対面営業・商談
動画編集のフリーランスの営業|案件サイト以外から仕事が来る動き方
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
動画編集フリーランスの営業は、売り込みではなく「思い出してもらう動き」
動画編集の営業とは、案件サイトで提案文を書く数を増やすことではありません。頼む側が「誰か動画できる人いない?」と口にした瞬間に、自分の名前が浮かぶ状態を作ることです。「そういえば、前に頼んだ人がいたな」と思い出してもらう回数が、提案文の巧拙より結果を左右します。
案件サイトの外から声がかからないのは、腕が足りないからではない
知り合いの会社から紹介動画を1本頼まれて、納品した。喜ばれた。でも次の声はかからず、また案件サイトの提案文に戻った——という流れに心当たりがあるかもしれません。
これは紹介されるほどの腕がないからではありません。納めたあとに、思い出してもらう動きを何もしていないからです。納品して「ありがとうございました」で会話が終わると、相手の中でその仕事は完結してしまいます。次に動画が必要になったとき、思い出す材料が何も残っていません。
紹介待ち型かもしれません
いい仕事をすれば紹介は自然に出ると思っていて、思い出してもらう働きかけをしていない。これを紹介待ち型と呼びます。
仕事が減ったのは、腕が落ちたからではないかもしれません。思い出してもらえなくなっただけかもしれません。腕のせいではないので、性格を変える必要もありません。
稼げる経路は人脈と過去の取引先が上位
フリーランス協会の調査では、最も稼げる獲得経路は1位「人脈」、2位「過去・現在の取引先」、3位「エージェントサービス」という結果が出ています。案件サイトの中で提案文を磨いて勝つ話ではなく、人脈と過去の相手をどう作るかという話です。
フリーランスの営業全体の順番はこちらの記事にまとめています。ここでは動画編集ならではの動き方に絞ります。
この記事で渡す方法は1つだけです。「納品のあとにひと言足す」。これを納品時・3か月後・紹介の行き先を渡すとき、の3つのタイミングで使い分けます。方法を増やすほど、結局どれも続かなくなります。1つに絞って、確実に回すほうが結果につながります。
案件サイトだけで回すと起きる3つのこと(手数料・比較・単発)
案件サイトが悪いわけではありません。最初の1本の実績づくりや腕慣らしには向いています。ここでの話は「やめる」ではなく「軸足を移す」話です。何年も主戦場にし続けると、起きることが3つあります。

手数料は小さい案件ほど重い
クラウドワークスのワーカーシステム利用料は、10万円以下の部分が20%、10万円超20万円以下の部分が10%、20万円超の部分が5%、タスク形式は20%です。
| 案件金額の区分 | 手数料率 |
|---|---|
| 10万円以下の部分 | 20% |
| 10万円超20万円以下の部分 | 10% |
| 20万円超の部分 | 5% |
単発の編集案件が10万円以下の帯に収まる場合、最も高い率で受け続けることになります。
実績が積み上がっても、次の募集では横一線に戻る
案件サイトでは、1件ごとに提案文と価格で比べられます。10本納めた人も1本目の人も、次の募集では同じ画面に並びます。稼げる経路の上位にある人脈・過去の取引先からの仕事は、案件サイトのように提案文を並べて比べられる形では始まりません。
評価を上げようとして安い案件を数でこなすのは避けたいところです。手数料がいちばん高い帯で消耗することになります。案件サイト側から見れば、過去に何本納品したかより、今回いくらで受けてくれるかのほうが比べやすい材料です。評価も実績も「今回の判断材料の1つ」でしかありません。
動画は本来「続く仕事」なのに、1本ごとに切れる
YouTubeの毎週更新、SNSの短尺、セミナー録画、採用動画の差し替え。どれも1本で終わる仕事ではなく、次の号・次の年度・次のキャンペーンで再び必要になります。頼む側にとっては続けて必要になる仕事なのに、案件サイトでは1本納めて関係が終わります。続く形で受ける方法は、後半の章で扱います。
落とし穴が1つあります。案件サイトで知り合った相手をサイトの外の取引に誘うことは、規約で禁じられている場合があります。ここで渡す動き方は、サイトの外にいる知り合い・過去の相手から始める前提です。各サイトの規約は必ず確認してください。
動画を頼む側は、案件サイトを開いていない
小さな会社の社長・店主・講師は、知り合いに聞いて決める
採用動画を作りたい社長が最初にすることを考えてみます。案件サイトを検索するのではなく、税理士や取引先に「誰か動画できる人いない?」と聞くところから始まることが多いはずです。
