紹介営業

顧客紹介の謝礼・紹介料はいくらが妥当?相場が見つからない理由と金額の決め方

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このシリーズの全体像 紹介営業のはじめ方 完全ガイド

本文に4本、既存の文脈に自然な形でリンクを差し込みました(数字・見出し・段落構成は変更していません)。


見積もりを出したあとに、紹介してくれた相手への謝礼で手が止まることがあります。相場を調べても業種ごとに数字がバラバラで、結局「いくらが普通か」が分からないまま日が過ぎていきます。

値段が言えない型かもしれません。金額を言うことが自分の値打ちを言うことになっていて、口に出せない型です。いくらが正解か分からないから決められないのではありません。自分がつけた額が、そのまま「相手をどれくらいに見ているか」の答えとして、相手に伝わってしまう気がするから決められないのです。

顧客紹介の謝礼に共通の相場は見当たらない。今回調べた範囲で金額が決まっているのは3つの業種

結論から言うと、今回確認できた範囲では、業種をまたいだ「顧客紹介の謝礼」に共通の相場は見つかりませんでした。数字がはっきりしているのは人材紹介、不動産の仲介、代理店・パートナー紹介の3つです。理由は業界の商習慣か法律のどちらかで、それ以外の商売には比較できる基準が見当たりませんでした。

謝礼を決める3段階。可否確認、金額、事前共有の順で相場探しは不要

相場が作れないのは、業種ごとにルールが正反対だから

一方には上限を法律で決めている業種があります。人材紹介は料率50%が上限、居住用の賃貸仲介は依頼者双方からの報酬合計が借賃1か月分が上限です。もう一方には、謝礼を払うこと自体を禁じている業種があります。保険医療機関が患者紹介の対価として金品を渡すことは禁止されており、保険の募集でも特別の利益の提供が禁止行為とされています。上限を決める業種と、支払いそのものを禁じる業種が同じ土俵に並ぶので、平均を出せる話ではありません。これが、今回確認できた範囲で「相場が見当たらない」理由です。

相場が分からないから決められないのではない

金額そのものは、粗利から10分で出せます。それでも決まらないのは、自分でつけた額が相手にどう見えるかが怖いからです。低い額を渡せば「その程度に見ているのか」と思われる気がして、高い額を渡せば仕事欲しさが透ける気がします。「これだけ?」と思われたらどうしよう、と金額を決める手前で止まってしまう人も少なくありません。渡す許可はシンプルです。謝礼は相手の価値の点数ではなく、取引の条件のひとつです。

決める順番は3つで、金額は2番目

決める順番は次の3つです。①その商売で謝礼を払っていいかを確認する、②粗利から自分で金額を決める、③紹介をもらう前に相手へ伝える。世の中の相場を探す工程はどこにもありません。この記事もこの3つの順番で進みます。

数字が決まっている3業種と、その数字を自分の商売に持ってきてはいけない理由

相場が明確な3つの業種を先に見ておきます。数字を丸ごと真似るためではなく、「なぜその数字なのか」を知れば、自分の商売にそのまま持ち込んではいけない理由も見えてきます。

人材紹介・不動産・代理店の紹介料水準と根拠の違いを並べた比較図

人材紹介:理論年収の20〜30%、上限は50%

人材紹介の紹介手数料は、求職者の理論年収×20〜30%程度が相場とされ、料率は50%を上限として自由に設定できます。年収600万円であれば30%で180万円です。一人の転職が決まれば、その人からの次の紹介はしばらく発生しません。一回性の高さが、この率の裏側にあります。

不動産:相場ではなく法律の上限

居住用建物の賃貸借では、依頼者双方から受け取れる報酬額の合計は借賃の1か月分が上限と定められています。長期空家等の賃貸では、報酬の上限を通常の1か月分から2か月分まで引き上げることが認められています。売買の媒介では別の特例があり、800万円以下の低廉な空家等を対象に、売主・買主それぞれから最大33万円(税込)まで受け取れます。「みんながこの額を払っている」という相場ではなく、「これを超えてはいけない」という上限である点が根本的に違います。

