対面営業・商談
「また連絡します」が来ないとき|待たずに送れる、次の一通
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
「また連絡します」が来ないのは、断られたからではない
打ち合わせの最後、相手が「では、また連絡します」と言った。あの日から1週間が過ぎ、2週間が過ぎた。メールを送ろうとしてパソコンを開き、下書きを書きかけて消す。「催促だと思われるかもしれない」「まだ検討中かもしれない」。そう思って、また画面を閉じる。この繰り返しに心当たりがある人は少なくないはずです。
しかも一度だけならまだしも、似たような案件で何度も同じことが起きると、「自分の営業のやり方が悪いのかもしれない」と考え始めます。ですが、これは営業のやり方そのものの問題である前に、送る/送らないの判断をどこかで習っていないだけのことが多いです。デザイナーでもエンジニアでも士業でも、腕の良し悪しとはまったく別の話です。
送れないのは、相手の返事を待っているからではありません。「連絡が来ない=自分の話が響かなかった」と、自分の中で結論を出してしまっているのかもしれません。こちらから送れば、その結論が確定してしまう気がして、手が止まる人は少なくないはずです。
これは相手の番型かもしれません。出したあとに何をすればいいか習っていないので、「あとは相手の番」で止まってしまう型です。見積や提案を出した時点で自分の仕事は終わったと思い込み、そこから先は相手が動くのを待つしかないと感じてしまう。断られたと決まったわけではないのに、連絡を出せないまま時間だけが過ぎていく状態に近いと思います。
でも、相手は断ったのではなく、まだ決められていないだけかもしれません。次の一通は催促ではなく、相手が決めやすくなるための手伝いだと考え直してみてください。自分の話が悪かった証拠として連絡なしを受け取る必要はありません。送るかどうかで迷っているとき、この位置づけの違いだけで気持ちはだいぶ変わります。
相手側で起きていることは、だいたい次の3つのどれかです。
- 決めるための材料が足りない(金額の内訳、他の選択肢との比較、実際の仕上がりのイメージなど。決められないだけで、興味を失ったわけではありません)
- 相手の上司や家族など、自分より上の判断を待っていて止まっている(相手自身も返事を出したくても出せない立場のことがあります)
- 忙しくて、単純に忘れている(悪気があるわけではなく、目の前の仕事に押されているだけのことが多いです)
本当に断るつもりなら、多くの場合もっとはっきりした言い方になります。「今回は見送らせてください」「予算が合いませんでした」のように、区切りのつく言葉が返ってくることが多いです。「また連絡します」で止まっているときは、断りよりも保留であることのほうが多いという印象です。
いつ送るか|待つ期間は相手ではなく自分で決める
いつ送ればいいかを毎回その場で考えていると、迷っているうちに日だけが過ぎていきます。まず目安を持っておいてください。
| 相手の状況 | 送るタイミング |
|---|---|
| 期日を言われた(「来週にはご連絡します」など) | その翌日〜2営業日後 |
| 期日なし(「また連絡します」のみ) | 打ち合わせから1週間後 |
| 「来月あたり」など時期だけ言われた | その時期の1週間前 |
急いで送る必要はありませんが、目安を持たずに先延ばしにするのも、それはそれで別の問題です。焦りすぎず、遅すぎず、の基準として使ってください。
自分の「遅い」という感覚は、自分の基準でしかありません。メールの返信を4時間よりも長い時間待てない人は16.68%という調査があります。多くの人は、自分が思っているより長く待てるものです。自分が3日で「遅い」と感じても、相手はまだ2日目のつもりかもしれません。相手の沈黙を、自分の時間軸だけで読まないようにしてください。
「もう少し待とう」を3回繰り返しているうちに、気づけば1か月経っていた。こういうパターンはよく見かけます。また連絡するつもりはあるのに、いつ出すかを決めていないので、そのまま機会を逃してしまう動きに近いです。目安表があれば、「まだ待つべきか」を毎回考え直す必要がなくなります。
