対面営業・商談
モニター募集の文章|開業したての店が、最初のお客さんを集める書き方と値段
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
モニター募集で最初に決めるのは、文章より「正規の値段」
結論から言うと、文章を書く前に、正規の値段を決めます。そのうえで、モニターには「感想・写真」をお願いし、人数と期限を区切ります。この順番で、募集文は書けます。
「モニター 募集 文章」と検索する人は、その前に「まだ実績がないのに、ちゃんとした値段をもらうのは図々しい」と自分で決めていることがある、と私は見ています。そうなると、文章を考える前に、どれだけ安くすれば申し訳が立つか、という考え方から始めてしまいます。
モニターは、値段をまける仕組みではありません。来てくれた人から感想と写真をもらう。その代わりに、いつもと違う条件で受ける。そういうやりとりの形です。値引きではなく、条件の交換と考えると、文章も値段も決めやすくなります。
「実績がないから安く」で始めると、起きやすいこと
私が見ている、よくある流れを書きます。
- 「実績がないので半額です」と書いて募集する
- 来た人にとって、その値段が店の値段として残る
- 最初のお客さんが、知り合いに「あの店は安い」と話す
- その話を聞いて来る次の人も、安い店として来る
- 正規の値段に戻すとき、「前は安かったのに」と言われそうで、言い出しにくくなる
モニター価格が、そのまま店の基準の値段になってしまうことがあります。あとから直すより、最初に決めておくほうが手間が少なくて済みます。
値段を書く手が止まるとき
見積もりや料金表を作る段階で、金額を書く手が止まる。数字を書くと、自分の腕に点数をつけている気がする。そういう人は少なくないと思います。
でも、値段は腕の点数ではなく、仕事の条件です。何分で、何をして、いくらで受けるか。その条件を相手に伝えているだけです。
この記事の答えを先に3行で
- ①正規価格を先に決めて、募集文に書く
- ②モニターでお願いすること(感想・写真)を書く
- ③人数と期限を区切る
仕事の取り方の全体の順番は、フリーランスの営業の始め方にまとめています。この記事は、その最初の入口にあたる「最初のお客さんの集め方」を扱います。
モニター価格の決め方|正規価格から逆算する3つの手順
手順1 正規価格を先に決める
決める材料は4つです。
- 材料費(使うもの、場所代、道具の消耗)
- かかる時間(準備と片づけも入れる)
- 1日に受けられる人数
- 続けられる額(この額で毎月回るか)
たとえば「60分の施術・正規の値段は自分で決めた額」のように決めます。これは説明用の仮の例で、相場ではありません。相場の数字は、この記事では書きません。自分の4つの条件から出した数字を使ってください。
手順2 下げ幅ではなく「お願いすること」で値段を段階に分ける
「何割引くか」から考えると、下げる方向にしか動けません。代わりに、相手にお願いすることの多さで段階を分けます。
| お願いすること | モニター価格の例(正規価格から下げる場合) |
|---|---|
| アンケートに答える | 正規より少し下げた額 |
| アンケート+ビフォーアフター写真の掲載OK | さらに少し下げた額 |
この段階分けはやたの例として示したもので、これが正解という意味ではありません。大事なのは、割り引く理由がはっきりしていることです。「実績がないから」ではなく「感想と写真をいただくから」という理由なら、正規価格に戻すときも説明がいりません。
値引きと引き換えに口コミを頼むことは、景品表示法のステマ規制や各サービスの口コミ規約に触れるおそれがあります。対価(割引)を受けた投稿は、モニターと分かる表示が必要になる場合があります。消費者庁の公式情報と各サービスの規約を確かめてください。
「通常価格」「○円のところ」と並べる書き方は、景品表示法の二重価格表示のルールに関わる場合があります。正規価格は実際にその額で提供する予定の額にし、モニター期間は期限と人数を書いて必ず終えてください。消費者庁の公式情報で確かめてください。
手順3 無料にしない
NG例は「無料モニター募集」です。無料だと、相手にとって予定の重みが軽くなり、当日の取り消しや感想の出し忘れが起きやすいと私は見ています。見解であって、数字の裏付けはありません。
少しでもお金をもらうと、相手も「お客さん」として来てくれると私は考えています。こちらも、お客さんを迎える気持ちで準備ができます。
逆に「いくらなら来てくれるか」から決めると、下げる方向にしか動けなくなります。「正規価格→お願いすること→モニター価格」の順に決めてください。
そのまま使えるモニター募集の文章(6つの部品と例文)
募集文の6つの部品
| 部品 | 書き方の例 |
|---|---|
| ①どんな人に来てほしいか | デスクワークで肩がつらい30〜40代の方 |
| ②何をするか | 全身の整体(60分) |
| ③モニター価格と終了後の正規価格 | モニター期間終了後の価格は正規価格。モニター価格は期限・人数まで |
