対面営業・商談
見積を出したあとのフォロー電話|かける日の決め方と、最初のひと言
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
見積のあとの電話がかけにくいのは、押しが弱いからではない
見積をメールで送って3日経った。返事はない。電話をかけようと受話器を持ったところで、「催促だと思われたら」と手が止まる。この感覚がある人は多いです。

かけられないのは、押しが弱いからでも、営業に向いていないからでもありません。返事が来ないことそのものがつらいのではなく、金額を見て黙られた気がして、それがつらいのだと思います。だから電話が、「高かったかどうかの判定を聞きに行く場」に見えてしまいます。
この記事で渡す方法は1つだけです。見積を渡す時点で電話をかける日を決め、相手にあらかじめ伝えておくこと。そうすれば電話は催促ではなく、約束していた確認になります。かける前に何度も文面を練り直したり、送った時刻を確認し直したりする時間そのものが減ります。
見積を出したあとの流れそのものを整理したい場合は、対面営業の順番にまとめています。この記事では、見積を出した直後のフォロー電話だけを扱います。
黙られると「高すぎたんだ」と自分で決めてしまう
返事がないと、頭の中で次のような流れが起きやすいです。返事がない→金額のせいだと考える→電話をかけると「やっぱり高いです」と言われる気がする→かけない。
ここで一度止まって考えてほしいことがあります。この時点で、相手からはまだ何も言われていません。「高い」と判定したのは相手ではなく、こちらです。
「相手の番型」かもしれません
出したあとに何をすればいいか習っていないと、「あとは相手の番」で止まってしまうことがあります。これが「相手の番型」です。
返事が来ないのがつらいのではなく、金額を見て黙られたのがつらい、という人が多いです。もし今そう感じているなら、渡したいのは次の許可です。高いと思われたのではなく、決められないだけかもしれません。
黙っている相手の頭の中で起きていそうなこと
相手が黙っている理由は、決めつけずに考えると、いくつかの可能性があります。
- 他の見積と比べている
- 家族や共同経営者に相談している
- 忙しくて後回しになっている
- 何を聞けばいいか分からず、そのまま止まっている
どれも「高いから断ろう」と決めた状態ではありません。決めるきっかけがないだけ、という場合があります。相手の中で結論が出ていないなら、こちらが黙って待つほど、決める理由が増えることもありません。だとすれば電話は、相手が決めるきっかけを渡す役目になります。
かける日は「見積を渡すとき」に決めて、相手に伝える
この記事で一番伝えたい手順はここです。電話をかける日は、見積を出したあとに悩んで決めるのではなく、出すときに決めてしまいます。

手順は3つです。
- 見積を渡すときに、相手の検討の予定を聞く
- その翌日を、こちらから電話する日にする
- その日を相手に伝えておく
やってしまいがちなNG例は、「何かあればご連絡ください」で終えることです。ボールを完全に相手に渡してしまい、こちらから連絡する理由がなくなります。
見積を渡すときのひと言(そのまま使える例文)
対面や電話で渡すときは、こう聞きます。
「いつごろまでにお決めになりそうですか」
相手が答えたら、こう続けます。
「では、◯日にこちらからお電話してもいいですか。分かりにくいところがあれば、そのときに伺います」
メールで送る場合は、こう書きます。
「◯日(◯)の午後に、一度お電話でご不明点がないか伺えればと思っています。ご都合が悪ければ遠慮なくおっしゃってください」
ポイントは、「確認のため」と目的を先に言っておくことです。これだけで、電話が催促に見えなくなります。
かける日の決め方(相手の言葉別の早見表)
相手の言葉によって、かける日の目安は変わります。以下はこの記事での目安であり、統計などのデータに基づくものではありません。
| 相手の言葉 | かける日の目安 |
|---|---|
| 「来週中に決めます」 | 翌週の月曜か火曜 |
| 「社内(家族)と相談します」 | 相談の予定日を聞き、その翌日 |
| 「月末までに」 | 月末の3〜4日前に、一度途中確認 |
| 予定を言われなかった | こちらから日にちを提案する |
