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このシリーズの全体像 対面営業のコツ完全ガイド — 会って、信頼で売る技術の全体像
「検討します」で止まるのは、返す言葉を知らないからではない
あの場面
提案を出し終えた瞬間の、あの空気に覚えがあるはずです。相手が「社内で検討します」と言い、こちらは「ではよろしくお願いします」と返して名刺をしまいます。次に何が起きるかは、まだ何も決まっていません。
家に帰る道すがら、頭の中では「今の伝え方でよかったのか」を繰り返します。何度も同じ場面を迎えているのに、毎回同じところで止まります。
「相手の番型」かもしれません
出したあとに何をすればいいか習っていないので、「あとは相手の番」で止まる型かもしれません。
うまい切り返しを知らないのがつらいのではなく、毎回そこで引き下がる自分がもう分かっているのがつらい、という人が多いです。
押しが弱いから決まらないのではありません。その場で「次にいつ何が起きるか」を決めずに帰っているからです。押しの強さを鍛える話ではなく、帰り際にひとつ言葉を足すだけの話です。
高いと思われたのではなく、相手が決められないだけかもしれません。値段の問題だと決めつける前に、確かめる余地があります。
この記事で渡すもの
この記事で渡すのは、切り返しフレーズ集ではありません。解散する前に決める1行です。これは営業工程でいうと「返事をもらう」場面の話です。工程ごとの型は、対面営業の型を工程別に整理した記事にまとめています。
「検討します」が出ても受注率は下がらない。伸びるのは期間
数字は原文どおりに置く

Gongが140,566件の商談を分析しました。「検討します」と言われても、受注率は下がりませんでした。ただし商談期間は173%伸び、次の商談までの間隔も55%長くなります。
つまり「検討します」は、商談が壊れた合図ではありません。ペースが崩れた合図です。ここで壊れるのではなく、ここから間延びしていきます。
ここからは自分の商談を振り返っての整理です
ここからは、自分の商談を振り返っての整理です。新築の商談を数多くこなしていた時期、契約になった数より、「検討します」で止まったまま終わった数のほうが、ずっと多くありました。粗利の薄い商品ほど、この差は大きくなります。
ここまでの話が示しているのは、1件の契約の裏に、それより多い数の「検討します」があるということです。すべてが断りだったわけではなく、間が空いているうちに他の話に埋もれていったものが混ざっていたのだと思います。
期間が伸びると何が起きるか
期間が伸びると起きることは、単純です。相手の頭の中で、この話の優先順位が下がっていきます。こちらの側でも、日が空くほど連絡を出しづらくなります。
恐れるべきは断られることではありません。間が空いたまま、どちらからも動かない時間です。ここは煽る話ではなく、次の章でやる「間を空けない仕組み」で解ける話です。
言われた直後に聞く3つの質問(この順番で)
①中身を聞く

「どのあたりが決め手になりそうですか」
検討する対象は、相手の中でもまだ言葉になっていないことが多いです。この質問は、相手自身に検討の中身を言葉にしてもらうための質問です。
②決める人を確認する
「今回は◯◯さんのところで決まりますか、どなたかに見ていただきますか」
決裁の形は会社によって違います。ここを聞かずに帰ると、決める人に材料が届かないまま話が止まります。
③決める日を相手に置いてもらう
「いつごろまでに決めたいとお考えですか」
こちらから期限を要求する形にはしません。相手の予定として聞きます。同じ内容でも「いつまでに返事をもらえますか」だと催促に聞こえます。
NG例と優先順位
「何かご不明な点はありますか」は「特にないです」で終わります。「いつまでにお返事いただけますか」は催促に聞こえます。
3つ全部を聞けなくても構いません。1つだけ選ぶなら②です。決める人が分かれば、中身も日も後から聞けます。
質問したら、黙って待ちます。沈黙を自分の説明で埋めないことが、この3つの質問の効果を決めます。
答えがぼやけたときの重ね方
「検討します」とだけ返ってきて、①②③のどれにも実質的な答えが返ってこないこともあります。そのときは諦めて引き下がるのではなく、聞き方を変えて一度だけ重ねます。「今日決めていただかなくて大丈夫です。ただ、次にお話しするときまでに何が分かっていると助かるか、それだけ教えてください」。ここで重ねるのは説得のためではありません。次に自分が何を用意すればいいかを決めるための情報集めです。一度で仕分けが終わらなくても、方向だけ分かれば十分です。
反論処理は言い負かすことではない — 「検討」の中身を3つに仕分ける
同じ「検討します」でも、中身は3つに分かれます。a 情報が足りない、b 決める人が別にいる、c 順番が今ではない。同じ言葉でも、手当ては正反対になります。

3つの仕分け表
| 検討の中身 | 見分ける質問 | その場でやること |
|---|---|---|
| a 情報が足りない | どのあたりが決め手になりそうですか | 比べる材料を1枚にまとめて渡す |
| b 決める人が別にいる | 今回はどなたかに見ていただきますか | 決める人に見せる材料を作る、または同席を提案する |
| c 順番が今ではない | いつごろお考えですか | 順番が来る時期を聞き、その時期に合わせた接点を決める |
仕分けたら、その場で言い切る
仕分けて終わりにせず、その場で次の一言まで言い切ります。aだと分かったら「では比較しやすいように、違いを1枚にまとめて明日お送りします」と言います。bだと分かったら「その方にも見ていただけるよう、要点だけの資料を作ります」と言います。cだと分かったら「では◯月ごろに、あらためてご案内します」と、こちらから次の時期を区切ります。仕分けは考えるための道具ですが、言い切るところまでやらないと、相手には「検討します」しか残りません。
3つとも値引きで解こうとしない
一度金額を下げると、話が値段だけになります。次に会う理由まで値段になってしまいます。aもbもcも、値引きでは解けません。
NG例です。最初に「他社と比べていますか」と聞くと、相手は身構えます。中身→決める人→日の順のほうが答えやすい聞き方です。
仕分けは、相手を説得する道具ではありません。こちらが次に何をするかを選ぶための道具です。
解散する前に「次の日」を決める — そのまま言える4パターン
パターン1 次回を置く