| ④お願いすること | アンケート回答と、ビフォーアフター写真の掲載 |
| ⑤人数と期限 | 10月中・5名まで |
| ⑥申し込み方法 | LINEで「モニター希望」とお送りください |
モニター価格と、終了後の正規価格は、両方書きます。モニター価格だけを見せると、それが店の値段として覚えられやすいと私は見ています。
例文を3業種で
[店名][正規価格][期限]などは差し込み欄です。自分の内容に置き換えて使ってください。
整体院
開業にあたり、お客さまの声を集めています。デスクワークで肩や腰がつらい30〜40代の方を対象に、全身の整体(60分)のモニターを[人数]名まで募集します。モニター期間終了後の価格は[正規価格]円です(モニター価格[モニター価格]円は[期限]・[人数]名まで)。お願いしたいのは、施術後のアンケート(3問)と、掲載にご同意いただける場合のビフォーアフター写真です。ご希望の方は、[申し込み方法]でご連絡ください。
ネイルサロン
[店名]の開業にあたり、仕上がりの感想をうかがえる方を[人数]名募集します。仕事中でも目立ちすぎない、シンプルなデザインがお好きな方に向いています。ワンカラー+アート2本のコース(90分)で、モニター期間終了後の価格は[正規価格]円です(モニター価格[モニター価格]円は[期限]・[人数]名まで)。施術後に、アンケートと、爪の写真の掲載(顔は写しません)をお願いします。お申し込みは[申し込み方法]へ。
出張カメラマン
開業にあたり、プロフィール写真の撮影モニターを[人数]名募集します。名刺やSNS用の写真を、はじめて撮り直したい個人事業主の方向けです。出張撮影(30分・データ5枚)で、モニター期間終了後の価格は[正規価格]円です(モニター価格[モニター価格]円は[期限]・[人数]名まで)。撮影後のアンケートと、お選びいただいた1枚の掲載をお願いします。お申し込みは[申し込み方法]から。
書いてはいけない言い方(NG例と書き換え)
| NG例 | 起きやすいこと | 書き換え例 |
|---|---|---|
| 練習台になってください | 腕を下げて見せてしまう | 開業にあたり、お客さまの声を集めています |
| 実績作りのため格安で | 値段が基準として残る | モニター価格は、アンケートと写真のご協力に対する価格です |
| 絶対に肩こりが取れます | 効果の約束になる | 施術後の変化は人それぞれですので、感想をうかがいます |
また、期限で強く急かす書き方や、大げさな効果の約束は避けます。期限は「10月中・5名まで」と事実だけ書けば足ります。
経歴の書き方
募集文の主役は、自分の経歴ではなく「来た人が何を受け取れるか」です。経歴は1行で足ります。前の職場での経験年数と、資格があればその名前くらいで十分です。
募集文を出す場所と、自分から届ける声のかけ方
開業したては、SNSに募集を投稿して、申し込みが来るのを待つだけになりやすいです。フォロワーがまだ少ない時期は、投稿だけでは届く人が限られると私は見ています。
投稿は「置き場所」、届けるのは個別の連絡
投稿は、詳しい内容を見てもらうための置き場所にします。実際に届けるのは、1人ずつの連絡です。そして、届けた人数を数える習慣を付けます。「今週は3人に送った」と数字で見えると、動けているかどうかが自分で分かります。
知り合いに送る一文の例
「モニターを募集しています」と書くと、頼みごとになります。相手は断る理由を探すかもしれません。そうではなく、探している人の像を伝えて、思い当たる人がいたら教えてもらう形にします。頼みごとではなく、近況を伝える形です。
文面A(前の職場の人・同業の知り合い向け)
「ご無沙汰しています。10月に[店名]を開業しました。いま、肩や腰がつらいデスクワークの30〜40代の方に、お試しで来てもらえる方を5名探しています。思い当たる方がいたら、教えてもらえるとうれしいです。」
文面B(近所の店・お世話になっている人向け)
「いつもありがとうございます。近くで[店名]を開きました。まず5名の方に来ていただいて、感想をいただきたいと思っています。お客さまで、こういう方(肩こりでお困りの方など)がいらっしゃったら、お声がけいただけたら助かります。」
どちらも、お願いは「教えてください」だけです。借りを作る頼み方になりにくく、相手も気軽に返せます。
今日やること
前の職場の人、同業の知り合い、近所でよく行く店など、送れる相手を5人書き出します。書き出した5人に、上の一文を送ります。今日はここまでで十分です。
モニター後、正規価格に戻すときの伝え方
戻し方は募集の時点で決めて書いておく
「モニター価格は10月31日まで・5名まで」と最初に書いておけば、戻すときに改めて説明しなくて済みます。
NG例は、期限も人数も書かずに始めて、ずるずる続くことです。続けるほど、モニター価格が店の値段になっていきます。
施術後に渡す案内文の例
順番は、お礼→感想のお願い→次回からの正規価格→次の予約の取り方、です。