代理店・パートナー:販売価格の10〜20%

代理店やパートナーへの紹介手数料は、商品の販売価格の10〜20%が目安とされます。取次で成約時に支払う場合も販売価格の10〜20%、レベニューシェアであれば顧客の継続金額の20%が目安です。卸の場合は小売価格の70〜80%が卸価格とされています。BtoBの口コミ紹介に一番近い考え方は、この代理店・パートナーの設計です。

NG例:「人材紹介が30%だから自分も30%にする」という決め方です。年収の30%は一件で関係が完結する商売の数字であり、続く取引の商売に当てはめると粗利が残らなくなります。取引が続く前提なら、継続金額の20%という別の設計に変える必要があります。率だけを借りると、計算が合わなくなります。

金額より先に確認する。謝礼を払うと違反になる仕事がある

金額を決める前に、そもそも謝礼を払っていい商売かどうかを確認します。業法のある仕事では、ここを飛ばすと金額の話自体が意味を持ちません。

医療:患者を紹介する対価としての金品は禁止

保険医療機関は、事業者またはその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供することその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険医療機関において診療を受けるように誘引してはならないとされています。事業者に対して診療報酬の額に応じた所定の金額を支払うことにより、特定の同一建物居住者の紹介を独占的に受けて、それらの者に対して一律に訪問診療を行っている形も、問題として名指しされています。

保険:現金でなくても「特別の利益の提供」になりうる

保険業法第300条第1項第5号は、保険料の割引または割戻し、物品の購入、役務の提供その他の取引であって取引上の社会通念に照らし相当であると認められないもの、その他特別の利益の提供を禁止行為として挙げています。改正によって禁止対象が拡大され、保険契約者・被保険者に加えて、これらの者と内閣府令で定める密接な関係を有する者、いわゆるグループ企業も対象に含まれるようになりました。現金を渡さなくても、商品券や無償のサービスの提供が「物品の購入」「役務の提供」として読まれる余地があります。

自分の業種を確認する順番

医療・保険・不動産・人材のように業法のある仕事は、金額を考える前に、所管の法令・業界団体の指針・所属先の規定を確認します。ここに引っかかっていれば、金額の議論に入る意味がありません。判断がつかないときは、払う前に確認します。ここから先は、業法に触れない一般的な商売を前提に書きます。個別の法務・税務の判断は、必ず専門家に相談してください。

自分で決める4つの物差し(この4行を埋めれば金額が出る)

業種の確認が終われば、あとは自分の商売の中で金額を決めるだけです。次の4つの物差しに、自分の答えを書き込めば金額が出ます。

粗利・続き方・紹介の重さ・継続可能性の4つから謝礼額を出す図

物差し確認する質問自分の答え
①粗利この仕事の粗利はいくらか
②取引の続き方一回きりか、続く取引か
③紹介の重さ名前だけか、同席までしてくれたか
④継続可能性来年も同じ額を払えるか

①売上ではなく粗利から出す

総額の10%ではなく、粗利の10%で考えます。仮に受注額30万円、外注や材料費で10万円かかる仕事なら粗利は20万円、そこから2万円を謝礼にあてるという出し方になります(この数値は仮の計算例であり、実績値ではありません)。総額を基準にすると、原価の重い仕事ほど手元に残る額が薄くなります。

②一回きりの取引か、続く取引か

一回で終わる仕事は初回のみの一括、続く取引は継続金額の一定割合という2つの考え方があります。続く取引に一括を当てると紹介者が損した気持ちになり、一回きりの仕事に継続型を当てると自分が払い続けることになります。どちらに当たる仕事かを先に決めます。