決める基準は1つです。相手が言った予定の少しあと。前に出すと急かす形になり、大きく後ろにずらすと熱が冷めます。相手が予定を言わなかった場合も、こちらから「では◯日ごろでよろしいですか」と提案してしまえば、待つだけの時間はそこで終わります。
もう送ってしまい、日を決めていなかったときは
すでに見積を送ってしまい、日を決めていなかった場合でも、今からで遅くはありません。
「先日の見積について、分かりにくい点がないか確認したくてご連絡しました」
この言い方は、送ってから何日後でも使えます。ただし日が空くほど電話が重くなります。この記事での目安として、送ってから1週間以内に一度かけます。
電話が苦手な場合は、先にメールで「◯日にお電話してもいいですか」と送り、電話の予約を取ってからかける方法もあります。
最初のひと言は「ご検討いただけましたか」ではなく「確認」から入る
電話の最初のひと言で、その後の空気が決まります。相手に答えを迫る言葉から入らないことが大切です。
そのまま使える最初のひと言
「◯◯の件でお送りした見積について、分かりにくいところがなかったか確認したくてお電話しました。いま2〜3分よろしいですか」
この一文は、3つの要素だけでできています。何の件か、電話の目的(確認)、相手の時間を聞く。この3つです。
見積を渡すときに日を約束していた場合は、こう一言足すとさらに自然になります。
「先日お話ししていた通り、◯日なのでお電話しました」
NG例:言いがちだが相手を追い詰める言い方
つい使ってしまう言い方ほど、相手を追い詰めます。
| 言い方 | 相手が受け取るもの |
|---|---|
| 「ご検討いただけましたでしょうか」 | 「まだ」と言いにくい |
| 「いかがでしょうか」 | 何を答えればいいか分からない |
| 「お返事をお待ちしているのですが」 | 催促に聞こえる |
| 「高かったでしょうか」 | 自分から値下げの話を始めてしまう |
共通しているのは、どれも相手に「決めたかどうか」の答えを迫っていることです。確認から入れば、相手は決めていなくても答えられます。
「まだ決めていません」と言われたときの返し
「もちろんです。どこか引っかかっているところや、比べるときに分かりにくい部分はありますか」
これで何もなければ、次のように次の日を決めて切ります。
「では、◯日ごろにもう一度だけご連絡してもいいですか」
「分かりました、お待ちしています」で終えるのはNGです。これではまた「相手の番型」に戻ってしまいます。
電話の中で聞くのは3つだけ
電話の目的は、その場で決めてもらうことではありません。相手が決められない理由を1つ見つけることです。

聞くことは3つに絞ります。
- 引っかかっているところ
- 決めるまでに誰と何を話すか
- 次にいつ話すか
3つ聞いたら切ります。長く話すほど、こちらの説明が増えて、相手の話が減ります。電話の主役は相手の答えであって、こちらの説明ではないと決めておくと、切るタイミングにも迷わなくなります。
「引っかかっているところ」の聞き方
「もし迷われているところがあれば、どこか教えていただけますか。金額でも、中身でも、時期でも大丈夫です」
選択肢を先に出すと、相手は言いやすくなります。特に「金額でも」と自分から言っておくと、相手が気をつかわずに済みます。
金額のことを言われたときに、すぐ下げない
金額のことを言われても、その場ですぐに下げないことです。「では◯円お引きします」とその場で答えるのはNGです。相手はまだ下げてほしいとは言っていないこともあります。
代わりにこう返します。
「どのあたりがご予算と合わなかったか伺えますか。中身を分けて、削れるところと削れないところをご説明できます」
値段の話を続けるのではなく、中身の話に戻します。
最後に「次に何が起きるか」を決めて切る
「では、◯◯さんがご家族と話されたあと、◯日にもう一度お電話しますね」
電話を切る前に、次の日にちと、そのとき何を話すかが決まっていれば十分です。決まったことは、その日のうちに短いメールで送っておきます。
「本日はお電話ありがとうございました。◯日にまたご連絡します」
つながらない・返事がないときの動き方
相手が電話に出ないことを、「避けられている」と読まないことです。忙しいだけの場合が多いですが、断定はできません。

連絡の回数と間隔を先に決めておくと、毎回の迷いが減ります。
