対面営業・商談

居酒屋の集客|平日の早い時間を、常連さんとその連れで埋める

居酒屋の集客|平日の早い時間を、常連さんとその連れで埋めるのイメージイラスト

このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

平日の早い時間が空くのは、料理の腕が落ちたからではない

客が減ると、まず自分の料理を疑ってしまう

空席の原因を『料理のせい』ではなく『設計不足』と示す対比図

平日の開店直後、カウンターに誰もいない時間が続くと、多くの店主がまず考えるのは自分の料理です。味が落ちたのか、メニューが古いのか、値段が高いのか。仕込みを見直し、新しいメニューを試し、値段を下げてみる。それでも早い時間の空席は変わらないことがよくあります。

原因が味や値段にあるとは限りません。早い時間が空くのは店の実力の問題ではなく、「誰がこの時間に来るか」を店の側が決めていないことが多いのです。何を変えても空席が埋まらないとき、見直すべきは料理ではなく、その時間に誰を呼んでいるかという設計のほうかもしれません。

常連さんが誰も連れてこないのは、連れてくる口実がないから

長く通ってくれている常連さんはいるのに、その常連さんが誰かを連れてくることが少ない。これも「店がつまらなくなった」からではありません。常連さんの頭の中に、この店を人に話す場面が浮かんでいないだけです。

会社の同僚と飲みに行く場所を決めるとき、店の名前が浮かぶかどうか。浮かんだとしても、「早い時間に空いているから、ゆっくり話せる」という理由まで思い出せるかどうか。ここが抜けていると、常連さんは一人で来て一人で帰るだけの関係のまま、何年も通い続けることになります。

紹介待ち型かもしれません

いい仕事をすれば紹介は出ると思っていて、思い出してもらう働きかけをしていない状態を、紹介待ち型と呼んでいます。早い時間の空席が続く店主は、この紹介待ち型に近いことが多いです。

客が減ったのではなく、思い出してもらえなくなっただけかもしれません。腕のせいではありません。

この記事で言いたいことは一つだけです。平日の早い時間を埋める相手は、まだ店を知らない新規客ではなく、すでに店を信用している常連さんとその連れ。やることは、常連さんに「連れてくる理由」を渡すことです。

店も、手に職のある独立者と同じです。腕とは別に、人に思い出してもらい続けるための営業の型があります。それは料理の技術とは別に、習わないと身につかないものです。

早い時間は「新しい客」より「常連さんの連れ」で埋める

平日の早い時間に動ける人の顔ぶれ

平日の17時から19時ごろ、実は動ける人は少なくありません。早番で仕事が終わった会社員、シフトが早く明ける仕事の人、子どもの迎えの前に少しだけ時間がある親、夜が遅いと体がきつい年配の人。この時間帯に空いた店で軽く飲んで、早めに帰りたいという需要は、実際にあります。

ただしこの人たちは、知らない店にふらっと入る動き方をしません。誰かに連れられて、初めてその時間の使い方を知ることが多いです。その「誰か」が常連さんです。

常連さんの連れは、初めて来た日からもう店を信用している

チラシやクーポンサイトで来る初めての客と、常連さんに連れられて来る客は、店に対する構えがまったく違います。「あの人が通っている店なら」という信用ごと店に入ってくるので、注文の仕方も店とのやり取りの仕方も、初回から常連さんに近い形になります。

チラシ・クーポンで来た客常連さんの連れで来た客
来るきっかけ値引き・目についた広告「あの人が通う店だから」という信用
初回の注文の仕方安いものから様子見常連さんのおすすめに乗る
2回目につながりやすいか値引きが終わると来にくい名前を覚えられれば来やすい
値引きが必要か毎回の動機になりやすいほぼ不要

同じ「一人増えた」でも、この二つは店にとっての意味がまったく違います。

NG例:割引クーポンで早い時間を埋めると起きること

早い時間の空席をとにかく埋めたくて、「17時〜18時はドリンク半額」のような割引を出す店があります。短期的には席が埋まりますが、そこで起きるのは、安さで来た客は定価に戻ると来なくなるという現象です。

