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このシリーズの全体像 対面営業のコツ完全ガイド — 会って、信頼で売る技術の全体像
営業ヒアリングの質問順番は7つ — 事実→困りごと→影響→理想→お金→決め方→次回
営業ヒアリングで聞く順番は、事実→困りごと→影響→理想→お金→決め方→次回の7つです。先に全体を表にします。この記事の持ち帰りはこの1枚です。

| ステップ | 聞くこと | 質問例の型 | ここで絶対にやらないこと |
|---|---|---|---|
| ①事実 | 今どうやっているか | 「今は何人でやっていますか」 | 解釈や評価を混ぜて聞く |
| ②困りごと | 困っていることを1つに絞る | 「一番大変なのはどこですか」 | 出てきた困りごとを全部拾う |
| ③影響 | その困りごとが他に何を巻き込んでいるか | 「それが続くと何が起きますか」 | 影響を自分で計算して言ってしまう |
| ④理想 | 解決した状態を相手の言葉で | 「片付いたら何が変わりますか」 | 自分からメリットを説明する |
| ⑤お金 | 予算の枠 | 「近い規模だと◯〜◯万円くらいですが」 | 「ご予算はおいくらですか」と単独で聞く |
| ⑥決め方 | 決める手順と人 | 「決まるまでにどんな手順がありますか」 | 「誰が決めますか」と名指しで聞く |
| ⑦次回 | 次にいつ何をするか | 「来週の火曜か木曜、どちらが」 | 「まとめて送ります」で終える |
①〜④が「相手の話」、⑤〜⑥が「相手の会社の話」、⑦が「自分の話」です。この順番を入れ替えると、まだ信頼が乗っていない段階で⑤に飛ぶことになります。
この7ステップはゼロから作ったものではありません。①〜④はSPIN話法(Situation→Problem→Implication→Need-payoffの4段階質問法)、⑤⑥はBANTのBudget・Authorityにあたります。BANTのAuthority(決裁権)は「商品・サービスを導入する際の決裁権のことで、営業においては誰が決裁にかかわっているかを見極める」ものと説明されています。
SPIN話法を考案したHuthwaite International自身、この枠組みを「厳格な順序ではなく、論理的で説得力のある枠組み」だと説明しています。台本のように暗記するものではなく、順番の目安として使うものだということです。
ここからは自分の商談を振り返っての整理です。⑦を独立した1ステップにしているのは自分の実感からです。①〜⑥がどれだけ良くても、⑦がなければ「検討します」で終わります。
対面営業の極意の基本は、ウェブだけで完結させず、会って信頼を積み上げることです。7ステップも、その信頼を1回の商談の中でどう積むかという話です。
順番を知っていても、聞くと詮索している気がして止まる
打ち合わせで「今どんなことでお困りですか」と聞いたあと、相手が2〜3秒黙ることがあります。その沈黙に耐えられず、「あ、うちはこういうことができまして」と自分の説明で埋めてしまう。心当たりがある人は多いと思います。
質問リストを覚えていないから聞けないわけではありません。リストなら検索すれば10分で出てきますし、実際もう何度か見たことがあるはずです。それでも聞けないのには、覚えていないこととは別の理由があります。
本当の構造はこうです。まだ仕事をしたことのない相手の、商売の内側に踏み込む質問をしていいのか分からない。だから聞ける範囲だけ聞いて、あとは自分の説明で埋めてしまいます。しゃべりすぎ型に近いかもしれません。沈黙が怖くて自分の説明で埋め、相手の話を取ってしまう型です。
話がうまい必要はありません。聞く順番が決まっていれば、次に何を言うか考えながら聞かなくて済みます。文言はそのとき次第で変わっても、順番は変わりません。ここから先は、①から⑦までを1つずつ具体的に見ていきます。
ステップ①②:事実を先に置くと、困りごとが具体語で出てくる
①事実の質問は、答えに解釈がいらないものだけを置きます。
- 「今は何人でやっていますか」
- 「その作業はいつからその形ですか」
- 「一番時間を取られているのはどの工程ですか」
なぜ事実を先に置くのか。事実は答えても減るものがないからです。相手が「これは答えていい質問だ」と分かる質問から入ると、そのあとの少し踏み込んだ質問も自然に聞けるようになります。
NG例は、1問目に「御社の課題は何ですか」を置くことです。相手は課題を整理してから商談に来ているわけではありません。「まあ、いろいろありますね」で終わり、そこから話が戻らなくなります。
②困りごとの質問は、①で相手が言った言葉をそのまま使って作ります。「さっき、見積を作るのに毎回2時間とおっしゃっていましたが、それが一番きついのはどのタイミングですか」というように、相手の言葉を借りて次の質問を組み立てます。
事実質問は3問までにします。多いと尋問になります。相手のホームページや資料で調べられることは事前に調べておき、その場では「合っているかどうかの確認」にとどめます。下調べをせずにその場の会話だけで乗り切ろうとすると、答えが浅くなります。
