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フリーランスの単価の上げ方|新規の料金提示から始めて、今のお客様に広げる順番

フリーランスの単価の上げ方|新規の料金提示から始めて、今のお客様に広げる順番のイメージイラスト

このシリーズの全体像 お金の話の伝え方|値段・値上げ・値引きを、関係を壊さずに伝える

単価を上げられないのは勇気不足のせいか

3年前に決めた金額のまま、今も同じ額で請求書を作っている人は多いと思います。仕事の量は増え、頼まれる範囲も広がっているのに、金額だけが最初のままです。請求書を作るたびに、金額欄の前で一瞬手が止まる。そのまま去年と同じ数字を打ち込む。

「言い出す勇気がない」と思われがちですが、勇気の問題ではないと思います。金額を口に出す瞬間、仕事の条件ではなく自分の点数を発表している気になる——値段が言えない型かもしれません。勇気があっても、点数を発表する行為だと思っている限り、口に出しにくいのは変わりません。渡したい許可は一つです。値段は自分の価値の点数ではなく、仕事の条件です。条件は、作業範囲や納期が変わったら書き換えるもので、人格の再評価ではありません。

会社やお店としてメニュー価格をまとめて上げる場合は、話す相手も順番も変わります。施術者として店を構えている方は、美容室・ネイルサロン・エステの値上げのお知らせ例文を先に見てください。ここから先は、クライアントごとに条件が違うフリーランスの単価の話です。

この記事でやることを先に言います。今のお客様への値上げと、新規のお客様への値段提示を、完全に別の作業として分けます。この二つを混ぜて「単価の上げ方」として一括りに考えるから、言えなくなります。

混ぜるとどうなるかの例です。全員に一律で「来月から2割上げます」という同じ文面を送る。今のお客様には条件変更の形が要り、新規には最初の提示で言うだけで済みます。必要な言葉も、必要な覚悟も、まったく違うのに同じ文面で済ませようとすると、一番難しい交渉の顔をした文章を全員に送ることになります。次の章から、この二つを分けて順番に進めます。

たとえば、去年までは月1回だった修正対応が、今は毎回2〜3往復になっている。追加の相談にも、金額を変えずに応じている。こうした変化は、値上げの理由になる事実です。あとの章で具体的な書き方に落とし込みます。

今の客と新しい客は分けて考えるべきか

今のお客様新規のお客様
交渉要る要らない
基準過去の金額が基準になる基準がない(自分で決められる)
関係続く前提で話すまだ関係ができていない
断られたときの痛手仕事が減る現状維持で済む
必要な言葉条件変更の通知最初の提示

新規提示→反応確認→既存客への通知という3ステップの順番を示す図解

新規のほうが先です。単価は、新規で先に上げて実績を作り、その金額を根拠に今のお客様を後から寄せる、という順番でしか動きません。今のお客様から始めると、断られた1件で全部が止まります。長い関係があるほど変な影響を恐れて動けなくなります。新規は関係ができる前なので、断られても「その仕事が来なかっただけ」で済みます。エンジニアとして稼働先からの紹介で次の案件を取りたい方は、フリーランスエンジニアの営業でも扱っています。

手順は三つです。

  1. 新規への提示額を決める
  2. 新規で2〜3件出して反応を見る
  3. その金額を根拠に、今のお客様に条件変更を出す

ここでやりがちなのが、初回だからと自分から金額を下げてしまうことです。下げた金額は、その場では相手に喜ばれても、次からの基準になります。次に上げ直すときは、上げる作業がもう1件増えます。最初の提示を、最初から本来の金額で出しておくほうが、結局は近道です。

今日やることを一つだけ挙げます。次に見積を出す新規1件の金額を、今の金額より少し高い金額で紙に書いてください。送るかどうかはまだ決めなくていいです。数字を紙に書くところまでで、今日は十分です。その数字に根拠はいりません。上げ幅を決める基準は、他人の相場ではなく、自分がその金額を口に出せるかどうかです。

新規への料金提示は何を書けばいいか

中身を分けずに総額だけ出すと、値段の話しかできなくなります。総額だけを出すと、相手が判断できる材料は「高いか安いか」の一点だけになります。作業を3〜5行に分けて、それぞれに金額を振ってください。

総額のみの提示と項目別内訳を並べた提示の違いを比較する図解

例えば、次のように分けます(金額は実際の相場ではなく、分け方の構造だけを示すものです)。

  • 設計・要件整理
  • 制作本体
  • 修正2回まで
  • 納品後サポート1か月

修正回数と対応範囲は、金額の横に必ず書きます。「修正は柔軟に対応します」のような書き方は、あとで際限なく作業が増える原因になります。

口頭で言うときの型はこうです。「金額は◯◯円です。内訳は書面でお送りします」。ここで止めてください。「高いと思いますが」「相場よりは抑えています」のような言い訳は付けません。付けた瞬間、相手は金額ではなく、こちらの不安のほうを聞くことになります。