さらに厄介なのは、それを見た常連さんまで「早く来れば安くなる店」だと思うようになることです。今まで定価で通ってくれていた常連さんが、割引の時間まで来店をずらすようになれば、単価は下がり、店の値打ちも下がります。早い時間を埋めるための割引が、常連さんの財布のひもまで固くしてしまうことがあります。

「誰か連れてきて」と頼まずに、連れてきてもらう声かけ

会計のときに言うひと言(例文3つ)

常連が誘いやすくなる一品を作る3つの手順を示す図

常連さんに「誰か紹介してください」と頼むのは、多くの店主にとって気が引ける言葉です。頼まなくても、会計のときのひと言で十分です。

  • 「今度、会社の方とでも早い時間にどうぞ。その時間なら私もゆっくり話せるので」
  • 「この〇〇、二人のほうがおいしく食べられる量なんですよ」
  • 「来週、〇〇のいいのが入ります。誰かと来るときに合わせてもらえたら取っておきます」

どれも「紹介してください」とは言っていません。次に来るときの場面を、店の側から先に描いているだけです。常連さんは頼まれたのではなく、誘う材料を渡されたと感じます。

連れてくる理由は「料理」でつくる

声かけだけでは続きません。常連さんが「あそこで、あれを食べよう」と言えるネタを、料理の側にも置いておく必要があります。二人以上で頼む前提の量にした一品、仕入れ次第で早い時間だけ出す一皿。こうした「今日しかない・この時間しかない」料理があると、常連さんは声をかけやすくなります。

手順はシンプルです。まず一品だけ決める。二人前が前提の量にするか、早い時間限定にするかのどちらかにする。メニューには載せず、常連さんへの口頭とお品書きの黒板だけで伝える。この「載せない」ことが、常連さん限定の特別感になります。

NG例:「お友達紹介で10%オフ」の貼り紙だけ

紹介を増やそうとして、「お友達紹介で10%オフ」のような貼り紙を出す店があります。一見よさそうですが、これは常連さんに「紹介してくれたら得をさせる」という取引を持ちかける形になります。

取引を持ちかけられると、常連さんは逆に誘いにくくなります。値引きのために誘ったと思われたくないからです。必要なのは頼みごとではなく誘うネタです。会計時のひと言と、限定の一品。この二つがあれば、貼り紙の値引きより自然に人は連れてこられます。

連れで来た人を「次はひとりでも来る人」にする

常連さんに紹介してもらい、名前で呼ぶ

連れ客メモに書く5項目を一覧にしたメモ用紙風の図

常連さんが誰かを連れてきたら、「こちらは?」と自然に聞きます。教えてもらった名前は、その場で一度だけ呼んで覚えます。何度も呼ぶ必要はありません。一度、名前で呼ばれたという記憶があれば、次に来るときの理由になります。

帰り際のひと言

会計のときに、連れの方にもひと言添えます。「次は〇〇さん抜きでも、気軽に早い時間に寄ってください。カウンター空けておきます」。常連さんを飛ばしすぎない言い方にするのがポイントです。連れてきてくれた常連さんへの敬意を保ちながら、連れの方が一人でも来られる道を作ります。

連れ客メモをつける

覚えることは、店主の記憶力だけに頼ると限界があります。紙1枚でいいので、連れ客メモをつけます。項目は5つだけです。

  1. 誰の連れか
  2. 名前
  3. 頼んだもの
  4. 好み
  5. 次に勧める一品

記入例:「田中さんの連れ/佐藤さん/〇〇と〇〇/辛いものが好き/次は〇〇を勧める」

この1行があるだけで、次に来店したときに「前回、〇〇がお好きだとおっしゃってましたね」と言えます。この一言が、連れで来た人を「次はひとりでも来る人」に変えます。

平日の早い時間に「その時間に来る理由」を置く

早い時間の良さを言葉にする

店主にとって当たり前の「早い時間の良さ」は、客には伝わっていません。空いているから大将とゆっくり話せる、早く飲み始めて早く帰れる。これは店側が黙っていても伝わりません。声かけの中で、はっきり言葉にする必要があります。

