対面営業・商談
待ちの営業から抜ける最初の1件|攻めに変えなくても仕事は来る
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
待ちの営業から抜けられないのは、攻める性格じゃないからではない
ホームページと名刺を作って半年。来る仕事は知り合い経由の数件だけで、空いた日がじわじわ増えてきた。検索窓に「攻めの営業」と打ち込んだことがある人も多いはずです。

来たら受ける型かもしれません。問い合わせが来るのを待つのが前提で、自分から相手を探す時間を取っていない型です。
自分から動けないのは、攻める性格じゃないから――そう思っているかもしれませんが、そうではありません。「来た仕事を受ける」以外の時間が、そもそも予定に入っていないだけです。
攻め=飛び込み・テレアポ、という思い込みが手を止めている
攻めの営業と聞いて思い浮かべるのが、知らない会社に飛び込む、名簿に片っ端から電話をかける、というやり方だけだと、性格に合わないという結論にすぐたどり着きます。合わないと分かった時点で、残る選択肢は待つことしかなくなります。ここで止まっているとしたら、原因は性格ではなく、攻めの営業をその1つの形でしか想像できていないことです。
待ちと攻めの間に、もう1つの動きがある
知らない人に売り込むのではなく、すでに知っている相手に自分から連絡して、会いに行く。これは攻めではありません。でも、待ってもいません。この記事で扱うのは、この間にある動きだけです。
性格はそのままでいい
攻めに変える必要はありません。変えるのは性格ではなく、週の予定表に1枠入れるかどうかです。この記事全体は、その1枠の作り方だけを扱います。
飛び込みが得意な人になる必要も、電話が苦にならない人になる必要もありません。予定表に1枠入れて、そこで知っている相手に1通送る。それだけで、待ちの営業からは抜けられます。
来たら受ける型の人がよくやってしまうのが、名刺やホームページを整えることに時間を使い切ってしまうことです。整えること自体は無駄ではありませんが、整えたあとに「自分から連絡する」動きが抜けていると、いつまでも問い合わせを待つ状態のままになります。
待ちの営業と攻めの営業の違いを、やることの単位で分ける
「待ちの営業 攻めの営業」で検索してたどり着いた人向けに、まず単位で分けます。

| 待ちの営業 | 知っている相手に会いに行く | 攻めの営業 | |
|---|---|---|---|
| 相手は誰か | 問い合わせてきた人 | 過去に接点のある人 | 知らない人 |
| きっかけを作るのは誰か | 相手 | 自分 | 自分 |
| 仕事の量を決めるのは誰か | 相手 | 自分 | 自分 |
| 単価を決めるのは誰か | 相手(言われた額) | 自分 | 自分 |
| 手に職の人に合うか | 量が読めない | 合う | 噛み合いにくい |
真ん中の列だけ、相手も自分も知っている人です。だから「攻められた」と感じさせずに、自分から動くことができます。
待ちの営業が続くと、仕事の量と単価を相手が決める状態になる
紹介が細った月は、何もできずに空いた日を眺めることになります。単価も、言われた額をそのまま受けるしかありません。断る余地がないので、合わない仕事も受けます。これは腕の問題ではありません。
選べる相手が1人もいない、という構造の問題です。攻めの営業に変える必要はありませんが、そういう月に頼れる相手が誰もいない状態だけは避けたほうがよさそうです。
飛び込み・テレアポが手に職の人に合わないのは、性格ではなく商材の問題
デザイン、設計、施術、士業は、相手の困りごとを聞いてから中身が決まる仕事です。知らない人に一方的に説明する型とは、そもそも噛み合いません。相手が何に困っているか分からないうちに提案を始めても、内容が的外れになりやすく、電話の相手にもそれが伝わってしまいます。
「攻めに変えよう」と決めてテレアポを始め、3日でやめて「やっぱり向いてない」と結論を出す。これはよくある流れですが、向いていないのは性格ではなく、その営業の型のほうです。同じ人が、知っている相手に1通送る側に回ると、同じ3日でも続けられることが多いです。
第3の選択肢:知っている相手に、自分から会いに行く