留守電・メールに残すひと言
留守電に残す場合。
「◯◯です。先日の見積の件で、確認したいことがありお電話しました。またあらためてご連絡します」
折り返しを求めないことがポイントです。相手に宿題を増やさないようにします。
つながらずメールに切り替える場合。
「お電話したのですがお忙しそうでしたので、メールで失礼します。見積について分かりにくい点があれば、このメールへの返信でも大丈夫です」
2回目・3回目はいつ、何回までか
この記事での目安として、次のように区切ります。
- 1回目から3〜5日あけて2回目
- さらに1週間ほどあけて3回目
- 3回で区切る
電話とメールは交互にします。同じ手段を続けると、相手の負担になります。回数を先に決めておけば、「しつこいかな」と毎回悩まずに済みます。
区切りの連絡(最後に送るメールの例文)
3回連絡してもつながらなかった場合、最後に区切りの連絡を入れます。
「その後いかがでしょうか。今回はお見送りということでしたら、それも遠慮なくお知らせください。また別の機会があれば、そのときはよろしくお願いします」
区切りを渡すと、かえって返事が来ることがあります。決めきれずにいた相手が「実は」と話しやすくなるからです。断られても、それで相手との縁が終わるわけではありません。
今日やること:出した見積の一覧を作り、かける日を書き込む
持ち帰れるものは、見積フォロー表です。列は次の6つにします。
- 相手の名前
- 見積を出した日
- 相手が言った検討の予定
- こちらから連絡する日
- 次に話すこと
- 結果
今日やることは、この表にいま返事待ちの見積をすべて書き出し、「かける日」の列を埋めるところまでです。
見積フォロー表のつくり方(記入例つき)
記入例は次のような形です。
「A社さん/9月20日に送付/来週中に検討/9月29日に電話/分かりにくい点の確認」
紙でもスマホのメモでもかまいません。大事なのは、「かける日」の列が空欄のまま残らないことです。電話の予定は、そのままカレンダーにも入れておきます。
電話をかける前の30秒チェックリスト
電話をかける直前に、次を確認します。
- 見積の中身を手元に開いた
- 最初のひと言を決めた
- 聞く3つを書いた
- 金額の話が出たときの返しを決めた
- 次に連絡する日の候補を用意した
全部そろっていなくても、かけていいです。チェックリストは電話の質を上げるための道具であって、電話をかけない理由を増やすための道具ではありません。
次の見積からは「渡すとき」に日にちを決める
表に書くのは、今ある分だけで十分です。次の見積からは、渡すときのひと言でかける日を先に決めます。
そうすれば、返事を待つあいだに「高すぎたかな」と一人で考える時間そのものが減ります。
返事が来ないのは、値段が否定されたからではなく、相手が決めるきっかけを待っているだけかもしれません。
よくある質問
見積を出してから何日後にフォロー電話をすればいいですか?
一番いいのは、見積を渡すときに相手の検討予定を聞き、その翌日を「この日にお電話します」と伝えておくことです。決めていなかった場合は、この記事での目安として送ってから1週間以内に一度かけます。
フォロー電話がしつこいと思われないか心配です
最初のひと言を「ご検討いただけましたか」ではなく「分かりにくい点がなかったか確認したくて」にすれば、催促ではなく確認になります。連絡は3回までと先に決め、最後は区切りのメールで終えます。
見積のあと返事がないのは、断られたということですか?
そうとは限りません。他と比べている、相談中、忙しくて後回しなど、まだ決めていないだけの場合もあります。黙られた理由を自分で決めつけず、電話で引っかかっている点を聞きます。
フォロー電話で「高い」と言われたらどう返せばいいですか?
その場ですぐ下げません。「どのあたりがご予算と合わなかったか伺えますか」と聞き、中身を分けて削れるところと削れないところを説明します。
電話が苦手なので、メールだけでフォローしてもいいですか?
メールでもかまいません。「◯日にお電話で確認してもいいですか」と先にメールで予約を取ると、電話のハードルが下がります。留守電やメールでは折り返しを求めず、返信で済む形にします。
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