聞く相手は、顧問税理士、地元の商工会、取引先の担当者あたりが多いはずです。自分がカメラマンや税理士を探すときも、最初にすることは同じかもしれません。まず誰かに聞く。このやりとりが起きる場所に、案件サイトの提案文は届きません。
職種名ではなく、状況で覚えられている
頼む側は「動画編集者」を探しているのではなく、「セミナーの録画を見やすくしてくれた人」「採用動画を作ってくれた人」を思い出しています。自己紹介は、相手の状況が入った一文にします。
| NG | OK |
|---|---|
| 動画編集やってます | 小さな会社の採用動画を、社長のスマホ撮影から作ります |
| 映像制作しています | セミナーの録画を、見やすい長さに編集して納品します |
| 動画編集承ります | 店舗のSNS用に、15秒の短尺動画を撮影データから作ります |
状況が入っていると、頼む側は自分の場面と重ねて思い出せます。職種名だけでは、他の動画編集者との区別がつきません。
NG例:SNSで毎日「動画編集承ります」と投稿する
そこで探している人は少なく、届くのは同業者であることが多いというのが実感です。「今日も動画編集頑張りました」という投稿は、頼む側の悩み(誰に頼めばいいか分からない)に答えていません。やるなら、作った動画がどう使われたかを許可を取って1本ずつ載せる方が、思い出す材料になります。
案件サイトの中で勝つ努力を、思い出してもらう動きに振り向けます。それが次の章で渡す1つの方法です。
案件サイト以外から仕事が来る動き方は1つ、「納品のあとにひと言足す」
納品時・3か月後・紹介の行き先を渡すとき。3つのタイミングで、そのまま使える文面を渡します。

納品時:次の1本が見える質問を1つ足す
NG例:「他にもこういう動画も作れます」——売り込みに聞こえて、相手が引くことがあります。
OK例:「この動画、どこで流す予定ですか? 使う場所によっては、短い版を1本足すと使いやすいことがあります」
用途を聞くと、相手の口から次の1本が出てくることがあります。「社内で共有するだけです」と返ってきたら、それ以上の提案はせず、そのまま覚えておくだけでかまいません。
3か月後:頼まずに近況だけ伝える
文面例:「あの採用動画、その後どうでしたか。最近は◯◯の動画をよく作っています」
頼み事は入れません。相手がいま動画を必要としていなくても、次に必要になったときに名前が浮かべば十分です。返事がなくても、嫌われたわけではありません。
紹介は「お願い」ではなく「行き先」を渡す
「紹介してください」と頼むと借りができる気がして言えない、という人は少なくないはずです。過去に仕事をした相手にも、同じ理由で頼みにくさが残ります。代わりに、渡せるものを作ります。30秒のサンプル動画のリンク1本と、何を作れる人かが一文で分かるA4一枚(または固定ページ)。
A4一枚には、作れる動画の種類・納期の目安・連絡先を3行程度でまとめます。「もし周りで動画で困っている人がいたら、これを渡してください」で終わります。紹介する側が自分の言葉で説明しなくて済むのが要点です。
今日やれる最小行動:過去に直で受けた相手と、知り合いで動画を使いそうな人を3人書き出します。案件サイトで知り合った相手は含めません(規約の確認が先です)。
単発を「続く仕事」に変える聞き方——動画編集ならではの受け方
初回の打ち合わせで「何本目まで見えていますか」と聞く

1本の依頼の裏に続きがあるかを確かめる質問です。「この動画のあと、次に作りたいものはありますか」「更新はどのくらいの間隔を考えていますか」。答えが「まだ分からない」でも、続きがあり得る仕事だと相手が気づくきっかけになります。聞かなければ、1本の依頼として始まり、1本の依頼として終わります。
見積は「1本ごと」と「続けて頼む場合」を並べて出す
| 受け方 | 目安 |
|---|---|
| 1本ずつ | 1本あたり◯円 |
| 月◯本まとめて | 1本あたり◯円+納期優先枠 |
数字は各自の単価で入れます。まとめる側の利点は値引きではなく、撮影データの受け渡しや修正回数の取り決めが1回で済むことです。毎回ゼロから条件を決め直さなくていい分、双方の手間が減ります。安くする話にはしません。
NG例:1本目から「月額契約にしませんか」と持ちかける
相手にはまだ判断材料がありません。納品前・初対面に近い段階で契約の話を持ちかけると、値踏みされている側が身構えてしまいます。順番は、1本目を納める→使われ方を聞く→2本目を具体的に提案する、です。順番を飛ばすと売り込みに戻ります。
続く仕事が2件あるだけで、案件サイトの提案文を書く時間が減ります。その時間を、思い出してもらう動きに回します。
案件サイトから直の相手へ、3か月で軸足を移す順番
3か月の順番表

| 期間 | やること |