「本日はありがとうございました。モニターにご協力いただき、助かりました。お手すきのときに、アンケート(3問)にお答えいただけるとうれしいです。次回からのご案内です。通常のメニューは60分[正規価格]円です。今日うかがったお悩みに合わせて、次回は[内容]をご用意できます。次のご予約は、このLINEにご希望の日をお送りください。」
次回の予約を案内するのは、押し売りではなく、続けて通いたい人への案内だと私は考えています。案内がないと、通いたい人も、どう予約すればいいか分からず離れてしまうかもしれません。
「また同じ値段でお願いできますか」と言われたときの返し方
「モニター価格は、開業時の5名さま限りとさせていただいています。次回からは[正規価格]円になります。そのぶん、今回うかがったお悩みに合わせて、[内容]をご用意します。」
謝りすぎず、条件として伝えます。「すみません、本当はそうしたいんですが」と言うと、値段が自分の都合で決まっているように聞こえます。募集の時点で期限と人数を書いてあれば、「最初にお伝えしていたとおり」の一言で足ります。
感想と写真のもらい方・使い方で気をつけること
アンケートは3問に絞る
質問が多いと、答える側の負担になり、出し忘れが起きやすくなります。3問に絞ります。
- 来る前に困っていたことは何ですか
- 受けてみて、変わったことは何ですか
- どんな人にすすめたいですか
3問目の答えが、そのまま次の募集文の「どんな人に来てほしいか」に使えます。自分で考えるより、実際に来た人の言葉のほうが、同じ悩みの人に届きやすいと見ています。
掲載の許可は文字で残す
写真・名前(イニシャルなど)・感想の掲載範囲を、申し込み時のメッセージや同意書で確認しておきます。口頭だけにしません。「どこに載せるか」(SNS、ホームページ、チラシなど)まで書いておくと、あとで困りません。
ビフォーアフター写真の載せ方
写真は、効果を保証するものとして使わず、個人の感想・変化の一例として載せます。「この写真のように必ず変わります」と読める見出しや説明は付けません。
表示のルールは公式情報で確認する
モニターであることの表示のしかたや、モニター価格と正規価格の書き方には、法律上のルールが関わる場合があります。この記事では中身を断定しません。消費者庁の公式情報で確かめてください。個別の判断は、専門家に相談してください。
出す前に確かめるチェックリスト(10項目)
| 番号 | 確認すること | 済 |
|---|---|---|
| ① | 正規価格を先に決めた | □ |
| ② | モニター価格と、終了後の正規価格を両方書いた | □ |
| ③ | 無料にしていない | □ |
| ④ | お願いすること(アンケート・写真)を書いた | □ |
| ⑤ | 人数を書いた | □ |
| ⑥ | 期限を書いた | □ |
| ⑦ | 「練習台」「格安で実績作り」と書いていない | □ |
| ⑧ | 掲載の許可の取り方を決めた | □ |
| ⑨ | 個別に送る相手を5人書き出した | □ |
| ⑩ | 終わったあとの案内文を用意した | □ |
チェックが付かなかった項目から直す順番
まず①②(値段)、次に⑤⑥(区切り)、最後に⑨(届け方)の順に直します。値段が決まらないうちに、文章を磨かないでください。値段が決まっていない文章は、何度直しても最後に止まります。
最後のひと言
腕に自信があっても、開業したては、最初の数人に来てもらう順番で迷いやすいものです。性格を変える必要はありません。決める順番を変えれば進めます。まず正規価格を決めるところから、始めてみてください。
よくある質問
モニター価格は正規価格の何割引きにすればいいですか?
決まった正解の割合はありません。割引率から決めずに、お願いすること(アンケート・写真掲載)の多さで段階を分けます。正規価格を先に決め、そこから逆算するのが順番です。
無料モニターと有料モニター、どちらがいいですか?
少しでもお金をもらう形をすすめます(やたの見解)。無料だと予定の重みが軽くなり、取り消しや感想の出し忘れが起きやすいと見ています。数字の裏付けはありません。
モニター募集の文章には何を書けばいいですか?
来てほしい人、メニュー、モニター価格と終了後の正規価格、お願いすること、人数と期限、申し込み方法の6つです。経歴は1行で足ります。
モニターが終わったあと、正規価格に戻すと来なくなりませんか?
来なくなるかどうかは言い切れません。ただ、募集の時点で期限と人数を書いておけば、戻すときに改めて説明しなくて済みます。施術後に、正規価格と次の予約の取り方を案内文で渡します。
モニターの感想や写真をSNSに載せるときの注意点は?
掲載範囲の許可を文字で残します。写真は効果を保証するものとして使わず、個人の感想・変化の一例として載せます。モニターである表示のしかたや価格の書き方は、消費者庁の公式情報で確認し、個別の判断は専門家に相談してください。
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