対面営業・商談
見積の返事がないとき|催促に見えない聞き方と、次に連絡する日の決め方
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
返事がない理由を、まず3つに分けて考える
見積を送って3日。返信がないまま、何度も送信済みのメールを開いて、送った文面を読み返す。金額の欄を見直して、1文字も違っていないか確かめる。頭の中ではもう結論が出ています。「高かったんだ」。
でも、その結論はまだ事実になっていません。見えているのは「返事が来ていない」という事実だけです。金額を見てどう思ったかは、相手に聞くまでわかりません。ここで動きを止めてしまうと、次の見積でも同じように待つだけになります。
高いと思われたのではなく、決められないだけかもしれません。相手に非があると決めつけず、こちらにも非がある可能性を考える姿勢が大事だという考え方があります。届いていない、埋もれている、相手が誰かに相談している最中。どれも十分にあり得ます。担当者が休みを挟んでいた、社内の決裁者に上げている途中だった、というだけのことも珍しくありません。
「返事がない=高かった」と決めてそのまま何もしないと、1か月後に「別のところに頼んだ」と知ることになります。そのあと似た案件の見積を書くときも、また同じ不安を抱えたまま送ることになります。この記事で扱うのは、理由を3つに絞って手当てを変えることと、次に連絡する日を先に決めておくことです。
返事が来ない理由は3つ。手当てが全部ちがう
届いていない・埋もれている
迷惑メールに振り分けられた、添付ファイルだけ見て本文を読んでいない、他の用件に流されて後回しになった。よくあることです。相手のメールボックスが日々大量の連絡で埋まっている場合、見積のような「今すぐ返さなくても困らない」メールから後回しにされやすい傾向もあります。
手当ては再送です。「すでに返信していただいているようでしたら、お手数ですが再送をお願いします」という一文を使うと、こちらの見落としかもしれないという前提での聞き方になります。相手を責める形にならないので、送りやすくなります。
見たけれど決められない
金額を見て社内や家族に相談している、他社と比べている、そもそも今やるかどうか迷っている。相手は「まだ決めていません」と伝える言葉を持っていないことが多く、それで黙ります。「返事をしなければ」と分かっていても、答えが出ていないから連絡しづらい、という状態です。
手当ては、返事の選択肢をこちらから渡すことです。「決まっていなければその旨だけでも」という一言を添える方法は、後の見出しで具体的な文面にします。
断りづらくて黙っている
一番つらいパターンですが、これもあります。断る側にも「せっかく見積を作ってもらったのに」という気まずさがあり、それが連絡を遅らせます。手当ては、断りやすい一文を添えることです。「今回は見送りでも構いません」と書いておくと、相手は断りの返事を出しやすくなります。
断りの返事が来れば、そこから次の接点に変えられます。黙られたままより、前に進みます。
理由別の手当て早見表
| 相手の中で起きていること | こちらの手当て | 送る一文 |
|---|---|---|
| 届いていない・埋もれている | 再送を依頼する | すでにご返信いただいているようでしたら、お手数ですが再送をお願いします |
| 見たけれど決められない | 返事の選択肢を渡す | まだお決まりでなければ、その旨だけお知らせいただければ大丈夫です |
| 断りづらくて黙っている | 断りやすくしておく | 今回は見送りでも構いませんので、その場合も一言いただけると助かります |
自分が送った相手が、このどれに近いかを考えてから一通を書くと、文面が変わります。3つのうちどれか分からない場合は、一番角の立たない「届いていない」前提で書き出すのが無難です。
次に連絡する日は、見積を出した日に決める
通常1日で返信が来るような内容であれば2〜3日後に、事前に返信期限を設けていた場合はその期限を越えた時点が、連絡していい目安です。相手が「◯日ごろまでにお返事します」と言っていたなら、その日を基準にします。何も言われていなければ、送った日から2〜3日後を仮に置いておきます。
日を先に決めておく理由は、迷う時間を減らすためです。「もう少し待ってみよう」を繰り返して10日空いた、という進み方が一番よくありません。見積を送ったその場で、カレンダーに「◯日に確認メール」と入れておき、当日になったら迷わず送ります。
催促に見えない聞き方は「確認」の形で書く
見積の確認に使える言い回しは、次の4つです。
- お見積をお送りしましたが、ご確認いただけていますでしょうか
- ご不明な点はありませんか
- 返信が確認できなかったので、念のためご連絡しました
- すでにご返信いただいているようでしたら、お手数ですが再送をお願いします
角が立たないのは、催促ではなくあくまで確認という態度で臨むからです。「返事をください」ではなく「届いていますか」という形にするだけで、印象は変わります。どれか1つを選んで使えば十分です。
避けたほうがいいのは、「ご検討状況はいかがでしょうか」だけで締める一通と、「他のお客様からもお問い合わせが…」のように急かす一通です。前者は答え方を相手に丸投げしていて、後者は信頼を削ります。
件名は「お見積の件(ご確認)」のように、開いた瞬間に催促ではなく確認だと伝わる言葉にします。送った日付と確認の一文を1つ入れれば十分で、長く書くほど催促に見えます。
質問を1つ添えると、返事が返ってきやすい
返事を出さない側は、「まだ決めていません」を伝える言葉を持っていないことが多いと思います。だから、返事の選択肢をこちらから渡します。返事が来ないのは相手が冷たいからではなく、返しやすい形になっていないからです。
