対面営業・商談
オンライン打ち合わせの進め方|沈黙が続いたときに何をするか
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
オンライン打ち合わせで沈黙が続くのは、話がつまらないからではない
見積の説明を終えて「いかがでしょうか」と言った直後、相手が画面を見たまま黙る。この数秒が長く感じて、つい「あと補足しますと……」と言葉を足してしまう人は、しゃべりすぎ型かもしれません。沈黙が怖くて自分の説明で埋めてしまい、相手が言おうとしていた一言を取ってしまう型です。

沈黙になるのは、自分の話がつまらなくて場が持たないからだ、と思っている人が多いのですが、そうではありません。相手が考えている時間が、画面越しだと「反応なし」に見えているだけです。
対面なら沈黙にならない場面が、画面越しだと沈黙になる
対面の打ち合わせでは、相手がうなずいたり、メモを取る手が動いたり、視線が資料と自分の間を行き来したりします。これが「今、考え中です」の合図になるので、多少黙っていても気になりません。
オンラインではこの合図がほとんど届きません。音声にわずかな遅れがあり、カメラ越しの表情は対面より薄く映ります。同じ数秒の沈黙でも、対面なら「考えているな」で流せるところが、オンラインだと「反応がない」「伝わっていない」に見えてしまいます。
埋めようとして起きること
黙られると不安になって、「あと補足しますと」「先ほどの点も含めて」と説明を継ぎ足してしまう。これが一番よく起きる失敗です。相手は何か言おうとして考えていただけなのに、続きの説明が始まると、その一言を言うタイミングを失います。
これはしゃべりすぎ型の動きです。口下手だからでも、話が苦手だからでもありません。沈黙が来たときに何を聞けばいいかを、単に習っていないだけです。
沈黙は相手が考えている時間
沈黙になるのは話がつまらないからではなく、相手が考えている時間を、こちらの説明で埋めてしまっているからです。
複数人が参加する打ち合わせで、こちらが質問を投げたあと画面の全員が黙る場面も同じです。1人なら「考えているんだな」で済むところが、全員だと「誰も答えたくないほどおかしな話をしたのか」と不安になります。実際は、誰かが答えようとした瞬間に別の人と声が重なるのを避けて、様子を見ているだけということがよくあります。
この記事で渡す方法は1つだけです。沈黙が来たら5秒数えて、聞き方を変える。それだけです。手順はこのあとの見出しで順番に説明します。
オンラインの沈黙は4種類ある|相手側で何が起きているか

4つの沈黙

沈黙は一種類ではありません。相手側で起きていることは、大きく4つに分かれます。
①考えている沈黙。視線が下に落ちる、手が動く。メモを取っているか、頭の中で計算している状態です。 ②聞き取れなかった沈黙。首をかしげる、「えっと」が入る、直前に音声が途切れた形跡がある。 ③機材・接続の沈黙。画面が固まる、口の動きと声がずれる、ミュートのまま話している。 ④答えにくい質問だった沈黙。質問の範囲が広すぎた。「全体としてどうですか」のような聞き方をしたときに起きます。
①と④は見た目が似ていて混同しやすいところです。①は視線が下がって手が動きますが、④は視線が宙をさまよい、何から答えていいか探している動きになります。迷ったら「今の質問、答えにくかったですか」と聞いてしまってかまいません。相手は「ちょっと範囲が広くて」と正直に返してくれることがほとんどです。
見分け方の表
| 沈黙の種類 | 相手側のサイン | こちらの一言 |
|---|---|---|
| ①考えている | 視線が下、手が動く | 「少しお時間取りますね」と言って待つ |
| ②聞き取れなかった | 首をかしげる、「えっと」が入る | 「音声、途切れていませんでしたか」と機材側のせいにして聞き直す |
| ③機材・接続 | 画面が固まる、口の動きと声がずれる | 「画面、止まっていますか」とチャットにも打つ |
| ④質問が大きすぎた | 一瞬固まって視線が泳ぐ | 質問を小さく切り直す(次の見出しで詳しく) |
NG例
4種類を区別せず、全部を「自分の話が伝わっていない」と受け取ってしまうと、同じ説明をもう一度繰り返すことになります。相手が①の考えている最中だった場合、考えを途中で切られて、話す気が失せてしまいます。まず相手の画面や様子を見て、どの沈黙かを判断してから動くほうが早く進みます。
相手がカメラをオフにしていると、視線や手の動きというサインそのものが見えません。この場合は表で判断せず、最初から言葉で確認するほうが早いです。「聞こえていますか」「考え中でしたらそのままどうぞ」のように、判断を相手に渡してしまう一言を先に用意しておくと、カメラの有無に関わらず同じ手順で進められます。