見積書と請求書で、内訳の項目名を変えないでください。名前が変わると、相手は「何か追加されたのでは」と身構えます。

フリーランス新法では、発注する事業者が業務委託をした場合、直ちに取引条件を書面または電磁的方法(メール、SNSのメッセージ、チャットツールなど)で明示する義務があります。業務内容や報酬の額など、明示すべき項目は9つです。書面で条件を明示する義務があるのは発注する側なので、書面のやりとりを求めるのはこちらのわがままではありません。こちらから内訳つきの見積を送るのは法律上の義務ではありませんが、条件のすれ違いを防ぐ実務として、口頭で金額を伝えた直後に書面かメールを送っておくと確実です。個別の契約内容の判断は、専門家に相談することをおすすめします。

NG例です。メールの最後に小さく金額を書き、その前に長い言い訳の文章を書く。読む人は結局、金額しか見ていません。前の文章は、金額を隠す効果ではなく、不安を伝える効果しかありません。

沈黙への対処も決めておきます。金額を言った後の3秒を、自分の言葉で埋めないことです。埋めた言葉は、ほとんどの場合、値引きの提案になります。黙っている3秒は、相手が考えている時間です。

値上げは今のお客様に何と伝えるか

値上げを伝える基本の順番と文面は値上げの伝え方で解説しています。ここでは、新規と分けて動くときに変わる部分だけ書きます。

お願い型と条件変更通知型の伝え方の違いを対比させる図解

「お願い」という形は、相手に判断を委ねる形です。だから相手も断りやすい形で受け取ります。今のお客様には「条件変更のお知らせ」として、決定事項を期日つきで伝えます。

新規と違って、今のお客様には基準があります。基準は過去の金額です。だから理由が要ります。理由に書いていいのは、この1年で増えた具体的な作業だけです。修正回数が増えた、対応時間が延びた、新しい工程が追加された、といった事実です。生活が苦しい、他の取引先の単価が上がっている、値上げの時流だから、といった自分側の事情は書きません。相手には関係のない理由なので、条件変更の説得力を持ちません。

相手から「なぜ今回から金額が変わったんですか」と聞かれたら、「対応する範囲を◯◯まで広げたので、その分を反映しています」と、範囲の変化で答えます。値段の正当性ではなく、範囲の変化として答えると、話が値切り交渉に流れにくくなります。

分岐点はここです。「言いにくいので今回だけ据え置きます」を1回やると、次の値上げのときは、前回据え置いた分も一緒に説明することになります。1回の据え置きが、次の交渉を2倍難しくします。

値上げの反応が分かれたらどう読むか

反応読み方次にやること
即OK提示額が低すぎた可能性がある次の新規はもう一段上げる
条件を聞いてくる交渉が始まっただけ範囲を削って金額を守る
黙る高いと思われたのではなく、社内で決められないだけのことが多い追撃せず、期限の確認を1通送る

即OKが続く場合でも、次の額を無理に倍にする必要はありません。反応を見ながら、1回の値上げ幅は控えめな幅を目安にすると、相手が調整しやすい範囲に収まります。

「今の内容のままで、もう少し安くなりませんか」と聞かれたときは、削れる範囲とセットで金額を答えます。たとえば「修正を1回までにすれば、この金額でご案内できます」のように伝えます。金額と範囲はセットで動かすものだと、最初から示しておきます。

黙られたときにやることは、値引きの提案ではありません。期限の確認を1通送ることです。「◯日までにご返事いただければ、現行の進行に間に合います」。これだけで十分です。

値下げの要求が来たときは、金額を下げるのではなく、範囲を減らす方向で返します。修正2回を1回に、サポート1か月をなしに、というように、何を外すかを先に決めておきます。金額はそのままで、対応の範囲を条件として調整する形です。

断られた1件を、全体の答えにしないことも大事です。1件断られた翌日に、全部の取引先の金額を元に戻す判断はしないでください。判断は、3件出してからで十分です。

失注したときは、4項目だけ記録しておきます。相手、提示額、断られた理由、そのとき削った範囲。この記録が、次の提示額を決める材料になります。

値上げしやすい相手はどう見分けるか

上げやすい相手のチェックリストです。当てはまる数が多いほど上げやすい相手です。

上げやすい相手と上げにくい相手の特徴を左右に分類した図解

  • こちらの作業内容を把握している
  • 修正や追加の依頼が年々増えている
  • 担当者が変わっていない
  • 支払いが遅れたことがない
  • 値段以外の話(品質・納期・提案内容)が会話に出る