「では◯日か◯日で、決まったかどうかだけ伺えますか」
日付を2つ出して、相手に選んでもらいます。1つだけ提示すると断りやすく、2つ出すと選ぶ形になります。
パターン2 決められないとき
「今日決めていただかなくて大丈夫です。◯日に一度だけこちらから確認のご連絡をします」
自分が動く日を宣言して帰ります。相手に義務を渡すのではなく、自分の予定として置きます。
パターン3 相手の宿題を1つ置く
「それまでに◯◯さんに一度見ていただけますか」
決める人が別にいる場合、相手側にも1つだけやることを置いて帰ります。
パターン4 逃げ道を残す
「今回は見送りでも構いません。そのときも一言いただけると助かります」
断りやすくしておくと、かえって連絡が来ます。
NG例
「ではご連絡お待ちしております」で解散すると、相手に返事の義務だけを渡して終わっています。次に何が起きるかは、誰も決めていません。
予定が決まらない日でも、追いかける形にはせず、約束の形にして帰ります。
帰りに書く3行メモ — 空欄が、その場で聞けなかったこと
3行の中身
①何が決まれば決まるか ②決める人と決める日 ③次の接点(日付・こちらがやること・相手がやること)。この3行が埋まっていれば、その商談はやることが決まっています。
空欄の埋め方
空欄があれば、当日中の短いメールで1つだけ聞きます。3つ並べて聞かないことが大事です。
そのまま送れる文例です。「本日はお時間をいただきありがとうございました。1点だけ確認させてください。今回のご検討は、◯◯様のところで決まりますでしょうか」
落とし穴
メモが「手応えあり」「脈なし」のような温度で書かれていると、次の行動が決まりません。言われた言葉・日付・名前という事実だけを書きます。
このメモが持ち帰りです。長い議事録にせず、帰りの数分で書ける形にしておきます。
それでも返事が来ないとき、何を送るか
「その後いかがでしょうか」が動かない理由
この一文は、相手の仕事を増やすだけです。決める材料は1つも増えません。相手からすれば、返す言葉に困る質問です。
代わりに送るもの
こちらの状況の変化を伝えます。空き枠・納期・条件の区切りなどです。あわせて、判断を軽くする一文を添えます。
文例1です。「その後のご検討状況はいかがでしょうか。ちょうど◯月の枠に空きが出そうなので、もしご検討中でしたらお知らせください」
文例2です。「先日はありがとうございました。条件面で気になる点があれば伺えればと思います。見送りというご判断でも大丈夫です。その際は一言いただけると助かります」
送る日は相手が言った日を基準にする
独自の日数ルールは使いません。相手が「来週には」と言えば来週、「月内に」と言えば月内が基準です。返事が来なくても、次の時期を1つ置いて終わります。
NG例です。同じ文面の追いかけを繰り返す。「ご検討状況はいかがですか」だけを何度も送る。どちらも決める材料を増やしていません。
追いかける回数は自分で区切っておく
何度でも送っていいわけではありません。相手が示した時期を一度過ぎても返事がなければ、もう一度だけ送り、そこで区切ります。区切りを自分の中で先に決めておくと、既読を気にしながら追いかけ続ける状態から抜けられます。区切ったあとは、また別の理由ができたときに接点を作り直せばいいだけです。
締めは、行動1つに戻ります。解散する前に、次の日を決めることです。
よくある質問
「検討します」は断りの言葉ですか?
140,566件の商談分析では、この言葉が出ても受注率は下がらず、伸びるのは商談期間で173%でした。断りかどうかは、決める人と決める日が言えるかで見ます。
「検討します」と言われたら、その場で何と返せばいいですか?
言い負かす言葉は要りません。「どのあたりが決め手になりそうですか」から入り、決める人、決める日の順で聞いて、次に会う日を置いて帰ります。
しつこいと思われずに期限を確認するには?
こちらから期限を要求せず、相手の予定として聞きます。「いつごろまでに決めたいとお考えですか」。決まらなければ、自分が連絡する日を宣言して帰ります。
「検討します」のあと、何日後に連絡するのが正解ですか?
一律の日数はありません。相手が言った日を基準にします。その場で次の日を決めていれば、追いかける連絡自体が要らなくなります。
反論処理のトークスクリプトは覚えるべきですか?
覚えるのは言葉より仕分けです。情報不足・決裁者・順番のどれかで手当てが正反対になるので、同じ返しを暗記しても外れます。
参照した情報源
- How to Respond When Buyers Say "I Need To Think About It," According to Data(Gong.io (Gong Labs))・確認日 2026-09-05
- We Found the Top Objections Across 300M Cold Calls; Here's How to Handle Them All(Gong.io (Gong Labs))・確認日 2026-09-05
- 8 Ways to Respond to the Objection "I Want to Think It Over"(HubSpot Blog)・確認日 2026-09-05
- Neil Rackham Explains the Extensive Research Behind SPIN(Huthwaite International)・確認日 2026-09-05
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