だから、判断する回数を減らすのがコツです。打ち合わせが終わった当日に、次に自分から送る日をカレンダーに入れてください。「〇〇社 連絡」のように相手名だけ書いておけば十分です。判断はその日1回だけにして、あとは日付が来たら送る、それだけにします。
催促にならない「次の一通」の3つの要素
同じ「送る」でも、催促に聞こえる文面と、そう聞こえない文面があります。相手が身構えてしまうと、かえって返事は遅くなります。違いは次の3つです。3つとも揃えるのが理想ですが、まずは要素1だけでも入れれば、印象はかなり変わります。
要素1 相手の得を1つ添える 打ち合わせで出た話題の補足、似た仕事の事例、参考になりそうな情報。「その後いかがですか」だけの一通は、相手に負担しか渡していません。返事する側からすると、答える材料が何もないまま返事だけを求められている状態です。
要素2 返事しやすい形にする 「ご検討中ですか」ではなく、「A案とB案、どちらが近いですか」「不明点は金額と納期のどちらでしょうか」のように、選択肢か一言で答えられる形にします。相手が考える手間を減らすほど、返事は早く戻ってきます。
要素3 逃げ道を残す 「ご検討中でしたら、このメールへの返信は不要です」の一文を添えます。返事を強制しないほうが、かえって返事は来やすくなります。追い詰められていないと分かると、相手は自分のタイミングで動けるからです。
| 比較 | 内容 |
|---|---|
| NG例 | その後いかがでしょうか |
| OK例 | 先日お話に出た〇〇の事例を1つ添えます。ご質問があれば金額・納期どちらでもお気軽にどうぞ |
3つを1通にまとめると、こんな形になります。「先日お話に出た〇〇について、参考になりそうな事例を1つお送りします。金額面で気になる点があれば調整も可能ですので、お気軽にお知らせください。ご検討中でしたら、このメールへの返信は不要です。」3行程度でも、要素が入っていれば十分に機能します。
そのまま使える文面例|場面別3パターン
固有名詞と内容を差し替えれば、そのまま送れる形にしてあります。件名・冒頭一文・用件・問い・逃げ道の順で組んであるので、この順番のまま使ってください。
パターンA 見積を出す前に「また連絡します」だったとき まだ検討材料が足りていない段階なので、判断ではなく情報を渡す一通にします。見積や結論を急がせないことがポイントです。
件名: 先日はありがとうございました(〇〇の件) 先日はお時間をいただきありがとうございました。お話にあった〇〇について、参考になりそうな事例を1つ見つけたので共有します。[事例の概要を1〜2行]。ご不明点があれば、いつでもご連絡ください。
パターンB 見積を出したあとに「また連絡します」だったとき 条件のどこかで引っかかっている可能性が高いので、動かせる部分を先に見せます。金額を下げる提案ではなく、調整できる幅があることを伝えるだけで十分です。
件名: お見積りの件、調整も可能です 先日お送りしたお見積り、その後いかがでしょうか。金額・内容・時期、どれか引っかかる点があれば調整できますので、遠慮なくお知らせください。ご検討中でしたら、このメールへの返信は不要です。
パターンC 「来月あたり」など時期だけ言われて来ないとき 時期の少し前に送ることで、思い出してもらうきっかけにします。返事を急かす内容にはしません。
件名: 〇月の件でご連絡しました 先日お話にあった〇月が近づいてきたのでご連絡しました。動きがあれば、いつでもお声がけください。特に進展がなければ、このメールは読み流していただいて大丈夫です。
NG文面も1つ並べておきます。「お忙しいところ恐縮ですが、その後ご検討状況はいかがでしょうか」。丁寧ではありますが、相手の得がなく、答え方も分かりません。
送っても返事がなかったときの扱い方
一通送っても返事がないことは普通にあります。ここで諦めるかどうかより、扱い方を先に決めておくことのほうが大事です。
2通目までは送ってください。1通目から1〜2週間空けて、別の情報(事例・補足)を添えて送ります。同じ文面を繰り返さないことが大事です。同じ内容を2回送っても、相手が答えられることは増えません。
2通目にも返事がなければ、「終わり」ではなく「保留」に置きます。案件リストに日付と「保留」、次に連絡する日を書いておくだけで十分です。例えば「〇〇社/9月見積提出/保留/次回接触12月」のように1行にまとめておけば、あとで見返したときに迷いません。
