案内が出たら真っ先にお送りします。送り先だけ教えてください |
| お知り合いにもぜひ | 同じことで困っている方がいたら、この案内を送ってもらえると助かります |
| 楽しんでいただけたら嬉しいです | 今日の話で一番刺さったところ、あとで聞かせてください |
左側は丁寧に見えて、次に何をすればいいか相手に伝わりません。右側は、次に何が起きるか・自分は何をすればいいかが分かる言い方です。
前回来た人から次の参加者が生まれる流れ|終わったあとの3回の連絡
1回目・当日〜翌日:お礼と「今日の要点1つ」を送る

お礼だけで終わらせず、当日話した中から1つだけ要点を添えます。
「昨日はありがとうございました。一番反応が大きかった◯◯の話、手元に残るように要点を1枚にまとめました。よろしければご覧ください」
お礼のメッセージは他のセミナーでも届きます。要点が1つ添えてあるだけで、他の講師からの連絡と並んだときに記憶に残ります。要点は当日一番うなずきが多かった話、質問が出た話のどちらかを選べば迷いません。
2回目・1〜2週間後:やってみたかを聞く
「あのあと◯◯、試せましたか」
売り込みではありません。相手の話を聞くだけの連絡です。次回の案内はまだ入れなくていいです。
ここで返事が来た内容は、次回の告知文やセミナーの中身を考えるときの材料にもなります。返信が来なくても気にしないでいいです。読まれているだけでも、名前を思い出してもらう役目は果たしています。
3回目・次回の告知前:先に知らせて、誘える一文を渡す
一般に向けて告知を出す前に、前回の参加者へ先行案内を送ります。
「次回は◯月◯日に開催します。同じことで困っている方がいたら、この案内をそのまま転送してもらえると助かります」
先に知らせるのは、前回来てくれた人を優先しているという扱いにもなります。転送しやすい一文をつけておくと、紹介を頼まれた側の負担も減ります。
3回の連絡をまとめると、次のようになります。
| 回数 | タイミング | 目的 | 文例 |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 当日〜翌日 | お礼+要点を1つ渡す | 一番反応が大きかった◯◯の話、要点を1枚にまとめました |
| 2回目 | 1〜2週間後 | 近況を聞く | あのあと◯◯、試せましたか |
| 3回目 | 次回告知の前 | 先行案内+転送を頼む | 同じことで困っている方がいたら、この案内を転送してもらえると助かります |
3回とも同じ日に送る必要はありません。忙しくて2回目が遅れても、抜くよりは遅れて送ったほうがつながりが残ります。3回のうち1回しかできない回があっても、それだけで前回来た人との接点はゼロだった状態より前に進みます。
当日の会場でしか作れない「次につながる仕込み」
終わりの5分で次回の予告をする
最後のスライドで、次回のテーマと時期の目安だけ出します。日程が決まっていなくても「秋ごろに続きをやります」で十分です。会場にいる全員が同時に「次もある」と知る、この5分は当日にしか作れません。
スライド1枚に「次回テーマ」「時期の目安」だけ書けば足ります。詳しい説明はいりません。
案内を送ってよいかをその場で聞く
アンケートに「次回の案内を受け取る/受け取らない」の欄を1つ足します。黙って送るより、許可をもらってから送るほうが、参加者にとっても迷惑にならず、講師側も気が楽になります。口頭で聞く場合は「次回の案内、お送りしてもいいですか」の一言で十分です。
質問してくれた人の名前と内容をメモしておく
質問した人の名前と内容を控えておくと、翌日のお礼で「◯◯さんが聞いてくれた件ですが」と書けます。大勢に向けた一斉送信ではなく、その人だけに向けた一文があると、思い出してもらうきっかけになります。メモは会場で配るメモ用紙の端でも、スマホの1行メモでも構いません。人数が多い会場ほど、このメモが翌日の連絡文の差になります。
懇親会で個別に「次回もぜひ申し込んでください」と迫るのはNGです。その場で決めさせようとする空気は、次回への期待より先に警戒を生みます。予告と許可取りは会場で、申込みの判断は相手のタイミングで、と分けておくと売り込みに感じさせません。
迷ったときの判断基準は「その場で答えを求めているか」です。求めていなければ、会場では予告と許可取りだけにとどめます。
「紹介してください」と言わずに、参加者に連れてきてもらう頼み方
頼むのは『紹介』ではなく『転送』

