対面営業・商談
お客様の声を依頼するメールの例文|答えやすい聞き方にする
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
お客様の声が返ってこないのは、満足されていないからではない
納品して一段落したあと、お客様の声をお願いしてもなかなか頼めない、頼んでも返ってこない。そんなとき「満足してもらえなかったのかも」と考えがちですが、実際は違います。「率直なご感想をお聞かせください」という白紙を渡されると、何をどこまで書けばいいか分からず、後回しにされるだけです。
いい仕事をすれば紹介は自然に出ると思って待ってしまう「紹介待ち型」と同じ構造です。腕のせいではなく、こちらから聞き方を設計していないだけです。声をもらえるかどうかは、仕事の出来ではなく依頼文の設計で決まると考えたほうが、次に打つ手がはっきりします。
答えやすい依頼メールの条件は3つです。
- 質問を3つに絞る(頼む前・決め手・頼んだ後)
- 各質問の字数の目安を書く(50〜100字で十分と伝える)
- 所要時間(3分ほど)と返信期限(1週間程度)を書く
まず1通送るなら、次の基本形だけで十分です。
そのまま使える基本形の依頼メール
納品からお礼のやりとりまで終わった直後、一番熱量が残っているタイミングで送ります。
件名:【3分ほど】〇〇の件でひと言いただけますか
〇〇様
このたびは〇〇の件、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
実は一つお願いがあります。今回の件について、自社サイトの「お客様の声」欄に掲載させていただきたく、簡単なご感想をいただけないでしょうか。
質問は3つだけです。各項目、50〜100字ほどで大丈夫です。
- ご依頼前、どんなことでお困りでしたか
- 数ある選択肢の中で、今回お願いいただいた決め手は何でしたか
- お願いいただいたあと、何か変わったことはありますか
お名前の表記は「会社名+実名」「会社名のみ」「イニシャル」「匿名」からお選びいただけます。掲載前には必ず文面をご確認いただきます。
〇月〇日ごろまでにいただけると助かります。ご都合が合わなければ、どうぞお気になさらず。
引き続きよろしくお願いいたします。
件名に案件名と所要時間を入れると、開封率が上がるだけでなく、相手が何分かかる話かを開く前に判断できます。
本文の早い段階で「掲載させていただきたく」と目的を明かしているのもポイントです。目的を隠したまま感想だけ聞き、あとから広告に使うと、相手に「言葉を利用された」という不信感が残ります。先に使い道を伝えておけば、相手は掲載を前提にした言葉を選んで書けるので、こちらの手直しも減ります。
答えやすい質問の作り方
「頼む前に困っていたこと」は見込み客が自分を重ねる場面になり、「決め手」は選ぶ理由、「頼んだ後」は変化です。この順で聞くと、集めた声がそのまま読み物になります。
「頼む前に困っていたこと」は選択式にできます(納期が不安だった/費用の目安が分からなかった/誰に頼めばいいか分からなかった、など)。自由記述は「決め手」か「頼んだ後」のどちらか1問に絞ると、3分で答えられる設計になります。選択式にする理由は単純で、選ぶだけなら1分もかからず、後回しにされにくいからです。
次のような聞き方は返ってきません。
- 「率直なご感想をお聞かせください」→範囲が無限で、何を書けばいいか決められない
- 「満足度はいかがでしたか」→「良かったです」という短い感想しか返ってこない
- 「弊社の強みは何だと思いますか」→分析や言語化という、こちらの仕事を相手にさせている
迷わせない一番の近道は、選択肢そのものをこちらから渡すことです。「決め手は、①価格 ②対応の速さ ③実績 ④相性、のうちどれに近いですか。一言だけ添えていただければ十分です」のように聞くと、白紙のときより圧倒的に埋まりやすくなります。選んでもらったうえで一言添えてもらう形にすれば、自由記述の負担はほとんど残りません。
「借りになる」気持ちを消す3つのコツ
- 使い道と掲載先を先に伝える:「サイトの『お客様の声』ページに掲載します」と書き、掲載前に文面を確認してもらう約束を添えます
- 手間を数字で見積もって書く:「3分ほど」「各50〜100字」「箇条書きでも可」。「お時間のあるときに」は、いつまでも来ません
- 断ってもいい一文と具体的な期限をセットで置く:「ご都合が合わなければお気になさらず」+「〇月〇日ごろまでに」
見返りは原則つけません。すでに対価をいただいた仕事への依頼だからです。つける場合も「時間をいただいたお礼」の範囲に留めます。大きな謝礼はかえって声の信頼性を下げます。
応用編:状況別の例文と注意点
時間が空いた相手には一言添えてから
数か月〜1年ほど間が空いた相手には、いきなり本題に入ると「借り」の気持ちが強く出ます。文面の骨格は基本形と同じで、冒頭に「ご無沙汰しております」と、相手の役に立つ近況や情報を1〜2行添えてから頼みます。本文は10行以内に収め、近況が本題より長くならないようにします。
対面の最後に一言だけ約束をもらっておく
メールだけで完結させず、最後の打ち合わせや納品の場で一言添えておくと、後日のメールが唐突になりません。「落ち着いたころに3分ほどでご感想を伺うかもしれません、大丈夫そうですか」と口頭で確認しておくだけで十分です。
対面で先に承諾をもらっておくと、メールは「約束の実行」になり、相手も「言ったから返さないと」という自然な後押しが働きます。画面越しのやりとりだけで依頼を完結させるより、一度でも顔を合わせた場で一言交わしておくほうが、返信率は体感で明らかに変わります。
書く材料を先に渡しておく