3か月後の近況連絡は、何かを頼む連絡にしないでください。「最近こういう仕事をしました」と伝えるだけにします。「先日、〇〇のような案件を担当しました」の一文だけでも十分です。相手が思い出すきっかけを作るのが目的で、返事を求める連絡ではありません。
断りの返事が来たら、それは前進として扱ってください。理由が分かる、条件が分かる、次に会う口実が残る。「返事なし」より「断り」のほうが、手元に残るものは多いです。
「また連絡します」で終わらせない打ち合わせの締め方
ここまでは連絡が止まったあとの対処でしたが、一番いいのはそもそも止まらない締め方をすることです。相手の番型に入る前に、そもそも相手の番にしないという考え方です。
打ち合わせの最後に、自分から次の連絡日を置いてください。「では来週金曜までに、こちらから一度ご連絡しますね」。相手の番ではなく、自分の番で打ち合わせを終えます。
相手が「また連絡します」と言ったら、「いつ頃になりそうですか」と一言だけ聞いてみてください。「来週中には」と返ってくれば、それが目安表の起点になります。「まだ分からない」と返ってきたら、「では来週、こちらから確認のご連絡を入れますね」と自分から置いてしまいます。どちらにしても、次に動くのが誰かがその場で決まります。
NG例は「はい、お待ちしています」で締めることです。丁寧に聞こえますが、待つ側に回った時点で相手の番型に入ってしまいます。
| 締め方 | その後の動き |
|---|---|
| 相手主導(相手の番で終える) | いつ連絡が来るか分からず、待つだけになる |
| 自分主導(次の連絡日を決めて終える) | 送る日が決まっているので迷わず動ける |
営業の工程を①知り合うから⑦仕事を切らさないまで一通り整理したい場合は、個人事業の営業のやり方にまとめてあります。
今日やること|止まっている案件を1つだけ動かす
最後に、今日中にできることを3つの手順にしました。読みながらでいいので、実際にカレンダーと案件リストを開いてください。
手順1 「また連絡します」のまま止まっている案件を書き出してください。3件以上あれば、一番最近のもの1件だけを選びます。一度に全部動かそうとすると、結局どれも動かせません。
手順2 目安表に当てはめて、送る日を決めます。すでに目安を過ぎていれば、今日送ります。
手順3 場面別文面A〜Cから1つ選び、固有名詞と相手の得を1つ差し替えて送ります。完璧な文面を目指さないでください。書き直しているうちに日が空くと、あとで送る型に入ってしまいます。
チェックリスト
- □ 相手の得を1つ入れた
- □ 一言で答えられる問いにした
- □ 逃げ道の一文を入れた
- □ 次に送る日をカレンダーに入れた
連絡が来ないのは、話が響かなかった証拠ではありません。相手はまだ決めきれていないだけかもしれません。それを確かめる方法は、待つことではなく、決めやすくなる一通を送ることです。今日、その1件を動かしてみてください。
よくある質問
「また連絡します」と言われてから、何日待てばいいですか?
相手が期日を言ったならその翌日〜2営業日後、期日がなければ1週間後が目安。待つ長さは相手ではなく自分で決めて、カレンダーに入れておく
「また連絡します」は社交辞令(やんわり断り)ですか?
断りとは限らない。材料が足りない、相手の先で判断が止まっている、忘れている、の3つが多い。本当の断りなら別の言い方になることが多く、こちらから一通送って初めて分かる
こちらから連絡したら催促になって失礼ではありませんか?
「その後いかがですか」だけなら催促になる。相手の得になる情報を1つ添え、一言で答えられる問いにし、「返信不要」の逃げ道を残せば、相手の手間を減らす連絡になる
連絡は何回まで送っていいですか?
2通まで。1〜2週間空けて別の情報を添える。返事がなければ保留にして、3か月後に頼まない近況連絡で接点を戻す
メールと電話、どちらで連絡するべきですか?
打ち合わせで使っていた手段に合わせる。文面を残せるメールやチャットが基本。電話は相手が期日を言っていて、それを大きく過ぎたときだけ
参照した情報源
- ビジネスメール実態調査2020(一般社団法人日本ビジネスメール協会)・確認日 2026-09-20
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