「どなたか紹介してください」と言われると、参加者は誰かの顔を思い浮かべて声をかけるという負担を背負います。一方で「この案内を転送してもらえますか」であれば、案内文を1通送るだけで済みます。頼む内容を「紹介」から「転送」に変えるだけで、動いてもらえるハードルが下がります。転送は「誰かを判断する」作業ではなく「1件送る」作業なので、忙しい相手でも後回しにされにくいです。
誘いやすい材料を講師が用意する
転送された案内文を受け取った人が、内容も申込み方法も分からなければ動けません。「こういう人に向いています」を3行、日時、申込みURLをまとめた転送用の文面を、講師の側で用意しておきます。
【◯月◯日開催】◯◯セミナー こんな方に向いています ・◯◯で困っている方 ・◯◯を検討している方 ・◯◯を知りたい方 日時:◯月◯日(◯) ◯時〜 申込み:◯◯(URL)
この文面を3回目の連絡に添えておけば、参加者は自分で文章を書く必要がありません。そのまま転送するだけで済みます。文章を考える手間がなくなるほど、転送してもらえる確率は上がります。
連れてきてくれた人へのお礼を必ず返す
申込みフォームに「どなたのご案内で知りましたか」の欄を用意します。分かったら、紹介してくれた人にひと言お礼を送ります。ここまでやると、次に誰かを誘うときの心理的な負担がまた下がります。
言い方のNG例と言い換えです。
| NG | 言い換え |
|---|---|
| お知り合いを紹介してください | 同じことで困っている方がいたら、これを送ってもらえると嬉しいです |
| 周りに広めてもらえますか | 転送用の文面を作ったので、よければそのまま送ってください |
| ぜひ宣伝してください | この案内、心当たりがある方がいたら回してもらえると助かります |
今日やること|前回の参加者リストを開いて1通だけ送る
3つの手順は、この場ですぐ終わります。順番に見ていきます。
手順1:前回の参加者リストか名刺を出す
連絡先が分かる人だけで構いません。全員でなくていいです。まずは一番会話をした1人から始めれば十分です。リストを探す時間が取れないときは、直近のセミナーの名刺だけでも構いません。
手順2:一番反応がよかった1人に近況を聞く連絡を送る
「先日はありがとうございました。あのとき話していた◯◯、その後どうですか」
次回の案内はまだ入れなくていいです。返事が来なくても、次の機会にもう一度送ればいいので、1回で終わらせようとしなくて構いません。
手順3:次回を開くなら、一般告知の前に前回参加者へ知らせると決めておく
カレンダーに「告知の1週間前:前回参加者に先行案内」と入れておきます。決めておかないと、いつも一般告知と同時になってしまいます。
3つとも今すぐできることばかりです。今日から使えるチェックリストです。
- □ 参加者の連絡先がある
- □ 案内の許可を取っている
- □ お礼に要点を1つ添えた
- □ 次回を先に知らせる日を決めた
- □ 転送用の文面を作った
よくある質問
セミナー講師の集客はSNSだけで足りますか?
新しい人に知ってもらうにはSNSも使えますが、それだけだと毎回ゼロからになります。前回の参加者に先に知らせ、転送してもらう流れを持っておくと告知の負担が減ります。
前回の参加者に次回の案内を送るのは迷惑になりませんか?
当日のアンケートで案内を送ってよいか確認しておけば、送るのは約束どおりの連絡になります。お礼や近況確認を先に挟むと、いきなりの宣伝には見えにくくなります。
参加者に紹介をお願いするとき、何と言えばいいですか?
「紹介してください」より「同じことで困っている方がいたら、この案内を送ってもらえると嬉しいです」のほうが、頼まれる側の負担が小さいです。転送用の文面を講師側で用意しておきます。
参加者が少なかった回でも次につなげられますか?
少人数ほど一人ひとりに合わせたお礼と近況確認が送りやすいです。質問内容をメモしておき、翌日の連絡でその話に触れると思い出してもらいやすくなります。
次回の日程が決まっていなくても連絡していいですか?
していいです。日程が決まるまで待つと数か月空いて忘れられやすくなります。当日の要点や近況確認を送っておき、日程が決まったら一般告知より先に知らせます。
参照した情報源
- メディアの情報信頼度で企業Webサイトは友人・家族の推薦に次いで2位、ニールセン「広告信頼度グローバル調査」(Web担当者Forum(インプレス))・確認日 2026-09-29
本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。