|---|---|
| 1か月目 | 連絡先を3人書き出す・30秒サンプルを1本作る |
| 2か月目 | 納品時のひと言をすべての案件で入れる・近況連絡を3人に送る |
| 3か月目 | 続く形の見積を1件出す・案件サイトの比率を見直す |
0か100かにしない
案件サイトを急にやめると、生活が止まります。直の相手が1件できたら、案件サイトの応募を1件減らす。この入れ替えで十分です。全部を一気に切り替える必要はありません。稼げる経路の上位は人脈と過去の取引先ですが、そこへ移るまでの時間は自分で決めます。
思い出してもらう動きチェック表(10項目)
- 納品時に用途を聞いたか
- 3か月以内に近況を送った相手がいるか
- 30秒サンプルのリンクがあるか
- 何を作れる人か一文で言えるか
- 自分の紹介シートを渡した人がいるか
- 続く形の見積を出したことがあるか
- 連絡先の一覧があるか
- 半年以上連絡していない過去の相手がいないか
- SNSは「使われ方」を載せているか
- 案件サイト以外の売上が先月あったか
使い方はシンプルです。今の自分に当てはまる項目にチェックを入れます。5個未満なら、1か月目からやり直して構いません。何個できているかより、どの項目が抜けているかを見るための表です。
うまくいかないときに見直す3つの点
近況を送ったが返事がない
頼まれていないだけで、嫌われたわけではありません。相手はいま動画が必要ない時期なだけです。返事がないと「もう関係が切れた」と感じてしまいがちですが、近況を送る目的は返事をもらうことではなく、名前を思い出してもらうことです。3か月後にもう一度、頼まずに送ります。返事の有無で自分の腕を採点する必要はありません。
サンプル動画を見せるのが恥ずかしい
全部見せる必要はありません。30秒、1本、いちばん使われた動画で十分です。見せる相手は「誰か動画できる人いない?」と聞かれた側の人であって、審査員ではありません。完璧な作品集を揃えてから動き出そうとすると、その準備だけで何か月も止まってしまいます。
そもそも書き出せる知り合いが3人いない
いまの案件サイトの案件から、納品時のひと言を始めます(規約の範囲で)。加えて、自分が客として通っている店・習い事・地元の会合など、すでに顔を知っている人を「動画を使いそうか」で見直します。友人や家族も、仕事の話をしたことがなければ候補に入ります。売り込む相手ではなく、思い出してもらう相手を探します。
仕事が減ったのは、思い出してもらえなくなっただけかもしれません。腕のせいではありません。動き方は1つで足ります。納品のあとにひと言足す。それを納品時・3か月後・紹介の行き先を渡すとき、の3つで繰り返すだけです。契約や規約に触れる場面では、個別の判断は専門家や各サイトの窓口に確認してください。
よくある質問
動画編集のフリーランスは営業しないと仕事が取れませんか?
案件サイトだけでも仕事は取れます。ただし手数料と毎回の比較で単価が伸びにくくなります。最も稼げる獲得経路は人脈と過去の取引先が上位という結果が出ているので、売り込みではなく「思い出してもらう動き」が要ります。
動画編集の営業でDMは効果がありますか?
知らない相手への一斉DMは、頼む側の探し方(知り合いに聞く)と合っていません。まず過去に受けた相手と知り合いから始めます。送るなら相手の動画を見たうえでの具体的な一言に絞ります。
実績が少なくても案件サイト以外で仕事は取れますか?
実績の数より「何の動画を作れる人か」を一文で言えるかが先です。30秒のサンプル動画1本と、相手の状況が入った自己紹介があれば、紹介する側が渡しやすくなります。
案件サイトのクライアントに直接契約を持ちかけていいですか?
規約で禁じられている場合があります。個別の判断は各サイトの規約や窓口、必要なら専門家に確認してください。この記事の動き方は、サイトの外にいる知り合い・過去の相手から始める前提で書いています。
単発の動画編集を継続案件にするにはどうすればいいですか?
初回の打ち合わせで「この動画のあと、次に作りたいものはありますか」と聞きます。1本目を納めて使われ方を聞いてから、2本目を具体的に提案します。1本目から月額契約を持ちかけないことが順番です。
参照した情報源
- 「フリーランス白書2025」を発表〜フリーランスの実態・ホンネが明らかに〜(一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会)・確認日 2026-09-14
- ワーカーシステム利用料【クラウドワークス】(株式会社クラウドワークス)・確認日 2026-09-14
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