対面営業・商談

同業者と仲良くしておく|手が回らない仕事を、回し合える関係になるまで

このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

同業者と仲良くするとは、手が回らないときに「あの人に頼もう」と思い出してもらえる関係を作ること

SNSを開くと、同業者が「今月パンパンで、新規はお断りしています」と書いています。自分の今月の予定は、半分空いています。

そのとき胸の中で、こんな一言を言っている人が多いのではないでしょうか。「いい仕事をしていれば声がかかるはず。かからないのは、自分の腕がまだ足りないからだ」。

この一言は、確認すべきことを一つ飛ばしています。忙しい同業者が案件を誰かに回すとき、その人は忙しい夜に、頭にすぐ浮かんだ1〜2人へ連絡していることが多いはずです。腕を一人ずつ比べてから決めているわけではありません。名前が浮かぶかどうか。そこでほぼ決まっていると、私は見ています。

仕事が減ったのではなく、思い出してもらえなくなった。起きているのはこちらです。腕の評価とは別の話なので、ここを混ぜると、手を打てる部分まで一緒に諦めてしまいます。

ここで言う「仲良くする」は、飲み会に通うことでも、毎週連絡を取り合うことでもありません。次の3つが、相手の頭に入っている状態のことです。

  • ① 何が得意か
  • ② 今空いているか
  • ③ 任せても安心か

この3つが入っていれば、会った回数が少なくても思い出してもらえます。逆に、毎週飲んでいても3つが入っていなければ、案件は回ってきません。

営業全体の順番はフリーランスの営業の進め方にまとめています。この記事は、その中の「同業者から仕事が来る道」だけを扱います。

仕事を回す側は、誰に回すかを何で決めているか

先に、回す側の気持ちを書きます。自分の客を他人に任せるのは、回す側にとって怖いことです。任せた相手が客に迷惑をかければ、落ちるのは回した人の信用だからです。

だから回す側は、腕の良さより先に「この人なら事故が起きにくいか」を見ています。見ている点は大きく3つあります。

得意と苦手がはっきりしている人

「何でもできます」と言う人には、回しにくいものです。何を任せていいのか、頭の中で絞れないからです。一行で言える人に、案件は回ります。

  • ライター:「士業事務所のコラム記事なら任せてください」
  • デザイナー:「飲食店のメニュー表とチラシなら得意です」
  • カメラマン:「求人サイト用のスタッフ撮影を中心にやっています」

範囲を絞ると仕事が減りそうに思えますが、思い出してもらう場面では逆に働きます。「飲食店のメニュー」という案件が来た瞬間に、その人の名前が浮かぶからです。

返事が早く、空き状況がわかる人

回す側は、客を待たせたくありません。案件を回そうとして連絡したとき、返事が早い人が選ばれます。

受けられるかどうかが決まっていなくても構いません。「確認して明日お返事します」と当日中に返せば十分です。反対に、3日後に「まだ間に合いますか」と返ってくると、回す側はもう別の人に頼んでいます。

自分の客を取らないと信じられる人

回す側が心配するのは、紹介した客に、そのあと直接営業をかけられることです。ここが守れる人かどうかは、普段の話しぶりで見られています。同業者の悪口を言わない、他の人の客の話を外で広げない。そういう小さなところです。

回す側が見ている点のまとめ

見ている点安心する行動不安になる行動
得意分野「○○なら任せてください」と一行で言える「何でもやります」と言う
返事の速さ当日中に「確認して明日返します」と返す3日後に「まだ間に合いますか」と来る
空き状況「来月後半は空きます」と先に伝えるいつ空いているか分からない
客の扱い紹介元を立てる、他人の客の話を広げない紹介した客に直接営業をかける

同業者と知り合う場所と、最初に送るひと言

知り合える場所

  • 同業の勉強会、交流会
  • SNSでの発信へのコメント
  • 前の職場の元同僚
  • 取引先経由で、同じ現場に入った人

新しい場所を探すより、すでに顔を知っている人から始めるほうが早いです。元同僚や、同じ現場に入った人は、仕事ぶりをもう見てもらっています。③の「任せても安心か」が、最初から入っている相手です。

