対面営業・商談

クラウドソーシングで案件が取れないとき|提案文を直す前に見直すこと

このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか

クラウドソーシングで案件が取れないとき、最初に疑うのは実績の数ではない

応募して数日たっても返事がない。一覧を開いては別の案件に応募して、また待つ。これが続くと、「実績が足りないから、自分はいつまでたっても選ばれないんだ」と、自分の中で結論が出てしまうことがあります。腕に自信があるのに、そう思い始めるのがいちばんつらいところです。

この記事は、その結論を出す前に見直す順番をまとめたものです。提案文の言い回しを磨く前に、直せるところがいくつかあります。

「実績が足りない」と片づけてしまう前に

実績の数は、すぐには増やせません。「足りない」が原因だと決めると、次の1本で何を変えればいいのか分からなくなり、手が止まります。

一方で、募集文の読み方と書き出しは、次の1本から変えられます。実績が関係ないと言いたいのではありません。選ばれない理由の全部ではない、という見方です。すぐ動かせるところから原因を探すほうが、前に進めます。

発注する側は提案文をどう読んでいるか

発注する側になったつもりで考えてみます。店のサイトを新しくしたくて募集を出した。提案が何通も届く。全部を隅々まで読む時間はないので、まず書き出しの数行から目を通していく。

そのとき気になるのは、「自分の案件の話をしているか」だと思います。これは私の見立てで、調べて確かめたことではありません。ただ、自分が発注する側に回ったと置き換えてみると、募集文に一言も触れていない提案より、困りごとを言い直してくれている提案のほうが、読み進めたくなると思います。腕を比べるのは、その先になると私は見ています。

見直す順番は言い回しより前にある

見直す順番はこの3つです。

  1. 募集文の読み方(何を抜き出すか)
  2. 書き出しの3行(最初に何を書くか)
  3. 応募する案件の選び方(どれに出さないか)

提案文の言い回しを整えるのは、そのあとで足ります。順に見ていきます。

提案文の1行目が自分の紹介になっていないか

よくある書き出しのNG例

次のような書き出しを見かけることがあります。

はじめまして。Webデザイナー歴〇年の〇〇です。これまで飲食店や美容室のサイトを多数制作してきました。ポートフォリオは以下です。

丁寧で、嘘もありません。ただ、募集文に書かれたことに一言も触れていません。この文面は、別の案件にそのまま貼っても成り立ちます。読む側から見ると、「この案件を読んだ人」ではなく「応募ボタンを押した人」に見えてしまいます。

実績を足すと案件に重ねにくくなるわけ

選ばれたい気持ちが強いほど、実績や経歴を足したくなります。この記事では、これを「実績並べ」と呼びます。実績や情報を足し続けた結果、読む人が自分の案件を重ねる場面が、文面に残らなくなる状態のことです。

実力を証明しようとするほど、相手の話をしなくなります。ここは腕の問題ではなく、書く順番の問題だと私は考えています。実績が少ないことは、選ばれない理由の全部ではありません。

載せる実績は案件に近い1つでいい

最小の行動は、実績を減らすことです。

  • 相手の案件にいちばん近い実績を1つだけ本文に残す
  • 残りはポートフォリオやプロフィールのリンクに任せる
  • 実績がまだ少ない場合は、自主制作を1つ置いてもよい(自主制作だと分かるように書く)

「飲食店のサイトを制作した経験があります」と1行で足りる場面は多いと思います。数を並べるより、募集文に近い1つのほうが、読む人は自分の案件に重ねやすくなります。

提案文を書く前に、募集文から3つ抜き出す

募集文に線を引く3か所

提案文を書き始める前に、募集文を一度印刷するつもりで読み、3か所に線を引きます。

  1. 困っていること(なぜ今これを頼むのか)
  2. まだ決まっていないこと(素材、ページ数、トーン、進め方など)
  3. 期限と使い道(いつまでに、何のために使うのか)

例を挙げます。募集文にこう書かれていたとします。

店のサイトを新しくしたい。予約が電話ばかりで困っている。

ここから抜き出すとこうなります。

抜き出す項目読み取れること
困っていること電話対応に手を取られている
まだ決まっていないこと予約の仕組みをどうするか
期限と使い道書かれていない(質問の候補になる)

