対面営業・商談

遺品整理の集客|問い合わせの電話で、値段以外の話ができるか

遺品整理の集客|問い合わせの電話で、値段以外の話ができるかのイメージイラスト

このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

遺品整理の集客が止まるのは、値段を聞かれるからではなく、値段しか答えていないから

「2LDKなんですけど、いくらですか」

値段だけ答えると安さ比べに流れる悪循環を示すループ図

もし電話でこう聞かれて、「だいたい○万円からです」と答えたら、相手は「わかりました、検討します」と言って切ります。折り返しは来ません。

この電話を、週に何本も受けている方に向けて書きます。

「いくらですか」は値段を聞いているようで、決め方を聞いている

電話をかける方は、部屋の広さも物の量も自分では測れません。聞ける言葉が「いくら」しかないだけで、本当に知りたいのは「この会社に頼んで大丈夫か」という点だという人が多いです。

値段を言った瞬間に電話が切れる仕組み

値段だけを出す。相手は比べる軸が値段しかなくなる。安い方に流れる。「やっぱり値段で負けた」と自分に言い渡し、次の電話ではもっと早く値段を言うようになる。この繰り返しが、電話が値段の話だけで終わる理由です。

「あとは相手の番」で止まっている

電話が値段の話だけで終わるのは、うちが高いからではありません。値段を渡したあと、何を渡せばいいかを知らないだけです。この、値段を伝えたきり動きを相手に預けてしまう止まり方を、ここでは「相手の番型」と呼びます。

値段を伝えたあとに何を伝えればいいか習っていないので、そこで話が止まります。相手が自分で考えて連絡してくるのを待つだけになります。

折り返しが来ないのがつらいというより、値段を言った直後に黙られることの方がつらいのかもしれません。高いと思われたのではなく、まだ決められないだけということもあります。

国民生活センターは、遺品整理サービスを選ぶときに複数社から見積もりを取るよう呼びかけています。つまり電話をかけてくる人の多くは、最初から複数社に連絡するつもりで動いていると考えられます。比べられること自体は避けられません。何で比べられるかだけが、こちらの答え方で決まります。

電話をかけてくる人は「安い業者」ではなく「失敗しない業者」を探している

相談は毎年一定数、内容は主にこの4つ

独立行政法人国民生活センターの発表によると、遺品整理サービスの相談件数は2013年度73件、2014年度109件、2015年度90件、2016年度114件、2017年度105件で推移していました。大きく増えているわけではなく、毎年同じくらいの件数で続いています。

寄せられた相談には、主に次の4つがあります。

相談の内容電話で聞いておくこと
見積もりの際にせかされて契約したが、作業が始まらないので解約したい決める時間を急かさず渡す
解約を申し出たら高額なキャンセル料を請求された解約条件を電話の時点で伝える
作業当日、予定外の料金を請求され、見積金額の2倍の費用を請求された当日増える条件を先に言う
処分しないようにと頼んだ物を勝手に処分された残す物を先に確認する

4つとも、電話の段階で確認されていれば防げたもの

この4つは、電話の段階で確認されていれば防げたものだと考えられます。③は作業範囲と追加料金の条件が事前に共有されていないこと、④は残す物の確認がないこと、①は決める時間を渡していないこと、②は解約条件を伝えていないことが、それぞれの背景にあると考えられます。

「複数社から見積もりを」と言われている相手に、1社目で何を残すか

国民生活センターは、複数社から見積もりを取ること、見積書の内容を十分に確認すること、残しておく遺品と処分する遺品を明確に分けておくことを勧めています。この3つは、相手が家族と話すときにそのまま使える言葉になるかもしれません。電話の時点でこの3つに先回りして触れた会社は、値段が高くても比べる表の中に残りやすくなります。

NG例:「見に行かないと分かりません」で電話を終えるのはNGです。相手は次の会社にかけるしかなくなります。分からないなりに、何が分かれば言えるかを伝えるところまでが答え方です。

値段の前に聞く5つのこと|聞く順番とそのままの一言

聞くことなぜ聞くかそのままの一言
場所(地域・戸建てかマンションか・階数・エレベーターの有無)値段の目安に直結する「目安をお伝えする前に、3つだけ教えてください」
量(部屋数・住んでいた年数・家具の有無)作業量が変わる「何年くらいお住まいでしたか」
残す物(探してほしい物・供養したい物・写真や通帳など)勝手に処分しない会社だと伝わる「探してほしい物や、残しておきたい物はありますか」
期限(退去日・法要の日・遠方から来られる日)次の連絡日を決める「お部屋を空ける期限は決まっていますか」
気がかり(他に相談している会社・心配なこと)本音が出やすい「ほかに気になっていることはありますか」