営業のやり方全体はフリーランスの営業のやり方にまとめています。知り合う、話を聞く、金額を伝える、返事をもらう、断られたあとにつなぐ、また頼まれる、仕事を切らさない――いくつもの工程がありますが、待ちの営業から抜け出せずに止まっているとしたら、詰まっているのはいちばん最初の工程です。この記事では、その中の「最初の1件」だけを扱います。
最初の1件は「知らない人」ではなく「もう知っている人」に出す
知らない人からの売り込みメールは、読まずに閉じます。でも、一度会った人からの近況連絡は、閉じません。営業されたと感じるかどうかは、話の中身ではなく、知っているかどうかで決まります。

10人リストの書き出し方(3つの枠)
紙に3つの枠を作ります。
- 過去に仕事をした相手
- 名刺交換したまま止まっている相手
- 同業・隣の仕事の知り合い(自分と組める人)
各枠に3〜4人、合計10人を書き出します。思い出せないときは、スマホの連絡先とメールの送信履歴を1年分さかのぼってみてください。
最初の1人を選ぶ基準
仕事が出そうな人からではなく、相手の困りごとを1つ言える人から選びます。話がしやすい相手を先に選ぶということです。
一番大きな会社の担当者を最初に選んで、文面が固くなって出せなくなる――これはよくある失敗です。最初の1人は、気楽に書ける相手にしておきます。
例えば、以前雑談の中で「最近人手が足りなくて」と言っていた相手がいれば、その一言がそのまま「困りごとを1つ言える人」の材料になります。細かく覚えていなくても、思い出せる範囲でメモに残しておくだけで十分です。
10人書けなかったときの手当て
3人でも始めていいです。誰も思い浮かばないときは、名刺の箱、年賀状、SNSでつながっている人まで枠を広げます。人数をそろえることより、1通出すことを優先してください。
リストは1回作って終わりではありません。連絡した相手には印を付け、返事があったかどうかもメモしておきます。数か月後に見返すと、次にだれへ連絡すればいいかが一目で分かるようになります。
売り込まずに送る「最初の1通」の文面
文面は3要素だけ(近況・相手のこと・会う口実)
- 自分の近況を2行(独立した、こういう仕事を始めた)
- 相手のことを1行(前に聞いた話、相手の会社の最近の動き)
- 会う口実を1行(近くに行く用事がある、30分だけ話を聞かせてほしい)
全体で5〜7行に収めます。仕事をくださいとは書きません。
相手別の例文3本
過去の取引先向け
件名:ご無沙汰しております
〇〇さん、その節はお世話になりました。あれから独立して、今は前と近い分野の仕事をしています。〇〇さんの会社、最近は〇〇の方に力を入れているとうかがいました。近くに伺う用事があるので、30分だけ近況をお話しできたらうれしいです。都合のいい日があれば教えてください。
名刺交換だけの相手向け
件名:以前名刺交換させていただいた〇〇です
〇〇でお会いした〇〇です。あのあと独立して、今は〇〇の仕事をしています。当時うかがった〇〇のお話、その後どうなったか気になっていました。もしお時間があれば、一度お話を聞かせてください。都合のいい日があれば教えてください。
同業の知り合い向け
件名:最近どうですか
〇〇さん、お久しぶりです。最近独立して、〇〇の仕事をしています。〇〇さんの方はどんな案件が多いですか。近い分野なので、お互いの近況交換がてら一度話せたらと思っています。都合のいい日があれば教えてください。
送ってはいけない文面(NG例)
- 「お仕事があればぜひお願いします」だけの1行――相手が返しようがありません
- 実績とサービス内容を並べた長文――詰め込むほど、読む人は自分を重ねる場面がなくなります
- 値引きや無料相談を最初から付ける――安く見られて終わります
NG例に共通しているのは、相手に「判断する材料」を渡していない点です。仕事があるかどうか、いくらなのか、いつまでなのか。どれも書かれていないと、相手は返事のしようがありません。近況と会う口実の2つだけあれば、相手は「会うか会わないか」を決められます。
既読のまま止まるのは、普通のことです。断られたのではなく、まだ返す理由がないだけです。2週間空けて、相手のことを1行増やした内容でもう1通送ります。
会ったときに仕事の話をしなくていい理由
1回目のゴールを「仕事」に置かない

会った日に仕事が決まることはまれです。1回目のゴールは、相手が困ったときに思い出す位置に戻ることです。仕事の話を自分から切り出さないので、頼む側・頼まれる側にならず、対等のまま帰れます。
会ったときに聞く2つのこと
- 最近、仕事で困っていること
- 周りで困っている人はいないか