「ご不明な点はありませんか」を具体にする
S1が挙げる「ご不明な点はありませんか」は、見積の場面ではこのまま送ると「特にありません」の一言で終わりがちです。指させる形にすると変わります。
・金額の内訳で気になる項目はありますか ・納期は◯日で問題なさそうですか ・範囲を減らした案もお出しできます
どれも「はい・いいえ」か、具体的な項目で答えられる形にしているのがポイントです。抽象的な質問ほど、相手は答えを考えるのに時間がかかります。
「まだ検討中」も返事にしてもらう
「まだお決まりでなければ、その旨だけお知らせいただければ大丈夫です」。決めていない相手が、一番返しやすい一文です。これで沈黙が「検討中」に変わり、次の連絡日を決められます。返事の中身が「検討中です」の一言だけでも、それは十分な進展です。
断りやすくしておく
「今回は見送りでも構いませんので、その場合も一言いただけると助かります」。断りが来るのは負けではありません。黙られたままより、次の接点を作れます。
質問を3つ以上並べるのはやめたほうがいいです。答えるのが重くなり、また黙ります。1通に1つ、多くて2つまでにします。
返事がないままでも、相手を「終わった相手」にしない
確認を送っても反応がなければ、メールが埋もれている可能性を消すために、電話やメッセージで「届いているか」だけ確かめます。金額の話は自分から蒸し返しません。相手に非があると決めつけず、こちらにも非がある可能性を、実際に確かめる行動です。
それでも反応がなければ、追いかけ続けるより区切ったほうが、あとで「頼みやすい人」として相手の記憶に残ります。区切り方や2通目・3通目の文面を段階別に設計する方法は見積提出後のフォローメール例文にまとめているので、具体的な文例が欲しいときはそちらを使ってください。
返事がなかった相手を「終わった相手」にしないことだけは、ここで決めておきます。相手一覧に「見積済み・返事なし・確認日」とだけ書いておけば、数か月後に近況を伝える相手として残せます。見積の後だけでなく、営業全体の中でどう次につなぐかはフリーランスの営業のやり方にまとめています。
今日やれることは1つです。返事がない相手を1人思い出し、確認の一通を今日送ります。文面は上の見出しからそのまま使えます。
見積を出す前に3つやっておくと、返事待ちで悩まなくなる
返事の予定日を聞いてから送る
見積を送る前に「いつごろまでにお返事いただけそうですか」と聞いておきます。相手が言った日が、次の連絡日になります。聞き忘れたときは、見積の中に「◯日までにお返事いただけると助かります」と書いておきます。期限があれば、それを越えた時点が連絡の目安になります。
送って終わりにせず、5分でも説明の場をつける
送る前に「お送りしたらお電話で3点だけ補足させてください」と伝えておきます。金額を見た瞬間の反応をその場で受け取れるので、黙られる時間そのものが減ります。PDFだけ送って「ご確認ください」の一行で終わらせるのは避けたほうがいいです。
見積に有効期限を書く
「本見積の有効期限は◯日」と入れておきます。すると確認の一通が「期限のお知らせ」になり、催促の色が消えます。金額を下げるためではなく、相手が決める区切りを渡すために書きます。期限があること自体が、相手にとっても検討を後回しにしない理由になります。
送る前チェックリスト
・返事の予定日を聞いた ・説明の場を決めた ・有効期限を書いた ・次の連絡日をカレンダーに入れた
4つとも、送った後ではなく送る前にやることです。ここまでやっておけば、返事待ちの間に「高かったのかもしれない」と考える時間そのものが減ります。次の連絡日はすでに決まっているので、あとはその日が来るのを待つだけです。
よくある質問
見積の返事がないとき、何日待てば連絡していい?
通常1日で返事が来るような内容なら2〜3日後、返信期限を伝えていたならその日を越えた時点が目安。見積は相手が考える時間がいるので、相手が「◯日ごろ返事します」と言っていたらその翌日。待つ日数を気分で決めず、見積を送った日にカレンダーに入れておく
見積の催促メールは失礼にならない?
「返事をください」ではなく「届いているか」「不明点はないか」の確認の形で送れば角が立たない。「念のためご連絡しました」「すでにご返信いただいていたら再送をお願いします」のように、こちらの側に非がある可能性を前提にした言い回しにする
見積の返事がない=断られたということ?
決めつけない。メールが埋もれている、誰かに相談中、断りづらくて黙っている、のどれもある。相手に非があると決めつけず、確認の一通を送ってから判断する。「まだお決まりでなければその旨だけでも」と書くと、決めていない相手も返しやすい
見積の催促は何回まで?しつこいと思われない?
確認は2回までを目安にします。1回目はメールで確認し、2回目は電話やメッセージで「届いているか」だけ確かめます。それでも反応がなければ、追いかけ続けるより区切ったほうが、あとで頼みやすい相手として残ります
見積の返事がないとき、電話で聞いてもいい?
最初は確認メールから。2回目にメールが届いていない可能性を消すために電話やメッセージで「メールは届いていますか」だけ聞く。金額の話を自分から蒸し返さない。相手が「まだ決めてなくて」と言えたら、その場で次の連絡日を決める
参照した情報源
- 第13回 メールの返事がない時の対処法(公益財団法人日本電信電話ユーザ協会(使えるビジネスメール術))・確認日 2026-09-17
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