電話で値段の前に聞く5項目を順番に示すフロー図

聞く順番は「場所→量→残す物→期限→気がかり」

場所と量は値段の目安に直結するので先に聞きます。残す物は、国民生活センターが「明確に分けておく」ことを勧めている項目で、聞くだけで「勝手に処分しない会社」だと伝わります。期限は次の連絡の日を決めるため、気がかりは最後に聞くと本音が出やすいという順番です。

そのまま使える聞き方の一言

「目安をお伝えする前に、3つだけ教えてください」 「何年くらいお住まいでしたか」 「探してほしい物や、残しておきたい物はありますか」 「お部屋を空ける期限は決まっていますか」 「ほかに気になっていることはありますか」

全部で5分。長くしないことです。

部屋数だけで即答してはいけない理由

同じ2LDKでも、住んでいた年数と家具の残り方で作業量は変わります。部屋数だけで言った目安は、当日ずれます。当日ずれた目安は、見積金額の2倍を請求されたという相談につながっていると考えられます。即答は親切ではなく、あとでこじれる種です。

NG例:5つを尋問のように続けて聞くのはNGです。1つ聞くごとに「そうでしたか」と受けてから次に進んでください。電話をかけてくる方は、家族を亡くした直後であることが多いです。急かさず、間を取りながら聞くところまでが答え方です。

値段を言うときは、総額ではなく「何が入って、何が入らないか」を言う

目安を言うときの一文の型

目安・増える条件・約束の3部品からなる一文の構造図

「いまお聞きした範囲だと、作業費と処分費で○万円前後が目安です。当日増えるとすれば、○○の場合です。その時は作業を始める前に必ずお伝えします」

この一文には、目安・増える条件・増えるときの約束という3つの部品が入っています。どれか1つでも抜けると、当日の請求が「言われた通り」ではなく「だまされた」に変わります。

内訳は分けて言います。金額そのものより、何をどう分けて言うかが大事です。

分け方中身
作業費人数×時間で決まる
処分費量で変わる
車両費トラックの台数・大きさ
別料金になるもの供養・買取・掃除など

当日増える条件を、聞かれる前に先に言う

国民生活センターの相談には、作業当日、予定外の料金を請求され、見積金額の2倍の費用を請求されたというものがあります。増える条件を先に言った会社は、増えても「言われた通り」になります。言わなかった会社は、増えたら「だまされた」になります。同じ増額でも、受け取られ方が逆になります。

電話の目的は値段を決めることではなく、見に行く約束を取ること

電話で決まる仕事はありません。電話でできるのは、「この会社は見に来てもらっても大丈夫」と思ってもらうところまでです。「現地で見せていただければ、その場で見積書をお渡しします」と伝えてください。国民生活センターが勧める、見積書の内容を十分に確認するという動きに、そのまま応える形になります。

NG例:「他社は○万円だった」と言われて、その場で下げるのはNGです。下げた瞬間、比べる軸が値段に戻ります。返す一言は「その金額に何が入っているか、確認されましたか」。下げずに、比べる軸を戻してください。

電話を切ったあとを「相手の番」にしない、3つの動き

切る前に、次の連絡を自分で決める

電話後にこちらから動く3ステップを示す矢印図

「明日の午前中に、今お聞きした内容を書いたものをお送りします」と、こちらから次の一手を口にしてから電話を切ってください。相手に「検討して連絡します」と言わせたまま切らないことです。

聞いたことをそのまま書いて送る

送る内容は4つです。聞き取った内容(場所・量・期限)、残す物として聞いた物のリスト、目安と当日増える条件、現地見積に行ける日の候補2つ。これがそのまま、見積書の内容を確認する材料になります。あわせて、家族と共有しやすい形にもなるはずです。

連絡の間隔は、期限から逆算します。

期限連絡の間隔
退去まで2週間翌日
退去まで1か月3日後
未定1週間後

「比べるときはここを見てください」と言えるか

「検討します」と言われたときは、こう返してください。「ほかの会社さんと比べるときは、作業に何が入っているか、当日増える条件、残す物の扱いの3つを見てください」。国民生活センターが勧める複数社見積を止める必要はありません。比べ方を渡せばいいだけです。

NG例:送ったあと「いかがでしょうか」だけの連絡を繰り返すのはNGです。連絡するたびに、現地に行ける日や残す物の扱い方の説明など、新しい材料を1つ足してください。