反対に、上げにくい相手には共通する特徴があります。金額の話しかしない、毎回相見積もりを取る、担当者が頻繁に変わる、こちらの作業範囲を把握していない、といった相手です。

たとえば、修正のたびに「ついでにこれも」と頼まれることが増えている相手は、作業内容の把握と修正・追加の増加という2つの項目に当てはまります。作業は増えているのに金額は変わっていない、というだけで、値上げを切り出す理由としては十分です。

上げやすい相手から出してください。最初の1件で通れば、2件目以降の文面はほとんどそのまま使い回せます。最初に一番怖い相手を選ぶと、そこで止まってしまい、他の取引先の値上げにも進めなくなります。

全員を上げる必要もありません。上げない相手を「今は据え置き」と自分で決めて記録すれば、それは先延ばしではなく選択です。時期の目安は、契約更新月、期初、作業範囲が変わったタイミングです。何もない月に単発で出すと、理由が薄く見えます。

上げにくい相手をずっと据え置くわけにもいきません。上げやすい相手で通した文面と実績ができたら、次は「今回はここまで」と範囲を小さく区切って、上げにくい相手にも様子を見ながら出してみてください。一度に大きく変えようとしないことが、続けるコツです。

上げた金額を守るには次に何をするか

値上げが通った直後にやることがあります。新しい金額での提示文を、テンプレートとして1枚残しておくことです。毎回いちから書いていると、書くたびに気持ちが揺れて、結局また下げてしまいます。

残しておく内容は3つです。

  1. 内訳の項目名と分け方
  2. 修正・追加の条件文
  3. 値下げ要求が来たときに外す範囲の順番

テンプレートは一度作ったら終わりではなく、断られた理由や削った範囲を反映して、少しずつ更新していくものです。更新した日付を残しておくと、いつの基準で値付けしたかがあとから分かります。

仕事が減る不安への現実的な手当てもあります。値上げの通知を出す前に、新規の提示を最低2件出しておいてください。手元の仕事が1件しかない状態で交渉すると、断られたくない一心で、自分から金額を下げてしまいます。

3か月後に見るべき数字は、件数ではありません。1件あたりの単価と、上げた金額で受けた件数の二つです。件数だけを見ていると、単価が上がっているのに全体の件数が減って見えて、値上げを元に戻したくなります。単価×件数の全体で見てください。

今日やることを一つだけ挙げます。内訳の項目名を5行、テキストファイルに書いて保存してください。金額はまだ入れなくていいです。たとえば「要件整理」「制作」「修正対応」「サポート」「納品確認」のように、作業の区切りで名前を付けておくと、次に金額を入れる作業だけが残ります。項目名を書き出すところまでで、今日の作業は十分です。

よくある質問

フリーランスの単価はどのくらい上げていいですか?

公的な相場の基準はないので、他人の数字ではなく自分が口に出せる金額から決める。今より少し高い金額を新規1件に出し、3件分の反応(即OK/条件交渉/黙る)を見てから次の提示額を決める。即OKが続くなら低すぎた合図。

値上げのメールはどう書き出せばいいですか?

「お願い」ではなく「条件変更のお知らせ」として書く。理由は、この1年で増えた具体的な作業(修正回数・対応時間など)に絞り、生活事情や他社の単価は書かない。文面の型と予告期間の目安は/guide/neage-tsutaekata/にまとめてある。

値上げを断られたら、その取引先は終わりですか?

金額を下げる前に、範囲を減らす提案を出す。修正回数やサポート期間など、外す順番をあらかじめ決めておくと、その場で値引きせずに済む。断られた1件を全体の答えにせず、3件出してから判断する。

新規のお客様に金額を伝えるとき、書面は必要ですか?

フリーランス新法は、発注する側が業務委託時に報酬額を含む9項目を書面または電磁的方法(メール・チャット等)で明示する義務を定めている。義務を負うのは発注する側で、受け手であるこちらに法律上の提出義務はない。ただし口頭で金額を伝えた直後に、こちらから内訳つきの見積やメールを送っておくと、条件のすれ違いを防げる。個別の判断は専門家に相談を。

取引先全部の単価を一度に上げるべきですか?

上げやすい相手から順に出す。作業内容を把握している/修正が年々増えている/担当者が変わっていない相手が通りやすい。上げない相手を「今は据え置き」と自分で決めて記録するのは、負けではなく選択。

参照した情報源

  1. フリーランス新法とは?主な義務や罰則、取適法(旧下請法)との違い、相談窓口を解説【弁護士監修】(弁護士ドットコム クラウドサイン(メディア))・確認日 2026-08-29

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

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