沈黙が来たら5秒数えて、聞き方を変える
「何かありますか」は答えにくい
意見を求めるときには「何か意見はありますか?」という聞き方ではなく、「○○についてどう思いますか?」など、参加者が答えやすくなるよう質問の仕方を意識するとよいとされています。
「この見積についてどう思いますか」ではなく、「納期の2週間は、社内の予定と合いそうですか」。質問が小さく具体的になるほど、相手は口を開きやすくなります。答える範囲が絞られていれば、「はい」「いえ、もう少し先が」のように短い言葉で返せるからです。
自分から先に1つ言う/順番に聞く
ファシリテーターが自ら意見を述べる、参加者を順番に指名するなどの工夫をすると、意見しやすい雰囲気を作ることができます。
「私は納期を優先した方がいいと思っていますが、田中さんはどう見ますか」。自分の考えを先に1つ置いてから聞くと、相手は白紙から発言するより答えやすくなります。指名する順番は肩書きの上下ではなく、その案件を一番実務で知っている人からにします。
5秒の数え方
沈黙が来たら、心の中で5つ数えます。5秒は体感では長く感じますが、相手にとっては考えをまとめるための普通の時間です。数え終わってもまだ黙っていたら、そこで初めて上の「小さい質問」を1つだけ出します。
NG例は、5秒待たずに「つまり要するに」と要約を始めてしまうことです。要約は、相手がまだ考えている時間を奪う動きになります。もう1つのNG例は、5秒のあいだに自分が話す内容を頭の中で組み立ててしまうことです。これでは待っているようで、実は次の説明の準備をしているだけになります。5秒は相手のための時間なので、こちらは数を数えることだけに使います。
沈黙を減らす進め方|最初の3分で決めること
冒頭で3つ言う

打ち合わせの最初に、次の3つを言っておきます。
①今日決めること(例:「今日は範囲と納期を決めたいです」) ②終わりの時刻(例:「15時まで、30分でお願いします」) ③どちらが進めるか(例:「私が進めますね」)
この3つを最初に言っておくと、途中で沈黙になっても、それが「次に何をすればいいか分からない沈黙」にはなりません。相手は「今、何を決める話をしているか」がわかった状態で聞いているので、考える沈黙と迷う沈黙を区別しやすくなります。
発言の前置きと締めを決めておく
オンラインは声が重なりやすい場です。発言するときには「発言しても良いですか?」など一言前置きし、発言の終わりには「以上です」と伝えるようにすると、誰の番かがはっきりします。
自分が先にこの言い方を使うと、相手も同じ言い方を真似して使い始めます。結果として、話の切れ目が双方にわかるようになり、沈黙が「まだ話すのか、もう終わったのか分からない間」になりにくくなります。
実際のやりとりはこうなります。Aさん「発言してもいいですか。予算の件で1つ確認したいことがあります。以上です」。Bさん「はい、どうぞ」。Aさんが「以上です」で区切ると、Bさんは自分の番だと分かって声を重ねずに返せます。前置きと締めがない状態だと、2人が同時に話し始めて、結局どちらも譲り合って黙る、という一番もったいない沈黙が起きます。
聞く型そのものは、営業の一連の流れの一部でもあります。工程ごとの型はフリーランスの営業のやり方で扱っています。
説明から入らない
画面共有の資料を開く前に、相手の今の状況を1つ聞きます。「前回の後、社内で何か変わったことはありますか」。
NG例は、つないだ直後に「では資料を共有します」と長い説明を始めてしまうことです。相手はずっと聞き役になり、集中が切れたころに質問をされても、考えがまとまらず沈黙になります。
「前回の後、社内で何か変わったことはありますか」と聞いて何も変わっていなければ、「特にないです」で終わってかまいません。そこで会話を広げようとしなくて大丈夫です。この一言の目的は雑談を長くすることではなく、資料の説明に入る前に相手の口を一度開かせておくことです。一度声を出しておくと、あとの沈黙でも声を出しやすくなります。
打ち合わせ前に用意する「聞くことメモ」3つ
メモに書く3つ
打ち合わせの前に、次の3つを1行ずつメモしておきます。
①相手の今の状況(例:前回から進んだこと・止まったこと) ②困っていること(例:一番急いでいるのはどれか) ③決める基準(例:金額・納期・担当者のどれで判断するか)
この3行を画面の横に置いておくだけです。
メモの実例
制作の打ち合わせなら、こう書きます。
「①サイトの公開日は決まったか ②写真は誰が用意するか ③予算は上限があるか、それとも内容次第か」
1行ずつ短く書くのがコツです。長く書くと、打ち合わせ中に読み上げる形になり、相手の話を聞いていない印象を与えます。