最初のひと言の文例

交流会や勉強会のあとに、その日のうちか翌日に送る文面です。そのまま使えます。

先日はありがとうございました。○○さんの△△のお話、自分では思いつかないやり方でした。私は□□を中心にやっています。またどこかでお話しできたらうれしいです。

相手の話への感想を一つ入れて、自分の得意を一行だけ添える。これで十分です。仕事の依頼は書きません。

NG例:名刺を配って「何かあればお願いします」

名刺を渡して「何かあればお願いします」で終わると、回す側の頭には何も残りません。何が得意で、どんな仕事なら受けられるのかが、抜けているからです。

最初から「仕事をください」と言わなくていいです。自分の得意を一行伝えるだけで、役目は果たせています。頼むのは、相手の頭に入ってからで遅くありません。

思い出してもらうための近況の伝え方

得意を一行で言えるようにする

名前が浮かぶ条件は、一行で言えることです。言い換えの例です。

言い換え前言い換え後
Webデザインをしています美容室の予約ページを作るのが得意です
文章を書いています採用ページのインタビュー記事を書いています
写真を撮っています工事現場の施工写真と、完成後の撮影をしています

言い換え後のほうが、相手の頭の中で案件と結びつきます。「美容室のサイトの話が来たな」と思った瞬間に、思い出してもらえるからです。

空いていることを伝える言い方

空いていると言うのは、恥ずかしいことではありません。回す側にとっては、誰が今受けられるかは知りたい情報の一つです。売り込みに聞こえない文例です。

来月の後半、少し手が空きそうです。もし手が回らない案件があれば、お手伝いできます。

「仕事をください」ではなく、「手が回らないときの選択肢に入れてください」という形にします。相手を助ける情報として出します。

連絡の間隔と中身

間隔は、2〜3か月に1回くらいで構いません。中身は、仕事の報告ではなく、次のようなものです。

  • 相手の発信への感想(「先日の投稿、参考になりました」)
  • 相手の役に立ちそうな情報を一つ
  • 自分の近況と、空き状況を一行

毎回お願いを入れる必要はありません。NG例は、久しぶりの連絡がいきなり「仕事ありませんか」になることです。半年空いたあとにこれが来ると、相手は何を返せばいいか分からず、返事を後回しにします。

声がかからないのは、腕のせいとは限りません。相手の頭の中で、自分の名前が古くなっているだけのことがあります。近況を一行送れば、名前は新しくなります。

回ってきた仕事を受けたときに、関係を壊さない進め方

仕事が回ってきたあとは、関係が崩れやすい場面です。

紹介元の客に、自分を売り込まない

落とし穴の中心はここです。仕事が終わったあと、客から直接「次もお願いしたい」と言われることがあります。うれしい場面ですが、返し方が大事です。

ありがとうございます。○○さんからのご縁なので、○○さんにも一言お伝えしておきますね。

こう返せば、客は紹介元を立てる人だと分かり、安心します。紹介元にも、取られていないことが伝わります。そのうえで受けるかどうかは、紹介元に一言伝えてから決めればいいです。

報告とお礼の順番

回してもらった仕事は、3回の短い報告で締めます。

タイミング誰に送る一言
受けた日紹介元「ご連絡いただいた件、ありがとうございます。進めます」
納めたとき紹介元「無事に納めました。ありがとうございました」
客の反応があったとき紹介元「喜んでいただけたようです」など、反応を一言