ヒアリングの準備段階の整理として、SPIN話法(Situation→Problem→Implication→Need-payoffの4段階質問法)のような枠組みが紹介されています。①②はこの最初の2段階にあたります。
困りごとが複数出てきたら、その場で1つに絞ります。「今日はどれから話しますか」と相手に選んでもらう形にします。全部拾おうとすると提案が総花になり、結局は値段だけの話になります。
ステップ③:ここが一番飛ばされる — 「それが続くと何が起きますか」
③は、困りごとの影響を聞くステップです。その問題が他の何を巻き込んでいるか、放っておくとどうなるかを相手自身の言葉で話してもらいます。

ここは出典をそのまま置きます。成績上位の営業担当者は、平均的な担当者に比べて影響を尋ねる質問を4倍多くしているという報告があります。SPIN話法は35,000件を超える商談の分析から作られた手法です。
質問の具体例は次のとおりです。
- 「その分の時間はどこから捻出していますか」
- 「それで断った仕事はありましたか」
- 「来年も同じやり方だとどうなりそうですか」
NG例は、影響を自分で計算して言ってしまうことです。「それだと年間240時間の損失ですね」と数字を出して見せると、説得された感じが出て相手が引いてしまいます。数字は相手の口から出させます。
ここからは自分の商談を振り返っての整理です。自分が扱っていたのは高額で粗利がほとんど残らない商材でした。値引きの余地がほとんどないので、③を飛ばしていきなり値段の話に入ると、ほぼ確実に負けました。③で相手が自分の言葉で「このままは無理だ」と言った案件だけが、そのあと前に進みました。
③をやらないと、提案は「あったら便利なもの」のまま止まります。相手は困っていないわけではなく、困っていることをまだ言葉にしていないだけです。
ステップ④:解決した状態を、相手の口から言ってもらう
④は「それが解決したら何が変わりますか」を聞くステップです。メリットは自分が説明するのではなく、相手に言ってもらいます。
自分で言った利点は売り込みとして聞かれます。相手が言った利点は、相手自身の結論になります。あとで相手が社内で説明するときに使われるのは、後者のほうです。
質問の具体例です。
- 「それが片付いたら、空いた時間は何に使いますか」
- 「今より良くなったと分かるのは、何を見たときですか」
④で相手が言った答えは、そのまま提案書の1ページ目の見出しになります。メモを取るときは相手の言い回しを変えません。「効率化」と要約せず、「月末に家に帰れる」とそのまま書きます。
NG例は、④のあとすぐに商品説明へ入ることです。ここで説明を始めると、④で相手の中にできた熱が、こちらの説明を聞くだけの時間に変わってしまいます。④のあとは⑤の金額に進みます。
ここからは自分の商談を振り返っての整理です。訪問を重ねてもなかなか決まらなかった時期は、①②の途中から商品説明に飛んでいました。④を相手に言ってもらうようにしてから、話が前に進むようになりました。
ステップ⑤⑥:お金と決め方は、聞きにくいのではなく順番が最後だから聞ける
⑤予算と⑥決裁は、信頼が乗る前に聞くから気まずいだけです。①〜④で相手が自分の困りごとを話し終えたあとなら、条件の確認として聞けます。

予算の聞き方について、信頼構築前は直接的な質問を避け、他社の事例を伝えつつ大まかな目安を引き出すことが推奨されています。具体的には「競合の導入事例を伝えつつ慎重に大まかな目安を引き出す」やり方です。文例にすると「近い規模だと◯〜◯万円くらいのご依頼が多いのですが、その幅で考えて大丈夫そうですか」になります。
決め方は「誰が決めますか」ではなく「決まるまでにどんな手順がありますか」と聞きます。人を名指しさせると身構えられますが、手順を聞く形なら答えやすくなります。確認するのは3つです。
- どんな基準で比べるか——「お客様が代替案と比較してソリューションを評価するために使用する基準および優先順位」にあたる部分です
- どういう手順で決まるか——「購入者の調達プロセスにおける正式および非公式の手順、マイルストーン、および関係者」にあたる部分です
- 社内で説明する人は誰か
相手が一人社長や小規模事業者の場合は、言葉を翻訳します。決裁の話は「稟議」ではなく「奥さんに相談されますか」「他に見ている会社はありますか」になります。フレームワークの言葉をそのまま持ち込まないことが大事です。
NG例は「ご予算はおいくらですか」を単独で置くことです。相手は上限を言うと全部使われると思っているので、必ず低めに言います。幅で聞くか、こちらから相場を先に出す形にします。
ステップ⑦:帰る前に「次にいつ、何を」を決める
⑦は質問ではなく約束です。ヒアリングの最後に、次回の日付と、そのときに持っていくものを口頭で確定させます。
具体文例は「今日いただいた話で、◯◯の部分を1枚にまとめてきます。来週の火曜か木曜、どちらが都合いいですか」です。日付は2択で出します。