士業やコンサルのように成果物が資料や助言になる仕事なら、「①相談の背景は前回と変わっていないか ②今一番困っているのはどの案件か ③判断は自分でするのか、社内で誰かに確認するのか」といった中身になります。業種が変わっても、聞く3つの型は同じです。今の状況・困りごと・決める基準を、自分の商品に合わせて言い換えるだけです。
用意すると沈黙が怖くなくなる理由
沈黙のときに手元に「次に聞くこと」があれば、説明で埋める必要がなくなります。しゃべりすぎは性格の問題ではなく、次の一手を持っていないときに起きます。だから性格を変える必要はありません。メモを1枚持てばいいだけです。
終わり方|沈黙のあとに「決めたこと」を1つ残す
口で確認する2つ
終了5分前に、次の2つを口に出します。
「今日決まったのは○○ですね」 「次は私が△日までに見積の修正を送ります」
決めたことと、どちらが何をするかを言葉にしたら、「合っていますか」と相手に確認します。ずれていれば、この場で直せます。「合っていますか」に対して相手が少し間を置いて答えることもありますが、ここでの沈黙は焦らなくて大丈夫です。話の内容を最後にもう一度自分の中で確かめている時間なので、これも5秒待てば十分です。
終了後のメール1本
当日中に、3行のメールを送ります。
1行目=決めたこと 2行目=次に自分がやること+期限 3行目=相手にお願いすること
例:「本日は範囲を3ページに決定/私が18日までに修正見積を送付/写真素材の有無をご確認ください」
NG例
「では、ご検討よろしくお願いします」で打ち合わせを切ってしまうこと。何を検討するのか、いつまでか、誰が動くのかが決まっていないので、次の連絡がどちらからも出ないまま止まります。オンラインは会議室を出るという動作がない分、締めの言葉がないと本当に何も残りません。
今日からやること|次の打ち合わせで試す1つ
試すのは1つだけ
次のオンライン打ち合わせで沈黙が来たら、5秒数えて「○○についてはどう思いますか」を1回だけ言ってみます。それ以外は今まで通りでかまいません。
うまくいったか確かめる方法
打ち合わせのあと、「沈黙のあと、相手が先に口を開いた回数」を数えます。1回でもあれば、自分の説明で埋めなくても場は持ったという事実になります。回数はメモに残しておき、次回はそれが2回になればいいくらいの気持ちで臨みます。
数える理由は、成果を実感しにくいからです。「今日はうまく聞けた気がする」という感覚だけだと、次の打ち合わせでまた元の癖に戻りやすくなります。回数という形に残しておくと、うまくいった日とそうでない日の違いをあとから見返せます。多い日と少ない日を比べて、何が違ったかを振り返るだけでも十分です。
型から抜ける最小行動
しゃべりすぎ型から抜ける最小行動は、「聞くことメモを1枚持って入る」ことです。話をうまくする練習ではなく、聞く順番を手元に置く準備です。性格はそのままでいいのです。
沈黙が来たときに黙っていられるかどうかは、口の上手さではなく、手元に次の一手があるかどうかで決まります。5秒数える、小さい質問を1つ出す、聞くことメモを持って入る。この3つはどれも今日から始められます。話し方を鍛える必要はありません。
よくある質問
オンライン打ち合わせで沈黙が続いたら何をすればいい?
まず5秒待つ。それでも黙っていたら『○○についてどう思いますか』と答える範囲を絞った質問を1つだけ出す。自分の説明を足さない
オンライン打ち合わせの進め方で、最初に何を言えばいい?
今日決めること・終わりの時刻・どちらが進めるかの3つを最初の3分で言う。資料の説明から入らず、相手の今の状況を1つ聞いてから共有を始める
相手がカメラオフで反応が分からないときはどうする?
表情が見えない分、『発言してもいいですか』『以上です』の合図を自分から使う。質問は『どうですか』ではなく『納期は合いそうですか』のように小さく切る
沈黙が気まずいのは自分の話がつまらないから?
多くの場合は違う。オンラインではうなずきや音声の遅れで、相手が考えている時間が『反応なし』に見えるだけ。話を面白くするより、次に聞くことを1つ手元に置く方が効く
オンライン打ち合わせで自分ばかり話してしまうのを防ぐには?
打ち合わせ前に『聞くこと』を3行メモして画面横に置く。沈黙のとき次の一手があれば埋める必要がなくなる。性格を直すのではなく準備を変える
参照した情報源
- Web会議のコツは?服装などのマナーやルールと進め方をご紹介(エプソン(seiko epson corporation公式サイト))・確認日 2026-09-16
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