自由記述が苦手そうな相手には、答えの候補をあらかじめ添えておくと負担が減ります。「①想像より早かった ②説明が分かりやすかった ③相談しやすかった ④その他( )」のように選択肢を並べ、当てはまるものを選んでもらうだけの形にすると、忙しい担当者ほど助かります。法人相手だと社内確認が要る場合もあるので、選択式にしておくと確認の手間も減り、返信までのハードルが下がります。
複数人にはアンケートフォームで
まとめて依頼するときは、Googleフォームなどの案内文にします。設問は選択式2問+自由記述1問、所要時間3分が目安です。氏名や電話番号を必須にすると途中で離脱されるので、必須項目は最小限にします。設問の並び順もメールと同じく「頼む前・決め手・頼んだ後」にそろえると、担当者ごとに聞き方がぶれません。送信後に「ご協力ありがとうございました」という完了画面を出すだけで、頼みっぱなしという印象を避けられます。
返事がないときは1週間後に1回だけ
催促は1週間後に1回だけ、件名に「再送」は付けず、質問を1つに減らして送ります。
先日お送りした件、ご覧いただけていましたら幸いです。お忙しければ、ご依頼前に困っていたことだけでも一言いただけますと助かります。
2回目以降は追いません。返事がないのは満足度や人柄の問題ではなく、相手の中での優先順位が低いだけです。
代筆確認型:口頭の一言を文章にして確認だけもらう
打ち合わせや電話で「助かりました」と言われた言葉をメモしておき、100字程度に整えてこちらから確認を送る方法です。相手の負担は「このままで大丈夫です」の返信だけで済みます。言っていないことを足さない、事実を盛らない、必ず本人の確認を取ってから使うことが条件です。
掲載時の注意(景表法)
体験談表示は、景品表示法上、効果を得られない人が相当数いる場合や実際より著しく良く見せている場合に問題になり得るとされます。体験談を見た消費者の42.2%が「大体の人に効果がある」と受け止めたという報告もあり、打消し表示が明瞭でも体験談表示が景表法上問題となる恐れがあるとされています。掲載する声の文言は専門家に相談してください。
声をもらったあとにすること
返信が来たら、その日のうちに一言お礼を返します。「大変参考になりました、ありがとうございます」の一言だけで構いません。放置すると次に頼みにくくなるだけでなく、掲載後の連絡が途絶えて関係が一度きりで終わってしまいます。
掲載が終わったら、公開ページのURLを本人に送ります。「掲載しました、ありがとうございました」という一報は、次に会う理由や次に頼まれる理由にもなります。お客様の声はもらって終わりではなく、次の接点を作るきっかけとして扱うほうが、営業活動全体としては回収が大きくなります。
集めた声は、もらいっぱなしにせず一覧で管理しておくと後で効いてきます。スプレッドシートに「業種」「決め手」「効果」でタグを付けておけば、似た業種の見込み客に会ったとき、提案書に添える声をすぐに選べます。数を集めることより、必要なときにすぐ取り出せる状態にしておくことのほうが、営業の現場では役に立ちます。
集めた声は、時間が経つと状況が変わっていることもあります。半年〜1年に一度、掲載中の声を見直し、連絡が取りやすい相手には近況を軽く確認しておくと、内容が古くなったまま残るのを防げます。
送信前チェックリスト
| チェック項目 | 確認 |
|---|---|
| 件名に案件名と所要時間がある | □ |
| 質問は3つ以内(頼む前・決め手・頼んだ後) | □ |
| 字数の目安を書いた | □ |
| 使い道と掲載先を書いた | □ |
| 表記の選択肢を出した | □ |
| 期限と「ご都合が合わなければ」の一文がある | □ |
| 掲載前に確認を取ると書いた | □ |
最初の1通は、一番手応えのあった案件の相手に送ります。1件返ってくる成功体験ができれば、次の依頼文に「例えばこのような形で」と例を添えられます。もらった声は、サイトに10件並べるより、近い業種の声を1件、提案書に添えるほうが読む人に伝わります。
フリーランスの営業のやり方を工程ごとに見直すと、お客様の声も「また頼まれる」工程の一部だと分かります。まずは今日、送る相手を1人決めて、基本形のメールを送ってみてください。
よくある質問
お客様の声をお願いするタイミングはいつがいいですか?
納品直後から1週間以内が一番返ってきやすいです。納品完了メールで「後日3分ほどのアンケートを送ります」と予告しておくと唐突になりません。時間が空いた相手には、先に相手に役立つ一言を添えてから頼みます。
アンケートの質問はいくつまでにすべきですか?
3つまでにします。「頼む前に困っていたこと」「決め手」「頼んだ後の変化」の順です。選択式2問+自由記述1問にすると3分で答えられます。10問以上や必須項目だらけは返ってきません。
お客様の声の依頼メールの件名はどう書けばいいですか?
案件名と所要時間を入れます(例:【3分ほど】〇〇の件でひと言いただけますか)。「アンケートのお願い」だけだと開かれにくくなります。
返事が来ないとき、催促してもいいですか?
1週間後に1回だけ、3行で送ります。質問を1つに減らして「これだけでも」と頼みます。2回目以降は追いません。返事がないのは満足度の問題ではなく優先順位の問題です。
もらった声をホームページに載せるとき、許可は必要ですか?
掲載前に文面・表記(実名かイニシャルか)・掲載先を本人に確認します。直していいのは誤字までです。「必ず結果が出る」のような効果を断定する声は、打消し表示があっても問題になる恐れがあります。個別の判断は専門家に相談してください。
参照した情報源
- 「打消し表示」/消費者庁、景表法上の考え方示す/体験談「問題となるおそれある」(日本流通産業新聞(日流ウェブ))・確認日 2026-09-16
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