遺品整理の営業方法|問い合わせを待つ前に、名前を覚えてもらう相手を1人ずつ増やす

問い合わせの電話は、来たら受けるものになりがちです。でも遺品整理を頼む人は、電話をかける前に必ず別の誰かと話しています。その誰かを、少しずつ増やしていく話です。

遺品整理の相談は、誰のところに先に来るか

退去の相談を受ける不動産管理会社や大家は、部屋を空ける場面で遺品整理の話を聞きます。葬儀社は、葬儀の直後に遺品の話が出る場面に立ち会います。相続の手続きを扱う司法書士や行政書士は、家の話をする中で遺品整理が出てきます。施設や介護の担当者は、退去が決まる場面でその話を聞きます。

渡すのはチラシではなく「電話で聞くことの紙」

渡すのは、前の章で出した5つの質問と、当日増える条件を1枚にした紙です。売り込みではなく、「うちはこう聞きます」を見せるだけです。紹介する側が一番恐れているのは、紹介先でトラブルが起きて自分の信用が落ちることだと考えられます。国民生活センターに寄せられた4つの相談を意識した聞き方をまとめた紙は、紹介する側にとっての安心材料になるはずです。

月に1人、顔を合わせる相手を決める

目標は件数ではなく人数です。月に1人、顔を合わせる相手を増やしていきます。会いに行くときの一言は「遺品整理の相談が来たとき、電話で何を聞くかをまとめた紙です。よければ手元に置いてください」。頼まないでください。近況と紙を渡すだけでいいです。

電話の答え方は、仕事の取り方という大きな流れの中の一工程にすぎません。

NG例:「紹介料をお支払いします」から入るのはNGです。紹介する側が見ているのは金額ではなく、紹介先で揉めないことです。

明日の電話から変える、最小の一歩

電話のそばに置く1枚のメモ

5つの質問と、目安を言う一文の型を書いた紙を、電話の横に貼ってください。覚えなくていいです。見ながら話してかまいません。話がうまい必要はありません。

「目安を言う前に、3つだけ教えてください」の一言だけ覚える

全部できなくても、この一言だけで、電話が値段の話から状況の話に変わります。最初の1本はこれだけで十分です。

電話を切る前のチェックリストです。

□ 場所と階数を聞いた □ 住んでいた年数を聞いた □ 残す物を聞いた □ 期限を聞いた □ 当日増える条件を言った □ 次の連絡日をこちらから言った

6つのうち4つ付けば合格です。

電話が切れたのは、腕のせいでも値段のせいでもありません。値段しか渡していなかっただけです。渡すものを1つ増やすところから始めてください。何を増やすかは、あなたが選んでください。

よくある質問

遺品整理の集客は何から始めればいいですか

チラシや広告を増やす前に、いま来ている問い合わせの電話の答え方を変えます。値段を聞かれたら「目安を言う前に3つだけ教えてください」と場所・量・残す物を聞いてから、内訳と当日増える条件つきで目安を言います。

遺品整理の電話で値段を聞かれたら、すぐ答えるべきですか

目安は言います。ただし部屋数だけで即答しないことです。住んでいた年数・残す物・期限を聞いてから、「当日増えるとすれば○○の場合」と条件を添えて言います。国民生活センターには、作業当日に見積金額の2倍の費用を請求されたという相談があります。目安と実際のずれが、こうしたトラブルの一因になっていると考えられます。

「他社の方が安かった」と言われたときはどうすればいいですか

その場で下げないことです。「その金額に作業と処分が全部入っているか、当日増える条件は聞いたか、残す物の扱いはどうか」と比べる軸を渡します。国民生活センターも複数社見積と見積書の内容の確認を勧めているので、比べること自体は止めません。

遺品整理の営業はどこに行けばいいですか

遺品整理を頼む人の前に話を聞いている相手、つまり不動産管理会社や大家、葬儀社、相続を扱う司法書士・行政書士、施設の担当者です。売り込みではなく「電話で聞くことをまとめた紙」を渡します。月に1人、顔を合わせる相手を増やします。

現地見積に行っても決まらないのはなぜですか

電話の段階で残す物と期限を聞けていないと、現地でも値段の話しかできません。電話で聞いた内容を書いて先に送り、現地では電話で聞いたことの確認と、書面の見積書を渡す場にします。

参照した情報源

  1. こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブルー料金や作業内容に関するトラブルが発生していますー(発表情報)(独立行政法人国民生活センター)・確認日 2026-09-16

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

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