③紹介の重さで段を分ける

紹介にも重さの違いがあります。(1)名前と連絡先を教えてもらった、(2)会う場を作ってくれた、(3)同席して一言そえてくれた、の3段です。同じ「紹介」という言葉でも、相手の手間はまったく違います。段ごとに金額を決めておけば、案件が来るたびに悩まずに済みます。

④来年も同じ額を払えるか

一度出した額は、次からその人にとっての基準になります。たとえば初回の紹介で張り切って5万円を渡すと、2回目以降も5万円が「約束」になり、粗利の薄い仕事で紹介があったときに払えなくなります。今回だけ奮発した金額は、次に下げたときに関係を壊します。続けられる額まで下げて構いません。ここで「安いと思われないか」が気になりますが、判断材料にするのは相手の気持ちの推測ではなく、自分の粗利です。

金額の次に決めること。いつ・どういう形で渡すか

タイミングは「成約時」ではなく「入金後」にそろえる

成約時ではなく入金確認後の翌月末に振り込む支払い時期の時間軸図

成約したタイミングで払ってしまうと、入金が遅れたり案件が途中で流れたりしたときに自分の持ち出しになります。「入金を確認した翌月末に振込」のように、日付の形で決めて先に伝えます。NG例は「入ったら払います」とだけ伝えて、いつ入るかを言わないことです。

形は現金より振込+請求書

相手に請求書を出してもらい、振込で記録を残します。記録の残らない渡し方は、あとになって自分も相手も説明できなくなります。勤め先がある人は、社内の規定で謝礼を受け取れない場合があるので、渡す前に「受け取れる形はどれですか」と聞くのが早い方法です。

口約束にしない。決めるのは4行だけ

口約束にせず、次の4行だけ決めておきます。①対象になる紹介の範囲(どこからが紹介か)、②金額または率、③支払うタイミング、④払わない場合(すでに自分と接点があった相手だった、案件が途中で止まった)。文面はこの程度で十分です。

紹介いただいた案件が成約した場合、粗利の◯%を謝礼としてお渡しします。お支払いは入金確認後、翌月末の振込です。すでにお付き合いのある方をご紹介いただいた場合や、案件が途中で流れた場合は対象外とさせてください。

この4行をメールに書いて送り、返信をもらいます。それだけで、あとの揉め事の大半は消えます。NG例は「うまくいったらお礼しますね」で終わらせることです。

税金の扱い。源泉徴収が要る場合と、要らない場合

不定期の謝礼なら源泉徴収は不要

紹介者が自分の業務に専属的に従事している場合には、所得税を源泉徴収しなければならないとされています。専属者ではなく、不定期に紹介があったときに謝礼として支払うような場合には、所得税を源泉徴収する必要はないとされています。

契約書がなくても「専属」とみなされることがある

契約書などがなくても、特定の個人に継続的に謝礼を支払っている場合には専属とみなされる場合があり、あくまでも謝礼の支払実態で判断されるとされています。自分では「不定期」のつもりでも、毎月同じ人に払い続けている状態は、実態が違って見えます。判断が分かれるのは金額ではなく、支払いの実態です。

迷ったら払う前に税理士に聞く

一度払ってしまったあとに扱いを直すほうが、手間が大きくなります。ここでの説明は一般的な考え方にとどまるので、個別の判断は必ず税理士に相談してください。

紹介した側は、金額よりそのあとを見ている

一番喜ばれるのは結果の報告

紹介してくれた人が気にしているのは、自分が引き合わせた相手に迷惑がかかっていないかです。「無事に契約になりました」「先方にこう言ってもらえました」という一報を、謝礼とは別に必ず出します。お金だけ届いて報告がない状態は、次の紹介が来なくなる一番の理由になりやすいです。

お金で区切りをつけない

謝礼を渡した瞬間に貸し借りが清算されて、そこで関係が終わることがあります。振り込んで終わりにせず、報告と一緒に渡す、渡すときに会う、というふうに次に会う口実として使います。紹介をもらったあとにもう一度頼まれるまでの動き方は、紹介営業の基本にまとめてあります。