3か所が埋まると、書き出し3行の材料がそろいます。埋まらないときは、その募集文はまだ読み切れていません。

書かれていないことを1つだけ聞く

書かれていないことは、質問にします。質問は、相手の案件を読んだことが伝わる材料になります。ただし質問を3つも4つも並べると、答える側の負担になります。いちばん進め方に響くものを1つだけに絞ります。

上の例なら、「いま使っている予約の方法があれば教えてください」の1つで足ります。

応募しない案件を先に決める

3か所に線を引こうとして引けない募集があります。困っていることが読み取れない募集です。何を頼みたいのか、募集文からは分からない。そういう案件に、手探りで提案文を書いても、相手には届きにくいと思います。

応募しない基準を先に決めておきます。

  • 困っていることが読み取れない募集
  • 自分の得意と重ならない募集
  • 読み込む時間が取れないほど、同時に応募している状態

数を打つより、読み込める本数に減らします。本数が減ると不安になりますが、1本ごとに読み込む時間が戻ってきます。

書き出し3行の組み立て方(直す前と直したあとの例つき)

1行目は相手の言葉を使う

書き出しは3行で組みます。

  • 1行目:募集文の言葉を使って、相手の困りごとを言い直す
  • 2行目:自分ならどう進めるかを1つだけ示す
  • 3行目:確認したい質問を1つ置く

1行目は、募集文に出てきた言葉を借ります。言い換えすぎると、読んだことが伝わりません。「電話」「予約」のように、相手が使った言葉をそのまま入れます。

2行目で進め方を1つだけ示す

2行目は、自分ならどう進めるかを1つだけ書きます。あれもこれもと並べると、また実績並べと同じことが起きます。最初の一歩になることを1つ書けば足ります。

3行目は質問で終える

3行目は、先ほど決めた質問を1つ置きます。質問で終えると、返事を書く理由が相手にできます。

直す前と直したあとの例

以下は説明用の例で、実在の案件や成果ではありません。

書き出し
直す前Webデザイナーの〇〇です。実績多数です。
直したあと予約が電話に集中していて、営業中に手が止まってしまう状況と読みました。まず予約の入口をサイト上に1つ作るところから進めるのがよいと考えています。いま使っている予約の方法があれば教えてください。

直したあとの文面には、自分の実績は1つも入っていません。それでも、案件を読んだことは伝わると思います。

こう書くと読んでいないように見える

気をつけたい書き方もあります。相手の言葉を言い直さずに、「貴社の課題を解決します」とまとめてしまう書き方です。どの案件にも当てはまる文なので、何も読んでいないように見えます。丁寧な言葉でまとめるより、相手が書いた言葉を1つ入れるほうが、読んだことが伝わりやすいと思います。

経歴や実績は、3行のあとに短く置けば足ります。順番を入れ替えるだけで、同じ中身でも読まれ方が変わります。

金額と納期の書き方で比べてもらえなくなる落とし穴

「予算に合わせます」だけでは比べてもらえない

次のような書き方は、気持ちは分かりますが、発注する側には判断の材料がありません。

ご予算内でできる限り対応します。 金額はご相談ください。

他の提案と並べて比べようがないからです。値下げで選ばれようとする前に、何が含まれているかを見せるほうが先だと私は考えています。

中身を2〜3行に分けて書く

金額は、中身を2〜3行に分けて書きます。

  • 構成づくり:〇円
  • デザイン:〇円
  • 修正(回数を明記):〇円

金額の数字そのものは、案件によって変わります。ここでは、分けて書く形だけを持ち帰ってください。中身が見えると、相手は「ここを減らせば安くなるのか」と相談しやすくなります。値下げの話になる前に、条件の話ができます。

納期は途中で見せるものまで書く

納期は、完成日だけでなく、いつ・何を見せるかで書きます。

3日後に構成案、1週間後にトップページの案をお見せします。

完成日だけより、進め方が伝わります。途中で確認できると分かれば、発注する側も任せやすくなります。

手数料や支払いの流れ、評価の仕組みなどは、サービスごとに仕様が違います。この記事では扱いません。応募する前に、利用するサービスの公式ヘルプで確認してください。

クラウドソーシングは「入り口の1つ」として置き直す

応募にかけている時間を書き出す

一覧に出てくる案件を見て応募するのが、毎日の営業になっている。それ以外の入り口に、手が回っていない。そういう状態になっていないか、振り返ってみてください。

まず、1週間の時間の使い方を書き出します。応募にかけている時間と、知り合いや過去の取引先に連絡している時間を並べます。差が大きければ、直すのは提案文ではなく、入り口の数かもしれません。