この2つだけ聞いて、自分の説明は聞かれてから話します。相手が「ホームページを直したいけど誰に頼めばいいか分からない」と言ったら、その場で売り込まず「そういう話、いつ頃考えてますか」と時期だけ聞いておきます。時期が分かれば、その少し前にもう一度連絡する理由ができます。
帰り際の一言で、思い出される位置に入る
「そういう話が周りで出たら、教えてもらえるとうれしいです」
頼むのではなく、教えてほしいと言います。帰り際に料金表を渡したり、「見積もり出しましょうか」と切り出したりはしません。
逆に、帰り際に「今度お仕事があればお願いします」とだけ言って別れると、相手は具体的に何を思い出せばいいか分からないまま終わります。教えてほしい内容を1つに絞ることで、相手の記憶に残る形になります。
会った翌日には、お礼を1通(3行)送ります。聞いた困りごとを1行入れておくと、次に連絡する口実が残ります。時間が空いてから送ろうとすると、聞いた内容を忘れてしまい、結局送らずに終わることが多いので、当日か翌日のうちに済ませます。
「待ちから抜けた」と言える状態と、戻りそうになる場面
チェックリスト(5項目)
- 自分から連絡する枠が、週の予定表に1つ入っている
- 連絡先リストが10人分ある
- 今月、自分から連絡して会った人が1人以上いる
- 会った相手の困りごとを1つずつメモしてある
- 自分から金額を出した案件が1件ある
3つ付けば、待ちの営業ではなくなっています。5つそろえる必要はありません。3つを目安に、足りない項目から埋めていきます。チェックが1つも付かない状態が続いているときは、まず「連絡する枠を予定表に入れる」の1項目だけに絞って始めてください。
週1時間の入れ方
曜日を固定します(例:金曜の午前)。その1時間で出すのは1通だけです。1時間で3通出そうとすると、文面が薄くなります。攻めに変えなくても、この1枠があれば仕事の量を自分で動かせます。
予定に入れる場所は、他の予定より先です。空いた時間にやろうとすると、目の前の仕事に押されて後回しになり、気づけば1か月何も送らなかった、ということが起こります。
戻りそうになる3つの場面と手当て
- 忙しくなって連絡をやめる → 忙しい月ほど1通だけは出します。仕事が切れるのは、忙しさが終わったあとです
- 返事がなくて「やっぱり向いてない」と結論を出す → 返事の有無ではなく、出した数で自分を測ります
- 会っても仕事にならなかった → 1回目のゴールは仕事ではなかったと思い出します。メモが残っていれば、次の連絡が作れます
どの場面も、共通しているのは「連絡を出した数」を自分で数えているかどうかです。仕事になったかどうかだけを見ていると、出した数が見えなくなり、また忙しさや返事のなさを理由に手が止まります。
性格を変えた人が抜けたのではなく、予定表に1枠作った人が抜けています。攻めるかどうかを迷うより、まず1人に1通送ってみてください。
よくある質問
待ちの営業と攻めの営業、どちらがいいですか?
手に職の仕事は、どちらでもない「知っている相手に自分から会いに行く」が合う。待ちは仕事の量と単価を相手が決める状態になり、飛び込み・テレアポは困りごとを聞いてから中身が決まる仕事と噛み合わない。
営業をしたことがないのですが、何から始めればいいですか?
知らない人への売り込みではなく、過去に仕事をした相手・名刺交換した相手・同業の知り合いを10人書き出し、1人に近況の連絡を1通出す。仕事をくださいとは書かない。
攻めの営業が苦手な性格でも、仕事は取れますか?
性格を変える必要はない。週に1時間、自分から連絡する枠を予定に入れるだけで、待ちの営業ではなくなる。攻めの形(飛び込み・テレアポ)は手に職の人には向かないので、やらなくていい。
自分から連絡して返事がなかったら、どうすればいいですか?
既読のまま止まるのは普通で、断られたのではない。2週間空けて、相手のことを1行増やした内容でもう1通出す。返事の有無ではなく、出した数で自分を測る。
会ったときに仕事の話をしないと、意味がないのでは?
1回目のゴールは仕事ではなく、相手が困ったときに思い出す位置に戻ること。聞くのは「最近困っていること」と「周りで困っている人」の2つ。帰り際に「そういう話が出たら教えてください」と言えば、次の連絡の口実が残る。
本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。