長い文章はいりません。紹介元が知りたいのは、自分の客が無事に扱われたかどうかです。この3回で、回した側は安心し、次も回そうと思います。

受けられないときの断り方

断ったから関係が切れる、ということはありません。むしろ、断り方で次が決まります。

今回は日程が合わず、申し訳ありません。○月以降なら受けられます。

次の空きを添えるのがコツです。「今回はだめだったが、○月なら空いている」という情報が、次に思い出してもらう材料になります。

もらう前に、自分から回す

自分の手に余る仕事を、断らずにつなぐ

得意ではない依頼や、日程が合わない依頼が来たとき、「できません」で終わらせるのはもったいないです。同業者を紹介すれば、客は困らずにすみ、同業者には仕事になり、自分は両方から信用されます。

回すときの伝え方

同業者へ送る文例です。

○○さん、案件を1件お願いできないでしょうか。内容は△△のチラシ制作で、時期は来月前半、予算は□□円くらいとのことです。担当の方は話が早く、やりとりしやすい印象です。可能そうでしたら、客に○○さんをご紹介します。

案件の中身、時期、予算の目安、客の人柄。この4つを最初に伝えると、相手は受けるかどうかをすぐ決められます。

NG例は、「なんか仕事あるんだけど、興味ある?」です。何も分からないので、相手は返事のしようがありません。

見返りを数えない。でも記録は残す

回したら回してもらえる、という取引にはしません。数え始めると、窮屈になるからです。そのかわり、誰に何を回し、誰から何をもらったかを簡単にメモしておきます。日付と名前と一行で十分です。お礼を忘れずにすみ、次に誰へ連絡するかの材料にもなります。

同業者と仲良くするときに起きがちな失敗

愚痴を言い合う仲で止まる

集まると単価の安さや困った客の話ばかりで、互いの得意分野を知らないまま、という状態です。愚痴が悪いわけではありませんが、そこで終わると案件は回りません。月に一度でも「最近どんな仕事をしているか」を話すだけで、相手の頭に得意分野が入ります。

回してもらう側に固定される

いつも受けるだけだと、相手は頼みにくくなります。断る、別の人を紹介する、自分から回す。これらを混ぜて、対等な関係を保ちます。

紹介待ちのまま、自分からは何もしない

いい仕事をすれば自然に声がかかると思い、近況を伝える連絡を出さないまま時間が過ぎる。これが、いちばん多い止まり方です。

ここから抜ける最小の行動は一つです。今日、同業者1人に、得意分野の一行と、空き状況を送ってください。

今日やることチェックリスト

  • 自分の得意を、一行で書いてみる
  • 同業者1人に、近況と空き状況を送る
  • 回した・もらった記録をつけ始める
  • 紹介された客から直接頼まれたときの返し方を、手元に置いておく
  • 次に連絡する日を、2〜3か月後に入れておく

※ 個別の契約や取引条件については、必要に応じて専門家に相談してください。

よくある質問

同業者と仲良くすると仕事を取られませんか?

取られる心配は回す側も同じように持っています。得意分野をはっきり伝え、紹介された客には自分から売り込まない線を守れば、取り合いより回し合いになりやすいです。まずは得意が重ならない相手から始めるのも一つの手です。

同業者にどうやって声をかければいいですか?

仕事をくださいとは言わなくて構いません。相手の発信や話への感想に、自分の得意を一行添えるだけで十分です。記事中の最初の文例をそのまま使えます。

同業者から紹介された客に、次から直接頼まれたらどうすればいいですか?

受けてよいかどうかを自分だけで決めず、紹介元に一言伝えます。「○○さんからのご縁なので、一言お伝えしておきます」と客にも言えば、関係は崩れにくくなります。

同業者の交流会に行っても仕事につながらないのはなぜですか?

会った場で終わり、そのあと思い出してもらう連絡をしていないことが多いです。2〜3か月に一度、近況と空き状況を短く送るだけで、名前が相手の頭に残ります。

手が空いていることを同業者に伝えるのは恥ずかしくないですか?

回す側にとっては、誰が今受けられるかは知りたい情報の一つです。「来月後半、少し手が空きます」は売り込みではなく、相手を助ける情報として伝えれば大丈夫です。

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

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