早い時間の「合図」になる一品を決める

新しく品数を増やす必要はありません。声かけのネタにした一品を、開店直後だけ出す形にするだけで十分です。同じ料理が「早く来ないと今日は食べられない」という合図になり、その時間に来る理由になります。

曜日を1つ決めて試す

平日すべてを一気に変えようとすると、仕込みも声かけも続きません。まず一番空いている曜日を一つ選び、3〜4週間だけ試します。その間に連れ客が何組来たかを数えます。手応えがあれば他の曜日にも広げ、なければ一品かひと言のどちらかだけを見直します。

忙しい日にも途切れない、思い出してもらう仕組み

週に一度だけ、店から声をかける

曜日固定・3人選定・ひと言送信を繰り返す週次サイクル図

常連さんに思い出してもらうために、長い宣伝文を書く必要はありません。店のLINE、手書きのハガキ、店頭の黒板。すでに店で使っているものを一つだけ選び、「今週これが入りました」の一行を週に一度送ります。

送る相手は常連さん3人から

全員に一斉送信するより、「この人なら誰かを誘いそうだ」という常連さんを3人だけ選び、週1回ずつひと言送ります。「〇〇さん、来週の火曜に〇〇入ります。早い時間ならお席取っておけますよ」。3人に絞ることで、一人ひとりに合わせた言葉を選べます。

NG例:忙しい週に止めて、そのまま終わる

仕込みや営業が忙しくなると、声かけは真っ先に後回しになります。一度止めると、気づけば半年空いていたということが起きます。曜日と時間を先に決めておくことが、続ける唯一の方法です。例えば「月曜の仕込み前10分」と固定してしまえば、忙しい週でも途切れにくくなります。

今週から使える「常連さんの連れ」を増やすチェック表

全部を一度にやる必要はありません。まずこの7つを、できたところから埋めていきます。

やることできたか
① 一番空く曜日を1つ決めた
② 早い時間だけの一品を1つ決めた
③ 会計時のひと言を1つ決めて、1週間言った
④ 誘いそうな常連さんを3人書き出した
⑤ その3人に週1回ひと言送った
⑥ 連れ客メモを始めた
⑦ 連れで来た人の名前を1人以上覚えた

判断基準は一つです。3〜4週続けても連れ客が1組も来なければ、一品かひと言のどちらか1つだけを変えます。両方同時に変えると、何が効いたのか分からなくなります。

全部やらなくていい。まず今日、会計時のひと言を1つ決めることから始めます。それだけで、常連さんが誰かを誘う材料になります。

よくある質問

居酒屋の平日の早い時間に客を呼ぶにはどうすればいい?

知らない新規客を追うより、常連さんが誰かを誘える理由(早い時間だけの一品、ゆっくり話せる時間)を店が用意し、会計時のひと言で伝えます。まず一番空いている曜日を1つ選んで試すところから始めます。

常連さんに紹介をお願いするのは失礼にならない?

「紹介してください」と頼む必要はありません。「この料理は二人のほうがおいしい」「来週いいのが入る」など誘う材料を渡すだけにすれば、常連さんが自分から人を連れてきやすくなります。

早い時間の割引やハッピーアワーは効果がある?

一時的に席は埋まっても、安さで来た客は定価に戻ると来なくなりやすく、単価も下がります。常連さんからも「早く来れば安い店」に見られるので、値引きより早い時間だけの一品で来る理由を作るほうが店の値打ちを崩しません。

連れで来たお客さんに、また来てもらうには?

常連さんに紹介してもらって名前を覚え、帰り際に「次はおひとりでも早い時間にどうぞ」とひと言添えます。誰の連れで何を頼んだかをメモしておき、次に来たとき勧める一品を決めておきます。

忙しくて常連さんへの連絡が続かない

一斉送信ではなく、誘いそうな常連さん3人に週1回だけ一行を送ります。仕込み前の10分など曜日と時間を固定すると、忙しい週でも途切れにくくなります。

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