受けた案件の発注者を次の入り口にする

一度受けた発注者は、次の入り口になりえます。納品のときに、こう一言添えます。

今回のようなことがまたあれば、お声がけください。

なお、サービスの外でやりとりすることや直接取引については、サービスごとに規約があります。動く前に、必ず公式ヘルプで確認してください。規約に反する形で連絡先を聞くようなことは、しないでください。判断に迷う場合は、サービスの運営窓口や専門家に相談してください。

知り合いに近況を伝える1本を出す

昔の同僚や取引先に、仕事を頼むのではなく、近況を伝える連絡を1本出します。

ご無沙汰しています。最近は〇〇の仕事を中心にやっています。近くに来られることがあれば、お茶でもぜひ。

頼まなくていいので、出しやすいと思います。返事が来なくても、思い出してもらうきっかけは残ります。

入り口を複数に分ける考え方の全体は、フリーランスの営業のしかたにまとめています。クラウドソーシングを唯一の入り口にしないための全体像として、あわせて読んでみてください。

今日やること:送った提案文の見直しチェックリスト

提案文を見直すチェックリスト

直近に送った提案文を、次の7項目で見ます。

  • □ 1行目が自分の紹介になっていないか
  • □ 募集文の言葉を1つ以上使っているか
  • □ 進め方を1つ示しているか
  • □ 質問を1つだけ置いているか
  • □ 載せた実績は案件に近い1つに絞れているか
  • □ 金額の中身を分けて書いているか
  • □ 納期に、途中で見せるものが入っているか

次の1本で直すのは1つだけ

直近に送った提案文を5本並べて、×が付いた項目を数えます。いちばん×が多い項目を1つだけ選びます。次の1本で直すのは、その1つです。

全部を一度に直すと、何が効いたのか分からなくなります。1つずつ変えると、自分の中に「これを変えたら読まれた」という記録が残ります。

見直すタイミングを先に決めておく

見直すタイミングは、先に決めておきます。たとえば、「10本送って返事がなければ、募集文の選び方から見直す」のように、自分で区切りを決めます。この本数に根拠があるわけではなく、自分が納得できる区切りで構いません。返事の数は、この記事の方法で約束できるものではありません。

区切りを先に決めておくと、返事を待つあいだに「やっぱり実績が足りないのか」と考え込む時間が減ります。次に見る場所が決まっているからです。

よくある質問

クラウドソーシングで実績ゼロだと案件は取れませんか?

実績の数より、募集文を読んだことが伝わるかが先に見られると私は考えています。実績がなくても、相手の困りごとの言い直し・進め方・質問の3行は書けます。実績は案件に近いものを1つ(自主制作でも可。自主制作だと分かるように書く)置けば足ります。

提案文はテンプレートを使い回してもいいですか?

経歴や金額の書き方の部分は使い回して構いません。ただし、書き出しの3行だけは毎回その募集文の言葉で書き直してください。ここが使い回しだと、読んだ形跡が伝わりません。

単価を下げれば案件は取れますか?

値下げを先に考えると、選ばれても続かない仕事が増えやすいと私は見ています。まず金額の中身を分けて書き、何が含まれているかを見せてください。比べてもらえる形にするのが先です。

何件応募しても取れないときは、クラウドソーシングをやめるべきですか?

やめるかどうかより、入り口を1つに頼っていないかを見てください。応募は続けつつ、受けた発注者や知り合いへの連絡にも時間を分けます。見直す区切りの本数は、自分で決めておくと迷いが減ります。

プロフィールと提案文、どちらを先に直せばいいですか?

先に直すのは提案文の書き出しだと私は考えています。発注する側が最初に目にするのは提案文なので、そこで読み進めてもらえないと、プロフィールまで届きにくいからです。

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

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