⑦がないとどうなるか。「まとめて送ります」で解散すると、送るまでに数日空きます。届いたころには相手の熱が下がっています。
ここからは自分の商談を振り返っての整理です。独立初月にまとまった受注を取れたのは、新しい話術を覚えたからではありません。その場で次を決めていたからです。大きく数字を伸ばした時期も、変えたのは訪問数ではなく1件あたりの終わり方でした。
⑦の前に1分もらって、聞いた内容を声に出して要約します。「今日伺ったのは、◯◯が一番きつくて、それが◯◯にも影響していて、△△になれば解決、ということで合っていますか」。ここでズレていれば、提案を作る前に直せます。
持ち帰りメモの形式はこの7行です。
- 事実
- 困りごと1つ
- 影響
- 理想の状態(相手の言葉のまま)
- 金額の幅
- 決まり方
- 次回の日付
この7行が埋まっていない商談は、もう一度会う理由があるということです。
順番どおりに進まないときの立て直し方
相手が先に「で、いくらなの」と聞いてきたときは、幅で答えてから①に戻します。「規模で◯〜◯万円です。どのくらいの量になるか、今のやり方を先に教えてもらえますか」というように戻します。金額を濁すと不誠実に見えるので、濁さずに答えます。

相手が①でほとんど話さないときは、質問を減らして、こちらの観察を確認の形にします。「拝見した限り、◯◯はご自身でやられているように見えたのですが、合っていますか」。イエス・ノーで答えられる形にすると口が開きやすくなります。
③まで行ったのに②の困りごとが変わったときは、変わったほうが正しいので戻ります。ヒアリングは1回で完結させなくてかまいません。
時間が足りなくなったら、⑤⑥を落として⑦を残します。次回があれば⑤⑥は聞けます。⑦がなければ、次回そのものがなくなります。
SPIN話法は厳格な順序ではなく論理的な枠組みだと、考案元自身も説明しています。順番を守ることが目的ではなく、どこを飛ばしたかに自分で気づける状態にしておくことが目的です。
今日やれる最小の一手を1つだけ置きます。次の商談の前に、この7行をメモ帳に縦に書いておくことです。質問文は用意しません。順番だけを持っていきます。
よくある質問
営業のヒアリングで最初に聞くべき質問は?
事実を確認する質問から入ります。「今は何人でやっていますか」「その作業はいつからその形ですか」など、答えに解釈がいらないものです。1問目に「御社の課題は何ですか」を置くと、相手は課題を整理してから会っているわけではないので「まあ、いろいろありますね」で止まります。
ヒアリングで質問は何個くらいすればいい?
個数ではなく順番で管理します。事実の確認は3問までにします。それ以上は尋問になります。調べれば分かることは事前に調べておき、その場では確認だけにします。7ステップを一巡できていれば、質問数自体は少なくてすみます。
予算はいつ聞けばいい?聞きにくいときは?
困りごとと、それが解決した状態を相手が話し終えたあと、7ステップの5番目で聞きます。信頼が乗る前だと気まずいだけになります。直接金額を尋ねず、近い規模の事例を先に出して「この幅で大丈夫そうですか」と目安を確認する形にします。
SPIN話法の通りに質問しないといけない?
考案元のHuthwaite International自身が、SPINは厳格な順序ではなく論理的で説得力のある枠組みだと説明しています。順番を守ること自体が目的ではなく、どこを飛ばしたか自分で気づける状態にしておくことが目的です。
相手が話してくれないときはどうする?
質問の数を減らし、こちらの観察を確認の形にします。「拝見した限り、◯◯はご自身でやられているように見えたのですが、合っていますか」のようにイエス・ノーで答えられる形にすると口が開きます。沈黙を自分の商品説明で埋めないことが大事です。
ヒアリングの最後は何をすればいい?
聞いた内容を声に出して要約し、次回の日付と持っていくものをその場で決めます。「来週の火曜か木曜、どちらが都合いいですか」と2択で出します。「まとめて送ります」で解散すると、届くころには相手の熱が下がっています。
参照した情報源
- The SPIN Methodology(Huthwaite International)・確認日 2026-09-06
- The SPIN selling method — I took a deep dive so you don't have to(HubSpot Blog)・確認日 2026-09-06
- MEDDIC セールス手法の解説(Atlassian Japan 公式ブログ)・確認日 2026-09-06
- 営業ヒアリングのコツとは?流れや実践テクニック、フレームワークを解説(Salesforceブログ(Salesforce Japan公式))・確認日 2026-09-06
- BANTとは?営業の成約率を高めるフレームワークを徹底解説(Salesforceブログ(Salesforce Japan公式))・確認日 2026-09-06
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