受け取れない相手への返し方

勤め先の規定がある人や、業法で受け取れない仕事の人も少なくありません。その場合は、こちらから紹介を返す、その人の仕事を自分の顧客に取り次ぐ、自分の専門を無償で貸す、という形に切り替えます。「謝礼はお渡しできない立場ですか?それなら別の形でお返ししたいのですが」と先に聞けば済みます。金額で押し通そうとせず、相手が受け取れる形を一緒に探す姿勢のほうが、次につながります。

今日やることは3つです。4つの物差しで金額を決め、決めた4行をメールの下書きに書き、次に紹介をくれそうな相手に、紹介をもらう前に伝えてください。

よくある質問

顧客を紹介してもらったら、謝礼はいくら払うのが普通ですか?

業種をまたぐ共通の相場は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。数字がはっきりしているのは人材紹介(理論年収の20〜30%程度、料率は50%が上限)、居住用建物の賃貸仲介(双方からの報酬合計は借賃1か月分が上限)、代理店・パートナー紹介(販売価格の10〜20%)の3つです。それ以外の商売は、売上ではなく粗利から自分で決めて、紹介をもらう前に伝えます。

紹介料を払うとき、源泉徴収は必要ですか?

紹介者が自分の業務に専属的に従事している場合は所得税を源泉徴収しなければならず、専属者ではなく不定期に紹介があったときの謝礼なら源泉徴収の必要はないとされています。ただし契約書がなくても、特定の個人に継続的に謝礼を払っている場合は専属とみなされることがあり、支払実態で判断されます。個別の判断は税理士に相談してください。

謝礼を払ってはいけない仕事はありますか?

あります。保険医療機関は、患者を紹介する対価として金品その他の経済上の利益を提供して自院での診療に誘引することが禁じられています。保険の募集でも、社会通念に照らし相当と認められない取引や特別の利益の提供が禁止されており、対象は保険契約者・被保険者と密接な関係を有する者にも拡大されています。業法のある仕事は、金額を考える前に、所管の法令や専門家に確認してください。

紹介料は現金で渡してもいいですか?

金額より形と記録の問題です。相手に請求書を出してもらい振込にすれば、双方あとから説明できます。勤め先の規定で受け取れない人もいるので、「どういう形なら受け取れますか」を先に聞きます。保険のように、現金でなくても物品の購入や役務の提供が特別の利益にあたりうる業種もあります。

紹介をもらう前に金額を伝えるべきですか?あとから決めてもいいですか?

先に伝えるほうがいいです。決まっていないと、相手は「頼まれてもいないのに紹介して気を遣わせるかもしれない」と考えて動きにくくなります。対象範囲・金額または率・支払うタイミング・払わない場合の4行をメールで送っておけば、あとから金額でもめることもなくなります。

参照した情報源

  1. 紹介手数料は消費税の課税対象?インボイスでの取り扱いや勘定科目(hrbc.porters.jp(人材紹介業界メディア))・確認日 2026-08-09
  2. Question:仕事の案件を紹介してくれた人に紹介料を支払いますが、源泉徴収は必要ですか?(小泉会計事務所(税理士事務所))・確認日 2026-08-09
  3. 宅建業法の報酬の制限とは?覚え方や計算方法をわかりやすく解説(伊藤塾コラム)・確認日 2026-08-09
  4. 厚生労働省、患者紹介禁止内容について事務連絡を発出(H26.7.10)(公益社団法人 全国有料老人ホーム協会)・確認日 2026-08-09
  5. 【速報】保険業法改正案の逐条解説③第300条(保険契約締結等に関する禁止行為)(hokan(保険代理店システム/コラム))・確認日 2026-08-09
  6. 代理店への手数料の設計とは?相場や契約形態ごとのマージンをご紹介(PARTNER SUCCESS(パートナーサクセス))・確認日 2026-08-09

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